過払金を弁護士の僕ならどうするか-10(過払金を回収するために知っておかなきゃいけないこと) | サラリーマン弁護士がたまに書くブログ

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2019年7月にうつ病を発症したことをきっかけにブログを始めたサラリーマン弁護士が、書きたいことをたまに書いています。

 

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

 

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

 

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

 

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

 

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

 

【 今日のトピック:過払金 】

 

今日も引き続き、過払金について書いていきます。

 

昨日は、過払金をアコムやアイフルなどのサラ金業者から返金してもらう具体的な方法についてお話しました。

 

弁護士を入れて、弁護士からサラ金業者に通知を送ってもらい、取引履歴をサラ金業者から送り返してもらうのが、最初のステップです。

 

取引履歴を送り返してもらうまでに、早ければ1週間くらい、遅いと1ヶ月くらいかかります。

 

送り返してもらった取引履歴には、借りた日付と金額、返済した日付と金額が逐一書かれています。

 

ただ、その日付や金額を見ていても、過払金がいくらあるのかは全くわからないので、過払金を計算できるエクセルファイルに、借りた日付と金額、返済した日付と金額を1つ1つ打ち込んでいきます。

 

取引履歴は書面で送り返されますので、それを逐一打ち込んでデータ化しなきゃいけません。

 

アディーレなどの、過払金を手広く扱っている法律事務所なんかでは、書面の記載を一気にデータ化して、過払金を計算できるのかもしれませんが(たぶんそんなシステムありません。過払金の件数が減っているので、そんなシステムを開発するために資金を投下しても投下資金を回収できないからです)、普通は、事務員さんが逐一エクセルファイルに打ち込みます。

 

(ちなみに、僕は事務員さんの数が圧倒的に不足していたので、自分で打ち込んでいました。そのため、打ち込み方も経験で学んでいます汗)。

 

ここまでの作業は、着手金無料でやってくれる法律事務所がほとんどでしょう。

 

そして、過払金があることが判明したら、サラ金業者との交渉が始まります。

 

過払金がないことが判明したら、そこでお終いです。過払金がなくても、別途手数料を支払ってもらう法律事務所もあるでしょうし、別途手数料が不要な法律事務所もあるでしょう。そのへんは、正式に依頼する際に作成する「委任契約書」ではっきりさせるので、予期せぬ出費を強いられることはありません。

 

さて、昨日は、「僕だったら弁護士に依頼します」というところで終わっていましたが、その理由は、取引履歴を取り付けた結果、過払金があることが判明し、サラ金業者との交渉が始まる段階で明らかとなっていきます。

 

確かに、取引履歴は弁護士を入れなくても、サラ金業者から送り返してもらうことができますし、過払金の有無も、エクセルファイルに逐一打ち込んでいけば、判明します。

 

ただ、そもそもですが、過去に過払金のエクセルファイルに打ち込んだことがなければ、どうやって打ち込むのかもよくわかりません。

 

過払金があるかどうかは、ひとえに、エクセルファイルの算出結果に依存しています。そのため、正確にエクセルファイルに打ち込めていないと、サラ金業者と交渉するどころか、過払金があるかどうか、あるとしても、その正確な金額がわかりません。

 

「交渉」なんてのは、なんの基準もなしに進めることができるものじゃありません。基準がなければ、まとまるものもまとまりません。

 

過払金の交渉って、どうやって進むかというと、エクセルファイルが算出した金額を基準として、その金額からどこまで譲歩するか、最低ラインをいくらに設定するか(どの金額までは受け入れるか、それが満たされないなら訴訟を提起するか)、こんなことを考えなきゃいけません。

 

(なんか難しそうですが、僕が思うに、弁護士の扱う「交渉」は、めちゃくちゃ簡単な部類に入ります。というのも、弁護士は、最終的に「訴訟」によってむりやり解決する方法を熟知しているからです。交渉にこだわる必要がないのが弁護士なので、正直なところ、僕はあんまり交渉が得意ではありません。交渉が得意な弁護士もいるでしょうし、相手と交渉する対価としてお金を頂いているので、「交渉のプロ」なのかもしれませんが、交渉を成立させなくても仕事を進める方法(紛争を解決する方法)知っているので、交渉が不得意でも成り立つ仕事なのです。)

 

だから、きちんと正確に過払金の金額を算出することが大切で、そこを、過去に過払金を計算したことがない自分で行うのは、かなりリスキーだと思います。

 

しかも、過払金は、「過払利息」というものもあります。

 

このブログでは繰り返し説明していますが、「過払金」とは、「払いすぎた利息(=利息制限法の上限利率を超えて返済してしまった利息)」のことです。

 

これを返金してもらうのが「過払金請求」なのですが、この「過払金請求」の法的な根拠は、「不当利得返還請求」です。

 

「不当利得返還請求」とは、法律上の原因なく、他人の損失によって利益を得た人は、その利益を損失を被った人に返さなきゃいけない、というめちゃくちゃ当たり前のことを難しく言っているだけなんですが(とはいえ、ハチャメチャに難しい議論が無数にあります)、この「不当利得返還請求」は、利益を得た人が「悪意」の場合に、利息を付加して返さなきゃいけません。

 

「悪意」とは、「知っている」という意味の法律用語です。で、利息制限法違反の利息を取り立てていたサラ金業者たちも、「悪意」とみなされます。

 

そのため、サラ金業者たちは、払いすぎた利息に、年利5%の利息を付加して返さなきゃいけないんです。

 

さて、「利息に利息を付加して返さなきゃいけない」という、意味分かんない日本語が出てきましたが、これが過払金請求です。

 

自分でやるのであれば、「意味分かんない」なんて言ってられません。年利5%の利息があるかどうかで、過払金の金額は全く違ってきます。

 

エクセルファイルでは、過払利息アリとナシを瞬時に入れ替えられるボタンも設けてあるので、それを押せば、過払利息アリの金額とナシの金額が瞬時に算出できます。

 

だから、きちんと日付と金額を打ち込んでさえいれば、双方の金額はちゃんと出てきます。

 

で、交渉する場合は、この2つの数字を脇に抱えていなきゃいけません。

 

明日は、この2つの数字を脇に抱えて、どうやって交渉するのか、というところからお話します。

 

それではまた明日!・・・↓

 

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