「そう…。伸太さんがジャイ子ちゃん達の短絡的な殺人依頼 を受けなくて安心したわ。
私と一緒に居た時はそんな経緯は何も話してくれなかったのに!」
「静香ちゃん、僕はあの茂手って男がそんなに悪い奴には見えないんだ。
だから河井秘書とも話し合ったんだけど、そろそろ…。」
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「そう…。周音夫さんがそう判断したなら私は構わないわ。
実は私も、滞在が伸びる報告だけでなく、今の研究、ほんやくコンニャクの実現に向けて停滞してる状況を打開する為に、ブルーキャットの四次元ポケットから二つ目の道具を出したいと思ってるの!」
「つまり、本物の、22世紀のほんやくコンニャクを使うってことだね?」
「ええ、クリシュナ教授は信用出来る人よ。
だから『オーバーテクノロジー』を公開しても…。」
「そうか、あの時、横浜のうどん屋で話してた時はまだ仮定の話だったけど…。
じゃあ、ジャイアンにも、そろそろ計画を進めて貰おうか。」
「…結局、伸太さんをこちら側へ引き込めなかったのが辛いわ。」
「あいつの鍵はブルーキャットの『記憶』と『心』だからね。『未来テクノロジー』って観点から見れば、伸太だけ外れるのは仕方ないよ。」
「そんなのわかってるわ…。ううん、寂しがってなんかいられない!じゃあ、今こそ、EMBC計画始動ね!」
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横浜で私と周音夫さんと武さんと話合った時、
「私達が知ってるドラちゃんを復活させることと、未来の世界で大量生産されてる猫型ロボット」
について話合った。
そう、タイムマシンとか関係なく、歴史の自然な流れで、家庭用子守りロボットとして、ブルーキャットは正常に発明されるのだ。それは22世紀に突然生まれるのではなく、今現在のロボット技術がどんどん進化して生まれるからだ。
そのことを十分に理解した上で骨川周音夫CEOは茂手さんを選んだ。
倉庫に眠るドラちゃんの実物を見せて、製品としてデザインさせることを。
勿論、私達が生きてる時代に完成しないことはわかってる。
でもきっと…私達に取ってそれがゴールかもしれないけど、次世代の人間から見たらスタートだわ。
それが
「アーリーモーニング・ブルーキャット(早朝の蒼い猫)EMBC計画」
周音夫さんがドラちゃんのボディの基礎を、武さんと出来杉さんで動力源の理論の構築を、私は秘密道具の先駆けを。伸太さんは優しかったあのドラちゃんの心を、どうか忘れずに伝え続けてね。
続