いと サイド


暗闇の中

大きくて黒い影がどんどん近づいて来る。













涼太『いと?』



大きな人影は涼太だった。



いと『もーーーう。ビックリしたー。

不審者かと思ったじゃん!』




襲われるかもという不安から

一気に安堵した。






家のことでバタついて

考えるヒマがなかったが…



いとはそれを理由に涼太を忘れることが

出来るんじゃないかと思い始めていた。



でも、忘れようと思っているうちは

中々忘れることは出来なくて…



それでも体育祭の日

ハチマキを交換していた涼太を

思い出したら


忘れる努力をしないといけないと思っていた。




それに

泣き顔を涼太に見られるのが嫌だった。



だから…その場を立ち去ろうと思った。



涼太には悟られない様に…

いつもの自分で…



いと『よし!じゃ、私帰るね!』



と伝え立ち上がった。