翌朝のこと。
この日は、名古屋城へうかがいます。
入場、いえ入城口のところへねこがいました。見回りしているのでしょうか。
山の草とか花とか虫とか-ねこ

入ってすぐに大きなカヤの木がありました。
お城が建てられる以前から自生し、樹齢600年以上とみられると書いてありました。
名古屋城そのものも、ぼくらにとっては歴史のはるか彼方からのもののように感じますが、この木にとっては、若いころに人がたくさんやってきて石垣を築き、いろんな建物が建ち、最近は爆弾が落ちてきたり(空襲があったそうです)したのだというようなことでしょう。
木はすごいですね。
山の草とか花とか虫とか-カヤの木

ウメの木がたくさんあるところからの名古屋城。
ウメの花の咲く頃にはたいへんに風情のある景色が撮れそうな一角がありました。
山の草とか花とか虫とか-名古屋城

名古屋城の見学には1時間ほどしか時間がありません。
ぜひ見ておきたいところがあります。

見慣れないササのようなものが土手一面に生えていました。
山の草とか花とか虫とか-ササ

葉を見ると、茎から輪生するような付き方になっています。
このようなものは初めてみました。
茎を覆う鞘がすっかり取れているのでササというかちいさなタケのような感じです。
家に帰ってから図鑑をあたってみるとオカメザサというのが似ています。
山の草とか花とか虫とか-輪生のササ

表二の門前の大手馬出跡、と看板のあったところの階段です。
しっかりした石の階段でした。
山の草とか花とか虫とか-階段

二の門をくぐって進むと、本丸御殿の再建中の現場があります。
名古屋城には天守閣のほかに本丸御殿という木造建築が何棟もあったそうです。
ヘルメットを借りて現場の足場のうえから見学できました。
たいへんに立派な梁です。ヒノキでしょうか。
山の草とか花とか虫とか-本丸御殿

梁を継いであるところなども見ることができました。
材は反りもあるようですが、それを生かして継いでいるように見えました。
このような大きな建築、宮大工さんも腕のふるいどころですね。
山の草とか花とか虫とか-継ぎ手

遠くて手元まではみえませんが、どうやら屋根を葺いています。
薄い板を幾枚も丁寧に重ねているように見えました。
山の草とか花とか虫とか-屋根葺き

現場から出て、既に完成してある軒先を下から見てみました。
ぱっと見に集成材のように見えますが、そうではないようです。
そしてまあ、なんと幾枚も重ねてあるのに滑らかで精度のあることでしょう。
山の草とか花とか虫とか-軒先の一部

そのよこには、工事の内容を展示してある建物がありました。
いろんな説明があり、興味深く読んだのですがまるっと書くわけにもいきません。
面白かったのはこのヒノキの切り株です。
斧の跡がしっかり残っていますね。全部かどうかわかりませんが、昔からのやり方で伐った切り株だそうです。
山の草とか花とか虫とか-ヒノキ伐採のあと

1時間では到底見て回るのには足りませんね。
天守閣に登るのにははるか手前で時間となってしまいました。
石垣の隙間にはえるのはマツザカシダのようです。
このシダも山形では、鉢植えにしてあるのを一度見ただけです。
(こないだ上海に生えていました)
山の草とか花とか虫とか-マツザカシダ

最初の大きな門からお堀を渡り帰ります。
その途中にトゲトゲの枝の木がありました。
これがカラタチなのですね。
これではやはり忍び込もうとしても入られません。
そういえば「からたち野道」と言う歌がありました。何度聞いてもよい歌です。
赤い実と歌に出てきていたように思い出しますが、どんな実に花なのでしょうね?
山の草とか花とか虫とか-カラタチ

みなさんとの集合場所に戻りました。
ヒトツバタゴという珍樹だと書いてある木が街路樹のようになっていました。
冬の枝の張り方が面白いですね。
山の草とか花とか虫とか-ヒトツバタゴの枝

