日本の酒場をゆく -2ページ目

日本の酒場をゆく

旅酒や 無頼な心の よりどころ

 

 

 

 

 

 

地元高齢者の寄り合い所ew_icon_a401_20240630074141ec8.gif
東武伊勢崎線新田駅東口を出て左に折れると、線路沿いに「新田横丁」とアーチのかかる小さな飲み屋街が現れる。
飲み屋横丁を思わせるちょっとディープな小径の中ほど、駅から歩いて二分もかからない場所に(一喜)がある。
カウンターに腰をおろし、まずはビール。
ングングング……。
料理は居酒屋の定番ばかりが並ぶ。
定番メニューの「つくねナンコツ」「ぼんじり」「豚アスパラ」「ベーコントマト」「うな肝」などの串焼きもあれば、ホワイトボードに「カツオ刺身」「真タコ刺身」「サーモン刺身」「〆サバ」「ナスみそ炒め」などといった日替わり料理も揃う。
ここで味わえるのは、家庭料理。
旬のものを使うくらいで、普通に料理をしているだけの、あくまで家族に振る舞うような素朴な料理。
取り立てて目を奪われるような料理は見あたらない。
それでも毎夜地元の常連客がこの店に足を運ぶ理由。
それは気兼ねなく酒を楽しめる雰囲気があるからだろう。
注意ナスみそ炒め500円
スティックサラダ500円
豚キムチ炒め550円
カツオ600円
グレープフルーツサワー400円
高清水「一合」500円
「営業時間16:00~23:00/第3火休」

 

 

 

 

 

酒好きを泣かせる料理の数々ew_icon_a401_202312291410358c0.gif
JR常磐線柏駅西口から徒歩約3分、あさひふれあい通り沿いに居酒屋(こだわり鮮魚と炭焼地鶏 炉)がある。
大きな看板に白い提灯が下がる典型的な居酒屋の構え。
店内は広く、カウンターとテーブル席に座敷もある。
店内は満員の大盛況。
客の目当てはうまい魚。
旬の海の幸を吟味し、毎朝仕入れるだけあって、その品質はお墨付きだ。
この日の刺身はメダイ、キンメダイ、サワラ、シマアジ、ブリ、スズキが揃う。
選んだメダイの刺身は半透明鼈甲色の身で、一切れのコクがとても深く、歯にむっちりと応える。
この一皿だけで、店の実力の一端を垣間見ることができるだろう。
そして、何といっても居酒屋然とした雰囲気がいい。
カウンターと対峙する厨房では、威勢のいい声が飛び交い、店長をはじめとしたスタッフがきびきびと調理する。
そんな店の雰囲気が群衆の中の孤独を楽しむには最適だ。
メモ値段表示は外税。
注意砂肝チャンジャ380円
クリームチーズの西京味噌漬け380円
エイヒレ炙り480円
銀ダラ西京焼780円
黒霧島500円
富乃宝山600円
「営業時間16:00~翌1:00【土】14:00~翌1:00【日・祝】14:00~翌0:00/不定休」

 

 

 

 

 

粋と洗練を持つ居酒屋ew_icon_a401_20231229113250e24.gif
JR常磐線柏駅から徒歩約四分、あさひふれあい通りに居酒屋(あさひ町スタンド)がある。
開店時間の五時に来たがすでにカウンターには客が二人。
その隣に座った。
まずビール。
「エビスの最高峰 エビスマイスター」「サッポロプレミアムホワイト 白穂乃香」「サッポロドラフト赤星」「キリン一番搾り」の四つが揃う。
選んだキリン一番搾りはホップの絵柄の「とれたてホップ」だ。
とれたてホップはほのかなホップの風味がいい。
さて注文。
「本日の刺身」は「石川 真いわし」「神奈川 地だこ」「銚子 金目鯛」「愛知 活〆真ごち」「三重 活〆アオリイカ」など。
丁寧に産地まで記した刺身から珍しい「千葉 ヒゲソリ鯛」にした。
届いたヒゲソリ鯛は魚主役の飾り過ぎない盛り付け。
醤油をちょんとつけ口へ。
濃厚な旨味は白身といえども少しも淡白でない。
最後はネギトロ巻で仕上げた。
注意ネギトロ巻580円
三重 活〆アオリイカ980円
勝山 活〆ヒラスズキ980円
壱岐 迷いかつお1580円
キンミヤチューハイ380円
サッポロプレミアムホワイト 白穂乃香780円
「営業時間【昼コースのみ】12:00~16:00・17:00~翌0:00/不定休」

 

 

 

 

 

