ビーツパウダーをお菓子やパンに使った時の発色について | 型にはまったお菓子なお茶の時間

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主に日々のお茶のお供を記録しているブログです。
レシピの配合はあくまでも「個人的な作りやすさ」と「私好みの味に合わせたもの」になっていますので、レシピそのものよりも、作業する際の理由やポイント自体がお役に立てましたら嬉しく思います!

以前モニターとして七久里農園さんにいただいたのをきっかけにハマった、ビーツのパウダーを使ったお菓子やパン作り。

ビーツパウダーのお菓子を載せる際は発色について触れることが多く、お尋ねいただくこともあるので写真を交えつつまとめてみました。


 

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まずビーツパウダーを加えてパンやお菓子を作る場合、同じ割合で加えても、ほかの材料との組み合わせや加熱の仕方によって仕上がりの発色が違ってきます。


それはビーツに含まれる色素成分〈ベタレイン〉の反応の仕方によるもの。
ベタレインは熱分解されやすく、アルカリ性の食品とも反応しやすいのが特徴。
そのためケーキを焼くと、表面だけは反応が起きる前に焼き固まるためかピンク色が残りやすい場合もあるのですが、内側はゆっくりと温度があがるので反応が進み、仕上がる頃には色が抜けきってしまう…ということもしばしば。

より具体例を出すと、シフォン、チーズケーキ、マフィン、マドレーヌのような「卵やベーキングパウダーなどのアルカリ性食品の配合率が高く、長めに火を通すケーキ」はベタレインが熱に反応して分解され、色が抜けます。


▼180度15分



とはいえパンだと、卵を入れてしっかり焼いても、まだ色が残りやすい印象。
また“表面だけがピンク色でもかわいいから!”とその性質を利用して作ったのが、シナモンロール。
こちらは卵・乳ありの生地+オーブンで時間をかけて焼いたものです。
内側は少し色がくすみます。

▼180度25分


ただシナモンロールと全く同じ材料とほぼ同じ配合で、むしろビーツの割合がやや少なめでも、こちらのドーナツはサイズが小さく短時間揚がるので、断面は色が鮮やかです。



またオーブンで焼いた場合の比較に戻りまして、粉に対するビーツパウダーの比率が同じでも、こちらは卵・乳不使用の生地。
断面もバランスがとれたピンク色に。

▼180度15分


逆にこちらはややビーツパウダーは少なめですが、卵が入らないためか、牛乳入りでもピンク色はちゃんとでています。

▼180度25分



同じレシピでその倍のビーツパウダーをいれると、ピンク色も倍になりました。

▼180度25分



ちなみにベーグルは、茹でる工程が入るため熱の入り方は変わりますが、高温で焼いても、卵や牛乳を使っていないということで表面にしっかり色が残ったのではないかと思われます。


▼190度15分


加熱温度や時間が変わると、同じような比率でもこんなに内側の発色が変わるのが興味深いですよね。

麺類でも、
・卵を加えていても2分しか茹でなくて良い生パスタは鮮やかな仕上がり
・卵を加えていなくても12分も茹でたうどんは色がかなり抜ける
という結果に。

▼右がうどん。こちらの粉とビーツパウダーの比率はどちらも同じ。


これらから「比率はあくまでも目安であり、発色の度合いは、組み合わせる材料や加熱方法(時間や温度)による。加熱時間は長いと色が残りにくくなる傾向にある。」ということは間違いなさそうです。
アルカリ性食品との反応の度合いも、加熱の方法次第。

そしてお菓子でも、例えば卵不使用のサブレだとそれなりに色が残り、

▼170度15分
ドーナツ同様、あまり時間がかからずに熱が通るクレープだとこんなに鮮やかに↓

▼フライパンで2〜3分

調べてみたところ、そんな色抜けの対策として、ビーツをお菓子作りに使うことが多い外国では以下のような工夫がされているレシピをたくさん見かけました。 

・生ピューレと併用する
・レモン果汁やビネガーなどで酸性を加える
・人工着色料を併用する   etc

ただ酸性の材料を加える場合、量によっては味のバランスの調整が必要になります。


ビーツパウダーは、品種や処理方法などにより色の出方が違ったとしても、傾向は同じです。
お菓子やパン作りに使いたい場合は、これらの仕組みを頭に入れておくと、よりイメージする仕上がりに近づけることができそうです。

今回はパンを中心にご紹介しましたが、写真を交えたお菓子の発色についてもまた別の機会にまとめたいと考えています。