最終章も動きを見せるⅡ
物語は急速に展開していく・・・。










財布を手に入れた三人は、街中のショッピングモールにやって来た。

「「お、大きい・・・」」


こちらの世界をあまり知らない魔法使い二人が感嘆の声を漏らす。


「このくらい普通」

唯一の常識人(?)の音無がツッコミを入れる。


「ほぇ~・・・。人間世界ってこんなのもあるんだぁ・・・」

展示用のマネキンを弄りながらアリスは進んで行く。


その後ろにこれまたソワソワしたニーナが付いていく。

実に微笑ましい光景を音無は無表情で見つめていた。

いや。本当は笑っているのだ。

顔に出さない癖が治っていないせいでもあった。


先頭を行くアリスがレストラン街に曲がった時だった。

ピシッ。と鋭い殺気が飛んで来た。


「・・・っ!」

服の下の苦無を構え、後ろを振り返える。

しかしそこには買い物客の喧騒しか無かった。


「・・・?」

思い違いか。と音無しはニーナ達の背中を追った。










健が通う学校の一室で一人の男が考え事をしていた。


Tシャツにジーパンと言うラフな格好だが考え事をしている雰囲気が、一般的な人間ではない事を示していた。


「始まるんだね・・・」

椅子に深く座り直した雷鳴司はため息を吐いた。


目の前の机の中から古びたペンダントを取り出す。

名前が刻まれた部分は既に読めない位劣化していた。


「お前はまだ罪を重ねるのか・・・」

ペンダントを握りこんだまま司は部屋を後にした。












健の財布の中には結構な額が入っていて、三人は食後のパフェを食べていた。


「おいしいぃ~・・・」

甘い物好きのニーナがとろけた声で零す。

コクリ。と頷く音無。

アリスは既に食べ終わっていた。

「勝手に使って怒られませんかね?」

容器の下にあるアイスを食べながら、ニーナが疑問を口にした。

「大丈夫」

「平気でしょ。健だし」

無責任な事を言う二人。実はこれが今月の食費だとは考え付かなかったようだ。

「あ。私少しトイレ行って来るね」

伝票を置いて店外に出るアリス。

その足で急いでトイレに向かう。


ドンッ。とトイレの前の曲がり角で人にぶつかった。

「すみませ・・・」

謝ろうと顔を上げたアリスが見たのは。

「見ぃつけた~」

邪悪過ぎる笑い顔だった。

次回更新に続く
ラストです・・・

第三章が書き荒れたので修正しながら書いて来ます・・・。











俺は夢の中に居た。

真っ暗な視界の世界。

「ここは・・・この前の?」


ニーナ事件から目覚める前に見た光景と全く同じ事に言葉を漏らす。


『はじめまして。氷山健』

聞き慣れた癪に障る声が背後から聞こえた。

俺はゆっくりと視界を後ろに向ける。

『やっと会えたわね。健』


そこには真っ赤なドレスを纏った少女が立っていた。

「お前・・・」


黒い長髮がゆらゆら揺れ、少女の身体は時折ノイズの様に歪む。

『改めてはじめまして。私の事は知ってる?』


「・・・」

正直この質問はイラッとした。


何度も話掛けて来たり、身体を乗っ取る奴を解らないはずが無い。

『その顔は知っている顔ね。まぁ担い手なら当然かしら』

「担い手・・・?」


『あぁ。自己紹介が遅れたわね。私『封印の炎』って言うの』

「な・・・んだって?」

『あら?昨日アリスとか言う女の子に聞いてたじゃない』


忘れるはずも無い。


こちらの世界の人間にしか宿らない、アリス達が探している伝説の魔法。


それが俺の中に宿っている?


「ハ・・ハハ」


渇いた笑いが口から零れる。

ありえねぇ。全く持ってありえねぇ。


俺はいきなり過ぎる展開に大きく頭を振った。









健が夢の中で少女に出会って居る頃。
現実時間では既にお昼時を迎えていた。

「お腹減りますね」

「お腹減ったにゃあ・・・」

「お腹減るわね」


氷山家居候(三人)はそれぞれに同じ事を口にしていた。


一家の(一応)大黒柱である健は今だ部屋から出て来ない。

だからと言って起こしていいのか分からず、起こしに行けない三人である。


「あ。そう言えばここらへんに・・・」

ガサガサと戸棚を漁るアリス。
その後ろからニーナと音無が覗き込む。


「あったー!!」

某ゼ〇ダのような効果音と共に掲げられたのは、健の財布。

ニヤァと微笑む三人。

言って置くが出会ったのは昨日である。


こうして三人は水を得た魚の様に、外食へ向かった。










次回更新に続く
遅くなりましたね
定期更新はやっぱりむ(ry











真っ白になった健は動きを停止した。


するとガチャ。と風呂場の方の扉が開いた。

と同時、伸びてきた白い手に襟首をガシッ。と掴まれる。


「は?」

傾く視界と同時に間抜けな声が飛び出した。


思考が戻った俺の目の前には男のロマンが・・・無かった。


「後ろ向いたら殺します」

入浴していたのは意外にも音無だった。

丁寧にタオルを巻いて俺の首に苦無を突き付けて居る人物だがな。


ガチャ。とあちら側の扉が開かれる。

「あれ?誰か入ってる~?」

ハツラツとした声。多分アリスだ。

「入浴中です。すみません」

スモークガラスに自分が写る様に体勢を変えながら音無が答える。

ゆっくり入ってて良いからねー。と言い残し、アリスが去って行った。


「・・・」

暫しの沈黙。
互いに見つめ合ったまま過ぎて行く時間。

首元に突き付けられた苦無がスッ。と外された。

「・・・私ですか?」

真剣な眼差しの音無がそんな言葉を漏らした。

「・・・は?」


「私だと知っていて覗きに来たんですか?」

頬を少し朱にした音無は、はっきりと言い放った。


「んなわけあるか!!」

俺が風呂場の扉に手を掛けると同時、その扉が真っ二つになった。

「・・・」

冷や汗が流れる。

後ろの音無からの殺気が半端ない。

「答えて下さい・・・」


いつの間にか長剣を握った音無がジリジリ寄って来る。


人生のピンチ第二回目である。


「えぇい!死んで堪るか!」

健は左手を音無の顎下に添える。

「え・・・」


突然の事に音無は動きを止める。


次の瞬間には右手の拳が顎下を掠めて行った。


バシャ。と水音を残して音無が湯舟に沈んだ。


「・・・勘弁してくれよ」


たった一人風呂場に残された俺はそう零した。









音無を浴室の床に転がして、俺は自室に戻った。


身体が怠い。

俺は強烈な睡魔に誘われるまま、夢の中に落ちて行った。









第三章 終










いよいよラストになりそうですね。

かなり書くのが面倒ですが頑張ります!


次回更新に続く