フインキーのふんいき レビュー -83ページ目

DVD「劔岳 点の記」 レビュー

有名な撮影技師である木村大作監督。
原作は新田次郎の小説です。

劔岳 点の記 メモリアル・エディション [DVD]/浅野忠信,香川照之,松田龍平
スコア選択: ★★★

日本地図完成という使命のため、最後の空白地点である劔岳への登山・測量に挑戦する男たちの話。


今作はストーリーには直接関係ない部分に(いい意味で)相当な力が入ってます。

まず、キャストが豪華。
脇役に役所広司、松田龍平、宮崎あおい、とみんな主役をはれる人ばかり。
彼らだけでどれだけお金がかかっているのか想像もつきません。

また、CGや空撮を使わず、あえて大自然に挑むという本物指向はカメラマンの職業病か、只のこだわりか…
急勾配の雪山を何時間もかけて移動、そこで何日もかけて撮影なんて、無謀としか言えないです。
しかし、苦労した分撮った映像はこちらに相応の迫力を持って伝えられます。
それがCGじゃなく本物と思うと尚更。

ストーリー的にも面白く見れます。
山登りの最中、自然の猛威に恐れ戦くというありがちな内容に、仲村トオル率いる日本山岳会と浅野忠信率いる測量隊が頂上を目指し競争するというスパイスが加えられ、最後まで退屈せず見れるのではないでしょうか。

ただ、残念な部分も。
それはイベントの盛り上がりが控えめなところ。
アクシデントなどでオッ!と思うシーンがいくつもあるんですが、演出が弱く、盛り上がりません。

一つ一つのシーンが淡白で、すぐ切り替わってしまうのも難。
カメラも遠巻きでせっかくの手に汗握るシーンも逆効果だと思いました。

沢山詰め込んであっさりテイストにするのではなくて、もう少し1つのイベントを温めて温めて、適所でバンッ!と出すと更に良かったかな~。

ということで、この作品は事前にCGを使わずに撮ったという情報を得た上で、その大変さを想像しながらありがたく拝見するのがいいと思います。

DVD「誰も知らない」 レビュー

是枝裕和 監督。
カンヌ国際映画祭、フランダース国際映画祭など沢山の賞を受賞。
1988年の巣鴨子供置き去り事件を題材として、15年の構想を経て映像化されました。

誰も知らない [DVD]/柳楽優弥,北浦愛,木村飛影
スコア選択: ★★★★

新しいアパートに引越してきた福島一家。母親と子供4人の5人家族だ。
引越し早々、母は子に次の守るべき約束をした。
・家の外に出てはいけない
・家の中で騒いではいけない
子どもたちは誰にも知られることなく日々を過ごしていく。


柳楽優弥くんが カンヌ映画祭で最優秀男優賞を史上最年少で受賞したことでも有名な今作。
見どころはやはり柳楽くんの演技でしょう。
セリフは少なめですが、場面場面での顔の表情や仕草が素晴らしい。

母親が稼ぎに出てる中、家の中を取り仕切り、弟や妹たちをまとめるという彼の立場。
家事をしたり、独学で勉強したりと、しっかりした面をもちつつ、ときどき覗く寂しい表情が胸にきます。
学校に行きたいんだろうな、同じ年頃の友だちと遊びたいんだろうな…

こうして子供たちが母親との約束を忠実に守ることで、どんどん消耗していくのは想像に容易いことで、ついに不幸が。
しかし、その後の子供たちの反応がどうもおかしい。
あの行動、表情…普通じゃ考えられないですよね。
でも、ここが一番リアル。

・その部分の考察
学校に行かず、人との干渉もない生活を送る

精神面や知的に未熟なまま成長

置かれている状況に対する判断がつかない

あんな行動へ

あと、このシーンとタテタカコの歌がマッチしすぎてて、感じる虚無感が半端ないです。
見終わった後はきっと心に残るものがあるはず。

小説「セーラ号の謎 -漂流者-」 折原一

「漂流者」で刊行された単行本のタイトル変更&文庫化。
当時は折原作品の中でもワースト1の売れ行きだったみたいです。

セーラ号の謎―漂流者 (角川文庫)/折原 一
スコア選択: ★★★

推理作家の風間春樹はダイビング中にアクシデントで妻とその不倫相手に助けてもらえず、波に流され無人島に流れ着いた。風間は妻と不倫相手に対して復讐を決意する。
それから運良く地上に戻った彼は自分で調達した船・セーラ号に彼らを招待した。
そして復讐劇が始まる。


船に集まった7人が次々といなくなっていくというもの。
面白い所は

   誰が誰になりすましているのか?

ということに尽きます。

主役の風間春樹は船では姿を見せず、人々が狂っていく様子を傍観しています。
彼がいないのに、人がどんどん死んでゆく。
だけど、船に隠れる場所はない。
そして、あるとき彼の死体を発見。
じゃあ、犯人は?

一人称の描写を通して人格が壊れていく様子がなかなか興味深いです。
それが演技なのか本物なのか?

