いつもあれこれ余計なことを考えてしまうので
今回はとにかく
会場に行って 自分の席に座って
音楽を楽しむことだけに集中する と決めていた
少々体調が悪くても 髪型が変でも
そこに座って音楽を楽しめれば すべて成功だと
だから 無事に席に着けてほっとしてた時に
真後ろから声を掛けられて心底びっくりした
今日はマダムはお休みっぽいな~とは見て思ってたけど
まさか私より後ろの席ってことは まったくの想定外で
いや~ どんな顔して聴いてればいいんだか
って 旦那さんから私の顔は見えないのに(笑)
なんか照れくさくて 逆に始終ニヤニヤしてしまった
不審極まりないね
音が鳴り始めて 唐突に
あぁドイツ行きたい と思った
慣れない場所での 新鮮で心を動かされる体験
というのが共通項じゃないかと思う
もう少しして 今度は
チェンバロの音がすごく綺麗だと思った
そんなん改めて思う必要ないくらい聴いて来たはずなのに
とても綺麗に聴こえた
マエストロふつうに両手で弾いてる~ ってのも
ワタシテキには充分に感動ポイントで嬉しかった
飽きたのは自分自身のあり方に対してであって
決して音楽方面に飽きたわけではなかったのだけど
この日はたくさんの事柄が新鮮に映った
ひとつひとつのフレーズ
ひとつひとつの音 が本当に美しくて
心がこもっている という表現は私の自分勝手過ぎるかもだが
力がこもっている というのは間違ってないはず
今までだってずっとそうだったのに
今まで私は 何を観て 何を聴いていたのだろう
十年来 聴いてみたかった2つのアリアのうち
演奏するのがすごく難しそうな箇所も
難しそうなまま 何も変えずに楽譜通りにという意味
華麗に演奏されていて
なんでもなかったていで次のフレーズに移るところが
本当にすごい
本当に上手な人に対して賞賛すべきポイントではない
逆に失礼なことかもしれないけど
私はすごく感動する
前日まで数え切れないほど録音を聴いたんだけど
前日だったかな
このアリアが一番楽しみかもしれない
と 唐突にひらめいた曲があった
最後に演奏されるはずだったそのカンタータにも
これどうなってるの? という曲があって
その曲と 前回の例の曲は たまたまYouTubeに
楽譜付きの動画が上がっていて
こっそり勉強することが出来た
削除対象動画かもしれないが
そこは私の役目ではないと思うので先に進む
2本のリボンが平行に流れて行くようにみえて
実は常に交差しながら流れて行っている という構成は
おふたりの演奏する姿を観ていることも
自分の耳の力不足にガッカリすることも 両方とても楽しい
この構成の魅力には 実は別の楽器の演奏で
しかも配信後の記録映像を観ていて気付いたのだが
気付けただけ良かった だいぶ時間がかかったけど
一番楽しみにしていたアリアは
4声ときどき5声というのか 四重奏と呼んでいいのか
3小節目くらいに来た時に
あぁ この音知ってる みたいな感情が突然沸いた
懐かしいっていうか 懐かしいといっても
同じ経験をしたことがあるというのとは違って
なんていうのか 郷愁を呼び起こされる ?
ほんと 文字にすると陳腐だね いつも
歌声が入って来て
いま読んでいる『指輪物語』2巻の終わりの方
ちょうど読んでいた箇所なんだけど
主人公たちが訪れる いわゆる「エルフの森」って
こんな感じじゃないかなって思った
そこはすべてが完璧に美しく 綻びがなく
今ここにある現在が 過去と未来を内包 ナイホウ!
しているというか 私の力では表現が難しいのだが
太古から続く「いま」がずっと「いま」である
という感じなのか とにかくそういう
はてしなく完璧で 美しい場所なんだけど
4つの音が ぜんぜん別の 別ではないけど
瞬間的にはそれぞれ別の仕事をしているのに
すさまじく美しい全体となって現れる
バッハにはこういう美しさがたくさんあるが
この曲は飛び抜けて美しかった
最初と最後の 2つの音が長く続くところ
NY公演の時は 神がかってる と思ったが
今回は そういう外的なことではなくて
これも文字にすると
心が震える みたいなものになり下がってしまうけど
この先 これ以上の感動が出来なかったらどうしよう
と不安になるほど 何かが激しく揺す振られた
同じ体験をした人が きっと会場に何人もいたと思う
その曲でおしまい に慣れてしまっていたから
当初の予定では最初の曲が始まって
また始まった! やった! の嬉しい気持ちが
あっという間に終わってしまったのは寂しかった(笑)
いつまでもこの席に座っていたい と思ったのは
まさかまさかの運転見合わせのせいだったのか
それでも 選択したルートは
途中で増えた1路線の帰宅ラッシュはともかく
時間的には大して影響なく帰ることが出来て結果オーライ
無事に帰れますように! を叶えてあげたよ と
どこからか聴こえて来る
『指輪物語』の一行が
完璧な安らぎを得られる「エルフの森」を出て
また危険な旅を続けなければならなかったように
私も 自分に戻らなければいけない
自分の生活とか 自分の居場所とか 書くのは嫌だけど
今のところはしょうがない
確か主人公だったか 険しい道を歩きながら
少し前の自分が 今も「エルフの森」を歩いているように
感じる と述懐する箇所があった
私も いつでも好きな時に あの席に座って
あの完璧な音の時間と空間を楽しむことが出来る
私が選んだだろうインスブルックの席は
あの後ずっと空席のままだったんだけど
10日だったか 久しぶりに見てみたら
2席並んで売れていた
半分残念で 半分ほっとした ちょっとずるいけど
私がきちんと諦めるまで待ってくれたみたいだった
その時に何かに気付けばよかったのに
公開録画があることを知ったのは13日で
よく見たら申し込み締め切り日が10日だった
月末のプチ遠征も まだ買えないことないけど
たまたま 本当にたまたま 塾のない土曜日で
今ちょっと懸案事項もあり なので
次が終わったら 秋の4曲まで長いお休みかな
3ヶ月なんて長過ぎるけど
夏ってそういうもんだと諦めるしかないね
しかないね って あれこれ言い訳して
せっかくのチャンスを潰そうとしてる自分が
嫌になる 行きたいなら行けばいいのに
コメントにあるアニメは観たことないけど
調べてたら交響曲まで出て来てびっくり
そっか映画の方か 映画も観る気ないけど
最近はこの動画を流しながら寝てる
音の組み合わせとバランスが私にはちょうどいい感じ