大朝日岳に登り、大朝日岳直下の避難小屋で一夜を過ごしました。
小屋の一階の窓には格子があり、それにも霧氷がついておりました。
小屋番さんの言うことには、この日の前日あたりまでは二階も窓にびっしりと霧氷となり真っ暗であったそうです。
山の草とか花とか虫とか-小屋の窓

すごいものですね。
山の草とか花とか虫とか-小屋の窓と霧氷

昨年に新しく設置された中二階部。幾人か多く泊まれるようになりました。
大朝日岳のこの小屋は、気候の穏やかな時期の週末などにはたいへんな混みようになります。
山の草とか花とか虫とか-新しい中二階

小屋の二階の南の窓からは、大朝日岳の山頂方向が見えます。
山の草とか花とか虫とか-小屋の二階から南を望む

今回は周囲は雪で、水場がまだ雪の下なので雪を溶かして水を作りました。
夏だと小屋から10分ほど歩いた大朝日と中岳の鞍部の東にある金玉水(きんぎょくすい)に汲みに行くか、銀玉水で汲んでから登るかということになります。朝日連峰のほかの小屋ですと、小屋のすぐ近くに水場があったりするのですが残念ながらここは水場に恵まれておりません。
山の草とか花とか虫とか-水を作る

この時は、コーヒーのフィルタでろ過しました。
山の草とか花とか虫とか-水つくり ろ過

二階の窓にはワイヤ入りのガラス。
袖朝日の向こうへ夕陽が沈んでいきます。
山の草とか花とか虫とか-二階からの夕陽

食事をしたりくつろいで過ごしますが、夕陽が赤くなりはじめるとみんなで夕陽を眺めました。
この夜は、6名の泊まりになりました。
朝日連峰には5月のはじめあたりから登山する方が増えるので小屋番さんは、4月の末から小屋へ行っていました。ところが今年は4月29日から吹雪いていたために、5月の3日あたりまでは登ってくるかたが無かったようです。
山の草とか花とか虫とか-二階からみんなで夕陽を眺める

小屋から眺めておりますね。
山の草とか花とか虫とか-二階から北を望む

夜には星空になりました。
今回持って行ったカメラは星の撮影には向かなかったのですが撮ってみました。
ヘラクレス座が東の空に昇ってきました。こと座のヴェガも見えています。
山の草とか花とか虫とか-星空

小屋の夜は更けていきます。
混んでいる時期にはこんなにのんびりしていられないのですが、こんな静かな小屋も人の少ない時期の特典のような感じですね。
山の草とか花とか虫とか-小屋の夜

ぼく自身はテントは狭苦しくて好きませんが、最近は、一人用のテントを背負っての山歩きが流行しているようです。
一人用のテントだと、自分の空間を持てる、自由に過ごせるということがありますね。
以前のパーティでの山登りですと共同装備で数人用のテントで過ごし、おなじ飯ごうのめしを食う、というのが山男の過ごし方であったわけですが、今は山歩きも個人主義が流行のようです。

過去にテントを張ってよかった時期に、テント場になったところで植生が失われ、ゴミの散乱や水場の汚染などがあったようなことです。そのために朝日連峰に限らず、東北の山々はテント泊が禁止になっているところが多くなり、避難小屋を整備してテント泊しなくて済むようにしてあるとのことです。
避難小屋には小屋番さんがいたり、週末だけいる小屋もありますが、小屋の使用においてもマナーがよろしくない方も残念ながらいるものですから、手入れをしていないとあっという間に使えなくなってしまう現状があるのです。
今でも、昔のテントを張ってよかった時期のことを引き合いに出して、なぜテントがだめなんだと小屋番さんに詰め寄るかたがあったりするそうですが、テントを張ることで山を荒らしてしまった登山者自身の負の実績があるわけですから仕方の無いことなのですね。
そういったよろしくないことが続いていくと、その先には入山の許可制やらそういった海外の自然保護区のような制度になっていって自由に登れないとか、そんなことだって起きていくかもしれないなあと不安に思うことがあるのです。
朝日連峰の場合には、人口の多い関東圏からの交通アクセスが良くないことが山のオーバーユースをかろうじて抑え、原始のままに近い山の様子があるのだと思っています。

朝が来ました。
山の草とか花とか虫とか-朝が来ました

翌朝は、前日までの強風は和らぎました。
泊まりの片付けの後、山頂へ向かいます。
銀玉水からの急な登りをあがって、小屋へ続く割合に平らなところに着きました。
石には霧氷が付いています。
風はいよいよ強くなって、この写真を撮るのに体の方向を変えたら風にあおられて吹き倒されました。ひざをちょっと打って痛かったのですが、怪我には至らずにほっとしました。
同じことを風下が崖のところでやらかしたらおしまいになるところでありました。油断してはいけませんね。
山の草とか花とか虫とか-霧氷

中岳から向こうの朝日連峰の峰々は、目線と同じ高さになりました。
山の草とか花とか虫とか-朝日連峰を以東岳まで

進むうちに霧氷はさらに新鮮に白くなり、
山の草とか花とか虫とか-霧氷 霧氷

小屋はすぐ近くに見えてきました。
山の草とか花とか虫とか-小屋が見えた

小屋に近くなると、前日から小屋にいた会長と小屋番さんと先輩とが小屋の前に出て出迎えてくれました。
小屋近くも風は強く、頭を低く下げて一歩一歩歩きました。
風は西から一様に吹いており、左右から揺さぶるようにではなかったのでまだましでした。
しかし、体を風上に斜めにしても倒れないほど強く、重力がどうにかなってしまったのではないかというくらいでありました。これも山の風でないとなかなか体験できないことですね。
山の草とか花とか虫とか-お出迎え

