音楽と競馬、思ったことを書いて行きます -17ページ目



曲目:

・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

・ブルックナー:交響曲第5番

  ヴァイオリン独奏:田中 亮伍
  指揮:浅野 亮介


今日は、15時から兵庫県立芸術文化センター管弦楽団の演奏会がありましたが、先に18時から行われたこの演奏会の記事を書きたいと思います。


間に合わなかったら、聴きに行くのをやめようとおもっていましたが・・・。以前配られていたこの演奏会のチラシのこと、ずっと気になっていたんです。ブラームスのヴァイオリン協奏曲を1日に2回聴くことにもなるし・・・と思っていましたが、ソロを弾かれるのが何と神戸大学3回生のアマテュアの方と言うことで、俄然興味が湧いたと言うことになります。

そりゃプロに比べたら・・・ですけど、ソロを弾かれた田中亮伍さん、とても立派なブラームスだったと思います。良く弾けていましたし、オーケストラと一体になってこの大曲を作り上げて行く過程を眼前で拝見して、胸が熱くなりました。特に第3楽章でのオケとの一体感・躍動感はとても感動的でしたね。

この曲も、メインのブルックナーもそうですが、このオケはとても良い雰囲気を持っていますね。一言で言うのが難しいんですが、とにかく良くまとまっています。しかも「こじんまり」では無く。弦楽器群はひとりひとりの能力が高いように感じましたし、加えて良く練習出来ています。ブルックナーの5番なんて、特に前半楽章なんて失敗作の趣さえ感じる曲ですが、まあ嫌気も見せずに辛抱強く譜面を追いかけていたと思います。全体的にピツィカートは良く揃っていましたし、第4楽章冒頭のアンサンブルは、なかなか聴けない程の質の高さだったように思います。弦に輪をかけて良かったのが金管楽器群ですね。とりわけトランペット・トロンボーン・テューバは、音程・音量・アンサンブル、どれを取っても抜群の上手さでした。残念だったのは、ホルンが不調で、曲を壊してしまっていたことでしょうか。木管楽器群は並ぐらいでしたでしょうか。

とにかく気持ちの良い演奏会で、初めて聴かせて頂きましたが、いっぺんにこのオケのファンになってしまいました。芦響も素晴らしいアマ・オケですが、こちらも決して負けていませんね。しかも「入場料無料」ってのが奮っています。関西のアマ・オケ、侮れませんよ。とても楽しめました。無理して伺いましたが、良かったです。






5/31

演奏会から三週間経ってしまいましたが、どうしても書いておきたいことがあり、アマテュア・オケが演奏する時に、特に弦楽器がこういうところにほんの少し気を遣ったら、もっと良くなるように思う場所を、譜例を参考に少しだけ追記したいと思います。



第1楽章が始まってすぐの場所です。7小節目の8分音符、こう言った類の音って、地味目ですし、なかなかそろわないものなんですよね。パート全員が意識してテヌート気味に弾いてみると(付点4分音符に続けてダウンボウから入り、弓の真ん中から先目の方で弾くと・・・)、あれ、ちょっと違うぞ・・・と思うはずなんですよね。そしてそれに続くクレッシェンドは、音量的にはあくまでも8小節目の頭が最も強い感じで、決して2分音符そのものを膨らませたり、それに続く上向形に向かって音を大きくしてはブラームスが弾いて欲しいような音楽にはならないんですよね。アマテュアはそう弾きがちなものなんですが、そこを譜面に沿った演奏をお聴きしたい・・・。右のページの11小節目の2分音符と8分音符2つと言う括りのスラーも、気持ち的にはスラーがないつもりで、弓の圧力を8分音符の方に重きを置くようにしないと、8分音符が2分音符の付属みたいに聴こえてしまい、音楽的なふくよかさが感じにくくなってしまいます。




ここも同じで、47小節目のmpの旋律ですが、ここは4分音符から2分音符の頭にかけて音量を大きくするべきで、アマテュアの場合2分音符の中で音量を膨らませてしまうんですよね。4分音符2音を特に大切にしなければならない音型だと思います。




