当日は、プログラム最後のショパン/プレリュードの曲目に変更があり、少し前にお聴きした時の演奏と同じ曲目となっていました。
特にショパンの演奏に定評のある茉奈さんですが、この日のショパンも申し分ない演奏で、彼女独自の節回しや間合いによって、実に音楽に余裕や味わいが感じられ、聴く方も大変安心して曲に身を委ねることが出来ました。特にノクターンでは、聴く側の背筋が震えるような独特の感触があり、再現部に於ける見事なトリルが、繊細なこの曲から、神秘性を更に引き出していたように思います。
プロコフィエフのソナタは、一聴すると、これまで茉奈さんの演奏ではあまり聴かれなかった「渾身の演奏」のように思えたものの、実は、曲の性格を非常に良く理解した上で、どの楽章でもモティーフをとても大切にされ、整理しきれないままの「勢いだけ」とか「弾きっぱなし」のような演奏とは、大きく一線を画するものでした。速めのテンポで弾かれた第3楽章の7/8拍子で進んで行く、幾分いびつな楽譜・音符に於いても見事に拍節感が感じられ、音楽的に整理・メリハリをつけられながらも、それを自身の解釈として素晴らしい演奏を聴かせて頂きました。
アンコールのモーツァルトは、大変率直・爽やかな演奏で、この日の少し重たいプログラムの、一服の清涼剤といった趣でした。
「清潔」と言うよりは、良い意味で、非常に「潔癖」なピアノを聴かせて下さる茉奈さんの、今後の更なるご活躍を願っています。
お疲れのところ、譜面にもたくさんサインを書いて下さり、ありがとうございました。


