「彩〜aja〜」撮影最終日

この作品が僕にとって特別な物である事は間違いありません。
まだ録音も編集もいろいろ残ってますが
今日、撮影最終日を迎えます。
その時、その後、
僕はどうなってしまうのだろう、と
心配になってしまうほど
彩にも蒼にも自分が投影されていて
それでいて彼女達が生み出す美しい姿には
自分の世界には微塵もない美がある
どこでどう間違って
こういう風に生きてきたのか
自分の醜悪を突きつけられる思い。
とにかく大きなターニングポイントになってしまいそうな
この作品。
ターンの先は見えないので
先に言っておきたいんです。
みんな本当にありがとう。
それは出演者やスタッフばかりでなく
ソニーの皆さん、ビデオサロンの皆さん、ProNewsの皆さん、
僕を映像作家として認めてくれる
全ての人、
ありがとう。
本当に幸せです。
昨日、彩がスタジオに来て
美しい蝶の絵を描いて帰りました。
(冒頭の絵ではありませんよ)
彩がスタジオに来るのも
これが最後です。
この絵は僕がもらっておこうと思います。

『彩〜Aja〜』Prelude そして那須ロケ
ビデオSALON 11月号が発売されました
今回は連載に加えてSONY NEX VG20のテストレポート
それを現在撮影中の新作『彩~Aja~』の予告編をイメージして
撮ってきました。
ある画家との出会いで閉ざしていた心の窓が
開いてしまう画家の女性の物語
そしてそのロケを那須高原で行ってきました。

いかにも気持ち良さげな写真とは裏腹に
二泊三日の間
出演者をほとんど寝かさない過酷なロケ!
それでも誰も文句も言わず、
終止、緊張感のある演技をしてくれました。
こう言っちゃ何ですが
上の映像が予告編としての意味をなさない程
やっぱり本番は違います。
物語も決してソフトとは言えないんですが
みんな、とても美しい姿。
僕はとても幸せでした。



笠原千尋
寒かったねぇ、ごめんねぇ、と言いつつ
僕は隣で半袖になったりしつつ(汗)
身長差も年齢差も31という凸凹コンビ
よくついて来てくれました。
那須に入ってからはずっと彩といた気がするくらい
彼女の役への入り方は凄まじく
それでも細かい指示はしっかり役者として受け止めてくれる
本当に感謝と尊敬の思いで一杯です。
猪爪尚紀
男として美しい人
そして優しい人
細かい指示の連続に
よくぞ耐えてくれました。
そして何度も絵の具まみれになりながら
そのまま数時間放置なんて事も・・・
本当にありがとう。
藤原夏姫
とにかくチャーミングだった
ポロっと毒を吐くかと思ったら
ポロポロっと涙をこぼす。
本当にまじめな子です。
そしてプロです。
声優とコスプレーヤーをやっている彼女ですが
これからもお芝居を続けてほしい気持ちでいっぱいです

そして猪爪尚紀が演じた「蒼」の絵
これを描いたのは天野弓彦くん。
大切な作品をありがとう。
君の絵がなければ
この作品は成り立たなかった。
そしてそして!
前田達哉くん。
僕の思いつきに嫌な顔一つ見せずに
次々進めていってくれる魔法使い。
不可能を可能にする男。
君がいなけりゃ絶対撮り残してた
なんとこの作品のスタッフは彼のみ!
総勢5人で撮っちゃいました。
そんな無茶をやり遂げられたのは
一人一人の意識の高さと
献身的な行動による物に他なりません
あぁ、なんて感謝を表せばいいのだろう。
言葉が見つかりません。
ただただ僕は幸せ者です。
まだ少しロケと録音が残ってますが
その後はみんなの力が無駄にならないよう
丁寧に編集していこうと誓ってます。
どうか皆さん、お楽しみにしていて下さい。
「彩」リハーサル

これ
リハーサルなんです。(笑)
ね、
すぐにカメラを回したくなる気持ち
分かるでしょ。
こうして作品が僕の中から
だんだん役者の方へ流れていく
いつもならそれに従って
自分はだんだん軽くなり
最後にはお客さんとほぼ同じ立場になって
彼らに拍手を送る感じになれるんですが
今回だけはなぜか自分もどんどん作品の中に入っていく
いや、
入ったところで
役がないのでやることはないんですけどね
ただ、その場にいる亡霊のように
そこに引込まれていってしまってる。
こんな事は初めてで
少し戸惑っています。

役者は僕の憧れです。
そして、絶対になれないものです。
それほど作家と演者はかけ離れていて
だから舞台でも映像でも
本番までに全て託すんです
時々それを両方やっている人を見かけますが
そういう作品は信じません。
今回も役者と同じ所にいるということではないんですが
いつもとは少し立ち位置が違うような気がしていて
胸が切り刻まれるような
とろりと溶けてしまいそうな
いろんな感覚が僕を襲います。
早くここから逃げ出したい気持ちと
このままの気持ちでカメラを回したい気持ちで
混乱しているのです。




