これまでになく長い山に行ったおはなしになっております。

さて、古寺山に到着し、山頂を眺めながらみんなで写真を撮ったりしておりました。
山の草とか花とか虫とか-古寺山

すると、雪崩、雪崩~と声が上がり、見ると小朝日岳の雪庇の下から雪崩が起きておりました。
古い雪の上に積もった新しい雪が表層雪崩を起こしたようでした。
雪は湿り気味でしたので、雪煙を上げてというのではありませんし、遠くなのでちいさく見えますが、近くだったらかなり怖い思いをするのではないかと思いました。
山の草とか花とか虫とか-小朝日からの雪崩

行く先に見えるあの雪庇のでっぱりのすぐあちらからハナヌキ峰の分岐へ下っていきます。
木の見えるところが夏の道があるところで、そこから右側は雪庇。たいへんなスケールですね。
人が写っていると、うわあ、大きいなという感じになります。(現場で見ていても、大きすぎて実感のわかない景色なのです)
山の草とか花とか虫とか-古寺山の肩

古寺山の肩から下ると大朝日岳は見えなくなります。
さよなら、大朝日岳。(ふもとから見えるんですが)
山の草とか花とか虫とか-さよなら大朝日岳

古寺山からの下り。
下りは速いものですね。雪は深いところでひざの少し下ほどまでありました。
山の草とか花とか虫とか-古寺山からの下り

夏に三沢清水(さんざしみず)のあるあたりで、小屋番さんが三沢清水の水源のあたりを教えてくれました。
三沢清水の水場は、沢の上流からホースで登山道まで2~300mほど引いてきている水なのです。
強い雨などがあるとホースがずれたり詰まったりして直しにいかないといけません。
(ときおり、山のブログなどの報告で「涸れていました」とありますが、涸れているのではありません。知られざる地道な作業があるのです。)
山の草とか花とか虫とか-三沢清水の水源付近

古寺山からの下りで、思わぬところに雪の亀裂がありました。
会長が「ほら、ロッキーチャックくん、亀裂のあるところは表面の雪の様子が違ったりしておるだろう。よく気をつけて歩きなさい」と教えてくれたのですが、表面の違いがぼくにはいまいちわかりませんでした。
山の草とか花とか虫とか-樹林の中の亀裂

ハナヌキの分岐あたりで休憩しました。
それぞれに別なピッケルを使っていて面白いので撮っていました。
ピッケル(今はアックスと言います)というのは、ちいさなつるはしのようなものですね。雪のある山で使ったりします。初めて見たときには、なんつうちっこいツル(つるはし)だい、と思ったものです。
これは会長のピッケル。グリベルモンブランと書いてあります。
山の草とか花とか虫とか-会長のピッケル

こちらは小屋番さんのピッケル。この手の作りはカンプというメーカーのものであったろうかと思います。パイオニアとピックに彫ってありました。
山の草とか花とか虫とか-小屋番さんのピッケル

こちらは、県内のほかの山岳会からいらしていた方のピッケル。
ピックにEXP OF JAPANと彫ってありました。
山の草とか花とか虫とか-ハイジさんのピッケル

こちらは関東からお越しのTさんのもの。
グリベルのモンブランと書いてありますが、会長のものとはちょっと違っていました。(おなじモデルの新しいバージョンかもしれません)
山の草とか花とか虫とか-Tさんのピッケル

もうひとり関東からお越しの方のものは、木製のシャフトです。
今は木製のシャフトは強度の関係から山登り用のピッケルには使えないようになってしまっていますが、うわあ、かっこいいなあ、と思いました。若いころに使っていて、定年後にまた登られるようになりピッケルは若い頃のものを使っているそうです。そういう道具の使い方も良いですね。
山の草とか花とか虫とか-木の柄のピッケル

ぼくのはまあ、あれですね。ちょっと弱そうです。
山の草とか花とか虫とか-ロッキーチャックピッケル

このところは、山の道具やさんに行くと、やたらと短いピッケルがあったりしますが、雪の深い山域で使うにはやはり65cmくらい(くるぶしくらい)は要るのでないかと思ったりしておりました。緩めの雪質でシャフトを刺しててがかりにするにはある程度の長さがないと頼りがいがありません。逆に雪の少ないところだと、長いシャフトは邪魔なだけなのかもわかりません。

このあと、下りながら、となりの尾根の斜面に動く黒いものを見つけました。
それはぜひ載せておきたいのでもう一話続きます。
大朝日小屋から下り始めたのは7時40分ごろでありました。
山の草とか花とか虫とか-下山開始

朝日連峰の山々の眺め名残惜しく
山の草とか花とか虫とか-朝日連峰の山々名残惜しく

下りは、前日から小屋に泊まった6名で一緒に歩きました。
わいわいと楽しいものですね。
山の草とか花とか虫とか-みんなで下る
山は歩いている人も写っている様子も良いですね。
横から撮ったのは、回り込むようにトットットっと先回りして、遠くに人のいるのは、あのあたりを歩いている様子だとかっこいいかな、と一人残っては追いつき、を繰り返して撮っていました。

銀玉水へ下っていきます。
ここは夏の遅くまで雪が残るところです。
山の草とか花とか虫とか-銀玉水上部を下る

銀玉水を通り、陽射し強く汗ばんできたので休憩して上着を脱いだりしていました。
振り返る大朝日岳。
山の草とか花とか虫とか-振り返る大朝日岳

小朝日岳の手前の熊越えに向かう一行。
山の草とか花とか虫とか-小朝日岳へ向かう

小朝日岳は夏の道に、小朝日山頂へ行かずに中腹を横切るトラバースルート(実際にはトラバースルートなんてかっこいい言葉でなく、巻き道(まきみち)と言いますが)があります。
この標識から分岐するのですが、雪のある時期には傾斜が大きく危険なので今回は山頂方向へ。
山の草とか花とか虫とか-巻き道分岐から登る

