「映画 えんとつ町のプペル~約束の時計台~」
(2026/東宝≒CHIMNEY TOWN)
監督:廣田裕介
原作:西野亮廣
原案:にしのあきひろ
脚本:西野亮廣
声の出演
永瀬ゆずな 窪田正孝 MEGUMI 小芝風花 吉原光夫
土屋アンナ 山寺宏一 藤森慎吾伊藤沙莉 東野幸治
おすすめ度…★★★★☆ 満足度…★★★★☆
前作が公開されたのがコロナ禍の2020年の年末だったようで、今回の続編は約5年ぶりの新作となる。
調べてみたら前作は公開時に2度観ていたようで、新作の公開に合わせてテレビでオンエアされたものを改めてチェックしたうえでシネコンへ。
どうやら前作の感想では今ひとつだったかも?
とはいえ、今回のテレビで改めて前作を観たところかなり感動したというか、自分がそれだけ歳をとったのかもしれないけれど、ルビッチとプペルの関係性がとてもうらやましく思えたりもした。
ただし事前の情報としては、劇場での予告編の映像と主人公ルビッチの声が芦田愛菜ではなくなったことくらいに留めたままでの鑑賞となった。
正直な感想を言うと本作は「えんとつ町のプペル」の続編ではなくアナザーストーリーなのかなという印象で、たぶんサブタイトルになっている“~約束の時計台~”に引っ張られちゃったんだと思う。
今回は前作でルビッチがプペルとの別れを体験してから一年後からのストーリー。
ずっとプペルとの再会を願ってきたルビッチはいつしかその願いをあきらめかけていた。
そんなある日、大切にしていたブレスレットを盗んだねずみを追いかけているうちにルビッチは異世界の千年砦に迷い込んでしまう。
千年砦の女王ホーラから元の世界に戻るためにはこの世界で止まったままになっている時計台の針を動かすことだと告げられたルビッチは、この世界で最初に出会った不思議な猫のモフと一緒にその使命を達成するために再び大冒険に挑んでいく。
実はその時計台をめぐるストーリーがもう一方の時間軸として動き出していて、そこで描かれる時計職人のガスと植物の精霊であるナギの悲しい物語が伏線となってルビッチの大冒険が加速していく。
そのあたりの疾走感がうまい具合に絡み合って、あたかも一つ時間軸を体験しているかのような錯覚になっていくのが面白かった。
歌姫でもあるナギの声を小芝風花が演じているのだけれど、事前情報を入れないで観たのでエンドクレジットで名前を確認して驚いたし、見事な歌声も聴かせてくれたのも新しい発見だった。
そして今回改めて確信したのは、この作品の奇々怪々な世界観を当たり前のように受け入れている自分の根底には、間違いなくジブリ作品で描かれてきた映像体験があるのだろうなということ。
例えばその代表格である「千と千尋の神隠し」で描かれてきたへんてこな世界観をファンタジーとしてではなく、そういう世界もあるよねという感覚で自然と受け入れてしまう土壌が間違いなく昨今の日本のアニメを観ている中で構築されているのだと思う。
声のキャストでいうと主人公ルビッチの声が前作の芦田愛菜から子役の永瀬ゆずなに変更されている。
西野亮廣自身が子役のキャスティングを希望したということだけれど、考えたら前作の公開当時の彼女は16歳で現在は21歳、今回の永瀬ゆずなは現在10歳ということなので、よりルビッチに近い年齢だ。
前作ではもともと子役出身で声の若さもあった芦田愛菜がうまくはまったと思って今回も続投でいいかと思ったけれど、実際に新作のルビッチを観ていると次第にこれが正解だったと納得した。
あとは様々な映像の洪水に対して今回もスクリーンからあふれ出す言葉の洪水。
藤森慎吾演じるスコップがおとなしめではあるものの、その他のキャラクターがルビッチも含めてとにかく次々と声を発するのだが、それが会話であるにしろ絶叫であるにしろ、作品全体の疾走感を見事に演出している。
この辺りは芸人でありキングコングとして漫才を生業にしている西野亮廣ならではの巧みさで、過度にうるさくない程度のバランスがきらびやかな映像とうまくシンクロしていた。
下手に会話が増えると説明過多になったり説教がましくなりかねないのだけれど、この作品では独特のリズムをもって映像世界に溶け込んでいたと思う。
わかっていても感動的なラストシーンはこの先のルビッチとプペルの冒険譚を予感させるし、是非とも次の作品で事実上の第2幕を期待したい。
ローソン・ユナイテッドシネマ前橋 スクリーン9




