誰しも、すでにつみびとかもしれない

つみびと（山田詠美著）読了。

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2010年に起きた大阪二児遺棄致死事件をベースにした小説。

実際に事件を起こした母親と、その母親や
周りの人達からの視点で
事件にまつわる、関わることが
書かれています。

高校生の時からずっと読み続けた山田詠美が
これをテーマに書くのであれば、読むしかないです。

そして今まで読んだ彼女の小説の中で一番辛い内容。

感動ではなく、つらくて泣けてきました。

実際にこの事件が起きた時、
私は子どもが２歳の時。

「何で殺したの？！」

とは思いませんでした。

この母親以外の人は何をしてたの？
と思った記憶があります。

この本は育児中の方よりむしろ、
その外側（だと思っている）の人に読んでほしい。

タイトルは「つみびと」ですが、
その下に英語でsinners（罪人）と
複数で書かれています。

育児において、
起こってしまってはいけないことが起こったら、
それは一番近くにいた一人だけが
罪を犯したのではなく、
"罪人達"がいます。

自分はそうはならない。
そういう人間じゃない。
そんな間違いはしない。
と思っているのは、育児をしていない人、
「手伝ってあげてる」と思ってる人。
です。

そして様々な人がいる。ということを理解できていない人。

がっつりと育児に取り組んだことがある人は、
私もそうですが、育児をしている時、
何かが一つ崩れたら、自分も罪人と呼ばれるかもしれない、
そうなってしまうかも、
と実感したことがあるのではないでしょうか。

罪人に石を投げつける人が、ネット社会では特に多いのですが、
そうなりたくて、したくてしたよりも、
そこに入り込んで出られなくなってしまう人もいます。

人は弱いから。
一人で育児はできないから。

モヤモヤが残る小説ですが、読んで良かったです。

　　　

虐待やネグレクトといったことは
そこで終わりではなく、
その次の世代にも暗い影を残します。

母親一人だけの問題ではなく、無知や無関心は、
子どもを傷つけます。

私は母親達が一人で頑張るために元気にするのではなく、
「助けてほしい」と思った時に、
みんなが素直にその声をあげられるよう、
手助けしたいと改めて思います。

今育児でしんどくなっている方、
一人だけで頑張っている人は、
その状態を続けるのは自分のためにも
子どものためにもならないです。

本当だったらもっと笑って、余裕をもって、
育児をしたいと思っている方は、ぜひ産後の母親教室にお越しください。

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