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まとめが遅れてしまいました。
二次予選・本選通じて、素晴らしいと感じた演奏を、良かったと感じた順に、以下列記させて頂きます。
深井千聡さん
リスト/巡礼の年 第1年「スイス」から「オーベルマンの谷」(二次予選)
リスト/バラード第2番(本選)
山下諒さん
ショパン/舟歌 op.60(二次予選・本選とも)
スクリャービン/ピアノ・ソナタ第5番(二次予選)
福田絵麻さん
バッハ=ブゾーニ/シャコンヌ(二次予選)
泉麻衣子さん
ラフマニノフ/ピアノ・ソナタ第2番(二次予選・本選とも)
二次予選 No.17の方
スカルラッティ/ピアノ・ソナタト長調 k.13/L.486
ドビュッシー/前奏曲集第1巻から第5曲「アナカプリの丘」
二次予選 No.3の方
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第28番イ長調 op.101
鈴木椋太さん
リスト/ハンガリー狂詩曲第10番(二次予選)
明石幸大さん
ラフマニノフ/練習曲「音の絵」から op39から第9番(二次予選)
荒賀なみさん
ドビュッシー/ピアノのために(本選)
深井千聡さんの弾かれるピアノは、とても知的で深いところから出て来る音楽が特徴です。今回は2曲弾かれたリストが出色の出来で、特に私の心が揺さぶられました。「バラード第2番」は、普段あまり聴く機会の無い作品ですが、この作品の中に聴かれる「ワーグナー的」な要素から、音楽史的な位置づけにおいても興味深い作品だと気づかされました。今回はミスタッチが目立ったのが残念でした。
山下諒さんのピアノも華麗で魅力的ですが、曲によっては上滑り気味に聴こえる曲もあるように感じますので、お持ちの器用さに加えて、更に音楽的深化を目指して行って頂きたいです。
福田絵麻さんが二次予選で弾かれた「シャコンヌ」は、この楽曲そのものの素晴らしさを表現した非常に率直なもので、技巧的にも大変見どころのある演奏を聴かせて頂きました。その他の曲から、「シャコンヌ」のような興味ある演奏が聴かれなかったのが残念でした。
金賞を受賞された鈴木椋太さんの演奏では、二次予選で弾かれたリストが最も印象に残っています。特に技巧的に完璧でしたよね。今は勢いのある音楽を弾かれていますが、本選ではミスタッチや弾き急ぐような面もあったように思いますので、更なる進化を期待しています。
この新神戸の会場で、再び皆さんの演奏をお聴き出来ればうれしく思います。コンクールはピアニスト人生の通過点ですし、ここからレパートリーを増やしながら、どう成長されて行かれるかが大切でしょうし、私のような一般の聴衆の側も、どしどし会場に足を運んで、若い皆さんの成長ぶりを見守る役目があるのではないでしょうか。聴きに行く人がいなければ、演奏会は成り立ちません。機会がある毎に、皆さんの演奏を聴きに足を運びたいと思っています。これで、第6回神戸芸術センター記念ピアノコンクールの記事の更新は終わりたいと思います。
5/18
結果が発表されました。
金賞(賞金 100万円) 34番
銀賞 該当者なし
銅賞 該当者なし
審査員賞(賞金 20万円) 26番・37番
感動賞(賞金 20万円) 6番・23番
審査員・梶山敦子氏、田中克己氏、田中正也氏(本選のみ)の3名。
入賞された皆さん、おめでとうございます。
金賞を受賞されたのは、34番の、北海道在住・17歳の高校生、鈴木椋太さんでした。鈴木椋太さん、金賞受賞、本当におめでとう。
今日、授賞式の前、会場の前にある公園を通りかかった時、ひとり石垣の日陰に座っていた青年を見つけました。昨日このコンクールで演奏した方だと記憶していたので、話かけさせて頂きました。彼は、北海道からひとりで来た高校生だとのこと、神戸のコンクールの方が締切が遅かったのでこちらに申し込んだこと、自信があまり無いとのこと、など、いろいろお聞かせ頂きました。私は、怖いもの知らずの「ピアノ素人」を良いことに、二次のグリッサンドは結構嵌っていた、昨日のプログラムが総花的で良く無かった等々、彼に説教じみた話を偉そうにしてしまったんですよね。「今度受験する時は、こういうプログラミングは気を付けようね」。私は完全な「アホ」で「知ったかぶり」でした・・・。
予選・本選を通じ、彼は多くの先輩方を押しのけて、総じて1位をキープしていたようです。それは、銀賞・銅賞の該当者が無かったことでも証明されています。授賞式が全て終了した後、審査員の先生方と結構突っ込んだ話をする機会を頂いたんですが、梶山先生はこのブログをご覧になられていたようで、私のトンチンカンな感想を、笑顔で慰めて下さいました。ピアノを専門的に勉強していない音楽愛好家が、こういうブログでピアノコンクールについてああだこうだと書くことの「怖さ」、十分身に沁みました。鈴木さん以外にも、多くの受験者の方とお話させて頂くことが出来たこと、感謝申し上げます。
