舞台「あずみ 戦国編」
2016.11.26 Zepp ブルーシアター六本木
17:30 op./18:00 st./20:30 end 9列24番
公演日程 2016年11月11日(金)~27日(日)
2005年春の明治座で舞台「あずみ~AZUMI ON STAGE~」を観ました。
主演の黒木メイサは上演当時は16歳、これが明治座における史上最年少の座長公演となりました。
舞台版は翌年に「あずみ~AZUMI RETURNS~」として続編が上演されていますが、こちらは残念ながら観にくことができませんでした。
そういえばこの頃は黒木メイサの舞台作品をたくさん観ていましたね。
「何日君再来 イツノヒカキミカエル」(2007/シアタードラマシティ)、「赤い城、黒い砂」(2009/日生劇場)、「飛龍伝2010 ラストプリンセス」(2010/新橋演舞場)。
さて、その黒木メイサ版から10年ぶりに上演された舞台「あずみ 幕末編(2015)」は、先にAKB48を卒業した川栄李奈の主演ということで話題になりましたが、残念ながら諸条件が合わずに観ることができませんでした。
上演後のレポートやメディアの反応などで好評だったと聞き悔しい思いをしたのを覚えています。
そして一年後、再び川栄李奈主演で舞台「あずみ」が帰ってくる。
今度こそ何とか観ておきたいと思いながらも、上演期間中の自分自身の上京のスケジュールがなかなか見えてこない。
8500円という高額のチケット代もあって簡単には押さえるわけにもいかずじりじりしていましたが、ある日ふと各チケットサイトをチェックしてみたらもうすでに後方の座席しか取れそうもない。
どうしようか迷っている中でたまたまぴあのチケットを調べたら、なんと26日土曜日の夜公演が9列センターブロックほぼ中央の席が出ている。
自身のスケジュールをチェックしたところその週末は何も予定が入っていない。
一度冷静になって検討した結果、思い切ってそのまま購入をクリックしていました。
当日は夕方までに上京すればいいわけですが、ずっと気になっていた国立新美術館の「ダリ展」がそろそろ開催期間終了となるので早めに上京して観ておこうと決め、結局朝からの上京となりました。
「ダリ展」が開催されているのは今回の舞台「あずみ 戦国編」の会場であるZeppブルーシアター六本木と同じエリアなので、移動もそれほど面倒ではないということもあって、たっぷり3時間かけて鑑賞。
そのあとも少し時間があったので六本木ヒルズに移動して、こちらも観ておきたかった「宇宙と芸術展」を鑑賞。
当初の予定より鑑賞時間がかかってしまい、六本木ヒルズを後にしたのは17時20分過ぎくらい。
実は地図上ではブルーシアターまで100メートルもない位置関係ながら、実際にはけやき坂から一度鳥居坂下の交差点まで下って、その先の鳥居坂の急坂を上っていくルートしかない。
最近股関節を痛めているのでこういうパターンは避けたかったけれど、こればかりはどうしようもない。
ということで、寒空なのに汗をかきながら登坂、さらに敷地内に入っても坂道が続くので、ようやく劇場の灯りを目にしたときには正直「助かった」という思いしかなかったです。
この時すでに開演15分前になっていました。
とりあえずトイレを済ませて座席に移動。
いわゆる劇場の椅子と違って黒い革張りのやや角ばったシートは、かつてここが六本木ブルーマンシアターと呼ばれていたころの名残を感じます。
座席前のピッチはかなり狭い印象ですが、椅子の配置が列ごとにずらしてあるのでよほど前に大きい人が座らなければ問題なさそう。
実際この日は前列は女性だったので舞台中央の視界はクリアでしたが、舞台の下手は前列の人の頭に被って、時折自分も頭を左右にずらして観る感じになりました。
舞台は戦国の世。
あずみがこの世に生を受けた場面から物語は始まります。
小幡月斎のもとで仲間たちと育ったあずみは、太平の世を作るための「枝打ち」をする刺客として成長していたが、まだ少女ながら刺客としてその名を轟かせたあずみの手配書の褒美に数多の剣客たちがその姿を追っていた。
大坂城では徳川との戦を前に軍師加藤清正とその重臣井上勘兵衛があずみたちの存在に気づいていた。
一方総大将であるべき豊臣秀頼は戦に興味を持たず淀殿はいら立ちを隠せない。
