音楽と競馬、思ったことを書いて行きます -15ページ目

私が音楽を聴く目的は、自分の好きな音楽や演奏を見つけるため。そのために長い長い旅を続けています・・・。

 

今日は聴きに伺いたい公演が3つ重なってしまいました・・・が、その中で、昨年「第11回神戸新人音楽賞」のコンクールで、思いがけない出会い(詳細は省略)をさせて頂いた、ソプラノの村田 藍さんの唄を聴きに伺いました。

日本歌曲では、聴き手に対して、その歌詞を丁寧に聴き取りやすいように唄われる方は多いんですが、彼女の場合は、単に歌詞が聴き取りやすいだけではなく、聴き手に「伝わるよう」に唄われます。私が、彼女の歌唱が誰よりも好きなのは、そのような理由からです。(ピアノの屋根は半開)

また、後半の3曲のいわゆるオペラ・アリアでは、3曲に共通するテーマを決められた上で、それぞれのオペラの成り立ちや時代背景をしっかりと把握されながら、ヴィブラートや歌唱法をそれぞれの曲に最も見合うようなもので見事に唄いきり、聴衆に多くの感銘をもたらしました。ピアノの屋根も全開にされ、音楽的にも迫力が増し、彼女の魅力が最大に発揮されておられました。

関東でご活躍中の彼女ですので、知名度がどれぐらいのものかは全く存じませんが、私にとって、村田 藍さんは、最良のソプラノ歌手と言って過言ではありません。

 

ジョイントでご一緒された宮本 遥花さんのピアノですが、ショパンは第1楽章で少し残念な出来事がありましたが、それ以降は良く持ち直されていました。音色と言う点で幾分単調に感じ、もう少し柔らかい音が出せるようになると、更に良くなるように感じました。その点では、ドビュッシーは、弾き慣れた曲のようで、楽しむことが出来ました。

 

終演後、多くのファンや知人の方に囲まれ、今日はお話させて頂けるような時間が出来ませんでしたので、彼女のお母様やご主人に言づけをさせて頂き、失礼させて頂きました。

改めまして、今日は素晴らしい歌唱を聴かせて頂き、感謝申し上げます。今後益々のご活躍を、心から願っています。

 

昨年、私の楽器ケースに書いて頂いたサインです。またお会い出来る日を楽しみにしています。

今年これまで最も感銘を受けた、毛利 文香さんのヴァイオリンとはまた全く異なる素晴らしい個性を、この日の吉田 南さんから聴かせて頂きました。

彼女のヴァイオリンは、いわゆる「唄い上げる」タイプと言えると思いますが、自身がそれに浸って、大袈裟になってしまうのではなく、聴き手に対しそれを音楽に対する「情熱」として、音楽を芸術的に昇華させた姿として見事に提示出来る方です。

音程は常に緻密、特に高音域・2ndポジションの見事さ・鮮やかさは特筆すべきで、また、ヴィブラートも曲の性格に応じ使い分けられ、常に芸術的で、「品が無い」と言うような場面が全くありません。

イザイやヨアヒムで聴ける、音楽から立ち上る「香り」や「味わい」、ヴィエニャフスキでのあまりにも見事なテクニックの鮮やかさ、ベートーヴェンのソナタでは小回りも利き、音と音との連関も見事で、この曲の持つ真価が聴かれました。チャイコフスキーやアンコールのクライスラーで聴かれた「親和性」、そのどれもが超一級の芸術品と感じました。確実に成長しておられることを、肌(耳・目)で感じました。

 

同じ会場で行われた、先週の東海林 茉奈さんの時もそうですが、日傘・雨傘を会場内に持ち込まれ、それが演奏中に何度も倒れ、あまりにビックリするような大きな音を発していたのに、心を痛めました。(寝ている聴衆を「起こす」と言う役目も果たしていましたが・・) 入口には傘立ても置いてありますし、演奏会場に入場する際、係の方も一声かけられれば、こんなことにはならないと思うのですが。演奏者にも、真剣に聴いている聴衆にも、失礼だと思うんですけれど・・・。

 

お疲れのところ、持参した譜面などに快くサインを頂き、ありがとうございました。今後益々のご活躍を、願っています。

 

当日は、プログラム最後のショパン/プレリュードの曲目に変更があり、少し前にお聴きした時の演奏と同じ曲目となっていました。

 

特にショパンの演奏に定評のある茉奈さんですが、この日のショパンも申し分ない演奏で、彼女独自の節回しや間合いによって、実に音楽に余裕や味わいが感じられ、聴く方も大変安心して曲に身を委ねることが出来ました。特にノクターンでは、聴く側の背筋が震えるような独特の感触があり、再現部に於ける見事なトリルが、繊細なこの曲から、神秘性を更に引き出していたように思います。

プロコフィエフのソナタは、一聴すると、これまで茉奈さんの演奏ではあまり聴かれなかった「渾身の演奏」のように思えたものの、実は、曲の性格を非常に良く理解した上で、どの楽章でもモティーフをとても大切にされ、整理しきれないままの「勢いだけ」とか「弾きっぱなし」のような演奏とは、大きく一線を画するものでした。速めのテンポで弾かれた第3楽章の7/8拍子で進んで行く、幾分いびつな楽譜・音符に於いても見事に拍節感が感じられ、音楽的に整理・メリハリをつけられながらも、それを自身の解釈として素晴らしい演奏を聴かせて頂きました。