そしてダケカンバの林の上あたりまで上ったら中腹のなだらかになったところを狙って横切りました。(今回はこういう判断ですが、雪崩や滑落、クラックへの転落など雪質で危険さが変わるので状況を見ないといけません)
山の草とか花とか虫とか-小朝日山頂を巻く

大朝日方向へは雲がかかり、雪面に影が落ちます。
山の草とか花とか虫とか-雲と雲の影

ダケカンバの幹は朝日連峰の風に磨かれてより艶々としておりました。
山の草とか花とか虫とか-ダケカンバ

すみませんね。何度も振り返っては眺めてしまいます。
会長も、「いやあ、ほんとうに良い山だよねえ」と口にします。
1870mとそれほど高くない標高でありながら、森林限界より上のエリアが広く、長い期間雪を纏い、残雪の模様は秀逸、夏山のふもとから緑滴るブナの森を歩いていく道のりの植生の変化はドラマティックであり、秋には紅葉も素晴らしいものです。
会長や小屋番さんは何度登ったのかわからないほどでしょうし、ぼくも自分が何度登ったのか数えていないのでよくわかりません。それでも毎回、どの季節にも、良いなあ、良い山だなあと思うのです。
素晴らしき朝日連峰、大朝日岳。
山の草とか花とか虫とか-素晴らしき大朝日岳

あの雪庇の向こうは古寺山山頂。
山の草とか花とか虫とか-そろそろ古寺山

巻き道から尾根道に戻り、古寺山へ着いたのは10時になっていました。
大朝日岳の夜が明けました。
朝日はうっすらと赤味を帯びています。
山の草とか花とか虫とか-大朝日岳と大朝日小屋

朝は5時頃に目が覚めて、小屋の外に出てみると前日の強風は和らいでおりました。
一部雪から出ている夏の道は、水のたまったところではつるっつるに凍っていました。
山の草とか花とか虫とか-道が凍っている

ちょっと朝の散歩。
小屋から東へ登山道を進んだところのちいさなピークには、御嶽神社の奥の院が積まれた石に守られるように祀られています。
山の草とか花とか虫とか-御嶽神社奥の院

雪面は締まった雪がサクサクっという感じでした。
山の草とか花とか虫とか-影

中ツル尾根方向の斜面のダケカンバの幹がたいへんに美しくございます。
山の草とか花とか虫とか-中ツル尾根付近の斜面

小屋に戻って朝ごはんや片づけを済まし、8時に下山しましょう、ということで、山頂へ向かうことにしました。
登りはじめると、西に袖朝日から続く尾根とその向こうにふたこぶの鷲ヶ巣山。
鷲ヶ巣山は、ワシがつばさを持ち上げるような山容であることからその名になったのでしょうか。
山の草とか花とか虫とか-袖朝日と鷲ヶ巣山

小屋から山頂へは10分程度でしょうか。登ってすぐ、という感じです。
先に見えるのは、関東から来た方で、うちの会の先輩たちは山頂には行きませんでした。(見慣れておりますからね。)あともう一人が一緒に登り、この日に山頂へ行ったのは3名でした。
ここでアイゼン装着。前日の登りは、登山靴だけで大丈夫な雪質が続いていたのでアイゼンはつけませんでした。ここからの登りもいらなそうですが、せっかくね、持ってきたのでつけてみましょう。
山の草とか花とか虫とか-山頂へ

ほどなく山頂が見えました。
山の草とか花とか虫とか-山頂が見えた

山頂。
ケルンと三角点と丸い石に名盤のついたものが見えます。
山の草とか花とか虫とか-大朝日岳山頂

山頂から南には、平岩山、大玉山、祝瓶、その先には柴倉山に三体山と続き、霞むくらいの奥には飯豊連峰が見えました。
山の草とか花とか虫とか-山頂から祝瓶、飯豊

北には三方境から支稜線に進み、天狗角力取山、障子ヶ岳、赤見堂岳、湯殿山、そして月山へ続きます。
山の草とか花とか虫とか-北東に月山、障子、赤見堂
「飯豊朝日」「月山朝日」と、続く山々で並べて呼ばれることのある朝日連峰ですが、山なみ自体は月山から朝日連峰、飯豊まで実のところはつながっているのです。
雪深い東北日本海側のこの大山脈を一息で歩き通したら素晴らしい体験になることでしょうね。

さて、小屋へ帰りましょう。
朝日連峰の北への山々は真っ白。
先に歩くおふたりの歩くあたりは尾根の風下に雪が積もったところで夏には空中になるところです。
山の海側の風が吹き付けるところでは逆に雪が積もらずに山肌が見えています。いかに冬の風がものすごいかというのが見えるようです。
山の草とか花とか虫とか-縦走路の奥に輝く以東岳

雪の無い時期に同じような箇所から撮った写真と比べてみましょう。
近くでわかりやすい中岳などは、山の形が雪で変わってしまうほどの雪なのですね。
山の草とか花とか虫とか-11月の朝日連峰

山頂方向を振り返ると氷の塊のような大朝日岳山頂でありました。
山の草とか花とか虫とか-大朝日岳山頂5月の様子

おはなしが長くなっておりますが、次で下山を始めます。