毎夜常連客の人情が交錯する酒場ew_icon_a401_20230501093049084.gif
小田急江ノ島線桜ヶ丘駅から歩くこと約1分、東口ロータリーから少し歩くと牛たん専門の酒場(炭蔵牛たん けったろー)がある。
カウンターのガラスケースには牛たん、牛サガリ等の肉が塊で並ぶ。
問屋からつぶしたてを仕入れた牛肉は、抜群の鮮度がそのまま味となって現れている。
手始めに名物のひとつ「上牛たん串」を食べてほしい。
炭火で丁寧に焼き上げ、大振りにカットされた塩焼きの上牛たんは添えられた南蛮味噌をちょっとつけて頬張ると、口の中に広がるのは牛たんの濃厚なコクとうまみのみ。
食材の鮮度が伝わる逸品だ。
「牛たんの握り」を南蛮味噌で頼んでも、どれも例外なくうまいのである。
店内を見渡せば、地元の常連客がほとんどながら、酒に飲まれて声高に話すような客はひとりもいない。
特別な日に使うような店ではなく、あくまで普段遣いの酒場であるのは間違いない。
ただ、こうして落ち着いて飲める店は良いものだ。
注意青唐辛子の醤油漬け250円
上牛たん串360円
白菜ときゅうりの浅漬け480円
牛たんのカレーポテサラ580円
バイスサワー350円
にごりカップ酒520円
「営業時間16:00~21:00/月休」

 

 

 

 

住宅街に佇む実力の寿司屋ew_icon_a401_202407061153006fa.gif
京王高尾線京王片倉駅から徒歩約四分、北野街道沿いに寿司屋(角喜鮨)がある。
古風な店構えの前に立ち、扉を開けると、つけ台に立つ大将がにこやかに迎えてくれた。
はっきりいって小綺麗な店ではない。
住宅街でこういう店をやるのは、今や希少価値なのである。
それだけに、今の状態でやっている内に、一度は訪れるべきであろう。
あまりにオーセンティック【本格的】で、なにしろ材料が飛びきりだし、価格は驚くほど安いのだ。
まずは奄美大島の黒糖焼酎「里の曙」のオンザロック。
減圧蒸留で仕上げたすっきりとしたキレのある味わい。
お通しにタマネギの醤油漬けが出た。
切っただけのタマネギより仕事をしたタマネギ。
手をかけた仕事でおいしくする。
中でも出色はシャリのうまさ。
鮨はシャリが命。
大将の質の高い仕事と志の高い職人魂が、鮨の味をさらに高みに導く。
そういった気配りが、一杯の酒を一個の鮨を、どれほどおいしくするか。
注意鉄火巻き「1本」480円
ネギトロ巻「1本」1000円
にぎり寿司「並」1210円
にぎり寿司「上」1980円
ビール660円
里の曙 ショット700円
「営業時間11:30~21:00/水休」

 

 

 

 

洗練された大箱居酒屋ew_icon_a401_20231229125008c6a.gif
JR常磐線柏駅西口から歩くこと約2分、あさひふれあい通り沿いに居酒屋(吉福)がある。
どっしりした瓦屋根の広い店内の生簀にはどうどうと水が流れ、大きな真鯛や河豚が泳いでいる。
130名を超えるキャパシティの大箱ながら、大手チェーン店とはまったく異なる。
カウンターに腰をおろし、「富乃宝山のオンザロック!」と叫んでおいてじっくりお造りの品書を見た。
まぐろ、平目、真鯛、〆鯖、活イカ、北寄貝などがラインアップされる。
思案の挙句、赤貝を選んだ。
届いた盛りつけは、今剥いた大きな赤貝の水気をたたえた真っ赤な貝肉が大葉の上に横たわり、ぬらぬらしたヒモが太股のように官能的にからみつき、凄艶な光景だ。
赤い貝肉は怪しく濡れて光り、誘い込むようで、思わずごくりと生つばを飲み込み、山葵醤油をちょんとつけ口へ。
この山葵がまたツンツンに切れ、まさに「浄瑠璃と山葵は泣いて喜ぶ」だ。
メモコストパフォーマンスは優良。
値段表示は外税。
注意トロレバ刺し350円
上タン刺し590円
赤貝690円
お造り盛合せ「一人前用」990円
丸ごと一個レモンサワー450円
富乃宝山 芋500円
「営業時間16:00~23:00/無休」

 

 

 

 

安くてうまい大衆居酒屋の魅力ew_icon_a401_20231227161133bfd.gif
JR総武線亀戸駅から歩くこと約六分、亀戸二丁目の路地に居酒屋(松ちゃん)がある。
以前紹介した平井駅近くにある(松ちゃん)の、二代目女将の両親が営む居酒屋だ。
店内は連日多くの客で賑わいを見せる。
人気の秘密は安価な価格にある。
人気の「自家製ポテトサラダ」や「ガツ刺」は280円、旬の魚介類を豊富に取り揃えた刺身は330~600円、さらに「特製酎ハイ」は250円と、とにかく安いのだ。
無論、価格だけではない。
料理はすべて手作りしており、刺身だってピチピチの新鮮。
「安くてボリュームがあってうまい」それがこの店に対する常連客のイメージだ。
主人は安かろう悪かろうでは、客がついてこないのは十分承知なのだろう。
たっぷりの刻みネギと白ゴマがかかった「ガツ刺」は、サクサクとした食感が癖になる逸品。
この日おすすめの「アジ刺」は、角の立った美しい切り身。
みずみずしい透明感、上品な脂は言うことなしだ。
注意とりネギマ2本280円
自家製ポテトサラダ280円
カニクリームコロッケ400円
にんにくの芽と肉炒め400円
「しそ」鍛高譚400円
「芋」からり芋550円
「営業時間15:00~翌0:00/木休」

