【バックアップ用】「サカバンバスピス」の名前の由来(オリジナル版) | 感謝のブログ

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※※当記事はバックアップ用です。改訂版はこちら※※

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今回は、歌の話題ではありません。

昨年(2023年)の夏前に、SNSを発端として大ブレークしたサカバンバスピスについての記事となります。

 

サカバンバスピスとは、4.5億年ほど前(オルドビス紀)に生息していた古代生物の一種ですね。
フィンランドのヘルシンキ自然史博物館に展示されていた(想像)復元模型の写真がSNSで拡散されたところ、その何とも言えない顔が大人気を博しました。

<参考>

 

 

・・・が、そのこと自体については既に色々な記事・情報があふれていますから、今さら私が語ることは無いと思います。
私が今回書きたかったのは、「サカバンバスピスの名前の由来について」です。

 

ネットにあふれるサカバンバスピス関連記事などを見ていたところ、どうもその名前について

「発見された地名+【盾】を意味する言葉」

という見解では皆さん合致しているものの、

①地名そのもの

②「盾」を意味する部分

③言語

についての認識がバラバラである事に気付きました。

 

具体的に言うと、

①地名の表記については

サカバンバ 

サカバン 

Sacabambilla(サカバンビラ)村

 

②「盾」を意味する部分については

アスピス

スピス

 

③言語については

・ラテン語

・ギリシャ語

 

という説が飛び交っていて、一体何が、どれが、どっちが正しいのか困惑してしまったのです。

 

以前に書いた「かえるのうた」の記事もそうですが・・・

私はこういう時、どうしても調べたくなる性分ですので、調べてみました。

 

◆結論…
地名=「サカバンバ(Sacabamba)」+
”盾”=「アスピス(A
spis)」で、
言語=古代ギリシャ語

というのが正解。

 

◆理由(根拠)

 

(1)日本語Wikipediaの情報

まず、そもそも日本語のWikiを見るとこう書いてあります。
・地名=Sacabamba(サカバンバ)村

・「盾」=Aspis(アスピス)

・古代ギリシャ語

 

またもう1つ大事なのは、

・見つかった地層=アンサルド層

という情報です。

 

 

 

(2)英語版Wikipediaの情報

日本語版のWikiだけでは怪しいですから、英語版でも一応確かめます。

すると、以下のように書いてありました。

・地名=Sacabamba(サカバンバ)村

・見つかった地層=Anzaldo(アンサルド)層

Wikipediaでは、日本語・英語どちらを見てもSacabanbillaという地名は登場しません。

そして実際に発見された地層は「Anzaldo」(アンサルド)。

ただ、英語版ですと「盾」「言語」についての記載は無いようでした。

 

 

(3)Google Mapでの地名検索結果

せっかくですので、地図でSacabambaSacabanbillaを検索しました。

すると、「確かに両方とも南米・ボリビア多民族国(※)のコチャバンバ県に存在するが、しかし違う村である」事が分かりました。

→両者は、37.8km 離れた別々の場所の名前である事が分かります。

(※:2009年に、「ボリビア共和国」から「ボリビア多民族国」に国名変更されたのですね。)
 

そしてその両者を見比べると、

「Anzaldo(アンサルド)層」に近いのは「Sacabambaである事が分かります。

 

日英どちらのWikiでも「Sacabamba」。

地図を見ても、化石の見つかった地層付近の地名は「Sacabamba」。

従って、まず疑問点①の地名については「Sacabamba」が正解であると言えるのではないでしょうか。

 

 

そして、疑問点②「【盾】を指す部分」および疑問点③「言語」ですが…

 

(4)前提:一般的な学名の決定方法

「学名=ラテン語」というイメージが強いのは事実ですが、実際には古代ギリシャ語も使われるようです。

 

 

 

ですから、勝手に「学名なんだからラテン語」と決めつけるのではなく、確認が必要です。

 

 

(5)Google翻訳を用いた翻訳結果(現代ギリシャ語)

英語版のWikiでは見当たりませんでしたが、日本語版では「【Aspis】(古代ギリシャ語)」と書いてありました。

そこで実際、Google翻訳を用いて「現代ギリシャ語」を確認してみたところ「盾」は「Aspida」でした。

 

念のため、発音まで確認しましたが最初の「a」が無視されている事も無く、はっきり「アスピーダ」と読まれていました。

これは「Aspis(アスピス)」に相当近いと言えますね。

(6)Google翻訳を用いた翻訳結果(ラテン語)
一方で、「ラテン語」での「盾」を調べてみた所、こちらは全く異なる言葉でした。

(発音は、見ての通りの「スクータム」という感じ。)


「現代ギリシャ語が似ている」だけでは「だから絶対に古代ギリシャ語だ」とは言えないのでしょうが、しかしラテン語の「盾」は「バスピス」的な語尾と比較すると類似性が無さ過ぎます。
 

(7)「Aspis」という言葉自体の検索結果

「Aspis」、という言葉自体を検索した所、それ自体のWikipediaがありました。

古代ギリシャで使われた、重い木製の盾(Shield)である、と書かれています。
 

 

従って、結局はwikipediaにある通り
疑問点②、「盾」を意味する部分…”Aspis”(アスピス)という言葉。

疑問点③、言語…古代ギリシャ語

で、確定したと言えるのではないでしょうか。

 

◆まとめ

以上の根拠から言って、サカバンバスピスの名前の由来は

化石が発見された場所の名を示す「サカバンバ(Sacabamba)」

古代ギリシャ語で「盾」を意味する「アスピス(Aspis)」

である、というのが正解であるという結論に達しました。

 

いかがでしょうか?