小屋についてさっそく食事をしました。
小屋の中の様子は、明日にでも書きたいと思います。
一息ついたところで、小屋の外では太陽が西に傾き、陽射しはオレンジ色を帯びてきました。
小屋番さんが外の雪の上にでて撮影中です。
山の草とか花とか虫とか-小屋番さんが撮影中

ぼくも再び服を着こんでピッケルを持ち、外に出ました。
夕方近くなる大朝日小屋と山頂方向。
山の草とか花とか虫とか-大朝日小屋

なにかを撮影中の小屋番さん。
ここは、雪の無い時期には高山植物が咲き誇るところで、登山道から踏み出してしまうと植生に影響があるので立ち入るのはよろしくないエリアです。
今の雪の時期には雪で植物たちの踏みつけの影響はないので撮影できました。
山の草とか花とか虫とか-撮影中

小屋の西からの中岳方向。
小屋の周りも霧氷がついています。
山の草とか花とか虫とか-中岳方向

やがて日没に近くなり、山の雪面は青みがかってきました。
山の草とか花とか虫とか-山頂方向

沈みゆく太陽と、いつもの鐘。
(昨日に、プロフィールの写真を変えてみました。お気づきになりました?)
山の草とか花とか虫とか-鐘

袖朝日方向へ太陽は眠りにつきます。
山の草とか花とか虫とか-日が沈む

小屋は雪と霧氷がついておりますね。
明日は、小屋のなかの様子をお伝えします。
小朝日岳を下り、熊越えのあたりを進みます。
ダケカンバの林があり、その風下に雪庇が育っていました。
山の草とか花とか虫とか-熊越えのあたり

雪庇の上は歩きやすいのですが、ところによりこのように裂け目が入っています。
上の写真での木のあるところが夏の登山道のあるところで、そこから左は崖の上になっています。雪庇はありますが、そこは夏には空中なのですね。
裂け目は雪庇が尾根からはがれるように裂けるのが多く、覗いてみても底は見えません。
この日には人が落ちるくらいの亀裂は少なかったのですが、もし一人で歩いていてすっぽり落ちてしまったらこれはもうたいへんなことになりますね。
山の草とか花とか虫とか-雪庇の裂け目

怪しいところはピッケルの先っちょでつついたりしながら慎重に進んでいきます。
振り返ると荒々しい岩肌と、それに乗っかるように放物線を描く熊越えから小朝日岳に伸びる尾根。
山の草とか花とか虫とか-振り返る小朝日岳

ダケカンバの林を抜けたあたりから風はさらに強くなっていきました。
風上に顔を向けるとぼうしとレインウェアのフードが飛ばされそうで、フードをしぼるひもをきゅっと締めなおし、風下に顔を向けて歩きました。
雪の表面は日光に照らされ、風に磨かれて光っており、ところどころに剥がれたような跡がありました。
山の草とか花とか虫とか-風で表面の飛んだ雪

吹きさらしになった尾根の道の先に大朝日岳がだんだんと近くなります。
風は時折さらに強く吹き、顔を前に向けていると息ができないほどでしたから、風上にピッケルを立てて耐風姿勢気味のままじわじわと進まないといけない箇所もありました。
山の草とか花とか虫とか-白い大朝日岳

やがて銀玉水の付近に到着しました。
ここで14時15分ほど。
なんだかんだで登りはじめて6時間以上が過ぎてしまっていました。
山の草とか花とか虫とか-銀玉水の登り

どうれ、ここまで登れば小屋についたも同然です。
銀玉水の登りの斜面には先に歩いた方が雪を踏んで締まったところだけ残り、後は風で削られた足跡がありました。
どんなに想像しても、こんなふうなことになるのだなんて思い当たりません。
雪と風と山歩きする人が作った造形なんだなあなんて思ったりしました。
山の草とか花とか虫とか-足跡の盛り上がったもの

北には朝日連峰の峰々、一番奥に以東岳。
山の草とか花とか虫とか-横に見る以東岳

やがて銀玉水の上部、小屋のあるところから横に伸びる肩のあたりが見えました。
あそこから先はさらに風が強まります。小屋番さんの立ててくれた赤テープは真横にピリピリと震えています。
山の草とか花とか虫とか-銀玉水上部が見えた

先ほど、熊越えのあたりで撮った雪の表面が剥がれたようなのはもっと顕著になるとこうなるのですね。
雪の表面に氷が幕のようになっており、そのすぐ下は空間があります。ピッケルのピックを氷の下に置いてみました。
この氷がですね。風で飛ばされてバチバチと散弾のように飛んでくるのです。顔に当たるとたいへんに痛く、いよいよ風上には顔を向けられません。
山の草とか花とか虫とか-雪の表面の氷

そのような中、ヒラタアブの一種と思われる虫が雪のくぼみに風を避けていました。
いんや~、すごいものですね。生きておりますね。
山の草とか花とか虫とか-ヒラタアブの仲間

銀玉水の上の肩が見えてきました。
山の草とか花とか虫とか-銀玉水上部についた

あそこの岩の見えるところから先は数百mで小屋に着きます。
過去にここから大朝日岳に至る短い範囲でいくつか命を落とす事故がおきています。
あるパーティは、風のために進めずにケルンの風下に隠れたまま凍りつき、あるものは小屋目前で風下の谷間に風で突き落とされたそうです。
この日にいくつかのパーティで下った方たちは、もともとは別なパーティであったのが下山であまりに風が強いので少人数では怖くて下れずに一緒になったようなことでありました。
先輩たちも鼻の下が長くなっていただけではなかったのでしたね。

このあと小屋へ到着します。