「そう…。伸太さんがジャイ子ちゃん達の短絡的な殺人依頼 を受けなくて安心したわ。
私と一緒に居た時はそんな経緯は何も話してくれなかったのに!」
「静香ちゃん、僕はあの茂手って男がそんなに悪い奴には見えないんだ。
だから河井秘書とも話し合ったんだけど、そろそろ…。」
****
「そう…。周音夫さんがそう判断したなら私は構わないわ。
実は私も、滞在が伸びる報告だけでなく、今の研究、ほんやくコンニャクの実現に向けて停滞してる状況を打開する為に、ブルーキャットの四次元ポケットから二つ目の道具を出したいと思ってるの!」
「つまり、本物の、22世紀のほんやくコンニャクを使うってことだね?」
「ええ、クリシュナ教授は信用出来る人よ。
だから『オーバーテクノロジー』を公開しても…。」
「そうか、あの時、横浜のうどん屋で話してた時はまだ仮定の話だったけど…。
じゃあ、ジャイアンにも、そろそろ計画を進めて貰おうか。」
「…結局、伸太さんをこちら側へ引き込めなかったのが辛いわ。」
「あいつの鍵はブルーキャットの『記憶』と『心』だからね。『未来テクノロジー』って観点から見れば、伸太だけ外れるのは仕方ないよ。」
「そんなのわかってるわ…。ううん、寂しがってなんかいられない!じゃあ、今こそ、EMBC計画始動ね!」
****
横浜で私と周音夫さんと武さんと話合った時、
「私達が知ってるドラちゃんを復活させることと、未来の世界で大量生産されてる猫型ロボット」
について話合った。
そう、タイムマシンとか関係なく、歴史の自然な流れで、家庭用子守りロボットとして、ブルーキャットは正常に発明されるのだ。それは22世紀に突然生まれるのではなく、今現在のロボット技術がどんどん進化して生まれるからだ。
そのことを十分に理解した上で骨川周音夫CEOは茂手さんを選んだ。
倉庫に眠るドラちゃんの実物を見せて、製品としてデザインさせることを。
勿論、私達が生きてる時代に完成しないことはわかってる。
でもきっと…私達に取ってそれがゴールかもしれないけど、次世代の人間から見たらスタートだわ。
それが
「アーリーモーニング・ブルーキャット(早朝の蒼い猫)EMBC計画」
周音夫さんがドラちゃんのボディの基礎を、武さんと出来杉さんで動力源の理論の構築を、私は秘密道具の先駆けを。伸太さんは優しかったあのドラちゃんの心を、どうか忘れずに伝え続けてね。
続
「え?出来杉さんの狙撃依頼をした茂手さんは、周音夫(すねお)さんの会社の社員だったの!?」
「ええ、正確には来年初頭に我が社が吸収合併する予定の映像製作会社です。
私と骨川社長は先日彼と会って話をしてきました。
****
「骨川社長!事前に連絡を下されば、お迎えを…。」
「社長はお忙しい身です。
私達は茂手最哲夫さんにだけお会いに来ました。
暫くの時間、彼をお借りしても宜しいでしょうか?」
「ええ、どうぞお好きに…。つきましては来年の合併に際し…是非とも私を…。。」
「社長はお忙しい身であります。」
****
「骨川社長が僕を訪ねてくるなんて…覚悟は出来てます。
でも…ここは小さい会社なんです。どうか関係ないスタッフには…。」
「まずは、君がインドを訪れた理由から聞こうか?僕は君の言葉を大切な親友であり部下に伝えなくてはならない。」
「野比さんにお会いしにインドまで行ったのは…お察しの通り…彼の…その能力を期待して…。」
「能力?具体的には?僕は伸太の親友としても聞きたいんだ!」
「……。」
「……。」
「覚悟は出来てるって最初に言いましたよね?社長はその覚悟を待っていますわ。」
「僕は出来杉英才の狙撃を野比さんに依頼しに行きました。
でも簡単に断られたんですよ!