アンコールのモーツァルトは、大変率直・爽やかな演奏で、この日の少し重たいプログラムの、一服の清涼剤といった趣でした。

「清潔」と言うよりは、良い意味で、非常に「潔癖」なピアノを聴かせて下さる茉奈さんの、今後の更なるご活躍を願っています。

 

お疲れのところ、譜面にもたくさんサインを書いて下さり、ありがとうございました。



意識してピアノを聴くようにしているんですが、今日のこの2,000人収容の会場での演奏は、きついですね・・・。菊池さんの演奏そのものは、一貫して曲の由来に沿った解釈によるもので、常識的かつ丁寧、どれも文句の付けようのない素晴らしい演奏だったと思います。とても健康的なのに繊細な前半のモーツァルト、「雰囲気の塊り」をセンス良く表現し尽したロマン派の作品群、それぞれが素晴らしかったんですが、個人的には、難易度を高めた編曲の中で高い精神性を備えたモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、「高貴」で香しい雰囲気が充満した、このコンサートのサブタイトルにもなっているバダジェフスカの「乙女の祈り」(譜面を見たことがないんですが、パッセージの最後につけ加えられている後打音のようないくつかの音型の自然な処理の仕方の素晴らしさには、思わずため息さえ出てしまいました・・・)、そして、このコンサートで発生した「熱」を穏やかに冷まし、着地させてくれるようなアンコールの2曲=チャイコフスキー(菊池洋子編)/「白鳥の湖」から「情景」と、ブラームス/ワルツop.39-15が特に出色の演奏だったように思います。

ちなみに基調となる調性ですが、前半のモーツァルトはハ長調~ニ長調~ハ長調、後半はドビュッシーが変ニ長調~ホ長調、ショパンからは変イ長調~変イ長調~変イ長調~変ロ長調と繋がり、アルベニス以降はニ長調~ニ長調~ハ短調、ベートーヴェンのイ短調を挟み、変ホ長調~変ニ長調。ひとつの括りで通したい時は統一感・つながりのある調性で組まれ、曲の傾向が変わる時には大きく変化させる、その繰り返しは見事で、菊池さんのレパートリーの広さによる卓越した見識が、こういうところにもさりげなく垣間見られると言うのが、彼女が並みのピアニストではない所以なのでしょう。


問題は、やはり聴衆ですね・・・。廉価で設定された入場料が最も大きな原因なんだと思いますが、とにかくこんなに有名な今日弾かれる曲を全然知らなかったり、明らかに興味を持たない聴衆が会場に多数(仮に1割ぐらい・・・?)存在すると言うことでしょうか。だれが聴いても「曲の終結部」と言う雰囲気が漂い、そして余韻が会場中を包み始めているのに、あの無遠慮な「咳」はいったいどういうことなんでしょう。あと5秒「咳」を我慢してくれれば、会場の皆さんが幸せになれるのに、お構いなしでゴホンゴホン・・・。悲しいものですね。痰を吐く寸前に喉を鳴らすあの嫌な音さえ、演奏中何度も大きく聞えて来た時には、ドキドキして思わず卒倒しそうになりました・・・。ピアノのような音そのものが少ない公演では、こう言うのってコンサートそのものの「致命傷」になりかねません。それと、毎度の「ブラボ~」ですが、佐渡さんの「悲愴」の第3楽章終わりに大声で「ブラボ~~」を叫び、多くの聴衆から大顰蹙を買った女性とほぼ同じ傾向の声が、今日聞えて来ました。もしかして、その時の人・・・? もしそうであれば、何のために懲りずに叫びに来ているんでしょう。「恥ずかしい」と言う気持ちがこの人には微塵もないと言うことですね。今日は良い演奏ばかりだったのに、何だかとても寂しい気持ちで会場を後にしました。


この公演を以って、数多く通わせて頂いた上半期のコンサート・イベントは終了です。また時間を作って、上半期のまとめをしたいと思っています。

6/28

今年・上半期に伺った公演の中でも、最上位に数えられる、そんな素晴らしい公演でした。もともと持つ個々の資質に加え、固いチームワークによる5人のアンサンブル、聴く人すべてに興味と楽しさ、そしてもっと打楽器のことを知りたいと言う気持ちを与えて下さったように思います。久保田さんの含蓄に富む経験に則したトークも非常に興味深かったですね。期待していたライヒの「木片の音楽」、最後に入って来られた「木片」の音質が、ほんのわずかに地味で残念でしたが、この曲に限らず、演奏そのものは完璧で、もう鳥肌が立ちました・・・。「木片の音楽」が終わって後の拍手、「ウォー」と湧きあがる歓声、びっくりしました。こんなこと、今までこのシリーズで体験したことは無く、聴くみなさんが本当に素晴らしいと思われたんじゃないかと思いますね。後半が始まる前、主催者側から「拍手が少し早いので、配慮して欲しい」とアナウンスがあったんですが、聴衆も即座に反応し、後半は十分に余韻を楽しめる素晴らしい公演に変貌しましたよね。こういうのがこのコンサートの素晴らしいところです。

「大阪クラシック」の最終日にも、このチームで公演が行われるとのこと。休日ですし、万難を排して聴きに伺いたいと思います。決して「派手さ」は無い公演でしたが、これほど質が高く、聴く側にも興味を持たせてくれた公演は珍しく、今日は競馬場に行かず、こちらに伺って、本当に良かったと思っています。こんな珍しく素晴らしい公演を企画して下さった皆さんに対し、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。



6/18

S・ライヒの傑作のひとつ、「木片の音楽」が実演で聴けると言うのが、最大の楽しみです。有難く聴きに行かせて頂きます。