小林泰三 「家に棲むもの」
- 小林 泰三
- 家に棲むもの
ボロボロで継ぎ接ぎで作られた古い家。
姑との同居のため、一家三人はこの古い家に引っ越してきた。
みんなで四人のはずなのに、もう一人いる感じがする。
見知らぬお婆さんの影がよぎる。
あらぬ方向から物音が聞える。
食事ももう一人分、余計に必要になる。
昔、この家は殺人のあった家だった。何者が…。
不思議で奇妙な出来事が、普通の世界の狭間で生まれる。
ホラー短編の名手、小林泰三の描く、謎と恐怖がぞーっと残る作品集。
◆ ◆ ◆
小林泰三のホラー短編集。全部で七話の短編が収録されています。
表題作は、非常に気味が悪く、ミステリ的なラストもあわせてホラー短編では良く出来ています。
続く「食性」は、菜食派と肉食派の両極端な考えが恐ろしい。ラストの一行も、あっさりしていながら怖いです。
「五人目の告白」は、ホラーよりもミステリよりかな。それぞれの告白の文章が気味悪く、最後のページで提示される真相は意外なもの。特に小林泰三らしいと感じた一編。
「肉」は、出てくるモノを想像するとかなりグロテスク。
最後のほうはどことなく「肉食屋敷」を思い浮かべました。
「森の中の少女」もミステリ的で、ラスト1ページでどんでん返し。
「魔女の家」は幻想的な感じで、子供の日記が味を出しています。
最後の「お祖父ちゃんの絵」は・・・・・・。
ひたすら狂気的ですね。タイトルや最初のほうは、「良い話」に収まりそうに思えるのですが。
この短編集は、「肉食屋敷」などよりはミステリ色は薄めですが、小林泰三のホラーということならこちらのほうがいいかな。
ミステリを期待する人は、「肉食屋敷」収録の「獣の記憶」などがお薦めです。
この作品集では、「五人目の告白」などが。
全体的に不気味、気持ち悪い系統の作品が多いのですが、一見の価値はあるかな、と。割と高めの6点。
大山誠一郎 「双竜町事件」
双竜町の名家に伝わる双子伝説。裏で巻き起こる残酷な殺人事件とは?
時は昭和21年、冬。ある日の午後、東京で一人の外科医が殺された。整形手術で顔を変えた犯人は、双子の兄の住む“双竜町”へと向かう。兄への殺意を胸に秘めながら……。
双子の弟に命を狙われる製糸会社の社長・占部文彦から身辺警護を依頼された私立探偵の川宮圭介と妹の奈緒子は、“双竜町”に赴く。文彦の話によれば、弟・武彦が殺意を抱くのは、武彦の愛した女性の自殺に原因があるというのだが……。はたして圭介たちは文彦の命を守ることができるのか!?
琵琶湖畔にある養蚕の町“双竜町”を舞台に、双子の兄弟の近親憎悪から引き起こされる怪事件を明晰な筆致で描く!
