「え?出来杉さんの狙撃依頼をした茂手さんは、周音夫(すねお)さんの会社の社員だったの!?」
「ええ、正確には来年初頭に我が社が吸収合併する予定の映像製作会社です。
私と骨川社長は先日彼と会って話をしてきました。
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「骨川社長!事前に連絡を下されば、お迎えを…。」
「社長はお忙しい身です。
私達は茂手最哲夫さんにだけお会いに来ました。
暫くの時間、彼をお借りしても宜しいでしょうか?」
「ええ、どうぞお好きに…。つきましては来年の合併に際し…是非とも私を…。。」
「社長はお忙しい身であります。」
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「骨川社長が僕を訪ねてくるなんて…覚悟は出来てます。
でも…ここは小さい会社なんです。どうか関係ないスタッフには…。」
「まずは、君がインドを訪れた理由から聞こうか?僕は君の言葉を大切な親友であり部下に伝えなくてはならない。」
「野比さんにお会いしにインドまで行ったのは…お察しの通り…彼の…その能力を期待して…。」
「能力?具体的には?僕は伸太の親友としても聞きたいんだ!」
「……。」
「……。」
「覚悟は出来てるって最初に言いましたよね?社長はその覚悟を待っていますわ。」
「僕は出来杉英才の狙撃を野比さんに依頼しに行きました。
でも簡単に断られたんですよ!
だからどうか、どうか処分は僕だけにして、この映像製作会社と、剛田さんには…。」
「クリスティーネ剛田さんとはもう漫画を一緒に描いてないの?」
「漫画は…お互いに才能の無さを知らされました。剛田さんは絵師に。僕は映像クリエーターの仕事に何とか…。」
「伸太の野郎は何て断ったんだい?」
「はい、シンプルに…『駄目。日本に行く理由もないし、出来杉を撃つ理由もない。』
「それで帰国したのかい?」
「いえ、続きが…。」
「仮にこの村にあいつが来て、僕の仲間とその家族を傷つけたら、僕は引き金を引くかもしれない。その結果君が喜んでも、君からの賛辞も報酬も要らないよ。日本からのお客だから芋をあげようかと思ったけど、売ってあげるよ。あと、今日はエムポパが帰国してて人手不足なんだ。僕が昼寝してる間にゾウ舎を掃除してから日本に帰って。」
「へぇ~伸太のくせに大物ぶったつもりかもな。
良かったじゃないか生きて帰ってこれて。」
「掃除を手伝わされた後、ゾウの絵のスケッチを見せたら喜んで貰えました。そしたら急に今までの自分が情けなく…。」続