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MCNP-media cross network premium/RENSA

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出会いの連鎖-RENSA-を求めて。

メディアの旅人はあなたです。

「佐藤さんと佐藤さん」(2025/ポニーキャニオン)

 

 監督:天野千尋

 脚本:熊谷まどか 天野千尋

 

 岸井ゆきの 宮沢氷魚 藤原さくら 三浦りょう太 山本浩司

 前原滉 八木亜希子 中嶋渉 佐々木希 田島令子 ベンガル

 

 おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★★☆☆

 

 
予告編で岸井ゆきのが出ているのを知って興味を持った作品。
ただしどうしても観たいというわけでもなくタイミングが合えばと思っていた程度。
 
ある夫婦の22歳の出会いから37歳までの15年間をそれぞれの感情のすれ違いを追いながら描いていく。
 
大学で出会った佐藤サチと佐藤タモツは意気投合し同棲を経て結婚する。
しかし司法試験合格を目指してチャレンジし続けるも合格には至らぬタモツに対して、彼を応援するつもりで一緒に勉強を始めたサチが先に司法試験に合格してしまう。
やがて二人の間に子供ができて同棲から結婚という新しい人生のステージが始まる。
 
子育てしながら弁護士の仕事を続けるサチと司法試験の勉強の一方で塾講師の仕事を続けるタモツ。
多忙を極め仕事優先になっていくサチの言動に苛立ちを覚えるタモツだが、ついに二人の感情が衝突したことでタモツが合格したら別れるという決断に至る。
 
佐藤という苗字は日本で一番多いらしい。
日本のどこにでもいる佐藤さんと佐藤さんのカップル。
その二人に子供が生まれ家庭をもつ。
しかし互いの生活のすれ違いから価値観の変化から生まれて…。
 
特に大きな事件が起こるわけでもないけれど、ちょっとずつ生じたすれ違いが二人の人生を変えていく。
 
きっと日本中のどこでも起こり得ることなんだろうし、実際に家庭を持ったことのない自分にはなかなか理解できないニュアンスはありそう。
 
ストーリーは弁護士のサチが離婚訴訟の担当となる37歳の現在から始まり、タモツとの22歳での出会いから、出産や司法試験合格など人生の転機となる時間をフラッシュバック風に切り取っていく展開は直近の「君の顔では泣けない」と被る。
 
22歳の学生時代のサチとタモツの出会いのきっかけとなる自転車置き場での将棋倒しトラブルが、大人になってからも繰り返されるのも面白い。
 
岸井ゆきのはけして派手なヒロインタイプではないけれど、与えられた役どころをしっかり演じられるという部分もあってずっと気になっている女優さん。
 
話題になった「ケイコ目を済ませて」(2022)は未見だったけれど、最近CS番組で録画できたので改めてチェックするつもり。
 
残念だったのは自分の体調がいまいちだったのか前半で少し睡魔に襲われたこと。
もう少しストーリーにメリハリがあったら違ったかも。
 
けして楽しい映画ではないけれど、観る人によっては自分の人生とだぶらせながら振り返るのもいいだろう。
 

 MOVIX伊勢崎 シアター4

 

「秒速5センチメートル」(2007/コミックス・ウェーブ)

 

 監督:新海誠

 原作:新海誠

 脚本:新海誠

 

 声の出演

 水橋研二 近藤好美 花村怜美 尾上綾華

 

 

小学生の明里…

 

「ねえ秒速5センチなんだって 

 桜の花の落ちるスピード 秒速5センチメートル」

 

高校生の花苗…

 

「時速5キロなんだって 南島の打ち上げ場まで」

 

そして大人になって理紗から届いたメール

 

「あなたのことは今でも好きです。

 でも私たちはきっと1000回もメールをやりとりして、

 たぶん心は1センチくらいしか近づけませんでした。」

 

いつも距離感を明示するのは女性の方、やっぱり男はいつまでも子供なんだ。

 

先に観た映画「君の顔では泣けない」でも痛切に感じたこの変らない真理。

 

そんな男の未練がましさやもどかしさやいつまでも前に進めない感じ、世の男性諸氏は少なからず身に覚えがあるのではないだろうか?

 

実写映画「秒速5センチメートル」を観る前にチェックしておこうと思ったオリジナルのアニメ作品。

ちょうどフジテレビの深夜枠(関東ローカル)でオンエアされたのを録画したもののタイミングを逃したままだった。

 

結果として先に実写版を観てからのアニメ版を観ることになったけれど、個人的にはこれで正解だったかもしれない。

 

アニメ版は3つの短編を並べるという構成になっていて、第1話「桜花抄」で小中学生時代、第2話「コスモナウト」で高校時代、第3話「秒速5センチメートル」で社会人となった今とそれぞれを別々のエピソードとして描いている。

 

実写版はアニメ版では具体的には描かれていない大人になってからの二人のエピソードを中心に構成され、間に種子島の高校時代のエピソードを挟んで、最終的に中学時代の約束の日を大人になった今と重ねることでドラマチックなストーリーに昇華していた。

 

自分は新海誠マニアでも何でもない。

「君の名は。」は今でもよく分からないし、「天気の子」は未見のままだけど、直近の「すずめの戸締り」でようやく嵌ったという人。

 

