柴犬 男の子 ひなた7歳 あお、そら6歳
父、犬を飼う~ 犬嫌いだった男が、柴犬3匹と暮らすに至った物語
「約束ってなんだい?家族会議は終わりを告げる」
大地震のあと1週間、2週間と経過し大人たちは徐々に仕事を始めていましたが、子供たちは学校にも行けず時間を持て余していたようです。娘の小学校の卒業式や中学校の入学式もいつになるかわからない状況でした。そのような状況下で娘は「犬がいれば楽しいのに・・・」という想いがさらに増していきました。
地震から一月程たったある日、犬を飼うことについての家族会議が開かれました。ちょうど卒業式が終わり入学式の開催も決まった頃で、少しづつ生活が元に戻り始めたと感じはじめていた時期のことでした。
この時、私は犬を飼うことを認めます。なぜ認めたのか心境の変化をうまく説明することはできません。認めたというより押し切られたと言ったほうが正しいかもしれませんが、とにかく犬を飼うことを承諾します。犬種は柴犬ということでは3人の意見は一致していました。ただし私は条件を出します。
「俺は犬の世話はしない」
「面倒は二人でみること」
二人はそれを即決で了承して犬を飼うことが決まりました。私はこの約束について話し合いの中で何度も確認して念をおしましたが、私の不安は二人にはまったく伝わらなかったようです。私の不安と二人の興奮という対照的な心情のまま家族会議は終わりを告げます。
約束ってなんだい?
本当に破るためにあるのかな?
この家族会議では犬を飼うか飼わないかを話し合っただけで、飼う頭数については話し合われませんでした。当然です。私は多頭飼いなどという言葉も知りませんでし、犬に触ったこともないのにいきなり多頭飼いはあまりにハードルが高すぎるからです。それでも私はこの日、犬を一匹飼うことを決断したのです。犬への恐怖や不安はありましたが犬がやってくることが決まりました。
時間の経過と経験は人の価値観を変えていきます。私の価値観も犬を飼うことによって変わっていきました。知らないほうがいい経験もあるかもしれませんが、人を豊かにしてくれる経験もあると思います。愛犬から得られる経験は後者なのでしょう。
私はこの先3匹の柴犬との生活が始まることなど知る由もなく、やってくる犬が噛まなければいいなと願っていただけでした。
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