今日はここまでとさせて頂き、このコンクールで思ったことなどなど、明日(以降)、追記にて書かせて頂きます。
5/17
行って来ました。会場やピアノが替わり、二次予選の時と比べ、随分聴いた印象が異なる方もいらっしゃいました。会場やピアノ(ベーゼンドルファー97鍵)に慣れた方に有利に働いたかも知れません。また、二次予選の時もそうでしたが、事情で審査員が2名になったと言うことも、いろんな意味で結果に影響する(した)かも知れません。
今日の本選ですが、演奏中に止まってしまう方が目立ちました。プログラムですが、スクリャービンを弾かれた方はおらず、ラヴェルがおひとりと言うことで、ちょっと意外でした。演奏曲が重なったのは、ショパンのスケルツォ第4番と、リストのソナタロ短調の2曲でした。
全ての演奏をお聴きして、私が「抜けて良かった」と思った方は、27番と16番のおふたりです。甲乙つけがたいんですが、レパートリーの豊富さと言う観点から、二次予選と曲が重なっていた16番の方よりも、27番の方を上位とさせて頂きました。27番の女性の方は、二次予選でもリストが大変素晴らしかったんですが、今日のリスト「バラード第2番」もとても充実した演奏でした。この方の特徴は、曲を俯瞰(=着地点が明確)しながらスケールが大きい演奏をされ、そしてとても知的で思慮深いところなんですが、一方で音楽的に「爆発」するようなところもあったり、非常にメリハリが利いた質の高い音楽をされますので、聴く側も常に集中していないと良さが感じ取れない恐れもあるんですよね。今日のプログラムですが、きっとご自身が弾きたい(弾き慣れた)曲を並べられてたんだと思いますが、この地味な選曲の並びが、決して聴く側が飽きないように上手に組み合わせているには感心しました。比較的知名度の低い曲ばかりですが、これは彼女の見識が高い証拠かと思います。演奏・プログラミングを合わせて、今回の金賞受賞に相応しいのではないでしょうか。
16番の男性の方も、常に高いレヴェルでの演奏を聴かせて下さっているんですが、今日は二次予選と「舟歌」が重なっていたこと、それと、二次のスクリャービンに比べ、今日のプロコフィエフの完成度・深化の度合が幾分弱かったと思ったことなどから、27番の方を上位とさせて頂きました。
おふたり以外で上位入賞の可能性が考えられる方ですが、演奏順に、26番、13番、23番の3名の方のように思います。26番の方はこの会場で弾く機会も多く、慣れていると言うのは大きなアドヴァンテージでしょう。今日もとても安定した演奏でしたが、(あくまでも私個人の感想ですが)「期待以上」と言う感じではなく、ミス無く無難に弾き通したように感じました。リサイタルが続いているので、なかな大変かとは思いますが、コンクールに於ける選曲ではあまり冒険されない印象ですし、「1曲プロ」が多いようなので、コンクールでももっといろんな傾向の曲を聴かせて欲しいです。13番の方ですが、二次予選の演奏が大変実直で好印象でしたが、今日のリストはかなり目立つミスタッチが多かったですね。安定味と言う点で大きくマイナスでしょうし、演奏時間が30分程度で短かく、これも減点材料になってしまうと思います。もう1曲欲しかったですね。3番の方ですが、ダイナミックで色彩豊かなラフマニノフでしたが、メインが二次予選と同じ曲だったこと、演奏が多少荒削りに感じたこと、弾かれた4曲のつながり(選曲の意図)が乏しいように感じたことなど、今後に期待が出来る方だとは思いますが、今回はこのぐらいの位置におられるように思います。
それ以外の方ですが、演奏順に、34番の方は、プログラムが盛りだくさん過ぎで、聴いている方も少し息切れしてしまいました。5曲プロと言うのはいろんな意味できついですよね。聴く側も意識が散漫になりやすいですし。今後は選曲を考え直される方が良いように思います。柔らかいタッチと冴えたテクニックには見どころがあると思います。19番の方は、二次の「シャコンヌ」がとても丁寧で良い演奏でしたので期待していたんですが、べートーヴェンでのミスが残念だったのと、幾分ムード音楽っぽく聴き慣れないデュポンの作品は、コンクールと言う場面にはあまりそぐわず、退屈な感じがありました。恐らく思い入れのある曲だと思いますが、もう少し音楽的に中身のあるフランス作品の方が良かったように思いますが、いかがでしょう。15番の方、リストは不運でしたが、弾かれる音楽のスケール自体はとても大きく、豪快ですね。確実性の向上と、やはり「左足の動き」がどうしても気になってしまいます。今後の課題とされた方が良いと思います。6番の方、シューマンの序盤で躓いてしまいました。この時間でのアクシデントは後に響き、これ以降は「消化試合」の雰囲気となってしまい残念でしたが、ドビュッシーの「ピアノのために」は、手の内に入った曲と言った感じで、なかなかの聴きものでした。37番の方は、無難に弾かれていましたが、私には演奏から心に響いてくるようなものはあまり感じられませんでした。これは弾く側・聴く側の相性なのかも知れませんけれど。
「ピアノ素人」の感想は以上です。明日は結果発表です。