二人のジャズ・キャット
ジャズの世界では「優れたミュージシャン」や「優れた批評家」を"CAT"または特に"JAZZ CAT"と呼ぶのだそうだ。
ちなみに、私の場合、「どんな音楽を聴いているか?」と訊かれた時は、「アイドルからジャズまで」とか、相手によっては「BABYMETALからフリージャズまで」とか答えるようにしている。要するに、見境無しに聴いているが、特定の分野に詳しいわけではないという意味である。そういうわけで、私は"CAT"にはなれない。
とは言え、当然ながら好きなミュージシャンはいる。この記事では、二人のジャズ・ミュージシャンについて語りたいと思う。(例の如く、ネットから消えたかつてのWEB日記に、先日の書斎整理の際に探し出した音盤の写真を添えて。)
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2004-12-11
ALBERT AYLER
その音楽はまるで河の水の流れのようだ。乱れた流れの中から大きな渦が生まれ、やがて再び混沌に戻るように、フリージャズの音の洪水の中から現れては消える古いマーチング・バンドや黒人霊歌のフレーズ。彼は1960年代のジャズ・シーンに彗星のように現れ、中傷と熱烈な支持との議論の嵐の中で自らのJAZZの地平を切り開き、新たな境地に達したと思われた瞬間にその生涯を終えた。1970年11月25日、彼はニューヨークのイースト・リヴァーで死体となって発見された。死因は不明。34歳の若さだった。
CD "Holy Ghost"/ Albert Ayler
Holy Ghost: Rare & Unissued Recordings (1962-70)。9枚(+おまけ1枚)のCD、布装ハードカバーの冊子、少年時代の写真、(何故か)押し花、etc. が黒い重箱のようなプラスチックケースに入ったボックスセット。ここまでやるか!
CD "Nuits De La Fondation Maeght 1970"/ Albert Ayler
アイラーのラスト・ライブ。
CD "Goin' Home"/ Albert Ayler
初めてアイラーを聴いたのがDIWから出たLP "Swing Low Sweet Spirituals"だった。そして、震撼した。これも私の宝物だ。上記はそのCD版らしいが、まだAmazonから届いていないので確認できていない。
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書斎の棚から引っ張り出してきた音盤。
日記にあった「重箱」を開けて、蓋の上に三枚のCDを載せた。CDは日記の二枚とアルバート・アイラーの代表作の一枚"Spiritual Unity"。
「重箱」の中身。
冊子、子供時代の写真など。
エスニックな雰囲気のある「重箱」は、手彫りの木彫を型取りしてプラスチックで成形したもの。また、同梱されていた押し花は、ハナミズキらしい。ハナミズキには、イエス・キリストの磔刑に関する米国発の伝説があるそうだ。この内容を見ると、制作者のアイラー愛に支えられた熱情とか使命感のようなものを感じる。
ちなみに、日記の"Goin' Home"はまさしく"Swing Low Sweet Spirituals"のCD版(追加曲付き)だった。
YouTube:
Goin' Home
次の曲は、フリージャズに慣れていない人にはややきついかもしれないが、WEB日記で「その音楽はまるで河の水の流れのようだ。」と評した通りの曲。
YouTube:
Truth Is Marching In (Live At The Village Vanguard/1966)
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Gil Evans (ギル・エヴァンス)
好きなジャズ・ミュージシャンを挙げよと言われたら、躊躇無くまずこの人を選ぶ。(ただし、後期のギル・エヴァンスに限る。次点はエリック・ドルフィーかな。)
"Live at the Public Theater" (1980)、そしてとりわけ Gil Evans & The Monday Night Orchestraの"Live at Sweet Basil"に収録された晩年の演奏(1984年)は、ほとんど奇跡と言って良いような名演だと思う。"Live at Sweet Basil"については、最初に購入した二枚組CDに一撃を食わされて以降、金蒸着の特別版からボックス・セットに至るまでリリースされる端から購入するほど惚れ込んだ。 正直なところ、彼亡き後のジャズ・シーンにはもはや関心はない。
ところで、上記の二作品に関して我々が記憶しておくべき事が一点ある。それは、これらの作品の成立に日本人が重要な役割を果たしたことだ。まず、"Live at the Public Theater"は、演奏にも参加している菊池雅章がプロデュースしている。そして、"Live at Sweet Basil"は実に日本の企画による録音だった。セッションを行うとなれば一流のミュージシャンが手弁当で駆けつけるほど尊敬され、その作品も高い評価を得ていたにもかかわらず、経済的に不遇で自身のオーケストラを恒常的に持つことができなかったギル・エヴァンス。そんな彼の生涯のピークと言うべき時期の記録をこのような形で残すことを可能にしたのが日本人であったことを、我々は誇りに思っても良い。この直後のバブル景気のさなかに金に物を言わせて外国の名画を買い漁り、全世界に恥をさらした者がいたことと比較すれば、真に尊敬される文化貢献とは如何なるものかを良く知ることができるだろう。
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YouTube:
パラボラ
YouTube:
オレンジ色のドレス
最後に、この時期の厚田海岸の風景。
大崩落の跡。