◆ ◆ ◆
電子書籍、というのか、とりあえず単行本にはなっていません。
こちら です。
ちなみに、僕が購入したのは楽天ダウンロードから で、
しかも正確には購入したわけではなく、楽天会員に新規登録(無料)したときにもらった300ポイントを使ってただでもらったもの。
・・・・・・というわけで、まだ会員登録をされていない方は登録さえすればただで読めます。といっても、ポイントがもらえるのはいつもとは限らないので、確証はもてませんが(なんか宣伝みたいだ)。
また、この作品のほとんどの部分を占める前編は無料でダウンロードできます。
昨年の「アルファベット・パズラーズ」の作者の新作長編で、犯人当ての企画もあったもの。
前編で全ての手がかりは提示されるので、後編を読む前に推理してみると良いでしょう。
ちなみに、自分は完全に玉砕・・・・・・。
「ここが怪しい」と違和感を感じたものの、さらりと流してしまったところが見事に伏線になっていて、解決編を読みながらうなってしまいました。
相当完成度が高い本格ミステリです。
真相の意外性も抜群で、あらすじやタイトルから想像できるとおり「双子」が実に有効的に使われるのですが、これには全く気づかず驚かされました。
ある一点に気づけば事件の真相は見えてきますが、おそらく気づく人は少ないはず。
整形手術した「武彦」は誰に化けているのか。これも非常に予想外で、その手があったか! と叫びたくなるくらいの真相。
これだけの本格ミステリはなかなか探しても見つからないでしょう。
キャラ立ちや余計な装飾はいらないと言い、とにかく「本格」にこだわっている作者だからこそ生まれた作品でしょう。
9点に限りなく近い8点。最後が少しあっけないかな、と思ったので・・・・。それが気にならなければ9点でしょう。
この作品も、単行本で出ていれば「本ミス」「このミス」上位に食い込んでいたはずなのに・・・・・・。
あまり読んでいる人もいないでしょうが、本格が好きなら読むべき作品。
大山誠一郎、今後も期待できる作家であることは間違いないでしょう。
高田崇史 「パズル自由自在」
- 高田 崇史
- パズル自由自在
複雑に絡み合った“脳内知恵の輪”を、貴方は解くことができるか!?待ちに待った運動会の日に、次々と起こる珍事件。“てるてる坊主”は壊され、校庭には不可解な焚き火跡…。この謎の真相解明に、天才高校生“千波くん”が挑む「徒競走協奏曲」をはじめ、書き下ろしを含む6編を収録した傑作短編集。
◆ ◆ ◆
高田崇史の千葉千波シリーズ四作目。
パズル小説、とでもいうか。
全編とおして、パズル一色。
小説風のパズル本、といったほうが正しいのかも。
そういうのが好きなら楽しめるけれど、そうでなければどうだろうな・・・・・・という短編集。
僕は好きなので、楽しめましたが。
それぞれの短編に、いくつかのパズルと、メインネタがあり、
そのメインネタも非常のパズル的なものからミステリ的なものまで様様。
ユニークなぴいくんの一人称のおかげで読みやすい。
小説としても面白いと思いますが、やはりパズル好きのための本かと。
一つ一つパズルを解いていると時間がかかるので、初読の時は一旦全部読み飛ばして、後から取り組んだのですが、わざわざパズルを解かなくてはいけないというわけでもないので、苦手なら全部読み飛ばしても良いと思います。
尤も、苦手なら読まないと思いますが。
また、解答は最後のほうに載っているので、答えが出なくても悩まなくてすみます。
結構楽しめたので、7点。
それにしても、「ぴいくん」の本名は一体なんなのだろうか・・・・・・。
神永学 「心霊探偵八雲4 守るべき想い」
- 神永 学
- 心霊探偵八雲 (4)
その死体は手首だけを残し、骨まで完全に燃え尽きていた。
犯人は神か魔物か――。
超常現象「人体自然発火」の謎に八雲が挑む!
晴香が教育実習で訪れた小学校には、あるうわさが合った。
夜中、項ないで遊びまわり、やがて炎に包まれる子供の幽霊・・・・・・。
噂を裏付けるように、逃亡中の殺人犯が焼死体で発見される。
そして八雲と似た雰囲気をもつ少年との、宿命的な出会い。
「次はあの人が死ぬよ!」と少年が指差した先は・・・・・?
◆ ◆ ◆
シリーズものの四作目。
何だかんだいっても、続編が出たら読んでいます。
ライトノベルといっていいのかな?