だからどうか、どうか処分は僕だけにして、この映像製作会社と、剛田さんには…。」
「クリスティーネ剛田さんとはもう漫画を一緒に描いてないの?」
「漫画は…お互いに才能の無さを知らされました。剛田さんは絵師に。僕は映像クリエーターの仕事に何とか…。」
「伸太の野郎は何て断ったんだい?」
「はい、シンプルに…『駄目。日本に行く理由もないし、出来杉を撃つ理由もない。』
「それで帰国したのかい?」
「いえ、続きが…。」
「仮にこの村にあいつが来て、僕の仲間とその家族を傷つけたら、僕は引き金を引くかもしれない。その結果君が喜んでも、君からの賛辞も報酬も要らないよ。日本からのお客だから芋をあげようかと思ったけど、売ってあげるよ。あと、今日はエムポパが帰国してて人手不足なんだ。僕が昼寝してる間にゾウ舎を掃除してから日本に帰って。」
「へぇ~伸太のくせに大物ぶったつもりかもな。
良かったじゃないか生きて帰ってこれて。」
「掃除を手伝わされた後、ゾウの絵のスケッチを見せたら喜んで貰えました。そしたら急に今までの自分が情けなく…。」続
「ええ、正確には来年初頭に我が社が吸収合併する予定の映像製作会社です。
私と骨川社長は先日彼と会って話をしてきました。
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「骨川社長!事前に連絡を下されば、お迎えを…。」
「社長はお忙しい身です。
私達は茂手最哲夫さんにだけお会いに来ました。
暫くの時間、彼をお借りしても宜しいでしょうか?」
「ええ、どうぞお好きに…。つきましては来年の合併に際し…是非とも私を…。。」
「社長はお忙しい身であります。」
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「骨川社長が僕を訪ねてくるなんて…覚悟は出来てます。
でも…ここは小さい会社なんです。どうか関係ないスタッフには…。」
「まずは、君がインドを訪れた理由から聞こうか?僕は君の言葉を大切な親友であり部下に伝えなくてはならない。」
「野比さんにお会いしにインドまで行ったのは…お察しの通り…彼の…その能力を期待して…。」
「能力?具体的には?僕は伸太の親友としても聞きたいんだ!」
「……。」
「……。」
「覚悟は出来てるって最初に言いましたよね?社長はその覚悟を待っていますわ。」
「僕は出来杉英才の狙撃を野比さんに依頼しに行きました。
でも簡単に断られたんですよ!
だからどうか、どうか処分は僕だけにして、この映像製作会社と、剛田さんには…。」
「クリスティーネ剛田さんとはもう漫画を一緒に描いてないの?」
「漫画は…お互いに才能の無さを知らされました。剛田さんは絵師に。僕は映像クリエーターの仕事に何とか…。」
「伸太の野郎は何て断ったんだい?」
「はい、シンプルに…『駄目。日本に行く理由もないし、出来杉を撃つ理由もない。』
「それで帰国したのかい?」
「いえ、続きが…。」
「仮にこの村にあいつが来て、僕の仲間とその家族を傷つけたら、僕は引き金を引くかもしれない。その結果君が喜んでも、君からの賛辞も報酬も要らないよ。日本からのお客だから芋をあげようかと思ったけど、売ってあげるよ。あと、今日はエムポパが帰国してて人手不足なんだ。僕が昼寝してる間にゾウ舎を掃除してから日本に帰って。」
「へぇ~伸太のくせに大物ぶったつもりかもな。
良かったじゃないか生きて帰ってこれて。」
「掃除を手伝わされた後、ゾウの絵のスケッチを見せたら喜んで貰えました。そしたら急に今までの自分が情けなく…。」続
「銃によって『守られる物』も確かにあるが、『生み出す物』は何もない。
というのが私の考えだよ、Dr.シズカ。
食べ物とお金は銃で奪えても、『食べた物』と『学んだこと』を奪うことは出来ないというのが私の持論だ。だから私は今ここで、君とこうやって研究している。」
「はい。私もそう思います。」
「それよりも…結果が出たようだ。君がドゥル芋に水酸化カルシウムを混ぜて作った…確か日本の伝統的な…。」
「はい、蒟蒻(こんにゃく)です。祖母から教わった作り方ですので、日本国内の一般的な作り方とは…。」
「ドゥル芋の芋煮よりも、こんにゃくにした方が、遥かに数値が伸びてる!