173小節目、弦楽器の最後の音のsf、そして174小節目からはfひとつです。管楽器はffですよね。弦楽器が強すぎると、バランスが悪くなり、管楽器の旋律が生きて来ません。




右ページの198小節目で、弦楽器に初めてffの記号が出て来ます。

そして、次ページ頭のrfからクレッシェンドまでの間が、この楽章で弦楽器が最も輝くべきところ=エネルギーを放出するべきところで、そういう構造を考えながら、ここまでの道程を歩むことも考えてみて欲しいですね。ここ以降はエネルギーを放出し終わったいわゆる「余韻」でしょう。




飛んで、第4楽章です。練習記号「B」以降頻繁に出て来るスタカートが付いた「4分音符+8分休符+8分音符」と言う音型ですが、前提として、スタカートが付いているとは言え、4分音符と8分音符の音価は2倍違います。スタカートに騙されて、4分音符を必要以上に短く弾いてしまうのはどうなんでしょう。「8分音符+8分休符2つ+8分音符」と言うように聴こえがちなんですが、それではブラームスが書いた音楽が聴こえて来ません。

こうやって、この音型が続く場所では、やはり聴いていて違和感があります。




譜例の最後ですが、やはりどうしても気になってしまう場所。64小節目から2小節に渡るクレッシェンド・デクレッシェンドですが、あくまでも音量が最も大きい場所は65小節目の頭の音であって、音型が上向するのに反してそこからすぐに減衰していかないとならないんですが、どうしてもそのように聴こえないが残念なんです。


ほんの数例を挙げさせて頂きましたが、こういう場所に神経を尖らせながら、譜面、そして音符をひとつひとつ突きつめて取り組んで行けば、もっともっと良い音楽を聴かせて頂けるはずですし、作曲家が書いた音楽・意図ががより鮮明になって行くように思います。もちろん素晴らしく良い場所もたくさんなありますけれど、この素晴らしいアマテュア・オケですから、更に更に良い演奏を期待したいと言う思いから、思ったことを書かせて頂きました。秋の演奏会も楽しみにしています。




5/11

現役の時、あまり良い団員ではありませんでしたので、知っている現役の団員の方にお会いすると、いろんな意味で、ちょっと恥ずかしさがありますね。客席を歩いていても、知っている方が多く、もうこの団を去って10年以上になりますが、人のつながりは途切れないものなんですね。


演奏については、また明日(以降)、附け加えて書かせて頂きますが、冒頭の「ティル」、かなり期待して聴き始めましたが、弦楽器が必要以上に慎重な入りで、曲間を通しても、曲の持つ「元気さ」「楽しさ」が思った程、表出されて来なかったのが惜しまれます。藤森さんと共演された芥川作品、併せの時間との兼ね合いもあるのでしょうが、オケとソロとの音量的なバランスが良く無かったのと、縦の線のズレが多少残念でした。チェンバロ、フルートは特に素晴らしかったです。ブラームスは曲が進んで行くにつれ、どんどん良くなって行ったと言う感じです。皆さんの「心」が十分に伝わって来た熱演でした。楽器群では、ヴィオラ、チェロ、フルート、ホルン、トロンボーンが特に素晴らしかったように思います。


今日は、ご盛会おめでとうございます。そして、素晴らしい演奏、ありがとうございました。また弾きたいなあ・・・。




5/29

昨日のリサイタルから一日経ちましたが、全体的な雰囲気は良く覚えているんですが、それぞれの曲についてはあまり詳しく覚えていないんです。私自身、それ程思い入れのある曲でないと言うこともあるんですが。