ある程度ミステリを読みなれていると、先の展開はかなり予測できますし、
「いくらなんでもそれは・・・・・・」と思ってしまうような部分が何箇所も。
まあ、つまらないというわけではないのですが。
死者の魂が見える、という大学生が探偵役を勤めるシリーズで、
なんとなくですが、京極堂シリーズに似ているような気がしたり・・・・・・。
全然別物ではあるのですが、影響は受けているのではないか、と思います。
「人体自然発火現象」が今回のメインですが、トリック自体は別にどうでもいいもの。
もう一つ別の構図があって、そちらがおそらく作者の書きたかったことでは、と。
尤も、これも、おそらくほとんどの人が気づくでしょうが・・・・・・。
やはり、ミステリというよりはライトな物語として受け取ったほうが良いのでしょう。
普通の6点。軽く読めるので、電車の中などで読むのに良いかも。
麻耶雄嵩講演会レポ
早稲田大学の学園祭で、西早稲田キャンパスで行われていた麻耶雄嵩さんの講演会に行ってきました。
今日は学校があったので、会場についたのは2時30分くらいだったのですが、見やすい席を探して前から三番目を確保。
そのまま、持ってきた麻耶さんの著作を読み返したりして、待つこと30分・・・・・・。
ようやく、麻耶雄嵩さんのご入場。
写真とは随分違いました。サングラスをかけていて、予想より断然格好良かったです。
そして、インタビュー形式の講演が始まる。
以下、少々長くなりますが、自分がメモしてきたことを書いておきます。
それほど重大なネタバレはないと思いますが、「神様ゲーム」関連あたりは読んでいないと意味がわからない・・・・・・。「神様ゲーム」未読の方は、「神様ゲームに関して」は読み飛ばしていただいたほうが吉かも。
「神様ゲーム」に関して
・「神様が探偵」という形式は三、四年前に考えていた
・「子供が読んでトラウマになる作品を書いてください」と担当の方から言われた
・生々しいことは避けよう、と思っていた(いじめ等)
・リアルさを無くす
・章第が左右対称なのは遊び心
・冒頭のジェノサイドロボ等は、「この作品はそんなに優しいものではないよ」という、親切なメッセージのつもりらしい(ダークな話に対し免疫を作り役割も、とか何とか・・・・・・)
・麻耶さん本人は神は信じていない。いるとしたらどうなるか? という考えから生まれた
・表紙絵は、最初頼んだ人には「最後の章がダークすぎて子供には説明できない」と断られた。代わりの人に描いてもらったのが例の絵で、麻耶さん曰く「僕よりずっと邪悪なのでは、と思った」らしい
・「天誅」の意味は犯人を殺すことである(すなわち、天誅を下された人間が犯人)
・神様ゲームの登場人物の名前は、「怪人二十面相」に出てきた人物の役名・芸名などから
・「神様ゲーム」の世界とメルや如月、木更津たちが居る世界は同一。といっても、別に登場人物たちが互いにリンクしたりはしない。(メル、木更津たちが居る時代と神様ゲーム、螢の時代では十年ほどのズレがあるだろう、とも)
・「窓際族の憂鬱な午後(仮)」などの、仮タイトルは本気で考えていない(ウケ狙い)。なるべく、内容から外した仮タイトルをつけるようにしている(実際に発表されたとき、その仮タイトルがヒントになったりしないため)
麻耶さんご自身に関して、およびその他
・メルカトル鮎は動かしにくいキャラ
・メルと美袋の話は、事件そのもの以外に美袋のいじられ方も考えなければ成らないので大変
・・木更津と香月の話は、香月がどこから真相に気づいているかなど気を使わなくては成らない(一人称小説で、本人が知っているはずのことなのに地の文で驚いていたりすると不自然、おかしいために)
・そのことから学んだこと。「ワトソン役はバカが書きやすい」
・「美袋はその理論から行けばものすごいバカなので書きやすい人物ではある」
・ルパンが好き(メルのタキシード、ステッキなどの姿もこれの影響か)
・小学校時代は、いたって普通のおとなしい子供だった(つもり)らしい
・ミステリにはまったのは小学校のころ。ホームズもいいが、ルパンのほうが好きとか
