「自動アップデート機能」はアンドロイドに革命を起こした。
そしてそれは即座に人間社会の構造をも大きく変えた。
今までの人工知能を持つアンドロイドは、あくまでプログラム通りにしか行動、判断が出来ず、常に人間による修理点検及び、方向・指針付けが必要だった。
しかし、自動アップデート機能を備えた新型アンドロイドは、自らの判断で自己を向上することが出来、己が必要と判断すれば、情報やプログラムだけでなく、自らの身体さえも改造・改良を施した。
「全てのロボット(アンドロイドは人間型として全ロボットの一部)は人間のために」
と、仕える人間の主に最も有益なる選択を求め、常に至高のロボットであろうとした。
****
「今日も朝からキャサリンは辛辣だったようだな?」
愛車のポルシェのハンドルを握りながら、主人である長秋は、助手席のブリジットに話しかけた。
「聞いていたのですか!?
申し訳ございません、長秋様。
朝からお見苦しい所を…。」
「君が謝ることじゃない。
僕は自分の意志で早目に屋敷を出たかったんだ。」
と言って大きく右にハンドルを切り、大通りから外れた。
「長秋様、そちらは病院へのルートからは遠回りです!」
「いいんだ、プレゼンの時間までに、君と寄りたい店があるんだ。」
****
「ハンバーガーショップ?」
寂れた路地裏にポルシェを停め、傾いたMの看板のある店の扉を開けた。
「いらっしゃいませ、店内でお召し上がりでしょうか?」
「あぁ、ダブルチーズバーガーセットをコーラで。この娘にはホットコーヒーを。」
「長秋様、私には人間の食事を『食べるフリ』をするフェイク機能は備わってませんが…。」
「いいんだ。温かいコーヒーは両手で温度を味わうんだ。
それなら出来るだろう?」
「はい。確かに私の手の平には温度感知器は備わってます。」
****
「…随分と…標準的なレストランとはかけ離れたお店なのですね、長秋様。」
「君の言語ファイルにも『ファーストフード店』なんてヒットしなさそうだな。
そうだな、『ジャンクフード、21世紀、健康』で検索してみな。」
「畏まりました。検索スタート…。
キャア!…シェフのキャサリンの脳内がショートしそうな歴史的事実が…!」
「はは、そうだな。文明社会に嘆く僕みたいな懐古中毒が、ここで昔ながらのバーガーと接客目当てで足を運ぶのさ。」
「私と同じ旧型…ですね。」続
朝食の準備に終われる厨房は大忙しだった。
しかし、苦心の料理も、肝心の主から「すまん、時間がない」の一言で食べてもらえなければ、シェフのキャサリンはご立腹だった。
「ブリジットさん、ブリジットさん!」
キャサリンの怒りの矛先は、この屋敷を預かる執事のブリジットに向けられた。
これは在原(ありはら)家の日常である。
「はい、ミス・キャサリン。お呼びでしょうか?」
「呼んだから貴女は来たのでしょう?
聴覚センサーだけでなく、思考回路にも異常があるようでしたら、そろそろお払い箱…。」
「いくら私が旧型でも、新型の貴女の78%の演算処理能力は維持出来てますわ!
それよりも長秋(ながあき)様はもうご出勤されますので手短に!