前半のシューベルトの2曲のソナタですが、いままであまり興味を持たなかったこの2曲、それなりに印象深かったです。幾分素っ気なくつっけんどんな感じで弾くピアノですが、実はとてもペダリングに気を遣い、ご自分の気に入ったピアノを使って、深い響きを作り出すように見えました。曲(譜面上の音)が終わり、ペダルを踏み込んで響き(=何とも言えない深い和音(倍音)の余韻)が残り、そしてペダルを離してしばらくの瞬間と言うのが昨日の会場ではとても重要だったように思いますが、そこを理解出来ない聴衆が、ペダルを離してすぐに拍手を始めてしまったのが、この2曲のシューベルトではとても残念な出来事でした。この場所でないと体験出来ないことなのに、その人の都合で奪われてしまう・・・、勿体ないことです。ご本人は特に強く思っておられないのかも知れませんが、彼の弾くピアノは、その曲中そのものよりも、上で書いた瞬間が最も聴きどころなのではないか、とさえ感じた2曲のシューベルトでした。特に13番のソナタの充実度は感じられましたが、4番のソナタでも使われた素材が20番のソナタに転用されたと言う経緯からしても、出来ればさらに構造的・音楽的に充実している20番のソナタ1曲だけ聴かせて頂いても良かったかなとも思います。

幾分籠ったようなおとなしい音が特徴のカワイのピアノですが、バッハでその特徴が最も良く聴き取れたように思います。対旋律がはっきり聴き取れるような全声部をくっきり描き出したスタイルが特に印象的なバッハだったでしょうか。スクリャービンの曲はあまり良く知らないんですが、曲の持つロマンティシズムを強調するよりも、それぞれの曲が持つ構造・特徴・あるいは「流れ」のようなものを表出するかのような、かなりあっさりとしたスタイルのスクリャービンだったのではないでしょうか。後半の2曲には、シューベルトで感じたような「雰囲気」は感じず、個人的にはあまり印象には残りませんでした。


終演後、楽屋口から車に乗り込む様子を眺めていましたが、脊椎、あるいは腰の状態があまり良くないのではないでしょうか。ピアノを弾いていない時の様子は、とても57歳の芸術家とは思えない「老成」した雰囲気で、今後ピアノを弾く機会はそう多くないのではと予感しました。ピアノを弾くのはもうそろそろやめよう・・・、そんな雰囲気さえ漂わせていましたし。サインをねだるファン達にも「手が痛いので、サインは出来ない」と言うことでしたし、そろそろピアニストとしては、芸術家としての終わりが近づいているのかも知れませんね。



5/28

帰りが非常に遅くなってしまいましたので、詳しい感想などは明日書かせて頂きます。昨日公演があった東京から、「SHIGERU KAWAI」のピアノをどうやって運んで来たのかを会場のスタッフにお聞きしましたら、「東京にあるピアノとは別のもので、こちらのピアノは浜松から直接運んで来たんですよ」とのお答え。プレトニョフさんの気に入ったピアノが1台(個体)だと思っていたので、すっかり勘違いしてしまっていました。


ロビーのモニターの画像から。こういう椅子で弾かれるんですね。




コンクールの授賞式と懇親会の間の時間に設定されたコンサートです。







上が田中正也さんのプログラム、中が今回の第6回神戸芸術センター記念ピアノコンクールで金賞を受賞された鈴木椋太さんの本選のプログラム、そして下が第2次予選のプログラムです。恐らく考えすぎでしょうし、演奏時間の違いもありますが、田中さんと鈴木さんのプログラムって似ていませんか? プロコフィエフ・ショパン・リストは重なっていますし、古典のモーツァルトとベートーヴェン、そしてモシュコフスキとラヴェルはともに「ワルツ」。何だか鈴木さんの金賞を暗示するかのような、そんな田中さんのプログラムですね。(コンクール直後に審査員の方とお話させて頂きましたが、私が鈴木さんのプログラムが総花的であまり良く無いのでは、とお聞きしたところ、審査員の先生は「いろんな曲が弾けるとアピールするのも、このコンクールでは必要でしょう」とおっしゃっておられました。整ったプログラムより、レパートリーの広さを披露することは、このコンクールでは大切なようですね。)

