柴犬 男の子 ひなた7歳 あお、そら6歳
父、犬を飼う~ 犬嫌いだった男が、柴犬3匹と暮らすに至った物語
「はじめての動物病院」
父とボスは扉の前で緊張を隠せずにいました。ボスの腕の中の小さなひなたにも不安が伝わっていたかもしれません。
私たちはこの日、動物病院デビューを果たします。
犬は予防接種を受けなければいけません。ひなたも我が家にやってきて最初の予防接種を受ける時期になりました。ひなたを病院に連れて行くのはなぜか父の役目になっていました。もうその理由は覚えていませんが、父は最初から犬の世話をしっかりやらされていたことになります。本来の世話係であるボスを一人でいかせるわけにもいきませんので、仕方なく休みの日にボスと一緒にひなたの予防接種を受けに行くことになりました。
当然ですが、父もボスも動物病院には行ったことはありません。前日に母にいろいろ聞きましたが、母の答えはシンプルでした。
「あそこの通りにあったはず。行けばわかる。」
そう、母の答えはいつもシンプルなのです。どこの病院に行くかさえ指示はありません。確かにそのあたりに動物病院はあったような気がしたのでとにかく行ってみることにしました。
思っていた通りの場所に病院はありました。駐車場も空いていてスムーズに扉の前にたどり着きましたが、病院の受付や診療システム、診察方法、料金も何もわからないので緊張は隠せませんでした。
病院に入ると受付があり、そこで初めて受診することと予防接種を受けたいことを伝えました。問診票に犬の名前や生年月日などを記入してあとは順番を待つだけと、思ったより簡単で順調なデビュー戦に二人は落ち着きを取り戻していました。待っている間にぬいぐるみのような子犬をみて周りの人が笑顔になり話しかけてきます。それも新鮮でしたが、動物病院は犬と猫ばかりだと思っていたら違う動物を連れている人もいてそれが一番新鮮な驚きでした。
診察室は待合室から見えるようになっていました。飼い主が一緒に入れるようにそうなっているようですが、この時は父もボスも診察室には入りませんでした。ひなたを獣医師と看護師に預けて待合室から様子をみていました。ひなたは予想通りビビッてずっと吠えつづけて、おしっこもしていました。戻ってきたときリードがおしっこで濡れていたことを覚えています。
実はこのとき父は最初の失敗をおかしていたのです。
犬を育てることは失敗の連続です。人の子育てと似ているところもあるのかもしれませんが、人と違って犬の時間の流れはとても速くて、あっという間に大人になってしまいます。その短い数ヵ月の子犬時代に大切なことを教えて、そのかわいさを記憶にとどめなくてはなりません。犬の子育ては時間がないのです。
父が更新
ひなたは車が苦手です。病院よりも車が苦手です。ひなたはいつもの場所でくつろいで、いつもの場所を散歩しているのが幸せなのかもしれません。
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