鯨統一郎 「パラドックス学園 開かれた密室」
- 鯨 統一郎
- パラドックス学園 開かれた密室
パラドックス学園パラレル研究会、通称パラパラ研。 所属している部員は、ドイルにルブラン、カーにクリスティー。新入部員のワンダは、彼らが著名なミステリ作家であることを知っている。しかし、彼らは大学生で、ミステリ小説など読んだことがないと言う。ワンダは、パラレルワールドに入り込んでしまったのか!? 一読驚嘆必至、鯨ミステリの極北にして、究極の傑作!
本格ミステリ・パラパラ漫画つき。
◆ ◆ ◆
つい先日読んだ「予告探偵」も凄い小説でしたが・・・・・・。まさか、あれ以上笑わせてくれるとは。 「ミステリアス学園」があんなバカミスだったので、これもそういう系統なんだろうなー、とはわかっていたのですが、全く想像が及びませんでした。
中盤にもネタが大量に盛り込まれて、それだけでもかなり笑えるのですが(特に西村京太郎のネタが面白い)、ラストはもう・・・・・・大爆笑です。
驚きをすっ飛ばして、ただ笑えます。
パラパラ漫画とか、えー、そんなー! と思わず言ってしまうこと間違いなし。
こんなトリック初めて見ました・・・・・・。 というよりそもそも、思いついたとしても実際書いてしまうのはこの人くらいでしょうが。
でも こういう手法、結構好きだなー。 納得できるかどうかはともかく・・・・・・。
犯人に関しては、「ミステリアス学園」より納得度高いですけどね。
ミステリについてある程度の知識があるほど、この本はより楽しめます。
「ミステリアス学園」の正当な続編なので、出来るだけ二冊あわせて読むべきでしょう。
これだけ読んでも楽しめるのですが、数カ所かわからない部分ができてくると思います。
こういうノリについていけるかどうかで評価は別れるでしょうが、ミステリ好きなら一読の価値はあるかと。
7点。
続編書いてくれないかなー、と読了後思ってしまいました。
太田忠司 「予告探偵 西郷家の謎」
- 太田 忠司
- 予告探偵―西郷家の謎
大戦の傷跡をまだ深く残しつつも、人々が希望を胸に復興をとげてゆく時代―一九五〇年の十二月。それは三百年以上続く由緒ある旧家、西郷家に届いた一通の手紙から始まった。
便箋に書かれた“すべての事件の謎は我が解く”の一文。その意味する「謎」とは?
壮麗な旧家の屋敷を舞台に繰り広げられるおぞましき人間関係、次々と起こる奇怪な事件。
はたして犯人の正体は?
そして、その目的は一体何なのか…!?
本格推理の名手が“難攻不落のトリック”をひっさげて読者に挑む、新しいエンターテインメント意欲作。
◆ ◆ ◆
これは・・・・・・。驚かされた。
一見、正当な「探偵小説」であり、実際にお約束通りの展開で話は進んでいくのですが・・・・・・。
最後で明かされるトリックには、呆然とするしかありません。
随所に感じる「違和感」が、まさかこんなところに繋がっていたとは、と。
なんかあるなー、というのは感じていましたが、完全に予想の範囲を超えていました。
さすが”難攻不落のトリック”、こんなの気づく人いるわけない。
僕はこの手の話好きですけどね。
確実に嫌いな人もいるでしょう。
バカミスが好きな人には受けるかな。
仕掛け自体だけでなく、伏線の張り方も非常に上手いです。
確実に、読んでいて違和感を感じる箇所が何カ所かあるでしょう。
それでもほとんどの人が気づかないのは変わらないと思いますが。
また、事件そのものは至って平凡なのですが、それを解決する探偵役のキャラクターは面白いです。
摩神尊(まがみ・たかし)と、名前からして凄いのですが、これが絵に描いたような傍若無人唯我独尊ぶりで、良い味出してるな、と感じました。
今ではこのようなキャラクターも珍しくなくなってきていますが・・・・・・。
こういう人は結構好きです(現実にいたら話は別ですが)。
変なミステリが読みたい、と言う人には強くお勧めします。
7点。
驚きは保証できる、かな。それが良い意味でか悪い意味でかは人それぞれですが。
五十嵐貴久 「TVJ」