さて、田中さんのピアノですが、「温さ」が全くありません。今まで見たこと・聴いたことのない類の演奏で、これがいわゆる「ロシア・ピアニズム」と言うものなのかなあと思いました。プロコフィエフの「トッカータ」からして、言い方は悪いですが「サイボーグ」の如くメカニックに特化したよう弾き方(そう弾くような曲ですが・・・)で、そこから聴こえる音楽は曖昧さが全くない「ストイック」なもので、その正確さも相まって度胆を抜かれました。以降「凄い」と言う言葉しか思い浮かばないような演奏の連続で、一瞬たりとも目・耳が離せませんでした。世界で活躍する音楽家と言うのは、こういう「特別な何か」を感じさせる存在なんでしょうね。コンクールの出場者の皆さんとは全く「役者」が違うと言った感じでした。田中さんも、コンクール参加者が会場で聴いていると言う状況を十分にわかっていて、きっとこういう演奏をされたんですね。音楽的な「ふくよかさ」「ふくらみ」を求める一般の聴衆にはちょっと辛い演奏だったかも知れませんが、「田中さんだからこそ、この演奏」と言う事は十分に伝わって来た、そんな記憶に残るリサイタルでした。来週プレトニョフのピアノを聴きに行く予定ですが、彼の演奏も「ロシア・ピアニズム」の本流でしょうから、余計に楽しみが増しました。

5/13

第2次予選当日の記事の中で、一部事実に誤りがありましたので、訂正した部分があります。


第2次予選のプログラムを見直しながら、当日お聴きした演奏を思い返しています。素晴らしいと感じた演奏について、少し触れさせて下さい。

ずば抜けて素晴らしかったのが、16番の男性の方の演奏です。ピアノを前にして、余計な力が全く入っておらず、しみじみと深く意味深い打鍵から始まったショパンの「舟歌」。この方は極々自然体でショパン特有の世界を描き続けます。ルバートも多用されていますが、決して思いつきでされているのではないのが良く理解出来ます。とにかく落ち着いていて、聴き手が安心して身を委ねられる、そんな素敵な演奏でした。スクリャービンの5番のソナタ、これも素晴らしかったですね。弾き手によっては、音の塊りが団子状になってしまい、どういう音符をどう聴かせたいのかが良くわからないものもあるんですが、彼の場合は極めて明晰かつえげつない「作為」がないためか、音ひとつひとつが聴き手に意味深く届いて来ます。当日のピアノの状態を事前に十分把握出来ているのか、どう弾けば客席にはどう聴こえるのか、そこまでわかって弾いている、そんな余裕さえ感じました。本選では違う傾向の曲もお聴き出来るでしょうから、今から楽しみです。フランス物をお聴きしたいですね。

次いで、27番の女性の方の演奏です。この方が弾かれる音楽もとても素敵です。曲の傾向もあるんでしょうが、全てにおいて思慮深く、哲学的ですよね。この方は、上で書いた16番の方と多少違って、弾きながら会場に合う音・音楽をご自身の耳で以ってその場で捉えながら、瞬時に組み立てて曲を紡いで行く、そんな感じに思えました。力量のある方でないとなかなか出来ない弾き方です。本選ではシューマンをお聴きしてみたいですね。

23番の女性の方は、大変ロマンティックで素敵なラフマニノフ1曲プログラムでしたので、本選ではもう少し構造的にしっかりとした曲をお聴きして、音楽的な基礎力を確認出来たらと思います。

19番の女性の方、とても真面目に音楽に取り組んでおられることが良くわかり、好感を持ちました。本選ではロマンティックな傾向の曲を通して、どれほど感情の吐露が音楽から聴かれるか注目したいですね。

そして、13番の男性の方、変に格好つける訳でもなく、とてもご自身に素直な演奏で、なかなか見どころのあるピアニストの方です。1曲で良いので古典の曲が聴けたら、この方の本質が探れるのでないかと思い、そんなプログラムを演奏して下さることを楽しみにしています。