ほんとは載せきらないもっといろんな木や草があったのです。名古屋行きの記事も回を重ねており、ちょっと先を急ぎましょう。
夜になりました。
夕食には、名古屋に来たらなにか名物をというので手羽先の有名なところに行きました。
その後、ぼくは南のほうへ来たならぜひ見ておきたいものがありました。
名古屋の歓楽街はたいへんに大きいそうで、ここでお酒でも飲みに行くようなら甲斐性もあるのですが残念ながらお酒が飲めません。
街を歩いていくとビルの上に、塔が見えてきました。
山の草とか花とか虫とか-名古屋の街並み

だんだんに近くなります。
このあたりで、道に恐そうなおにいさんが幾人もいて、通りかかっているかたに声をかけています。ぼくも声をかけられたらどうしましょうと思っていたのですが、どなたもこちらに興味を示しません。どうしたことでしょう?(ザックに三脚をくっつけて歩いているからだろうと思ったのでしたが)
山の草とか花とか虫とか-テレビ塔が近くに

足元まで来ました。
名古屋のテレビ塔です。
展望台は地上90mほどだそうです。
ここに登ってぼくの夜の歓楽になります。
山の草とか花とか虫とか-もっと近くに

チケットを買って、エレベータに乗って展望台へ。
展望台は、ガラス張りの階と、その上に吹きさらしの金網の階がありました。
金網のほうの展望台は、暖かい名古屋と言えど風が強くって寒くなってきました。

コンパスで南を確認します。
山の草とか花とか虫とか-コンパス

時間は20時をちょっと過ぎたころ。
金網越しの南の空。
う~ん、お目当ての星は見えません。
山の草とか花とか虫とか-金網越しに

下の階のガラス張りのところへも行きました。
うむ、ガラスに内部の光が反射していまいちです。やはり寒くてもがまんせねばなりません。
ここで見たかったのはりゅうこつ座のカノープスという星です。
山の草とか花とか虫とか-南
この日は、20時20分ごろがカノープスが最も高く昇る時間でしたが、見つけられないままに時間が過ぎていきます。

カノープスは南天にあり、山形では通常は見ることができません。
過去には、冬の月山に登って観測したという記録があるそうですが、とても常人に出来ることではありません。
ぼくは以前に一度だけ、茨城県の大洗という海岸で見ることができました。
水平線のぎりぎりに、波にチカチカ光っておりました。
東京でも見られるそうなのですが、街が明るいためになかなか市街地では見られないそうです。

塔の上のほう。
カノープスの見られそうな時間も過ぎてしまいました。
山の草とか花とか虫とか-塔の上のほう

宿へ帰ります。
ビルの向こうに月が見えました。
山の草とか花とか虫とか-ちいさな月も見える

もう少し行くと、ビルに観覧車のくっついたところがあり、その上空にはうっすらとオリオン座や冬の大三角を見ることができました。
山の草とか花とか虫とか-オリオン

旅日記はついつい回を重ねてしまいますね。
二日目は名古屋城の修復しているところと、徳川家の博物館と庭園を訪れ、山形へ向かいました。
熱田神宮に入っていくと、まず迎えてくれたのは大きな大きなクスノキでした。
前回に訪れた鉄道の博物館で鼻息が荒くなっていた方がありましたが、今度はぼくの鼻息が荒くなっていたかもしれません。
それにしても、太い太い幹でした。
比して、枝を広げる広さは、これの前にみた90年ほどのクスとあまり変わらないようにみえました。
看板があり、樹齢は1000年以上ではないかと書いてありました。
山の草とか花とか虫とか-熱田神宮 大楠

幹の下部はふっくらとふくらんでおり、そのうえに注連縄がかけてあります。
山の草とか花とか虫とか-大楠 幹

このクスだけでなく、周りの木のある程度古いものには、幹にちいさな葉がたくさんついています。
これはこの木の葉ではなく、着生するシダの仲間ですね。
ノキシノブ、だと思います。
山の草とか花とか虫とか-ノキシノブ

