過払金を弁護士の僕ならどうするか-11(弁護士に依頼しましょう) | サラリーマン弁護士がたまに書くブログ

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2019年7月にうつ病を発症したことをきっかけにブログを始めたサラリーマン弁護士が、書きたいことをたまに書いています。

 

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

 

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

 

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

 

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

 

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

 

【 今日のトピック:過払金 】

 

今日も引き続き、過払金について書いていきます。

 

昨日は、過払金を返金してもらうための交渉に必要な前提知識について説明しました。

 

過払金を計算するエクセルファイルの入力方法や、過払利息に関する法的知識をお話しました。

 

ただ、いちばん必要な知識があって、それは、「訴訟」です。

 

というのも、過払金を返金するために訴訟を提起してしまえば、返金日(振り込まれた当日)までの過払利息も含めて、まるまる全部入金されるからです。

 

ここが、過払金請求の最大の特徴です。

 

訴訟を提起してしまえば、必ず満額もらえる。ここがあるからこそ、弁護士がこぞって過払金の依頼を受けようと躍起になるのです。

 

(いちおう、サラ金業者が自発的に返金しない可能性はありますが、判決が出ても支払わない場合、サラ金業者の預金口座を差し押さえることができます。そうすると、預金口座がロックされてしまい、アコムやアイフルの業務がストップしてしまいます。そんな事態は絶対に回避しなきゃいけないので、大手サラ金が、判決が出れば必ず過払金を支払ってきます。)

 

ということは、訴訟がきちんと遂行できれば、過払利息も含めてまるまる全部もらえるわけですから、これが、最大の交渉材料となります。

 

つまり、基本的に、過払金の交渉では、譲歩する必要がありません。

 

だって、訴訟を提起してしまえば満額もらえるのに、わざわざ譲歩する必要ってありませんよね?

 

譲歩する理由は、「早く受け取りたい」という、時間的な妥協のみです。

 

訴訟を提起することになれば、どうしても時間がかかってしまいます。訴状を裁判所に提出して、第1回期日まで約1ヶ月はかかります。

 

第1回期日で相手が争わなくても、判決までさらに1週間~2週間はかかります。

 

相手が争ってきたら、その争い方によっては、さらに数ヶ月かかってしまうこともあります。

 

だから、時間的な妥協を理由として、譲歩するのは一理あります。

 

でも、サラ金業者と交渉していると、支払期限をかなり先延ばしにしてくることも多いです。より満額に近い金額であればあるほど、支払期限は先延ばしになります。

 

サラ金業者側も、譲歩する理由が時間的な妥協であることは十分にわかっているんです。だから、「早く受け取りたいんだったら、安くしてよね」というふうに、こちらの足元を見てくるわけです。

 

そりゃそうですよね。訴訟を提起してしまえば満額もらえるのに、わざわざ譲歩して、安くてもいいから早く過払金を受け取りたいわけですから、金銭的に困窮しているなど、何かしら、金額よりも時間を優先しなきゃいけない理由があるはずです。

 

そんなことは、サラ金業者も察知しています。

 

だから、金額が高ければ高いほど、支払期限は先延ばしになり、安ければ安いほど、支払期限は近づきます。

 

これって、結局、サラ金業者に振り回されていることになっていますよね?

 

交渉だと、こういうふうに、サラ金業者に振り回される可能性が出てくるんです。

 

まあ、「交渉」なので、当たり前です。「交渉」というのは、こちらと相手で妥協点を探る作業ですから、相手の意向を無視することはそもそも不可能です。

 

だから、「交渉」にこだわっていると、せっかく、法的には、過払利息も含めて満額もらえるはずなのに、結果的には、過払利息を譲歩したりだとか、支払期限がだいぶ先延ばしになったりだとか、あまり有利な内容で妥結できなかったりします。

 

でも、弁護士を入れると、そういうことは起きません。

 

弁護士は、いつだって、「訴訟を提起してしまえばいいや」と思っています。というか、中には、最初から「過払金の事件では交渉せずに訴訟提起する」と腹を決めている弁護士もいます(笑)

 

