序二段の力士が引退したそうですね。
コロナ禍で試合会場にまで赴く気持ちになれないだとか…。
親方や本部の人達の話だと、「休場は診断書が必要だ。コロナが怖いだけでは休場の理由にならない。出場か引退の二つしかない」と。
そして引退されたと…。
その是非を私はここで言及しないことにしますが、引退後の彼がツイッターで述べていなければ、角界でこんなやり取りは全て闇に消えるかな?とも思いました。勿論、力士のSNS禁止の是非にもここでは言及しません。
そして、春頃に政府が述べてた「検証と改正はコロナ終息後に行います。」
う~ん、これについてはホントにがっかりでした。
お役所の古い連中は、徹底的に「やったことがないことはやらない」
なのかと落胆しましたが、そのツケが既に今、訪れているんだなと。
更に三つ目は日本一になったソフトバンクホークスの契約更改で。
「先発ローテーションの壁が厚くて登板機会が恵まれなかったが、常に二軍で準備してきた。」
「チーム事情で複数のポジションを守ったことで年俸のUPより、チーム事情で出場機会が減った年俸ダウンの方が優先された。」
ということです。※該当選手の正確なコメントではありません。
さて、以上三つの事例を皆さまはどう考えますか?
私が思うに裁量や行動の幅を意図的に狭めて「想定外」って言うのは凄く安易だと思うんですよね。
誰も経験したことがない状況下で「物差しが変わる」のは査定する側もされる側も嫌なのは十分に解ります。
でも人間と人間。または社会と社会の関わりは太古の昔からそう変わってないと思うんですけどね…。
コロナを理由にしてれば全て許される。だからいつまでもコロナが終息しないでほしい。
なんて思ってる偉いさん連中が世の中を動かしてる限り、何も変わらないだろうなと思うんです。
上のソフトバンクの例を極端にすれば、
「一年間守護神を任されたけど、チームの打線が強すぎて、セーブのつかない大量点差ばかりだった。だからタイトル獲った去年より表面上の成績は下がった。」
てなるのはどうなんだろう?
代打や控え捕手を出すまでもない試合展開ばかりだと?
「準備力」とイチロー氏を例に出してよく言われてましたが、これは最近の気象警報発令時の「空振りを恐れるな」の国の姿勢と重なって見えます。
何か、何か、この辺りに共通する新たな美しい価値観が産声を挙げる直前のような気がするのです。
了
こちらは後編です。**
「大きい方がいいに決まってるじゃないか!
大きな葛籠(つづら)をおくれよ!」
「いけませんお婆様!大きな葛籠には魑魅魍魎が!」
「ならばポチよ、お前が退治すればよかろう!お前で無理なら息子達に任せればよい。葛籠は両方貰っていくよ。」
「ポチよ!次はどこを掘ればよい?さぁ早くワンと鳴け!」
「お爺様、この一帯に宝はもう…。」
「ならば明日にでも関所を越えるぞよ。支度せい!」
「長旅はお身体に障ります…。」
****
「犬よ、これがお前が望んだ未来か?これがお前の忠義の果てか?」
「『どんな宝も嗅ぎ分ける鼻をください』と願い出た結末がこれか?」
「二人は手前の主です」
「そうだな。婆さんが桃を拾う前からお前は我が家に仕えていた。
お前の主は儂ではなくジジババ達だ。
だから打出の小槌の願いもジジババ達の幸せの為にってか?
犬よ、お前自身は幸せなのか?」
「主人の幸せが手前の幸せであります。」
「…猿は今しがた出ていったぞ。」
「さ、猿が…?おのれ不忠者が…!」
「もうお前達に苦言を提する者は居ないよ。犬よ、いつでもウチに来いよ。」
「いえ、犬は二君に仕えません。たとえ二人を看取った後でも…。」
「二人が亡くなったら桜の木の下にでも埋めてやれ。灰を投げれば冬でも花が咲くかもなあ?掘り返すなよ?」
「ご冗談を…。手前は最期までお二人に付き従います…。」
****
「あらあら、やっぱり二人とも袂を分かったんやねぇ、『犬猿の仲』言うとおりやわ」
「お前もいつ出て行ってもいいんだぞ?」
「嫌やわぁ、ウチがそないなこと思うてるわけないのにイケず言うてからに。」
「儂はお前だけが居てくれたらいい。」
「ウチも桃はんと永遠に寄り添えたら何も要りまへんぇ。
桃はんとウチの願いが同じやと知った時、天にも昇るほどの嬉しかった…。
…それがウチの一番の宝や…。
ありがとうな…。」
「おきじ…儂の方こそ有難う。
『人間になりたい』と言ってくれて。」
「ウチこそ有難う。『おきじを人間にしたい』って言ってくれて…。」
「なぁ、おきじ…。儂達は鬼退治して良かったのかなあ?」
「ウチはお釈迦様とちゃいますぇ。
ただ、桃はんが鬼退治に出てくれなんだら、ウチらは出会いませんでした。ただ天下を取りたがる猿も、老夫婦に尽くす犬も、桃はんを好いたウチも全ては一夜の夢かもしれませんぇ」完
「大きい方がいいに決まってるじゃないか!