もっと若いクスの木もいくつもありました。
この前に見た90年ほどのものよりは太いですから、これでも100年以上は生きている木なのでしょう。1000年のものには幹の太さはまったく及びませんが、それでも横に大きく枝を広げた樹形が特徴的です。やはり、この広さに枝を広げて葉が冬でも茂っていたら、雪国にあったのでは一冬で枝がばりばりと折れてしまうだろうなと思います。
山の草とか花とか虫とか-クス 広がる枝

これにも、シダがたくさんついています。
山の草とか花とか虫とか-枝とノキシノブ

シダを見る楽しみのひとつが、葉の裏です。
葉の裏には胞子を作って飛ばす胞子嚢(ソーラス)というのがあって、ここにシダの種類の違いがよく現れるのですね。
山の草とか花とか虫とか-ノキシノブ 葉裏

このようにクスノキとシダを見ていると、地元の言葉のおばさまが声をかけてきて、「これはなんの木でしょうねえ?ずいぶんコケ(シダのことだと思われます)がついていますね。」ということでした。

見慣れない木は次々に現れます。
これもよくわかりませんでした。
おそらくは、これがヒサカキなのでしょう。
山の草とか花とか虫とか-ヒサカキ

これはいくらか見たことがあります。
シロモジでしょうね。行きつけの歯医者さんの玄関先に植えられています。
山の草とか花とか虫とか-シロモジ

珍しい木として看板があったのは、「ならずの梅」でした。
花は咲いても実はなったことがないのだそうです。
奇木なり、とありましたが、ぼくにはどれもこれも珍樹奇木の類に見えます。
山の草とか花とか虫とか-ならずの梅

これはツバキですね。
ツバキは山形にもありますから見覚えがあります。
花はまだでしたが、つぼみが膨らみはじめているようなのでじきに咲くことでしょう。
山の草とか花とか虫とか-ツバキ

アオキもあちこちにありました。
よく見て行くと、葉の形がここの森のなかにあるものだけでも相当に変化があります。
山形には、このアオキの背が高くならないヒメアオキというのはたくさんあります。
山の草とか花とか虫とか-アオキ

しかし気になったのは、林床の草のないことでした。
冬なので草が枯れているのでしょうか?
いえ、それにしては枯れた茎などもずいぶん少ないのです。
草が無く落ちた木の葉が敷いたようになっていました。
常緑樹の森では、陽射しが足らずに草が生えにくいのでしょうか?
ここの森はずいぶん深い雰囲気の森ですが、天然の森とどのように違うのだか気になります。
山の草とか花とか虫とか-林床

草っぽいのがようやくありました。
チマキザサのような形で大きな葉が一箇所にまとまるように生えています。
う~ん、これはなんだろう?こういったのは、ラン科かユリの仲間かなあと思いました。
帰ってから調べると、どうやらユリの仲間のハランというもののようでした。
山の草とか花とか虫とか-ハラン

このほかにも、たくさん名前のわからない木々がありあっという間に時間が過ぎていきました。
集合時間の近くなる(ちょっと過ぎた・・・)なか、どんぐりを見つけました。
これも見かけない形のどんぐりです。
う~ん、マテバシイでしょうか?
山の草とか花とか虫とか-どんぐり1

こちらはおしりが細くすぼんだ形です。アカカシあたりのものでしょうか?
山の草とか花とか虫とか-どんぐり2

自然のままの自生の木々ではありませんでしたが、ようやく木々の観察を楽しむことができました。ところ違えば木も違うもので、ぼくにはどの木がどの木やらわからないものが多くありました。
木の場合には、なるほど、これがこういった名前の木なのだと納得できるまでに、四季が巡り、つぼみから花、花が散って実が生って、というような時間を幾度も木を訪れて眺めるのが必要だと思っています。南の木々とそういった日々を過ごすことができないのが残念でした。

名古屋に行ったおはなしはもうすこし続きます。

※せっかく大きな神社に行ったのに、木ばかり見て過ごしてしまいました。ここは、三種の神器のひとつ、草薙の剣(くさなぎのつるぎ)、またの名を天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を祀った神社であるということです。
また、剣を祀るということで戦にご利益があるものか、織田信長がこの神社に参拝し、その後の戦に勝った折に奉納した立派な土壁などもありました。