- 五十嵐 貴久
- TVJ
25階建ての威容を誇るお台場のツインタワー「ニュー・ミレニアム・ビル」に拠を構える民放・テレビジャパンが、銃火器で武装した集団にジャックされた。
人質となった局員の命をかけて、警察と犯人の緊迫した交渉が続く中、経理部員の高井由紀子は偶然の巡り合わせから、一人だけ犯人による拘束を免れる。
30歳の大台を前に、切望していた華燭の典の目処が立ったばかりの由紀子だったが、肝心の婚約者は人質の中に―。
愛する婚約者を奪還せんと、ヒロインの「ダイ・ハード」ばりの活躍が始まる。
◆ ◆ ◆
作風広いなぁ、この人。
読み始めた時は「交渉人」に近いかな、と思ったのですが、こちらのほうがエンターテイメントに徹している。
読んでいて、「ホワイトアウト」や「天空の蜂」が思い浮かびましたが、それらとはまた少し違っていて・・・・・・。
それらよりもエンターテイメント性を重視しています。代わりに、何か重いテーマのようなものは無いのですが・・・・・・。それだけに読みやすい、ということも。別に軽いというわけでもありませんけど。
リーダビリティは非常に高く、テンポの良い展開で、とにかく一般受けしそうです。
犯人グループの動機や、用いる手段の部分など、「なるほどー」と思ったところも何カ所か。意外性もあります。
人気が出れば、映画化されそうな作品でもありますが、まだ知名度はそこまで高くないか・・・・・・。
映像で見てみたい作品なんですけどね。
ラストは若干盛り上がりに欠け、あっけないように思えましたが、後味は良いです。
他の作品と比べてしまうからそう思ってしまう、というだけのことですし。
変に感動の展開、なんてことにせず、最後までエンターテイメント重視の姿勢を貫いているのは良かったです。
最初から最後まで退屈させず、至って爽快な話なので、読んで損はしません。
ハリウッド系のアクション映画や、サスペンスものが好きな人には特にお勧め。
7点。
桂遊生丸 「AIR 1巻」(漫画)
- 桂 遊生丸, Key
- AIR (1)
昨年度まとめて鑑賞し、大変感動したアニメ「AIR」のコミック版。
正しくはゲームのコミック化ですけれどね。
二冊で完結のようで、結構アニメと展開が違います。
また、絵もかなり変わっています。こちらの方が癖がなく、一般受けするかと。
それはともかくとして、本書を読んで、ようやく得られたものが一つ。
アニメ版のラストで残された謎を、どう解釈するか。
ミステリを多く読んでいると、どうしても論理的に納得の行く答えを見つけたくなってしまうんですよね・・・・・・。
一応、いくつか考えてそれらしき答えは思いついたのですが、確証には至らず、
この漫画の冒頭を読んで、考えがまとまりました。
ということで、考察のようなものを書いてみます。
アニメとコミックのネタバレがあるので注意。
ゲーム版はやっていないので、あくまでその二つから考えた意見、ということです。
問題は、最後に出てきた少年と少女は何者なのか?
1,転生後の自分を、転生前の人物は視認することができない。
2,転生後の自分は、転生前の自分を確認することができる。
3,転生は時間の流れに逆らわない(同一時間上に転生する前の人物Aと転生後の人物Bが存在することは可能だが、人物Aが生まれるより以前に人物Bは存在出来ない)。
上の二つは、往人中心で話が進んでいた前半(具体的には7話くらいまで)にはそら(カラス)が登場しない、ということより。
平行世界でもない限り、9話以降の話と7話までの舞台は同じはずです。
このとき、7話までが仮の往人視点、9話以降がこれも仮のそら視点(そらが飛び立つまで)だとすると、
そら視点には往人が出てくる。
往人視点にはそらが出てこない。
しかも、明らかにそらが存在しなければおかしい・・・・・という場面においても、前半ではその姿が映っていません。
また、往人の「転生」と美鈴の「転生」は、基本的には同様のシステムである、と考えられます。一つの作品の中に出てくる「転生」という現象である以上。