今日は大事なプレゼンがあるのですよ!」
いつになく強気なブリジットに気圧され気味になるキャサリンだったが、きっと睨み付け、堰を切ったこのように言葉を続けた。
「ですから、そのプレゼンに備えた最高の朝食を作ったというのに、『時間がない』とはどういうことですか!欠食によるパフォーマンスの低下は、82%まで落ちるデータが出ています!更に私の朝食を食べてくれさえすれば、132%ものクオリティを発揮出来たはずなのに、それを貴女が…。
貴女が長秋様のスケジュール管理も満足に出来ないなら旧型以前のポンコツ…。」
「行ってきます。マーガレットさん、長秋様から『ホコリは気にせず、机の本には決して触るな』とのことです。」
すれ違い様に声をかけられたハウスメイドのマーガレットが驚くと同時に落胆する。
「そんなぁ~。今日こそはお掃除出来ると思ったのに!そろそろ病気になっちゃいますよ?いえ、先に私達の主機関部にダメージが~。」
玄関では主人である長秋がハンドルを握ってブリジットを待っていた。
自動運転が当たり前の時代に、旧時代のポルシェを自ら運転するのは長秋の趣味でしかなかった。
正門は庭師のグレースによって開閉され、
「行ってらっしゃいませ長秋様。ブリジット、裏門の監視カメラデータをお前の脳内データに転送しておく。車中でチェックしておいてくれ。」
「ありがとうございます、グレースさん」
***
遥か未来、人類は意志を持つアンドロイド達と共同生活を望んだ。
旧型のブリジットは、新型の三人に劣等感を抱いていた。特に新型には「自動アップデート機能」が備わっていたからだ。
だが、長秋は最もブリジットを重用した。続
しかし、苦心の料理も、肝心の主から「すまん、時間がない」の一言で食べてもらえなければ、シェフのキャサリンはご立腹だった。
「ブリジットさん、ブリジットさん!」
キャサリンの怒りの矛先は、この屋敷を預かる執事のブリジットに向けられた。
これは在原(ありはら)家の日常である。
「はい、ミス・キャサリン。お呼びでしょうか?」
「呼んだから貴女は来たのでしょう?
聴覚センサーだけでなく、思考回路にも異常があるようでしたら、そろそろお払い箱…。」
「いくら私が旧型でも、新型の貴女の78%の演算処理能力は維持出来てますわ!
それよりも長秋(ながあき)様はもうご出勤されますので手短に!
今日は大事なプレゼンがあるのですよ!」
いつになく強気なブリジットに気圧され気味になるキャサリンだったが、きっと睨み付け、堰を切ったこのように言葉を続けた。
「ですから、そのプレゼンに備えた最高の朝食を作ったというのに、『時間がない』とはどういうことですか!欠食によるパフォーマンスの低下は、82%まで落ちるデータが出ています!更に私の朝食を食べてくれさえすれば、132%ものクオリティを発揮出来たはずなのに、それを貴女が…。
貴女が長秋様のスケジュール管理も満足に出来ないなら旧型以前のポンコツ…。」
「行ってきます。マーガレットさん、長秋様から『ホコリは気にせず、机の本には決して触るな』とのことです。」
すれ違い様に声をかけられたハウスメイドのマーガレットが驚くと同時に落胆する。
「そんなぁ~。今日こそはお掃除出来ると思ったのに!そろそろ病気になっちゃいますよ?いえ、先に私達の主機関部にダメージが~。」
玄関では主人である長秋がハンドルを握ってブリジットを待っていた。
自動運転が当たり前の時代に、旧時代のポルシェを自ら運転するのは長秋の趣味でしかなかった。
正門は庭師のグレースによって開閉され、
「行ってらっしゃいませ長秋様。ブリジット、裏門の監視カメラデータをお前の脳内データに転送しておく。車中でチェックしておいてくれ。」
「ありがとうございます、グレースさん」
***
遥か未来、人類は意志を持つアンドロイド達と共同生活を望んだ。
旧型のブリジットは、新型の三人に劣等感を抱いていた。特に新型には「自動アップデート機能」が備わっていたからだ。
だが、長秋は最もブリジットを重用した。続
前回の続きから、「指導者は自身がスーパースター、元スーパースターである必要はない」ということです。
