ラストまで突っ走るよ!!











「さぁ先に来なさい。譲って上げるわ」

フローがドレスの端を持って華麗にお辞儀する。


「私の炎を舐めるな!!」


六対の炎球を空中に出現させる男。

誰が見ても避けきれる数では無い。


「あら?それだけかしら? 」

出現した炎球の数を見て、フローはため息を吐いた。


「全力で来い。叩き潰してあげよう」


男を見つめたまま、フローが語る。


「舐めるなぁああああアア!!!!」


男は咆哮する。


出現していた炎球が十二対に増える。

「消し飛べぇええ!!!」

男の右腕が振り下ろされる。


凶悪な威力を秘めた炎球がフローを包みこんだ。

当たれば地図を書き換える位の爆風が起こったはずだ。


しかしそれは当たら無かった。

「こんな制御の甘い魔法で私にダメージが通ると思ったか。身の程知らずめ」


飛んで来た炎球はフローの周りで止まったまま、消滅する。


それはフローが自らの炎で炎球を包みこんだからだ。


認識速度を遥かに上回った為、止まった様に見えたのだ。


「お仕置きアンド説明タイム~♪」

平然とフローは男に向かって歩き出す。


「く、来るな!」

男は後退りする。


「私の名前は封印の炎。その役はその名の通り封印」


男に向かって歩み寄るフロー。

「しかし炎の担う役は浄化。では封印は何処から来るのか」


「やめろ・・・。やめろォオオオ!!」


「燃え尽きて、凍えろ」

瞬間、男の身体から炎が噴き出す。


男の中の大量の魔力がフローによって引きずり出され、男の身体を焼いて行く。


「グォオオ・・・。グァアアアアア!!」

男が声に成らない言葉を吠える。


そして一つの変化が起こる。


炎が形を保ったまま凍り始めたのだ。

「さようなら。愚かな魔法使いよ」


残されたフローの前には一つの氷の塊だけが残された。


「・・・美味しい所しか取って行かないよな。お前」


一連の出来事を体育座りで眺めていた健がそんな声を漏らす。

「・・・えーっと」


「俺が格好よく決めた所から全部持ってくし、力が使えると思ったら一撃入れる前に出て来て使えるなくなるし、ハハハハハ」


「私はこれで・・・」

気まずくなったフローが健の中に戻って行く。

健は気絶したアリス達を起こし、呟いた。

「さあ、晩飯に帰るぞ」
数字が大分無理矢理な気がするです・・・









「フロー」


『何かしらマスター♪』

新たに付けた魔法の少女の名前を呼ぶ。


「力貸してくれるか?」

『マスターはただ命令すれば良いのよ』


フローは嬉しいそうに答える。

「じゃあフロー。力貸しやがれ」


『了解よ♪マスター』









健は無言を続ける男に向き直る。

「準備はいいか?クソ野郎」


目の前の男は腕を下ろしたまま、小さく呟く。

「・・・殺す」


瞬間、二人の姿が消える。

魔法で強化した筋力で全力で前に飛んだ結果である。

「沈んどけ!!」

砂利の上を滞空していた男にドロップキックを仕掛ける。

「小賢しい!」

男が水を作り変えた氷の大剣を振るう。


反応速度を上げて地上に回避すると同時、真上に居る男目掛け跳躍した。

『私にも遊ばせて欲しいわぁ』

ガクンと身体の感覚が、持って行かれる。

「フロー!てめぇ!」


『大丈夫よぉ。身体は使わないから♪』

そんな声が聞こえた気がした。


刹那。

跳躍していた身体が地面に落ち始めた。


ぶつかる。と健は考える。

しかし跳躍力が消えた理由がわからない。

その答えは下にいた。


「あらあら。空から降ってくるなんてお姫様かしら」

ボワッ。と紅い炎に身体が受け止められる。

紅い炎?


「人間ってこんな感じかしら?」

「・・・は?」

地面に足を付けた健は目の前の現象に声を漏らした。

「何でてめぇが居るんだよ!?」


そこに居たのは、真っ赤なドレスを着た少女。

つまり・・・。

「エヘッ♪出て来ちゃった」


健の力の源であるフロー本人だった。


そういえば身に纏うはずの炎が消えていた。

「覚悟しなさい愚かしい魔法使いよ。私の炎で焼き尽くして上がる」


主役ばりのカッコイイ台詞をフローが完璧に決めた。











次回更新に続く
小説もいよいよラスト・・・。









『そんな貴方に朗報よん♪』

「なんだお前か・・・」


目の前の壮絶な戦いと聞き慣れた癪に障る声に俺はげんなりした。


『ねぇ健。あの子達助けなくていいの?』

「あれの何処を助けるんだよ・・・」


『言っておくけどあの子達じゃあいつは倒せないわよ』

そう言われて俺は気付いた。


あいつは一発も喰らって居ない事に。


現に今も全ての攻撃を避けきっている。

と、その瞬間男の口元が醜く歪んだ。


「離れろ!お前ら!」

本能が危険を口に出していた。


「もう遅い!」

男の周りに突如炎球 が数え切れない程に出現する。

炎球達は出現と同時に男の周りを回り始め、そして爆発した。

ズドォォオン!!と大きな爆発音と爆風で俺は吹き飛ばされた。









どれくらい経っただろう。

1秒に満たないかも知れないが、俺は気絶していた。


しかし気絶は直ぐに解けた。

肌に突き刺さる砂利の痛さで目を覚ましたのだ。


「な・・・んだ、これ」

それは惨劇だった。

土はえぐれ、川岸は吹き飛び、アリス達が無惨に転がって居た。

「くははは!!どうしたんだぁ?まさか終わりか?」

男の声が俺の耳に届いた。


「呆気ないなぁ!もっと僕を楽しませろよ!!」

声が届く度に俺の頭が真っ白になる。


「だったら殺していいんだよな!?なぁなぁなぁ!!」


プチン。と何かが切れた音がした。

「・・・おい。封印の炎」

『はぁい?』

「お前の名は?」

『私の名前?だから封印の炎だって・・・』


そこまで言って、少女は口をつぐんだ。

なんだ。そういう事か。


『名前は無いわ。好きに呼んでちょうだい』


「それじゃあフロー。あいつ、ぶっ飛ばせるか?」

『もちろんよ。マイマスター♪』









「さぁてどうやって殺してやろうかなぁ!」

「おいオッサン。てめぇいい加減にしろよ」


後ろから吹き飛ばしたはずの男の声が聞こえる。


男はゆっくりと振り返る。そこには・・・。


自らの命の炎に身を包んだ健が立っていた。


「てめぇの相手はこっちだ。三下おやじ」

ハッキリと健は告げる。


目の前の男を倒す為に。








次回更新に続く