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前話







その瞬間…

涼太に腕を掴まれた。



涼太『いと?大丈夫…?』




涙が出そうになった。

これ以上優しくされたら

きっと涙が溢れる。



その前に早く帰らないと…




いと『大丈夫だよ。』





涼太『大丈夫じゃないやろ?

大丈夫なら俺の顔みて言って。』



無理だった。

大好きな涼太に掴まれた腕が

解けなくて…

本当は解きたくなくて…



頭では分かっているのに…

身体が動かなくて…



目から涙が溢れ出した。




するとそのまま涼太に

抱きしめられた。



母が帰ってこなくなったあの日から

誰かにこうしてほしかった。



大丈夫?って心配されて

ぎゅうって抱きしめて

大丈夫だよ。って言ってほしかった。



今まで、

小学生の頃から

ずっと1人で頑張ってきた自分の想いとか…

自分の想いが母親に伝わらない悔しさとか…

西田の家での生活の不満とか…


いろんな想いがごちゃ混ぜになって


涼太の背中にしがみついて

たくさん泣いた。



涼太の腕の中は

柔軟剤のいい香りがして…

家庭の匂いに余計胸が熱くなった。







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