3に関しては、「親から子へと」受け継がれるのが往人の転生の基本である、つまり時系列に従うということ。
美鈴の転生も、説明を聞くと時系列に沿っての転生のようです。
ここで問題となるのが、往人とそらが同一時間上に存在していた、という事実。時系列に反しているとまでいかなくても、これはおかしい。そもそも、往人→そらの転生は非常に特殊です。まず、「親から子へと」受け継がれるのが基本だったはずなのですから・・・・・・。
その理由は、人形の力を解放したため(厳密には違うかも)にある。
だから、それが引き起こしたのが、「転生後の自分が確認できなくなる」という現象なのでしょう。このような特殊なことが起きた場合の、特別なルールだと思われます。
ここからが本題。
1~3のルールが、全ての「特例」に対して適用される・・・・・・とします。
美鈴は、例の少年と少女を確認しています。
正確には、はっきりといえるのは少年のほうだけですが(手をふりかえしているためこれは間違いない)、漫画を読むと、二人とも見えていたということがわかります。
以上より、少女は美鈴の転生した姿ではない。
少なくとも、転生は終わった。・・・・・・これは、以上のルールが正しいものならば確実だと思われます。
また、少年のほうですが、往人が海を見るシーンでこの少年が映っていないこと、逆に少年の視点からは往人が映っていることより、少年は往人(そら)の転生した姿である、と考えられます。
少年が喋るシーンはあるのに、少女は一度も口を開かない、というのもこれを示しているのでは。
・・・・・・とまあ、論理的(飛躍がありすぎるものの、無理矢理)に解釈できるのはここまでです。
後は伏線らしきものも見つからなかったので、完全に想像で補完するしかないような気がします。
仮定と決めつけだらけなので、間違っている可能性も十分あるのですが・・・・・・。
そもそもミステリではない話を、ミステリ的な視点から読み解こうとするのが間違いかもしれません。
・・・・・・しかし、延々と書いてきましたが、
これを読む人は誰もいない気がする・・・・・・。
「Fate/stay night 第七話・第八話」(アニメ
「蠢動」
ほとんどが結界潰しに当てられて、大きな動きは見られません。
・・・・・・本当にこのペースで大丈夫なのかな・・・・・・。
伏線のための話、かな?
まだわかりませんが。
基本的に緊張感が漂う話なので、ちょっとした掛け合いは気が抜けて良いです。
「不協の旋律」
ライダー再登場。マスターはこれで確定。
アニメでは、裏設定っぽいものは明らかにされないらしいです。
それはともかく、急に話が動いたような気がしますね。
キャスターともう1人のサーヴァンとの登場で。
もう1人もエンディングのクレジット見ていれば誰かわかりますが。
次回はようやく戦闘。
・・・・・・しかし、今回の二話にはアーチャーが出てこなかったのが少し残念。
次回も出てこなさそうですし。終盤にきっと活躍するので、そのときを待ちましょう。
おそらく次回から急展開になると思われるので、ペースのことは気にしなくて良いかな。
この作品、何でか、と言われるとわからないのですが、雰囲気が非常にミステリっぽいです。
綾辻さんの「暗黒館の殺人」などを思い浮かべたり・・・・・・。多分そんなことを思うのは自分だけですが。
そういえば、以前奈須きのこと綾辻さんの対談が掲載されていたなぁ・・・・・・。
読んでみたいですが、あれはどこに掲載されたものだったか忘れてしまいました。
メフィストだったかな? 今度図書館かどこかで探してみようかと思います。
はやみねかおる 「オタカラウォーズ」
- はやみね かおる, とり みき
- オタカラウォーズ―迷路の町のUFO事件
- 飛行機が大好きな遊歩(ゆうほ)、千明、タイチ。3人は、夏休みのある日、伝説の暗号を記した宝の地図に遭遇。かつて、その宝をかくした絵者のなかまが、UFOにのって少年たちの前に現れます。地図の暗号をみごとにといて宝を手にするのは?
