「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」(2026/松竹)
監督:新城毅彦
原作:汐見夏衛
脚本:山浦雄大
福原遥 細田佳央太 出口夏希 豊嶋花 井之脇海 中嶋朋子
伊藤健太郎 水上恒司 上川周作 松坂慶子 倍賞千恵子
おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★☆☆
余韻に浸りたいエンドロールで福山雅治が歌う主題歌「邂逅」が流れる。
黒バックに下から上へとクレジットが移動するいつものパターンだが、その右側に「邂逅」の歌詞が縦文字で歌声に合わせて映し出される途端に違和感に襲われた。
それと同時に普段は気にならない福山雅治の何とも言えない粘着質な歌声が耳について仕方なかった。
下から上に流れるクレジットのリズムと明らかに逆行する縦文字の歌詞がとにかく気になって、映画の余韻にも歌詞にも集中できず、あっという間にスクリーンの世界から現実に引き戻されたような居心地の悪さだけが残った。
それゆえにラストのワンシーンにも集中できず困った。
もちろんこの違和感を感じたのは自分だけなのかも知れないし、福山雅治の歌声が映画の余韻と共に心に沁みた人もいるのだろうが、こんな感覚を味わうのは滅多にないことなのでとにかく戸惑った。
前作「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は2023年の年末公開でスマッシュヒット。
個人的にはあまり期待はしていなかったけれど、かつて知覧の特攻平和会館を訪れた記憶が甦ってきて、映画のラストシーンが見事にリンクして予想外の感動作となった。
今回このお盆の時期の公開となったのは、近づく終戦記念日を意識してのことだろう。
かつてはこの時期に戦争映画を大々的にプロモーションする時代があって懐かしく思い出すが、終戦から80年を超えて戦争についてじっくり考える傾向はさらに強まっている。
そんな時代だからこそ、百合が担当クラスで行なう特別授業で戦争について今の高校生たちに客観的に訴える展開はよかった。
あえて生徒たちに特攻隊員の遺書を音読させることで、観ている我々にも刺さるシーンになった。
今回も事前に舞台となる土地は明示していないが、前作よりそのあたりのアプローチが曖昧になっている。
物語の舞台となるのは間違いなく長崎なのだが、作品中に場所を特定するような演出はなく、慰霊花火大会のポスターにも日時だけで地名などが見当たらないのも逆に違和感がある。
前作も映像的にはあえて場所を特定することはないのだけれど、原作者自身が鹿児島出身で知覧の特攻平和会館や特攻の母で知られる鳥濱トメさんの冨家食堂を念頭に書かれたのは間違いないので、あえて舞台背景を特定させないことで当時各地にあった学徒出陣の地へそれぞれの思いを馳せることを意図したのか。
それなのに屋上などから見下ろす引きの映像は明らかに長崎っぽいし、終盤には眼鏡橋を背景にした花火大会のシーンまであって、そういえばテーマ曲の福山雅治は長崎出身だと気づいたときに少し興醒めも感じた。
特攻で散った彰の夢でもあった教師となった7年後の百合を引き続き演じる福原遥は、あの日の彰への思いを胸に秘めたまま日々を過ごしている。
そんな百合の前に臨時教員として同い年の宮原涼が現れる。
二人は初めての出会いなのに互いに何かを感じ取る。
どうやら原作ではこの涼が主人公として描かれているようで、彼は何度も夢で百合と出会っていて、実は彼があの彰の生まれ変わりという設定。
映画では二人が出会った瞬間に互いに何かを感じ取るというシーンが唐突に描かれていて戸惑うが、その後の涼の夢のシーンの挿入で「そういうことか」と理解する。
また戦時下で友として過ごした女学生の千代は現在も存命でホスピスの入居者として百合と再会する。
出会った時の話の流れで彼女が千代だと気づく百合だが、その後も自分があの日タイムスリップして同じ時間を過ごしたということは隠して接する。
千代はすぐに百合のことを気付いているのはその表情を見れば一目瞭然なのだけれど、それをさりげなく演じる倍賞千恵子の円熟味に感動する。
昨年の「TOKYOタクシー」もそうだけれど、ここ数年の倍賞千恵子は自身の老いを隠すことなく自然体で役柄を演じていて、今また女優としての黄金期が来ているのかもしれない。
涼を演じる細田佳央太は圧倒的ないいひとキャラなのが逆に違和感となってしまうのがもったいない。
あんな好青年が今の時代にいるのかというと大げさだけれど、確実にスクリーンの中で浮いてしまっている感じが残念。
新城監督の目線の優しさなのだろうか、無駄にアップの多用があったり、二人が最初に出会うシーンがやたらと長かったり、全体的に映像のメリハリがなく感じた。
もともとテレビドラマを主戦場にしていたせいか、映像にもテレビ的な安直なカメラワークが見られた。
それでも自分は前作である程度の思い入れを抱いたうえでの鑑賞なので、全体的に満足できたし百合の選択にも納得した完結編だったけれど、他の人はどう感じたのかなと気になる。
個人的に引き続きは出口夏希に期待もまあ前作の過去シーンと再現ドラマ的な振り返りシーンのみなので今ひとつだったかな。
百合が彰の夢を抱いて教師になったように、その未来への夢の大切さを伝えるクラスの女生徒役で豊嶋花が出演もそろそろJKも厳しいのかなと感じてしまった。
公開日の夜の回、予想通りシニア層も含めてそれなりに幅広い客層だったが、この時期ゆっくり大人が楽しめる劇映画が他に皆無なシネコン…ちいかわ・アンパンマン・しんちゃん・トイストーリー・ミニオンズ…新作では「ブルーロック」があるが、外国映画もスパイダーマンにモアナとエンタメ系…このあとはしばらく地元のミニシアターに逃げようと思う。
ローソン・ユナイテッドシネマ前橋 スクリーン5














































