菊花石
根尾谷産の菊花石。
日本では戦後二度の鑑賞石ブームがあったとされる。
そのうちの一回は、言わずと知れたバブル景気の最中で、それが二度目のブーム。
現在主に言及されるのは一度目の大ブームで、東京オリンピックの前後(昭和30年代後半から40年代)に日本中を席巻し、社会現象と呼ばれる程の騒ぎになったらしい。
このブームはしばしば「水石ブーム」と呼ばれるが、未加工の自然石を室内に飾って鑑賞する「水石」の他にも、石の表面に現れる模様を楽しむ菊花石や梅花石などの鑑賞石や、石を山などの形に加工して磨いたものなども流行したそうだ。以前の記事で紹介した蛇紋岩の鑑賞石は、その一つではないかと推測している。
ちなみに、北海道でのアンモナイト採集ブームも一度目の鑑賞石ブームと時期的に重なっている。いま、研磨されたり台座があつらえられたアンモナイトをたまに見かけるが、これらも鑑賞石として飾られたものだろう。
現在、住環境や生活様式の変化とともに旧来の鑑賞石ブームが下火になり、世代の交代によって多くの鑑賞石が市場に流出したり廃棄されたりしているそうだ。特に最近では、例えば、以前はとても手の出せなかった根尾谷の菊花石が、信じられないような安値でヤフオクに出品されているのを見かけるようになった。冒頭の写真はそのような石の一つだ。
岐阜県根尾谷産の菊花石は、花模様が明瞭であることで特に有名だが、昭和27年に根尾谷断層とともに根尾谷菊花石が地域指定(初鹿谷)として国の特別天然記念物に指定された。その後、第一次鑑賞石ブームの頃から根尾赤倉山で大量の原石が採掘されるようになり、中には初鹿谷の菊花石を凌駕する品質のものも多く産出したそうだが、現在では採掘は終わっている。
[参考サイト](2025-12-28 時点)
・菊花石物語 (https://www.kikkaseki.com/index.html)
・一般社団法人日本水石協会 (http://www.suiseki-assn.gr.jp/index.html)
・すいすい水石 (https://suiseki.ishihiroi.com/)
手元にある菊花石にはもともと小さな台座が付いていたが、扁平な石の形状のせいもあってやや座りが悪い。
鑑賞石趣味の視点からはこれが正解なのだろうが、私としては耐震性に重きを置きたい。
そこで、別件で入手していた台座に手を加えて据えてみた。
こんな感じで飾ってみると、中くらいのサイズの菊花に「入(にゅう)」が掠っていたりして、「菊花模様そのものはなかなか良いんじゃないかな」と思えてくる。
さらに、折角なので先の蛇紋岩「山静如太古」のようにタイトルを付けようということで、いろいろ考えた末、銘を「光輪」とした。

この銘のアイデアは、実は意外なところから降ってきた。
台座に据えた菊花石を繁々と眺めているうちに、ちょっとした既視感が湧いてきた。そして、記憶を辿った末に見つけたのが、マックス・エルンストのフロッタージュ作品"La Roue de la lumière"だった。
Werner Spies: Max Ernst Collages, (Thames and Hudson,1991)
このフランス語の題名を和訳すると「光の車輪」となる。ここから東洋風の語感を意識して「光輪」に辿り着いた。
ちなみに、その後、試しに「光輪菊」で検索したところ、鑑賞用の大菊の品種や、仏具の打敷に織り込まれる菊模様を呼ぶ言葉だということが分かった。突飛なところから発想したにもかかわらず、着地点は無難なところになったということか。
今回の付録の写真は、望来海岸と嶺泊展望駐車場で見かけたユウゼンギク(キク科シオン属)の仲間。
望来海岸。

嶺泊展望駐車場。
駐車場からの眺め(別荘地方面)。
YouTube:
Shaylee - 庭の千草
「庭の千草」は、アイルランド民謡に日本語の歌詞を付けた文部省唱歌。最初は、小学唱歌集に「菊」という題名で掲載されたが、現在では主に「庭の千草」の題名で知られている。