・親に「ミステリは読んではいけません」といわれ、当時図書館では二冊本を借りれたのだが、いつもそのうち一冊はミステリ以外のものにするようにされていた。
・大学に入るまではミステリを自分で書いたりはしていなかったが、小学四、五年生の頃に謎解き風の絵本「何故広島と長崎に原爆が落とされたのか」というものを書いたらしい」
・小学一年のとき、夏休みに肺炎に掛かって新学期になるまでずっと寝込んでいた。このときとうもろこしを食べていたので、「とうもろこしが原因では・・・・・・}と思い、その後二十年ほど食べられなかった(食べてみたかったらとても美味しかった、今まで損していた、とも)
・中学のときは野球部に所属していたが、そのとき先輩が亡くなり、原因を聞くと盲腸だったらしい。だが、盲腸くらいでは人は死なない、と麻耶さんは考え、聞いてみたところ、(うわさだが)その先輩の祖母が「盲腸なんて祈れば治る」といって病院に連れて行かなかったらしい。このことから、神を信じるとロクなことがないと学んだ。
・トリックを作るのに一番難しかったのは「木製の王子」(一ヶ月以上かかったとか)
・書くのが一番難しかったのは「螢」(先に理由も挙げたとおり)
・螢は「りら荘事件」は意識していたが「十角館」は意識していない
・最近のマイブームはジェットエンジン
・一年間に読む冊数は50冊ほど
・最近読んで面白かったのはクロフツの「列車の死」
・読むのと書くのでは書くほうが好き
・綾辻さんに関して。綾辻さんは最近家を建てたのだが、防犯システムのことを忘れて朝起きたときいつものように窓を開けてブザーを鳴らしたことが何度も・・・・・・。
・法月さんに関して。一時期、「オレはもう駄目だ」と落ち込んでいた時期があり、誰からも相手にされずFAXで「死にます」と送ったりも・・・・・・。
・我孫子さんに関して。最近お笑いにはまっているらしく、「大喜利をやりたい」と仰っているとか。来年実現するかも・・・・・・?
・最近の若手作家に関して、麻耶さんはどのように判断していいのか迷っているとか(ゲームに影響された人が小説を書いている、などの現状)
・携帯電話の普及のおかげで、色々と書きづらくなったり
・今後も、いろいろな手を使ってカタストロフィを書いていくそうです。
・・・・・・と、まあ、こんな感じです。
これでほぼ全部でしょうか。
とにかく、充実した講演会でした。麻耶さんは予想していたよりユニークな方で、途中何度も笑いが起こったり(ブラックな)。
ちなみに、もし今回の講演会にいかれた方がいらしたら。
質疑応答の時間で、一番最初に「今後も『夏と冬の奏鳴曲』のような、かなり大きなカタストロフィをもたらす作品を書くご予定はありますか?」と聞いたのが僕です・・・・・・。
もっと面白い質問はなかっただろうか、とも思いましたが・・・・・・。緊張していたので、咄嗟にそれしか出ませんでした。
お答えは上のほうにあります。「同じ手は二度と使えないが、様様な形で世界を創り、壊したい」とのこと。嬉しいお答えでした。
あと、講演会の後にサインをいただける時間が合って、その時に「シリーズの完結作の構想はありますか?」と聞いたら、「一部のシリーズではあります」とのこと。「メルカトルなどは最初から完結している、ともいえますし」とも。
また、烏有と桐璃の短編を書く予定はないが、長編のアイデアはあるのでそのうちに書きます、と仰っていて、今度はどのような作品でくるのか、今から非常に楽しみ。
(ちなみに、サインは「名探偵 木更津悠也」と「夏と冬の奏鳴曲」に頂きました。ありがとうございます)
思っていたよりずっと面白く興味深い内容で、わざわざ行った甲斐がありました。
どうでもいいですが、もしかしたら来ていた人の中で一番最年少だったかもしれません・・・・・・。
それにしても、麻耶さんのイメージが随分と変わりました。
もっと固い方だと思っていたのですが。そうでもなかったです(ブラックな作家だ、というイメージは変わりませんが・・・・・・)。
これからも麻耶さんの作品は追いつづけていきます。
もし、麻耶さんの作品をまだ読んだことがない方がいらっしゃれば、是非一作手を伸ばしてみてください。
波長が合えば、これ以上ない、というほど好きな作家になると思います。