もちろん、お客さんに無断で訴訟を提起することはありませんが、弁護士にとって「訴訟」は日常茶飯事で、しかも、過払金の訴状なんて、定型文ですぐに作成できますから、全く時間をとることなく、秒で訴訟提起できます。

 

だから、「訴訟提起」が全くハードルにならないんです、弁護士を入れていれば。

 

弁護士を入れていないと、訴訟提起はそれなりに高いハードルになると思います。

 

まあ、インターネット上に転がっている書式を見ながら作成することもできなくはないでしょうけど、そんな書式に悪戦苦闘している間に、弁護士は過払金の訴状を10通は出しています。

 

しかも、訴状の形式が整っていないと、裁判所から訂正の電話が入ります。裁判所は平日の昼間しかやっていないので、その間に電話を折り返せないと、いつまでも裁判が始まりません。

 

裁判が初めての人が作成した訴状は、ほぼ間違いなく、訂正が必要になります。

 

提出前に、どれだけチェックしたところで、そもそも、チェックに必要な前提知識が欠けているので、どこをどうチェックしたらよいかすらわからないからです。

 

そのため、ほぼ間違いなく、訂正の電話がかかってくるんですが、その電話は平日の昼間しかかかってきませんし、訂正も必ず書面で提出しなきゃいけないので、書面を準備するのも手間です。

 

こういった訂正がすべて完了してやっと、訴訟が始まります。

 

弁護士を入れていると、過払金の訴訟であれば、訂正がないことがほとんどなので、弁護士を入れないせいで訂正に悪戦苦闘している間に訴訟は始まっています。

 

過払金の事件は、「訴訟を提起してしまえば満額もらえる」という構造になっているからこそ、「訴訟提起」に対するハードルが高いか低いかで、結果が大きく左右されてしまうんです。

 

訴訟提起に対するハードルが低ければ、訴訟前の交渉段階でも、「訴訟提起しちゃえばいいや」と思えるので、強気な交渉ができます。ある程度、(過払利息を含めた)満額に近い金額を心に持っておきながら、その金額未満をサラ金業者が提示してきたり、その金額を超えているとしても、支払期限があまりにも先延ばしだったりすれば、「じゃあ、訴訟提起します」と交渉を打ち切れるのです。

 

しかし、訴訟提起に対するハードルが高いと、こうはいきません。

 

訴訟提起する面倒(手間や時間)を考えると、安い金額であっても、その金額で妥協せざるを得ないかもしれません。訴訟を提起すれば過払金が満額もらえるとしても、訴状の作成すらままならず、仮に訴状を提出できたとしても、裁判所からの訂正がどれだけあるかわかりませんし、最終的に判決まで進めるかどうかも未知数です。

 

そうなると、「満額もらえる」という法的な結論も、絵に描いた餅です。

 

だから、僕だったら、弁護士に依頼します。

 

そして、依頼してしまえば、過払金の案件は、かなり簡単な部類に入るので、過払金の入金を待ちます。

 

僕だったら、訴訟を提起する前に、いったんは交渉をはさみます。過払利息を含めた金額のうち、9割くらいが返金されればいいかな、という感じです。

 

ただ、支払期限が半年先だとサラ金業者から言われたら、「訴訟提起してください」と弁護士に言います。そんな先なら、訴訟提起したほうが早いからです。

 

こんな感じで、僕だったら2段階で構えます。

 

過払利息も含めた過払金の金額を弁護士に算出してもらったうえで、

 

・交渉で9割までなら譲歩する

・支払期限が半年先なら訴訟提起する

 

という感じです。

 

・過払金の金額を算出してもらう

・交渉

・訴訟提起

 

この3つの作業を、最終的な過払金の返金額の20%+消費税でやってくれるなら、十分依頼する価値があるなと僕は思います。

 

最終的に、自分の懐は痛んでいませんしね。報酬も、返金された過払金から支払っているので、痛手は全くありません。

 

さて、こんな感じで過払金については今日で終えて、明日からは、「貸したお金が返ってこない!」について書いていこうと思います。

 

それではまた明日!

 

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