「首脳会議の晩餐会で『自家製・ほんやくコンニャク』を提供する」
という目標に向かって、インドの研究所で完成を目指していました。
そして世界のトップ達が集まる舞台を整えてくれたのは…一度は私達が憎悪を抱いた出来杉さんでした。
以下の話は、私こと源 静香が後から聞いた話です。
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「武くん、朗報だよ!
遂にインドの外務省筋が仲介役を了承したよ!」
「おぉ、よくやったぜ出来杉防衛大臣よ!
で、サミットはいつだ?」
「それはまだもっと先だよ!
まずは、日米とインドのトップが集まった場所で、インドの首相には、我が国と対立する大国二つと、交渉を仲介すると宣言してもらうんだ。」
「そうか、ご苦労だったな。じゃあ、約束だ。
これを見ろ。」
「…どら焼き…?がどうしたの、武くん?」
「これは俺が預かったどら焼き型をしたブルーキャットの『動力源』だ。周音夫が持ってる『身体』にこのどら焼きの形をした始動エネルギー源を注入すると、ブルーキャットは動き出す。お前が欲しがってた未来の秘密道具も、ブルーキャットの身体もまだ教えるわけにはいかない。
だがこの動力源は俺が俺の責任で託された物だ。
あんまり知られていないけどな、ドラえもんって、核で動いてたんだぜ?」
「核!?」
「驚くのも無理ねぇよな。俺もビックリしたっつーの!人間と同じご飯食べてたドラえもんの身体に核だぜ!?」
「でもご飯を食べてたってことは…?」
「あぁ、俺には難しいことは解らないが、人間と同じ食事で機械が動くってことだ。」
「それを可能にしてるのが核エネルギーってことなんだね…凄いな…22世紀の世界は…。」
「だからその始まりの科学者にお前ならなれるっつーの!
バカな俺でも、世界中に溢れる核兵器が、『ご飯を食べるロボットの胃袋』になるんだぜ!?こんな平和利用があるか?」
「確かに壮大なロマンだ…しかも手元には既に『結果』があるわけだし…。」
「出来杉、お前だって俺達の心の友だったんだよ!ドラえもんが最後の力で俺達以外の記憶を消しても、お前だけ僅かに記憶が残ってたんだな…。本当にすまない。」
「武くん…僕だって、僕だって夏休みには映画のような冒険がしたかったよ…。」
「冒険なら今から出来るさ。皆で行こうぜ!インドによ!」

続。