麻耶雄嵩 「名探偵 木更津悠也」
- 麻耶 雄嵩
- 名探偵 木更津悠也
京都某所の古めかしい洋館・戸梶邸で、資産家が刺殺された…。
柵もあってしぶしぶ依頼を引き受けた名探偵・木更津悠也を待ち受けていたのは、ひと癖もふた癖もある関係者たちの鉄壁のアリバイ。
四角く切り取られた犯行現場のカーテンが意味するものは? 一同を集めて事件の真相を看破しようとする木更津だが…。(「白幽霊」)
京都の街に出没する白い幽霊に導かれるように事件は起こる。
本格推理の極北4編。名探偵・木更津悠也の活躍を、とくにご堪能あれ。
◆ ◆ ◆
何故か、麻耶雄嵩の中で未読だった一冊。
この作品は、タイトルからもわかるとおり探偵役が木更津悠也で、ワトソン役として香月実朝が置かれているのですが・・・・・・。
この二人の関係がとても興味深い。
「名探偵」という存在に対する逆説というか、この一見ストレートすぎるかのようにも見えるタイトルが、実に意味深。
実際に事件を解決しているのは香月実朝。彼は「名探偵」である木更津の活躍が見たいがために、名探偵より先に事件を解いて、さりげなくヒントを提示していく。
そして、そのことに木更津は気づいていない。
相当ねじれた探偵と助手の関係。メルカトルと美袋のそれと、全く逆のねじれ方。
このあたり、麻耶雄嵩らしいな、というか。非常に面白いです。個人的には、香月も木更津もどちらも好きです。
そして、そんな彼らが解決する四つの事件。
「白幽霊」は導入というか、一見シンプルな事件なのに裏ではものすごく複雑に絡み合っている、というもの。
「禁区」は殺人者の心理を上手くロジックに組み込んでいます。
「交換殺人」は、この短編集の中で最も好きなもの。非常に上手く練ってあります。シンプルなのに、かなり意外な、ねじれた真相。いかにも麻耶雄嵩。傑作です。
最後の「時間外返却」は意外な犯人。これはなかなか気づかないでしょう。
・・・・・・全体を通して、一風変わっているのは探偵とワトソンの関係のほかに「白幽霊」が何らかの形で事件に関わってくる点。
この幽霊に関して何かトリックがあるということはないのですが、これが関わってくることによって事件が一ひねりされています。使い方もなるほど、と思わせられるもの。
全体通して麻耶雄嵩にしては地味ではありますが、それでも面白いことは確か。
ただ、他の麻耶作品に比べると印象が薄いというのも否定できないので、評価は7点。
「メルカトルと美袋のための殺人」と対になるような作品だと思いました。
神田古本市
神保町で行われていた、神田古本市に行ってきました。
実は、行くのはこれが初めて。
しかも、行こうと決意したのは昨晩のこと。
もう終ったと思っていたら、どうやら今日までやっているとのことで、
大した計画も立てていなかったのに、急に思い立って神保町まで電車乗り継いで行きました。
うわさには聞いていましたが、凄い人、そして本の数。
惜しむらくは、今日が最終日ということで、既に結構売れてしまっていたことですが。
それでも、欲しかった本が何冊も手に入ったので満足。
一応、購入したのは7冊ほどでしょうか。
ずっと探していた、柄刀一「アリア系銀河鉄道」や、サラ・ウォーターズ「荊の城(上・下)」などが手に入ったのは良かったです。
あと、小路幸也「そこに届くのは僕たちの声」もかなり安く売られていたので、ついつい買ってしまいました。
これはそのうち読み直すかも・・・。
大体、4時間ほどいたのですが、それでも全部は見回れていないことを思うと残念な気も。
今回は咄嗟だったので仕方がありませんが、来年からは事前に計画を立てて日曜日に行こうと思います。
せっかく神田まで行ったのに、ココノビ堂にも寄れませんでしたし・・・・・・。
こちらは、デザインフェスタに行く予定なので、まあ良いのですが。
また、帰りには上大岡によって、明後日の講演会の、サイン用に麻耶雄嵩「名探偵 木更津悠也」を新刊で購入。
単行本で出ているものでは、これだけが未読だったので。
「夏と冬の奏鳴曲」は置いてなかったのであきらめました。
そういえば、神田の古本屋の一つに、講演会のポスターがつるしてありました。
結構宣伝しているのかな?