勘兵衛は人を斬ることだけに喜びを得る最上美女丸をあずみへの刺客として呼び寄せる。
徳川の命を受けた豊臣秀頼の命を狙う月斎と刺客たち。
あずみは刺客であることを隠すため女の衣装を身に着けて大阪に向かうが、その時初潮を迎えて自分が女であることの意味に戸惑う。
大坂城に忍び込んだ月斎とあずみたち。
そこで出会った豊臣秀頼は戦を嫌い、あずみと一緒になりたいと告げる。
“人を斬ること”を使命として生きてきたあずみに初めて芽生える己の使命についての戸惑い。
美女丸の手により仲間たちが命を落としていく中で、自らの運命に翻弄されながらももがき苦しむあずみ。
豊臣と大坂城の命運が尽きようとしている今、あずみにも決断の時が迫ってくる…。
1幕 18:00-19:15
休憩 19:15-30
2幕 19:30-20:30
<キャスト>
川栄李奈…………あずみ
鈴木拡樹…………うきは
早乙女友貴………美女丸
小園凌央…………豊臣秀頼
斉藤秀翼…………あまぎ
三村和敬…………ひゅうが
山本亨……………月斎
吉田智則…………井上勘兵衛
久保田創…………加藤清正
有森也実…………淀殿
星田英利…………飛猿
他
<スタッフ>
原作:小山ゆう
演出:岡村俊一
岡村俊一は黒木メイサ版から引き続いての演出だったんですね。
つまりテイストはあの時の「あずみ」と変わらなかったのかもしれませんが、何しろ10年も前のことなので黒木メイサがかっこよかったことくらいしか覚えていません。
調べてみたら岡村俊一作品は「あずみ」のあとにも「す・け・だ・ち」(2007/新宿コマ劇場)、「エブリリトルシング'09」(2009/天王洲劇場)を観ていました。
前半は星田英利(元ほっしゃん)を中心にお笑いモードに支配されている印象なのですが、これがことごとく間が悪いというか、全体のテンポやリズムも悪いし、本当に必要あったのかと思うほど面白くなかった。
このまま最後までいくとキツイなとは思っていたわけですが、いざ殺陣が始まると一気に緊張感が高まってゾクゾクする。
大坂城で指揮を執るのが加藤清正とその重臣井上勘兵衛なのですが、現在の大河ドラマ「真田丸」のこともあって、どこかで真田勢が出てくるのではないか?とかどうしても考えてしまいます。
そもそも史実の上では加藤清正は大坂の陣の前にこの世を去っているわけで、その辺のことを知っているとどうしても設定そのものがしっくりこなかったりします。
とはいえ、そこはあくまでも漫画「あずみ」がベースの物語ですから、あとは楽しんだもの勝ちといいますか、やっぱり気が付くと舞台上の川栄李奈の姿を追っていました。
この舞台作品ではうきは役の鈴木拡樹が二度ほどフライングで登場するシーンがありますが、さすがにあずみにはそういうイメージは合わないのでしょうか、もう少し動きのシーンで楽しませてくれてもよかったのかな。
これまで見てきたあずみは映画の上戸彩のイメージが強かったけれど、こうして小柄な川栄李奈のあずみを見るとこれはこれでアリなんだろうなと思います。
今回は初潮を迎えるというシーンがあるように、子供から大人の女になるあずみが描かれます。
うきはへの思いと秀頼への思いの違いが判らないように、恋や愛の意味もまだ分からない少女としてのあずみのイメージとしてはよく似合っていたのかもしれません。
実際、これまで映画や舞台で演じてきた上戸彩や黒木メイサは10代であずみを演じていたわけで、前作の段階で既に二十歳を迎えていた川栄李奈の抜擢は異例だったかもしれません。
ただ彼女自身がもともと小柄なうえに幼児体型であることや女優としてのカラーがまだついていない段階なので、一度あずみのイメージを重ねてしまえばこの役は川栄李奈しかいないということにもなりそうです。
ちなみに今回ご一緒した知り合いは前作も観ていることもあって、もう彼女以外のあずみは考えられないと言っていましたがわかる気がします。
さて、映画の上戸彩版も黒木メイサ版も2作までの出演で、結局3作目はありませんでしたが、果たして川栄李奈のあずみはどうなるのでしょうか?
まだまだ彼女ならこの役を演じ込んでいけそうな雰囲気もありましたから、ぜひシリーズ化していって女優川栄李奈の代表作にしていってほしいと思います。
うん、りっちゃん、かっこええー!