本選には進めませんでしたが、17番の女性の方、スカルラッティで聴かせて頂いた軽妙さ・品の良さ、ドビュッシーでの大変雰囲気のある演奏はともに素晴らしく、3曲目のショパンの演奏が返す返すも残念です。今後、個人的に注目して行きたいピアニストです。


これで第2次予選の記事更新は終了です。土曜日の本選、本当に楽しみです。体調万全で聴きに伺いたいと思っています。



5/12

この記事は、本選までにあと2回更新したいと思います。今日はその1回目。


第2次予選に出場されたおひとりの方から、今日メッセージを頂きました。その方は、運悪く本選には進めませんでした。まだお互いに名乗り合うところまでは行っていないのですが、当日の演奏の状況や選曲について、「ピアノ素人」の私に対し、ご自身が思うところを率直にお教え下さいました。

それにしても、誰が見ているかわからない、と言うことを基本にして置かないと、いくら自分のブログとは言え、適当なことを書くのはまずいですね。今日は、そんなことを、メッセージ頂いた方から教えられた、そんな思いです。更に率直に、正直に、思ったことを、続く限り書いて行きたいと思っています。


この記事の最後の更新は、第2次予選で特に印象に残った演奏をいくつか抜き出させて頂き、感想を書き足したいと思います。



5/11

公式サイトからの転載。


6、13、15、16、19、23、26、27、34、37

以上10名の方が本選に進まれました。おめでとうございます。本選できちっと弾ければ、招聘証が贈られると思います。この会場でリサイタルが出来るんですよね。


下でも書きましたが、私の予想では、3、13、16、17、19、23、27 の7名の方が有力で、次いで11、15、26、34 の4名の方に見どころがあったと言うことでしたが、私が選んだ3、11、17 の3名の方が本選に進むことが出来ず、一方私が番号を挙げなかった6、37 の2名の方が本選に選ばれました。

6と37のお二人は今日演奏された方です。37の方はシマノフスキの演奏自体は良かったですが、私はプログラミングと言う点で気になりました。本選でのプログラムに注目ですね。6の方は、私の趣味に合わなかったと言うことにさせて下さい。音楽的な「深み」と言う点で物足りなかったんです。

本選に進むことの出来なかった方ですが、3の方は、当日に曲目の変更があり、2曲目のリストを弾かれなかったんです。それが影響したのでしょうか。11の方は、下の感想でも書きましたが、弾かれた音楽の「中身」と言う点で、幾分物足りませんでした。17の方ですが、これも下で書かせて頂きましたが、昨日の演奏は、選曲を含め、あまり良く無かったですね。素晴らしい演奏を再びお聴きしたいと思い、本選でも期待していたんですが、昨日の演奏は本選に残れないレヴェルの演奏だったと言うことでしょう。厳しいですね・・・。彼女は間違いなく「逸材」ですから、この落選をご自身の「糧」にして行って頂きたいですね。


さあ、次の土曜日は本選です。皆さんそれぞれのプログラム、そして演奏が楽しみです。




第2次予選の2日目。







今日は5名の方の審査。

No.37の女性の方、私の記憶違いでなければ、昨年も二次予選に出ておられたんじゃないでしょうか。ベートーヴェンでは、ソナタ形式ということをあまり意識せず、部分部分を強調したような演奏で、個人的にはもうひとつと感じました。続くシマノフスキとの連関もあまりよいとは思いませんでしたが、シマノフスキ自体はなかなか良い演奏で、変奏曲では闊達な展開が見られたように思います。25分という持ち時間内で、もう少しよいプログラミングを考えてほしかったですね。

No.6の女性の方、非常に達者な演奏を聴かせて下さいましたが、この方も弾かれた2曲の繋がり・プログラミングという点で、あまり感心出来ませんでした。リストでは「技巧の披露」の域を出ない感じで、聴く方も多少飽きてしまった印象です。