ううむ・・・・・・。席を取れるかどうか心配。
とにかく今は、麻耶雄嵩さんの作品を色々と読み返しています。
できれば明後日までに「名探偵 木更津悠也」も読み終わらないと。
石持浅海 「水の迷宮」
- 石持 浅海
- 水の迷宮
夢を実現に導くために。
事件の謎を解く鍵は、三年前に片山が見た夢。
三年前、不慮の死を遂げた片山の命日に事件は起きた。
首都圏の人気スポット・羽田国際環境水族館に届いた一通のメール。
そして、展示生物を狙った攻撃が始まった。姿なき犯人の意図は何か?
自衛策を講じる職員たちの努力を嘲笑うかのように、殺人事件が起きた!
――すべての謎が解き明かされたとき、胸を打つ感動があなたを襲う。
◆ ◆ ◆
これもまた、幻影の書庫 の月田さんに教えていただいた作品。
「扉は閉ざされたまま」の出来があまりに素晴らしかったので、この作品も期待して読み始めたのですが。
見事に期待通り、むしろそれ以上。
確かに、ロジックという点から見れば「扉は~」のほうが優れていると思いますが、これもなかなかのもの。
派手さはなくても、とても丁寧。
各所に張られた伏線、メールからの推理などなど、読んでいて「おお」と思ったところがいくつも。
そして、何よりラスト。
三年前に亡くなった、片山の見た夢。
それはとても壮大で、想像するだけでも美しい。
そして、その夢が明らかになった時の登場人物たちの想い。
ただ、感動しました。
一点だけ、「それって・・・・・・いいの?」と疑問符を浮かべてしまった場所はあるのですが、
それでも、これだけ綺麗な終り方なのだから、それでよかったのだろう、と。
綺麗な論理に、ラストの感動。
「扉は閉ざされたまま」も良い作品ですが、こちらも負けず劣らずの傑作なので、是非。
もちろん、8点。
僕も、「水の迷宮」に迷い込んでみたい、と本心から感じました。
書評色々
以前から応募していたのですが、初めて掲載されました。
「少女には向かない職業」の書評ですが、このブログで書いたものとは随分違います。
ということで、やたらと固い文章なのですが、まあこれはこれで中学生らしいか、と。
ちなみに、「少女には向かない職業」の書評はもう一つ書いていて、これもまた似てはいるのですが、折角なので全文ここに書いておきます。
◆ ◆ ◆
あたし、大西葵13歳は、中学2年生の一年間で、人をふたり殺した――。
帯に書かれたこの言葉が、この作品を見事にあらわしています。
辛く、切ない小説です。
「強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな」
その、主人公の少女の想いがダイレクトに心に響く。何故、彼女が「殺人者」になってしまったのか。決して彼女は望んで人を殺すつもりはなかったのに。
何故、このようなことになってしまったのだろう?