- はやみねかおる先生の幻の作品を青い鳥文庫化。
- ◆ ◆ ◆
- はやみねかおるの初期作品。
- 長い間絶版だったのが、つい最近復刊されました。
- はやみねさんの作品なら一応おさえておこう、ということで、ミステリではないようだったのですが本書も入手、即読了。
- 児童書なだけあって読みやすいです。1時間かかるかかからないかですね。
- 内容の方ですが、完全にSF冒険もののジュブナイルです。
- 暗号などは出てくるものの、ミステリではありません。
- それでも本書は、作者名を知らずに読んでも、はやみねかおるの書いたものだとわかるでしょう。
- 何だかんだで、やっぱりはやみね作品には違いありません。
・・・・・・しかしこれ、小学校の頃に読んでいたら面白かったんだろうなぁ。
はやみねさんの小説は、子供だけでなく大人も楽しめるものが多く、実際これも大人が読んでもある程度は楽しめるかもしれませんが・・・・・・。
やはり、本書は児童向け書籍、という部分が強いです。
また、今の作品に比べると若干面白さも落ちるかなぁ。・・・・・・ただ単にミステリではないから、ということもありますけどね。
本来の読者層が一番楽しめる作品だと思います。
ただ楽しいだけではなくテーマも盛り込んでありますし。
はやみねファンなら読んで損はないかも。6点。
北村薫 「秋の花」
- 北村 薫
- 秋の花
絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。
ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。
文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死―親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である『私』は事件の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。
考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった…。
◆ ◆ ◆
いや・・・やはりこのシリーズはどの作品も素晴らしい。
本書は<円紫師匠と私>シリーズの初の長編。
謎自体はとてもシンプル。
1人の女子生徒の転落事件。
それは本当にただの事故だったのだろうか。事件の真実は・・・・・・?
解決自体も、それほど意外性のあるものではなく、詳細はともかく事件の構造はほとんどの人が途中で気づくと思います。
それ以外に、展開からして考えられないですし・・・・・・。
しかし重要なのは、今までの作品と同じくミステリ的な部分より登場人物たちの心情でしょう。
今ではありきたりな真相・・・・・・と言われるかもしれないけれど、その中でも本書はトップのものだと思います。
何より、1人1人の感情が痛く感じられるほど伝わってくる。
これは北村さんの文章だからこそ。
ラストに込められたメッセージが、読み終わったあとも心に残ります。
ところで、本書のあらすじ(上にあるもの)ですが、
これが・・・・・・何だかなぁ。
実はこれ、序盤だけでなく終盤の展開を明かしてしまっているんですよね。
あらすじで嘘をつく、というものよりは良いのですが。
個人的には前二作のほうが好きですが、これも間違いなく傑作。
本書は、ミステリと言うよりは一つの物語として読んだ方が楽しめると思います。8点。
二階堂黎人 「カーの復讐」
- 二階堂 黎人, 喜国 雅彦
- カーの復讐
古代エジプトの秘宝「ホルスの眼」という名のメダリオン。
この素晴らしさに心魅かれる男がいた。その名は怪盗アルセーヌ・ルパン。
彼はそのお宝を頂戴するために、発掘者ボーバン博士に近づくが、博士の居城「エイグル城」で、ルパンを待ち受けていたのは奇妙な連続殺人事件だった。
暗号文を手に死んだ老婆、財宝を荒らしたボーバン家への、生霊「カー」の復讐を口にする謎のエジプト人、城に出没するミイラ男、完全なる密室に置かれた脅迫状、そしてあらたに発生した連続殺人…。
数々の事件を解決したルパンの頭脳をもってしても説明不可能な事件が続発し、人々を恐怖へおとしいれていく。
果たしてこの前代未聞の難事件の犯人は誰なのか?
ルパンはプライドをかけて事件に挑む。
◆ ◆ ◆
未発表のルパンもの、という設定のオマージュ作品。
僕はホームズよりルパンの方が好きなので、この作品も非常に楽しめました。
本当に、正当なルパンもの。
謎の怪人による密室殺人に、城に隠された財宝、暗号。
大量にそういった要素が盛り込まれている。
子供も大人も楽しめる、と言う点ならば、ミステリーランドの中でもかなり良いものかと。
ただ一つ、ある意味メインの謎の一つである密室ですが、このトリックは子供にはどうだろう?
ある程度の密室ものは読んでいる、という人にとっては面白いものだと思いますが、ミステリ読み始めでは「なんだ、それだけか」と思ってしまいそう。
地味ですしね・・・・・・。
その他は特に不満点もなく、ラストも「いかにもルパン」で良かったです。
犯人はわかりやすいかもしれませんが、子供向けでもある、と言うことを考えるとこれで良いと思います。
・・・・・・これもまたルパンっぽいですし。
ルパンファンはいくつかの作品が思い浮かぶでしょう。
ルパンが好きな人はもちろん、未読の人でも楽しめるものだと思います。
「神様ゲーム」などと違って、安心して子供でも読める本。
7点。
喜国雅彦の挿絵も、作品に合っていて良いです。