相手の言葉を理解するだけでなく、自分が知らないはずの原語を能動的に伝達出来る様になりはじめている!」
****
そう、私は今の時代でブルーキャットの秘密道具「ほんやくコンニャク」

を作るつもりだ。
そして、世界の首脳達が一堂に集まった席、晩餐会かな?で食べてもらう。
『お互いが母国語同士で』語り合ったら、どれだけ距離が縮まるだろうか?
勿論、直ぐに戦争が終わるわけじゃないけど…。
これを実現するには、防衛副大臣の武さんが防衛大臣の出来杉さんにどれだけ詰め寄れるか、そして周音夫さんがどれだけ世界中の政財界に圧力をかけられるかだわ。
でも問題は…伸太さんよ…『21世紀版ほんやくコンニャクもどき』の産みの親は貴方でもあるのよ…。
彼が…私達の望む理想の未来よりも、銃弾で解決しない保証がないのが正直不安なの…。
研究材料にと言って、農園から度々芋を貰いに行くついでに伸太さんの様子を遠目に見てるだけの自分に腹が立つわ。
何がしたいんだろう…私…。
****
「もしもし、周音夫さん?もうすぐ帰国するって言って、あれから3ヶ月も居座っちゃってホントにごめんなさい!
あと少しで問題がクリア出来るの!え?先月も同じ台詞だったって!?」
「うん、いやいいんだよ。
経費は一切気にしないで。
こっちにも吉報があるんだ。
河井くん!」
「お疲れさまです。
貴女の指示で『源静香さんと行き違いで、野比伸太さんに狙撃依頼をして断られた者』の調査結果が出たことを報告致します。

茂手最哲夫(もてもてお)。例の剛田さんの妹さんと同人誌を出した仲です。」
というのが私の考えだよ、Dr.シズカ。
食べ物とお金は銃で奪えても、『食べた物』と『学んだこと』を奪うことは出来ないというのが私の持論だ。だから私は今ここで、君とこうやって研究している。」
「はい。私もそう思います。」
「それよりも…結果が出たようだ。君がドゥル芋に水酸化カルシウムを混ぜて作った…確か日本の伝統的な…。」
「はい、蒟蒻(こんにゃく)です。祖母から教わった作り方ですので、日本国内の一般的な作り方とは…。」
「ドゥル芋の芋煮よりも、こんにゃくにした方が、遥かに数値が伸びてる!
相手の言葉を理解するだけでなく、自分が知らないはずの原語を能動的に伝達出来る様になりはじめている!」
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そう、私は今の時代でブルーキャットの秘密道具「ほんやくコンニャク」

を作るつもりだ。
そして、世界の首脳達が一堂に集まった席、晩餐会かな?で食べてもらう。
『お互いが母国語同士で』語り合ったら、どれだけ距離が縮まるだろうか?
勿論、直ぐに戦争が終わるわけじゃないけど…。
これを実現するには、防衛副大臣の武さんが防衛大臣の出来杉さんにどれだけ詰め寄れるか、そして周音夫さんがどれだけ世界中の政財界に圧力をかけられるかだわ。
でも問題は…伸太さんよ…『21世紀版ほんやくコンニャクもどき』の産みの親は貴方でもあるのよ…。
彼が…私達の望む理想の未来よりも、銃弾で解決しない保証がないのが正直不安なの…。
研究材料にと言って、農園から度々芋を貰いに行くついでに伸太さんの様子を遠目に見てるだけの自分に腹が立つわ。
何がしたいんだろう…私…。
****
「もしもし、周音夫さん?もうすぐ帰国するって言って、あれから3ヶ月も居座っちゃってホントにごめんなさい!
あと少しで問題がクリア出来るの!え?先月も同じ台詞だったって!?」
「うん、いやいいんだよ。
経費は一切気にしないで。
こっちにも吉報があるんだ。
河井くん!」
「お疲れさまです。
貴女の指示で『源静香さんと行き違いで、野比伸太さんに狙撃依頼をして断られた者』の調査結果が出たことを報告致します。

茂手最哲夫(もてもてお)。例の剛田さんの妹さんと同人誌を出した仲です。」