作中の彼女の叫びは、読者の心に鋭く突き刺さります。
家族って何だろう? 友達って何だろう?
読んでいる間、そして読み終わってからも深く考えさせられました。
最後の一行がとても印象深く、余韻が長く続きます。この、たった一行にこめられた、少女の深い慟哭。これだけの悲しみはどこからきたのか――。
面白い、というような小説ではないかもしれません。
それでも、僕はこの本を多くの人に読んで欲しい。
絶対に忘れられない物語になるはずです。
◆ ◆ ◆
なんか・・・・・・。こうやって応募するときは、文章が少しわざとらしくなってしまいますね。
そういう意味では、ブログで書いているものが最も素直に自分の感想を表せていると思います。
ブログで書いた感想はこちら 。
でも、読んでいる方にとってはどうなんでしょう。
どのような書評が一番読みやすいのか。
ちなみに、僕自身がよく参考にしている書評サイト(ミステリで)は、
「幻影の書庫」 (月田さん)、「政宗九の視点」 (政宗九さん)、「嵐の館」 (嵐山薫さん)、「UNCHARTED SPACE」 (フクさん)などなど・・・・・・
ここに挙げた四人の方の書評は、とても読みやすくて参考になります。
僕も、このように多くの方の参考になる書評が書ければ良いのですけれどね。
それでも、「自分らしく」が一番だと思うので、多分ずっとこんな感じの書評(どちらかといえば読書感想)を書いていくと思います。
まだ作ってから一ヶ月も経っていないブログなのですが、
わざわざ読んで下さっている方が自分の思っていた以上に多く、驚くと同時に感謝しています。
最初は、適当にメモ代わりにでも使えば良いか、と思っていたのですが、
折角ですから、これからもこのような形で書評は書きつづけていきます。
このペースを維持できるかどうかは不明ですが、これからもどうかよろしくお願いします。
小林泰三 「密室・殺人」
- 小林 泰三
- 密室・殺人
私立探偵・四里川陣と助手の四ツ谷礼子のもとを訪れた依頼人は「息子の殺人容疑を晴らしてほしい」と泣きついた。
事件の起きた亜細山に向かう礼子だが、電車で乗り合わせた老人は山にまつわる怨霊伝説を語る。
礼子を悩ます、「密室殺人」ならぬ「密室」&「殺人」の謎。
さらには、彼女の心に眠るおぞましい記憶が覚醒し、増幅していく…。
絶妙のバランスでちりばめられたユーモアとサスペンス、どんな想像をも裏切る結末。
ホラー界の気鋭が放つ異色ミステリ。
◆ ◆ ◆
密室に入った人間が、何故かその密室の外で死んでいるという不可解な事件。
密室が一つと殺人が一つ。でも、密室殺人ではないから、「密室・殺人」。
魅力的な謎です。
どうやって被害者を密室から外に出し、転落死させることが出来たのか。
窓にもドアにももちろん鍵が掛かっていて、しかもドアは三人の視線によって見守られていた。
・・・・・・誰がどう考えても不可能に思えますが、
だからこそ何が起きたのかは推測しやすかったり・・・・・・。
尤も、本書の真の狙いはそのトリックではなく、
別の場所に仕掛けられたものにあるのですが。
作者が「ホラーとミステリの融合」を目指した、と仰ってますが、ホラー要素は少なく、
一体どこがホラーなんだ、と思っていたら最後で・・・・・・。
これは一体、どのように解釈すれば良いのでしょうか。
かやのふさんの小林泰三ファンページ にあるF&Q (ネタバレ)には、小林さん本人が意図していた5通りの解釈+αがあるのですが、この中のどれかが正解だと考えていいわけですね。
個人的には、(1)か(3)だと思うのですが。
うーん、どうなんでしょう?
余韻が残るラストです。
このあたり、長編でも小林さんらしいな、と思いました。
7点、ということで。ホラーというよりは、ミステリが好きな人にお薦めです。