それは指導者本人の長所(ストロングポイント)と、育成に必要とされる能力は別物だからです。
但し、現役時代の最も秀でた部分が、部下の違う部分を育てるということです。
プロ野球ではなくサッカーの、しかも漫画の話ですが、キャプテン翼の日向くんと若島津くんの関係がそれと言えます。
東邦学園のフォワード日向くんは、全国屈指の強烈なシュートを放ちます。

ゴールキーパーの若島津くん

は、小、中、高と、ひたすら日向キャプテンのシュートを受ける練習を繰り返します。
それにより、日本国内には、若島津くんから点を取れるフォワードを擁した高校が居なくなります。
はい、日向くんの強烈なシュートが、若島津くんのセービング能力を育てたということです。
「強い仲間が居たら周りが育つのは当然」
と思うかもしれませんが、面白いのは、日向くんの様な同タイプのフォワードは育っていないということです。
これが格闘技なら、偉大な先輩に対して
「何とか弱点を見つけてやろう」
と思うだろうし、チームスポーツならば
「違うポジションで頑張ろう」
と思うのは当然です。
少し脱線しますが、兄弟で野球やサッカーをやってる人達は、殆どが違うポジションだったりします。
それは「全員がバランス良く試合に出たい」という極々自然な理由と流れです。
野球の投手こそ、兄弟ともに、ということはありますが、投手は一試合で複数人登板しますからね。
で、ここからは私的な蛇足ですが、貧打に苦しむ阪神タイガースの打開策として、私は
「選手がノックしてみろ」
と言いたいです。
私は現守備コーチの久慈さん、が選手時代から大ファンだったのですが、キャンプの時の緩いノックはOB解説者から酷評されてました(涙)。実際私もそう思います。華麗なグラブさばき、足さばき、スローイングを伝授することは出来るでしょうが、現役時代からお世辞にも痛烈な打球を打つ選手ではなかったので…。
なので「鋭い打球で捕れない球」を選手がノックする側になれば「我がチームメイトは、こういう守備をしているんだ」と思うようになるのでは?
もしくは野手が打撃投手をしてみるか、ですね。
それは指導者本人の長所(ストロングポイント)と、育成に必要とされる能力は別物だからです。
但し、現役時代の最も秀でた部分が、部下の違う部分を育てるということです。
プロ野球ではなくサッカーの、しかも漫画の話ですが、キャプテン翼の日向くんと若島津くんの関係がそれと言えます。
東邦学園のフォワード日向くんは、全国屈指の強烈なシュートを放ちます。

ゴールキーパーの若島津くん

は、小、中、高と、ひたすら日向キャプテンのシュートを受ける練習を繰り返します。
それにより、日本国内には、若島津くんから点を取れるフォワードを擁した高校が居なくなります。
はい、日向くんの強烈なシュートが、若島津くんのセービング能力を育てたということです。
「強い仲間が居たら周りが育つのは当然」
と思うかもしれませんが、面白いのは、日向くんの様な同タイプのフォワードは育っていないということです。
これが格闘技なら、偉大な先輩に対して
「何とか弱点を見つけてやろう」
と思うだろうし、チームスポーツならば
「違うポジションで頑張ろう」
と思うのは当然です。
少し脱線しますが、兄弟で野球やサッカーをやってる人達は、殆どが違うポジションだったりします。
それは「全員がバランス良く試合に出たい」という極々自然な理由と流れです。
野球の投手こそ、兄弟ともに、ということはありますが、投手は一試合で複数人登板しますからね。
で、ここからは私的な蛇足ですが、貧打に苦しむ阪神タイガースの打開策として、私は
「選手がノックしてみろ」
と言いたいです。
私は現守備コーチの久慈さん、が選手時代から大ファンだったのですが、キャンプの時の緩いノックはOB解説者から酷評されてました(涙)。実際私もそう思います。華麗なグラブさばき、足さばき、スローイングを伝授することは出来るでしょうが、現役時代からお世辞にも痛烈な打球を打つ選手ではなかったので…。
なので「鋭い打球で捕れない球」を選手がノックする側になれば「我がチームメイトは、こういう守備をしているんだ」と思うようになるのでは?
もしくは野手が打撃投手をしてみるか、ですね。