大きな葛籠(つづら)をおくれよ!」
「いけませんお婆様!大きな葛籠には魑魅魍魎が!」
「ならばポチよ、お前が退治すればよかろう!お前で無理なら息子達に任せればよい。葛籠は両方貰っていくよ。」
「ポチよ!次はどこを掘ればよい?さぁ早くワンと鳴け!」
「お爺様、この一帯に宝はもう…。」
「ならば明日にでも関所を越えるぞよ。支度せい!」
「長旅はお身体に障ります…。」
****
「犬よ、これがお前が望んだ未来か?これがお前の忠義の果てか?」
「『どんな宝も嗅ぎ分ける鼻をください』と願い出た結末がこれか?」
「二人は手前の主です」
「そうだな。婆さんが桃を拾う前からお前は我が家に仕えていた。
お前の主は儂ではなくジジババ達だ。
だから打出の小槌の願いもジジババ達の幸せの為にってか?
犬よ、お前自身は幸せなのか?」
「主人の幸せが手前の幸せであります。」
「…猿は今しがた出ていったぞ。」
「さ、猿が…?おのれ不忠者が…!」
「もうお前達に苦言を提する者は居ないよ。犬よ、いつでもウチに来いよ。」
「いえ、犬は二君に仕えません。たとえ二人を看取った後でも…。」
「二人が亡くなったら桜の木の下にでも埋めてやれ。灰を投げれば冬でも花が咲くかもなあ?掘り返すなよ?」
「ご冗談を…。手前は最期までお二人に付き従います…。」
****
「あらあら、やっぱり二人とも袂を分かったんやねぇ、『犬猿の仲』言うとおりやわ」
「お前もいつ出て行ってもいいんだぞ?」
「嫌やわぁ、ウチがそないなこと思うてるわけないのにイケず言うてからに。」
「儂はお前だけが居てくれたらいい。」
「ウチも桃はんと永遠に寄り添えたら何も要りまへんぇ。
桃はんとウチの願いが同じやと知った時、天にも昇るほどの嬉しかった…。
…それがウチの一番の宝や…。
ありがとうな…。」
「おきじ…儂の方こそ有難う。
『人間になりたい』と言ってくれて。」
「ウチこそ有難う。『おきじを人間にしたい』って言ってくれて…。」
「なぁ、おきじ…。儂達は鬼退治して良かったのかなあ?」
「ウチはお釈迦様とちゃいますぇ。
ただ、桃はんが鬼退治に出てくれなんだら、ウチらは出会いませんでした。ただ天下を取りたがる猿も、老夫婦に尽くす犬も、桃はんを好いたウチも全ては一夜の夢かもしれませんぇ」完
「お暇を頂きたく存じます。」
「猿よ、またその話か!?考え直せ!」
「今回ばかりは本気であります。
どうしても…と仰られるならば、拙者をお切りくださいませ。」
「…。」
「…。」
「わかった、わかった!儂の負けだ!早々に出ていけ!」
「有り難く存じます。これで天下の民が救われます。」
「ふん、『天下の民』とは大きく出たな。つい一月前は『村人の幸せ』だったのにな!