(※何か有力な反証があったら是非、教えてください!!)

 

 

--------------<<3/19 追記>>------------------------

先日書いた(=この追記の上までの)内容ですと、
「なぜ【Sacabambilla】という情報が出て来たのか?」
が必ずしも明らかではありませんでした。
 

Sacabamba」と「Sacabambilla」の両者は確かに似てはいますが、しかし、そもそも複数の(かつ、極めて一般的な)ソース情報に「Sacabamba」と明記してある以上、本来なら「Sacabambilla」という別の村の名前が出てくる余地は無いのです。
そこがどうも腑に落ちず、もう少し掘り下げてみました。

そしてその結果、やっと本当に分かりました!!

◆最終的な結論
・やはり名前の由来は「Sacabamba」が正解。
他の説(「Sacabambilla」「サカバン村」等)は、間違い。



◆ポイント
最初に発見されたのは、Sacabamba付近の地層。名前もそこからついた。
・しかしそもそも、コチャバンバ県付近はオルドビス紀の地層が大きく広がっている。
・そのため、Sacabanbillaからもサカバンバスピスの化石が出ている
・特に、後からSacabambillaで発見された化石は相当状態が良く、それを基にした論文も出回っている。

■Sacabambilla説が出てきてしまった理由
・上述の通り、「Sacabambillaで発見された化石」に関する論文が出回っていた。
・「billa」が、日本語で言うところの「ビラ」(≒家、住宅地)の意味ではないかと誤解し、「サカバンバ村」と「Sacabambilla」が同じ意味だと思い込む人が複数いた??

しかし実際には上述の通り
①「Sacabamba」と「Sacabambilla」は別々の村(町)で、そのうち最初に化石が発見され、名前の由来となったのは「Sacabambaである。
②ボリビアの公用語の1つであるスペイン語で「村」を意味するのは「villa」であって、「billa」「illa」は無い

・・・というのが事実でした。

◆各種根拠

(①A)

まずこちらの論文には、最初に発見されたのは「Sacabambaである事、またそれとは別に「Sacabanbilla」という場所もあり、そこからはほぼ完全な形の化石が出た事が述べられています。
https://hal.science/hal-03029368/document

 

 

 

(①B)

次にこちらの論文では、ボリビアのコチャバンバ付近に広く分布するオルドビス紀の地層と、主な化石の採取場所が地図で示されています。その中でSacabamba」と「Sacabanbilla」の位置関係も明記されています。
http://paleopolis.rediris.es/BrachNet/REF/EMIG/EMIG_Reprints/Emig&Herrera_2006.pdf

 

<文章内の記述:両者は別々の場所である事が具体的に距離と方角でも分かる>

 

<地図>

 

この地図の内容は、私の本文でも掲示したGoogleMapの検索結果とも合致します。

コチャバンバから東にScabambilla、南東にSacabamba

 

 

(②)

スペイン語で、町や村を表す言葉は「villa」

 

 

以上の事から、記事本文の最初のほうに書いた

地名=「サカバンバ(Sacabamba)」
”盾”=「アスピス(Aspis)」で、
言語=古代ギリシャ語

というの結論が、そのまま「正解で、かつ、確定」という事になりました。

 

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まとめ画像↓↓



【補足】
一部サイトでは、「aspisとはコブラの一種であるアスプの事も指すので、【サカバンバのコブラ】と訳す事もできる」という記載もありました。

"asp"が古代ギリシャで広く「毒蛇」を指したのは事実のようです。


しかし、サカバンバスピスに近い仲間(や分類)を見ると、こんな感じです。

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

 

・名前に、「Aspis」だけでなく、現代ギリシャ語で「盾」を意味する「Aspida」も見られる

・共通した特徴が「大きくて平たい(盾のような形の)頭骨」である

・一方、体はそこまで特別に(蛇のように)細長いわけではない

・「蛇」でなく「コブラ」を選択する理由も無い

といったポイントが分かります。

 

以上の点から、「コブラと訳す事もできる」という記述は、

「カモノハシ」という動物に関して英語のサイトで

「日本語で”ハシ”とは"クチバシ"の意味だが、”橋”もしくは”箸”と訳す事もできる」

と書いてあるようなものであると言えます。

 


--------------<<4/5 追記>>------------------------

サカバンバスピスのためのオリジナルソングを作ってもらいました!!

↓ ↓ ↓