 

 

 

 

住宅街に佇む地域密着型の焼き鳥居酒屋ew_icon_a401_20240706050414867.gif
JR横浜線片倉駅から歩くこと約2分、居酒屋のロケーションとしては珍しく、住宅街の由井593号線沿いに焼き鳥居酒屋(寄り道)は佇んでいる。
片倉駅周辺は住宅街が広がり、商店街もなく、居酒屋もない。
場所が場所だけに、ここは流しの客がフラッと立ち寄るような店ではない。
「近所の酒飲みが立ち寄るコミュニティの場」といった表現がしっくりくる。
そんな、近所の酒飲みにとって大切な空間を守ってきた主人がカウンターに立つ。
メニューは串焼きを中心に、なんこつのからあげ、牛すじ煮こみ、冷やしトマトなどがあるくらい。
決して気の利いた酒肴が揃うわけではないが、それでも毎日のように常連客が訪れるのは、人情に溢れた家庭的な雰囲気があってのこと。
そして、この店に初めて訪れるなら、やはり串焼きは外せない。
串焼きは、200円で砂肝、ねぎま、レバー、250円で豚バラ、豚しそ、ヤゲン軟骨などの定番がラインアップ。
注意セロリの浅漬け450円
砂肝のからあげ500円
なんこつのからあげ600円
牛すじ煮こみ800円
ウーロンハイ450円
コークハイ500円
「営業時間17:00~23:00【日】16:00~23:00/月休」

 

 

 

 

亀戸で早い時間から立ち飲めるew_icon_a401_20231227150839778.gif
JR総武線亀戸駅から徒歩約4分、亀戸中央通り商店街から入った路地裏に立ち飲み酒場(梅田屋)がある。
店内は立ち飲みカウンターのみ。
海鮮ぬた、かきあげ、もずくポン酢など、大衆酒場らしいメニューが中心。
酒は焼酎、ビール、ホッピー、バイスサワー、ウイスキーのほか、日本酒は、土佐鶴、一ノ蔵など。
隣り合った、角ハイボールでほろ酔いの若い夫婦に、「にこごり」をすすめられた。
魚の切れ端を魚の煮汁で固めたにこごりは口でほろりと溶け、酒をしみじみとうまくする。
「イカばくだん、って何?」
主人に声をかけた。
「トビッコ、たくあん、刻みネギ、納豆、ワカメをイカで和えたもの。おすすめです」
届いたイカばくだんに醤油をまわしてエイヤとかきまぜると、スタミナさあ来いの一品となった。
ねっとりとしたうま味のイカばくだんは、言うまでもなく酒との相性は申し分ない。
亀戸の一軒目に重宝だ。
注意にこごり100円
真鯛天ぷら2ヶ280円
海鮮ばくだん320円
イカばくだん350円
国産レモンサワー330円
レモンハイボール350円
「営業時間15:00~22:00【土・日】12:00~22:00/不定休」

『立ち飲み店』

 

 

 

 

 

酒と味を知る大人が集う小料理屋ew_icon_a400_20231227130010ae9.gif
東武亀戸線亀戸水神駅から歩くこと約5分、亀戸五丁目中央通り沿いに小料理屋(三代目 まる天)がある。
「いらっしゃい」
白調理着の主人と見習いの料理人がカウンターに立つ。
酒の品書きを開くと飛露喜、田酒、ゆきの美人、くどき上手、阿部勘など、東北の地酒が揃う。
青森地酒「松緑 純米」のお燗にした。
クイー……。
身も心も一気にほぐれてゆく。
燗酒こそ日本酒の醍醐味だ。
日本酒は温めることにより味がふくらみ、豊麗に香り立ち、その酒のもつ力のすべてを味わえる。
燗酒をひと口飲んでから品書きをつらつら見る。
生かき、赤なまこ酢、チーズ豆腐、白子ポン酢、黒バイ貝の磯煮……。
「酒を旨くするものばかりですね」
初めて出た感想に、白調理着の主人がにっこり笑った。
選んだ「赤なまこ酢」はナマコ狂を絶句させる名品。
酒がすすんで困るのう。
平成27年創業。
亀戸に酒と肴を極める店あり。
注意深谷ねぎの焼き浸し300円
赤なまこ酢500円
山ごぼうの肉巻き煮600円
長崎 かわはぎ※肝付1700円
山形 アスタリスク 辛口 純米800円
青森 豊盃 特純950円
「営業時間17:00~22:00/火休【月祝休】」