No.29の男性の方、よく弾けていたと思いますが、この会場でスクリャービンの10番を延々と聴かされるのは結構辛いものがあります。他の方と差別化した曲を、という意気込みは良くわかるんですが、こういう場面ではもう少し違った曲を選ばれる方がよいように思います。また、ベートーヴェン、フレーズの終わりで頻繁に恣意的なルバートをかけるんですが、あれは直して素直に弾かれる方が良いと思います。

No.15の女性の方、かなりこういう場面で弾き慣れていると言った印象で、堂々と演奏を披露されていましたが、幾分表面的な演奏のようにも感じました。また、曲順が逆であれば更によかったようにも思います。今後大きな舞台で演奏される時に気を付けられた方が良いのは、演奏中の左足の所作ですね。女性としてちょっとはしたないと思うぐらい、ひっきりなしに大きく動かして、バタバタとされるんですよね。ヒールのつま先を上に向けるのもちょっと・・・。これは良い演奏をされても、大きくイメージダウンになります。

No.13の男性の方、プログラミングが良いですね。演奏も直球勝負と言った感じで、非常に好感を持ちました。ところどころ音が厚い部分で、聴かせたい音が出てこなかったり、リストの一番最後の速いスタカートところでは、ミスタッチで大事な核となる音が聴こえなかったり、部分部分での傷がちょっと多かったよに思います。


今日お聴きした方の中で、本選でもお聴きしたい方は13の方、そして15の方もロマン派の曲をお聴きしてみたいですね。


昨日演奏された方と合わせまして、27、16、23、17、19、3、13、以上7名の方は本選で再度お聴きしてみたいですし、11、26、34、15、以上4名の方も違ったプログラムで聴き直してみたいですね。計11名の方が、あくまでも個人的にですが、本選に進まれることを予想します。HP上での発表は19時までにされると言うことです。



5/10

今週・来週の週末は、非常に多くのイベントやコンサートがあるんですが、私はこのイベントで、若く有能なピアニストを見つけたいと思い、日程が発表になった後から、楽しみにしていました。今日は第2次予選の1日目でした。











昨年は「日本ピアノコンクール」と言う名称で、関東からも多くの若手ピアニストが参加されていましたが、今年は東西に分かれ、時期をほぼ同じくしての開催となっているようです。こちらのコンクールの第2次予選には計17名の方が進まれ、今日はその1日目と言うことで、12名の方が演奏を披露されました。東京芸術センターの方は、金・銀賞が「該当者なし」と言う結果で、こちらはどうなるのかと思っていましたが、それは取り越し苦労でした。お顔を存じ上げている方も多かったので、客観的にお聴きすると言うことが難しいものですが、とりあえず簡単に感想を書きたいと思います。コンクールの最中ですので、お名前を存じ上げている方についても、ここでは伏せさせて頂きます。


「第1部」からですが、ここに出場された4人の方はいずれも実力者で、恐らく皆さん本選に進まれるのではないでしょうか。

No.11の男性の方ですが、、特にスクリャービンの幻想曲は鮮やかなテクニックと明晰な打鍵で、印象に残りました。惜しむらくは、幾分演奏が表面的・大袈裟な感じで、更に深い表現の表出を期待したいと思います。

No.26の女性の方の演奏は、これまで何度かお聴きしています。今日演奏されたベートーヴェンのピアノ・ソナタ第11番をお聴きするのも、もう3回目になります。いろいろご事情はお有りかとは思いますが、こういう「守り」のプログラムと言うのは、お聴きする以前に残念ですよね。演奏は、以前と変わらず過不足の無い適切なものだったと思います。

No.27の女性の方の演奏も、これまで何度かお聴きしています(お名刺まで頂戴しています・・・)。非常にスケールの大きな演奏で、期待通り曲の良さがストレートに伝わって来ました。どういう演奏をしたいのかが端的にわかり、次もまた聴いてみたいと思わせる、素晴らしいピアニストですね。