で、猿よ、犬とは話し合えたのか?」
「…いえ…。犬は相も変わらず爺様と婆様に財宝を贈る毎日…。
所詮、拙者とは相容れぬ仲だったのであります。」
「はい、その忠義は見習いたいほどに…。」
「あぁ、だが結局、儂が主ではなかった。
お前もな…!」
「…はい、拙者は村人に雇われた身でありますので…。」
「ふん、猿知恵とは言ったものだ。
お前なら天下を枕に黄金の茶室で最期を迎えることも、雲の上に乗り、妖怪退治も可能だろう。
だが、調子に乗って木に登れば、『カニの息子』の返り討ちに遭う。気をつけな!それと、ウサギに背中を見せるなよ!」
「はい、胆に命じます…。」
****
『財産分与』は鬼退治よりも困難を極めた。
持ち帰った金銀財宝は争いの火種となった。
儂という息子の手柄を主張する『ジジババ派』と、村に返還すべきという『村人派』だ。
宝を巡り、年甲斐もなく強欲に強欲を重ねるジジババから儂は距離を置くことにした。
だが、鬼ヶ島にあった本当の宝は金銀財宝ではなかった。
伝説の「打出の小槌」があったのだ。
小槌が叶える願いは3つ。儂は金銀で村人とジジババを欺き、3つの願いは三匹のお供に褒美として与えることにした。
だが…それがまた新たな混乱を招いた。
いち早く願い出たのは猿だった。
猿は村人に送り込まれた儂達の監視役に過ぎなかった。
「天下を統べる知恵を与えたまえ」
と。
人間以上に賢くなった猿は、金銀財宝を元手に村人を恒久的に豊かにしようとした。
商いを奨励し、子供に学問を教え、その挙げ句がさっきまでの問答だ。
鬼が居なくなっても、村人は人間の盗賊に怯える日々が続いた。
自警団を雇うだけでは間に合わないと考えた猿の夢は「天下統一」だ。
それを打出の小槌で願わないところが猿の猿足る所以か、人間の方が猿の猿真似をしているのかは解らない。
だが儂には興味ない。
この若年寄りの隠遁生活をどうか邪魔しないでくれ…。
続
「猿よ、またその話か!?考え直せ!」
「今回ばかりは本気であります。
どうしても…と仰られるならば、拙者をお切りくださいませ。」
「…。」
「…。」
「わかった、わかった!儂の負けだ!早々に出ていけ!」
「有り難く存じます。これで天下の民が救われます。」
「ふん、『天下の民』とは大きく出たな。つい一月前は『村人の幸せ』だったのにな!
で、猿よ、犬とは話し合えたのか?」
「…いえ…。犬は相も変わらず爺様と婆様に財宝を贈る毎日…。
所詮、拙者とは相容れぬ仲だったのであります。」
「はい、その忠義は見習いたいほどに…。」
「あぁ、だが結局、儂が主ではなかった。
お前もな…!」
「…はい、拙者は村人に雇われた身でありますので…。」
「ふん、猿知恵とは言ったものだ。
お前なら天下を枕に黄金の茶室で最期を迎えることも、雲の上に乗り、妖怪退治も可能だろう。
だが、調子に乗って木に登れば、『カニの息子』の返り討ちに遭う。気をつけな!それと、ウサギに背中を見せるなよ!」
「はい、胆に命じます…。」
****
『財産分与』は鬼退治よりも困難を極めた。
持ち帰った金銀財宝は争いの火種となった。
儂という息子の手柄を主張する『ジジババ派』と、村に返還すべきという『村人派』だ。
宝を巡り、年甲斐もなく強欲に強欲を重ねるジジババから儂は距離を置くことにした。
だが、鬼ヶ島にあった本当の宝は金銀財宝ではなかった。
伝説の「打出の小槌」があったのだ。
小槌が叶える願いは3つ。儂は金銀で村人とジジババを欺き、3つの願いは三匹のお供に褒美として与えることにした。
だが…それがまた新たな混乱を招いた。
いち早く願い出たのは猿だった。
猿は村人に送り込まれた儂達の監視役に過ぎなかった。
「天下を統べる知恵を与えたまえ」
と。
人間以上に賢くなった猿は、金銀財宝を元手に村人を恒久的に豊かにしようとした。
商いを奨励し、子供に学問を教え、その挙げ句がさっきまでの問答だ。
鬼が居なくなっても、村人は人間の盗賊に怯える日々が続いた。
自警団を雇うだけでは間に合わないと考えた猿の夢は「天下統一」だ。
それを打出の小槌で願わないところが猿の猿足る所以か、人間の方が猿の猿真似をしているのかは解らない。
だが儂には興味ない。
この若年寄りの隠遁生活をどうか邪魔しないでくれ…。
続