新海誠作品の魅力はアニメーションに実写並みの背景描写を取り入れることで、実写では描き切れない心象風景を映し出すことだというのは何となくわかっている。

 

それでもアニメ作品に求めることは実写並みのリアリティがすべてではないと思うし、アニメだからこそ描き出せる世界観はディズニーやジブリの例を出すまでもなく様々な表現スタイルがあっていい。

 

それでも新海誠ワールドというのは確かにあって、この作品が2007年の発表だということを考えるとやはり卓越したクリエイターであることは間違いない。

 

実写版との比較をあえてすると先に述べたように時間軸が分かりやすくなっている。

 

桜の花が舞う通学路での貴樹と明里の「秒速5センチメートル」の会話から始まり、小中高校と時代が進み、離れ離れになった貴樹と明里のそれぞれの時間があり、明里は先に明るい未来へと踏み出し、貴樹はまた別れを経験する。

 

60分程度の中編作品なのに情報量の多さはなかなかだと思う。

特に第3話としてクレジットされる「秒速5センチメートル」は、山崎まさよしの往年の代表曲″One more time, One more chance”を全面的にフューチャーしたMVのような構成ながら、その短い映像の中でそれぞれの人生の場面が見事に切り取られている。

 

実写映画「秒速5センチメートル」ではどちらかというと大人になった二人の今がメインになっているので、主人公の思い出とともにあの頃が甦るといった味わいがある。

 

どちらが好きかといえば先に観てしまった実写版ということになるけれど、日本のアニメ作品がかつてのエンタメ系一辺倒だった時代を経て、確実に次の表現段階に入ったと言えると思うし、ディズニー・ピクサーのようにデジタルアニメが全盛の時代にあって、まだまだ日本アニメならではのぬくもりを感じられる抒情的な作品に期待したい。

 

 2025.10.25 フジテレビ O.A.

 

「ベスト・キッド」

 “THE KARATE KID”(1984/アメリカ)

 

 監督:ジョン・G・アヴィルドセン

 脚本:ロバート・マーク・ケイメン

 

 ラルフ・マッチオ ノリユキ・パット・モリタ

 エリザベス・シュー ランディ・ヘラー マーティン・コーヴ

 

 

「ベスト・キッド」シリーズは最初からリアルタイムで知っているけれど、1作目を観ないとシリーズものは始められないという昔からのこだわりゆえに、結局そのままシリーズすべて未見で40年が過ぎてしまった。

 

ちょうどCS番組でシリーズ4作品をオンエアすることを知って試しに録画予約しておいた、

 

さすがに40年前の作品ということで改めていま見るとある意味でトンデモ映画にはなっているのだけれど、あの「ロッキー」で一時代を築いたジョン・G・アヴィルドセンらしい外連味いっぱいのエンターテインメントとして仕上がっているのかもしれない。

 

おそらく時代的にはジャッキー・チェンのカンフー作品や少林寺拳法などでアジアの格闘技人気が高まっていたはずで、そこに日本武道としての空手を強引にねじ込んだ感は否めない。

 

一般的にはいじめられっ子の少年が空手の修行を通じて強くなり反撃するというイメージだが。実際にトラブルメーカーになっているのはダニエル少年の方で、好きな女の子の前でカッコつけた結果のトラブルでもあるので身から出た錆だ。

 

ニュージャージーの田舎から母の仕事の都合で一緒にカリフォルニアに転校してきたダニエルは裕福な家庭環境のアリにひと目惚れも、アリの元カレのジョニーとその仲間たちに目をつけられてコテンパンにやられてしまう。

そんなダニエルを助けたのは階下に住むミヤギという老人。

 

かつて沖縄で空手をやっていたという彼に師事することになったダニエルは、空手チャンピオンが指導する空手道場の実力者でもあるジョニーと空手の大会で対決するために、ミヤギのもとで修業を始める。

 

このミヤギがとにかく胡散臭い。

アパートの階下で水道などの修理などを行っている一方で、盆栽づくりに没頭するかと思えば、実は別の敷地で自動車販売などを手掛けているようでまさに正体不明。

 

ダニエルは自動車のワックス掛けや壁板のペンキ塗りなど、ミヤギの命じるままに修行を続ける。

 

そして空手大会当日、次第に勝ち上がっていくダニエルだが、道場の選手と当たった際に意図的な反則攻撃で足を痛めてしまう。

 

それでも棄権の危機を跳ね返し決勝戦に臨むダニエル。

最後はあっけないというか、それで終わり?というところでエンドロールが流れる。

 

いや、そもそも空手チャンピオンの道場主が反則技を指示するとか興ざめも甚だしいし、厳しい修行でダニエルが会得したのが鶴のポーズ蹴り一発っていうのも笑える。

 

それでもあの時代だからこそ成立した青春映画だと思うし、高校生のダニエルを演じたラルフ・マッチオは公開当時すでに23歳くらいで。先に「アウトサイダー」のヒットでブラット・パックの代表格として人気を得ていくことになる。

 

そうか、あの時代か…そう考えると今もハリウッドのトップスターとして走り続けるトム・クルーズってスゲーなと改めて思う。

 

 2025.11.19 WOWOWプラス O.A.