今回も最後にはどんでん返しが用意されています。
ただ、驚きは少なめ。へ~といった程度。

でも筋はちゃんと通っていて、理不尽さは無いのでご安心を。
途中の展開が面白いので、それを楽しむ作品。

DVD「シムソンズ」 レビュー

「キサラギ」の佐藤祐市監督。
2002年のソルトレイクシティオリンピックに出場した女子カーリングチームの実話を元にして製作されました。

シムソンズ 通常版 [DVD]/加藤ローサ,藤井美菜,高橋真唯
スコア選択: ★★★★

北海道・常呂町はカーリングが有名である。
そこに住む高校生の和子(加藤ローサ)はカーリングに興味は無いが、カーリング男子イケメン選手のマサト様(田中圭)に憧れ、カーリング場に通う日々を過ごしていた。
そんなある日、帰りがけに出会ったマサト様に声をかけられつい見栄を張り、やったことのないカーリングの試合に出ることになってしまう。何とかメンバーを3人集めて試合に出たが…



スポーツ青春ものは大筋だけ見てもある程度面白さは保証されてるわけで、そのテンプレにどうプラスαがなされているかが重要だったりします。
実話が映画化される位ですから、劇的なストーリーに違いない!
と、ハードルを上げつつ見ましたが、沢山あるスポーツ青春映画(邦画)の中でもこの作品は頭一つ出てる印象を受けました。

カーリングは少し前の冬季オリンピックでも話題になったので、知ってる方も多いと思います。
ボーリングみたいに投げっぱなしではなく、通り道の氷をブラシで削ることで進む方向や止まる位置を変えたり、敵や味方のストーンに当てて、味方のストーンを目的の位置に近づけることができるというアレです。
時にはいくつもストーンを固めて進行の邪魔をしたりと、このあたりはビリヤードみたく、戦略性のあるスポーツだと感じます。
また、1試合に平均2時間半かかることからも、”氷上のチェス”と呼ばれる所以が伺えます。


さて、本編ですが、面白さは全て大泉洋に凝縮されてます。
真の主役と言ってもいいほど特別扱い。
お笑い担当もしんみり担当もワクワク担当もこなし、彼がいなかったらこの映画は成り立ちません。

それに華を添えるシムソンズの4人。
彼女たちはみんな個性が強く、わが道を行くタイプ(笑)
其故ぶつかることもしばしば。
だけど、それを乗り越えてこそ青春!
そのあたり彼女らと大泉洋との関わり合いを楽しんで見てください。

カーリング初心者がチーム作って、そのチームでオリンピックに行くということは、とんでも話に聞こえるでしょうか?
自分も初心者がそんなに早く上手になるわけがない!と思ってましたが、これを見てると(カーリングに関しては)すぐ上手くなれるんじゃないかと思えてきます。

頑張って練習して、それが結果に現れてくる過程はやはり元気や勇気をもらえますね。
これのためにスポーツ青春映画を見てるといっても過言ではないのだ。

DVD「いけちゃんとぼく」 レビュー

大岡俊彦監督。
原作は西原理恵子の絵本。

「絶対泣ける本」第一位の作品だそう。
映画が泣けるかは??

いけちゃんとぼく [DVD]/蒼井 優,深澤 嵐,ともさかりえ

スコア選択: ★★★


世界中で人より早く大人にならないといけない子供っているんだよ

ヨシオ(深澤嵐)の側にはいつもいけちゃんがいる。
いけちゃんはヨシオが辛いときは励まし、勇気づけ、元気をくれる。
だから、一人でも明るくいれる!そんないけちゃんはかけがえのない存在だ。
でも、ヨシオは大きくなるにつれ、いけちゃんが見え難くなくなっているのに気づいていた。


この作品の感動度はどれだけいけちゃんに感情移入できるかにかかっていると思う。
いけちゃんは、そんなに可愛くない…
けど、表情豊かで愛くるしい姿に段々と愛着が湧いてきたりする。

そんないけちゃんの本来の姿、存在の意味は?
これを知ったとき、それまでヨシオといけちゃんの絆に共感し、自分と重ね合わせることができた人は見返りが大きい。
ラスト泣ける。

でも、そこまで深く入り込めなかった自分はウルウルも来ず。
その理由として、ヨシオといけちゃんの相互の依存関係が思ったよりも強くないことが挙げられると思う。

始まった段階でヨシオは子供ながらに自立しようとしている時期で、ある程度いけちゃんとの距離はとれてる。
それが作者の意図なんだろうけど、どうもヨシオの感情の振り幅が小さいような気がした。


逆に、ヨシオが子供子供してて、ドラえもんがいないとダメなのび太くん状態だと、平凡な三流のドラマになってたと思うし。

やはりこれはこれで良いのかな。


あと、父との死やいじめなど高い壁にぶち当たったときに覗く、強がりの弱い心にはグッとくるものがあった。

そして、自力で成長していく様子も面白い、いけちゃんの存在を忘れるほど。

いろんな人に支えられて生きてるんだと実感できる温かい作品。
子供と一緒に見て、温かい気持ちになりましょう。