No.16の男性の方、昨年一度お聴きしています。この方も非常に優れたピアニストですね。とにかく明晰で音楽が「美しい」。音自体は弱音主体で濁りが無く、演奏もこねくり回すようなことをされないので、曲の良さが伝わって来ます。演奏された2曲とも、今日の「ベスト」に挙げられる名演だったと思います。本選での演奏が楽しみですね。


「第2部」、印象に残った方はお二人です。

No.23の女性の方、初めてお聴きする方だと思いますが、常識的な演奏・解釈が基本となり、そこからかなりロマンティック・ダイナミックなラフマニノフが聴けました。曲を弾き込んだ跡が十分にわかり、時に退屈に感じるこの曲を、一気に聴かせて頂きました。本選では、違った傾向の曲をお聴きしたいですね。

No.17の女性の方、ショパンのこの曲ですが、楽想が単調・同じメロディが何度も出て来るような幾分退屈で中身の薄い曲ですので、コンクールで弾くにはあまりそぐわないよう思います。彼女ぐらいの実力をお持ちの方であれば、もっと相応しい演奏楽曲があるように思います。勿体無いです・・・。演奏も、最後大きく間違えてしまいましたよね・・・。今日は全体的に「生気」が感じられませんでした。本選での巻き返しに期待します。

No.30と、No.36の共に女性の方は、あまり印象に残っていません。前者の方は、プログラムがあまり良くないですね。コンクールでソナタのひとつの楽章を抜き出して弾かれると言うのは、どうなんでしょうか。そこから意図が汲み取れるのであれば良いでしょうが、私には良くわかりませんでした。リストの「ハンガリー狂詩曲第13番」と言う曲も馴染みが薄いですし、あまり面白い曲でもないですよね。ピアノが合っていなかったのかも知れませんが、多少「力ずく」と言う感じで弾かれる強音時の打鍵もちょっと辛い感じですね。後者の方ですが、こちらもプログラムがバッハ2曲と言うのがどうなんでしょうね。調性も同じで、聴き飽きてしまいやすいのではないでしょうか。「シャコンヌ」では、ペダルに残す音に特色があって、通常は和音全部の音を響かせるところ、この方の場合は主音のみ響かせ、それ以外の音は残さないと言う興味深い弾き方をされていました。演奏は、中盤で幾分混乱する場面が見られたり、曲の構造を見通すような感じではなく、もっと大きな視点で以って曲を捉えて欲しかったと言う感じでしょうか。


「第3部」、一度もお聴きしたことの無い方ばかり4人の演奏をお聴きしました。

No.19の女性の方も「シャコンヌ」を弾かれたんですが、こちらは非常にスタンダードな弾き方・解釈で、楽曲の見通しも良く、また音も粒が揃っていて、この曲に良く合っていたと思います。リストと組み合わせたプログラムや演奏曲順も良いですね。本選での演奏が更に楽しみです。

No.3の男性の方、お若い方のようにお見受けしましたが、繊細でやわらかなのに粒ぞろいのタッチと、楽曲に対する深い読みには感心しました。ベートーヴェン後期にかかるこの難しいソナタを、飽きさせずに見通し良く聴かせて下さいました。本選では違った傾向の曲をお聴きしたいですね。

No.34のこちらも若い男性の方、モーツァルトではあまり感じるところは無かったんですが、リストでの鮮やかで驚異的なテクニックには目を見張りました。こういう「得意分野」があると、良いですよね。とても楽しく聴かせて頂きました。

No.2の女性の方、このメンバーの中に入ると、色んな意味で見劣ってしまいますね。アクシデントもあり、お気の毒でしたが、これに懲りずに更に高いところを目指して行って欲しいと思います。


本選に何人の方が進まれるかわかりませんが、私が本選でも「ぜひ」お聴きしてみたい方は、演奏順に、27、16、23、17、19、3、以上6名の皆さん、次いで11、26、34、以上3名の皆さんです。あくまでも素人の感想・予想ですので、悪しからず。それにしても、結構レヴェルは高いですね。本選では金賞・銀賞もきっと出ると思います。明日は第2次予選の2日目、5名の方の演奏をお聴きして来ます。