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感想亭備忘録

ドラマ、映画、小説について感想、解説、批評など。
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苦言、というと「大河はフィクションなので史実と違っても問題ないんだ。」という反論が来がちですが、違うんです。

フィクションの部分の出来があまりにも悪いんです。なのでどうしても一言いいたくなってしまいました。

 

まず、6/7放送回「播磨大誤算」。

一度は織田についた播磨の国衆、別所氏が謀反を起こします。同じ時期に播磨西部の上月城に毛利軍が攻めよせてきます。秀吉は上月城救援に向かうのですが、毛利の大軍を前に援軍がなければ手も足も出ない状態。信長の判断は「上月城を見捨て、別所攻めに専念せよ。」というもの。

ここで秀吉は突然上月城に籠る尼子再興軍に感情移入してショックを受けます。でも突然尼子勝久だの山中幸盛だの名前出されても、見てる方は「はあ、戦国だしそういう事もあるかもなあ。」としか思えません。その後に「実はかゆを一緒に食べて云々」と言い訳のように付け足すのですが、これシナリオとしてはかなり悪手です。

「見捨てる」という判断。これに視聴者が秀吉と同じように衝撃を受けないとお話として成り立たないんです。感情移入できないんです。「秀吉がショックを受けてる?え?なんでなんで?」に対して後出しで「実は仲良くしてたんです。」ってやっちゃったら視聴者は「へー、そういう事情なんだねぇ。大変だね。」みたいに完全に他人事、傍観者になってしまうんです。

どうすればよかったのか。

その前の回を一回まるまる尼子主従との交流の回にすればよかったんです。ボロボロで流れ着いた尼子主従を、秀吉、秀長、半兵衛…なんなら、秀吉兄弟の母親のなかやねねも一緒に交流して、まるで家族のようなシーンを見せればよかったんです。そんな史実はないわけですけども。フィクションなんだから。そうすれば「見捨てる」という決断が下された瞬間に視聴者も同じように衝撃を感じられたはずです。この一点をとってもシナリオが下手だなあという感想です。この脚本家の方が他にどんなドラマを書いているどういう方か存じ上げないのですが、ことこの大河に関しては本当に稚拙です。

 

例を挙げていけば、まず「武田信玄の死に方」。通説では病死です。俗説では暗殺説もあります。で、なんで餅をのどに詰まらせて頓死させたんでしょう。「フィクションだからいいじゃないか!」じゃないんです。天下の名将として名高い信玄を、毒殺を恐れて餅を食ってのどに詰まらせて命を落とす、「これがほんとの信玄餅」というとんでもない間抜けに描くことに「フィクション」としてのどういう意図があるんでしょう。信長が恐れ家康が全くかなわなかった強敵が実は間抜けだった、という創作でどんな効果を狙ったんでしょう。全く理解できません。

 

次に秀吉・秀長兄弟の描き方です。

歴史的イベントの場に現れて頓智問答してるだけ。本圀寺の変、松永久秀の最期、どれも激戦だったはず。のこのこ出て行ってしょうもない芝居したりどっちが本物でしょうクイズしてるような余裕のあるゆるい現場ではなかったはず。

しかも姉川の合戦の時期にいたって、なお敵を殺すのをためらう小一郎。尾張統一、美濃平定、上洛、金ヶ崎の退き口を経てなおそんな精神性なわけないじゃないですか。

 

これはシナリオではなく演出の問題なのですが、合戦の描き方があまりにも程度が低い。合戦といえば秀吉兄弟がへっぴり腰で刀を振り回すばかり。最初はいいです。でも姉川の合戦の頃には秀吉は一軍の大将です。兵を指揮するのが仕事です。まわりに足軽数人しかいなくてチャンバラしてる場合じゃないんです。

 

そして主人公兄弟がどこまで行っても清廉潔白で、悪いことは羽柴家以外の人がもたらす、というとんでもない他責思考。秀長を潔白にするなら秀吉に闇を少し背負わせないと、葛藤も成長も描けないじゃないですか。

このあと秀吉は三木城攻略においても「餓え殺し」と呼ばれた鳥取城攻略においても、地獄を創り出すんですよ。餓死者数千、馬は愚か死んだ人まで喰らうという地獄を。どうするんでしょう。誰か人のせいにするんでしょうか。それともエピソードを飛ばすんでしょうか。

 

戦国を舞台にしたホームドラマを作りたかったそうですが、ホームドラマだからと言って主人公たちを純粋無垢、清廉潔白、完全なる善として描いてしまうとそれはフィクションですらなく「嘘」になってしまうと思います。

戦乱の世を舞台にしたホームドラマというのであれば、直近の大河に「鎌倉殿の十三人」という超名作ドラマがあるじゃないですが。家族間で助け合ったり、慰め合ったり、対立したり、妬んだり恨んだり、殺し合ったり、その上でも切れない情があったり。鎌倉殿と北条家を舞台にした見事なホームドラマでしたよ。全員が完全無欠の善人ではドラマは生まれないんです。しまじろうじゃないんだから。

 

最後に「風雲!竹田城」というタイトル。

どう考えても「風雲!たけし城」をもじってますよね。面白いですか?このタイトルを付けた人は軽蔑します。

 

 

 

 

一世一代の大芝居!

すべてがキレイで艶っぽく仇っぽい。

特に冒頭の仇討シーンの美しさは異常です。

 

ネタバレを気にするほどのミステリー要素でもないので、いろいろ言っちゃってもいいのかなぁという気がしないでもないですが、まあここは言わぬが花ということで。

 

終盤のアクシデントがかなりドタバタなのでその辺もう少し艶っぽくできていれば完璧だったんだけどなぁ。

 

とにかく美しく粋な映画です。

いや、映画というか大上段に振りかぶった大歌舞伎を堪能したような気分。歌舞伎自体は平成中村座をテレビで見たぐらいしか経験がないんですけどねw

 

キャストは皆、芸達者ですね。上手いです。特に北村一輝さんの朴訥さと色気の二重奏は素晴らしい!

あ、あと高橋和也さん。個人的には意外なんですけど曲者的ないい役者さんですね。いや本当に演者は一人残らずよかった!

 

本当に満足感たっぷりの余韻に浸ることができる映画でした。

 

最近Netflixで配信が始まったので見ました。

面白い。

全編にわたって息の詰まるような緊張感と迫力。謎が謎を呼ぶマトリョーシカのような展開。息つく暇もないドラマです。

 

とにかく熱量。ただただ膨大な熱量だけで成り立っているドラマです。訴えたいことが、とめどなくあふれ出てくる、いや噴出する、その一点突破のみのドラマ。

爆破の特撮のチャチなこと。爆弾の設置や開けられない扉、外から見えない防弾ガラスの窓などのありえなさ。警察の対応や教師、保護者の対応の現実感の無さ。人質になっている生徒たちの感情の揺れの極端すぎるところ。挙げればきりがないほどまっっっっったくリアリティのかけらもない、総じて割と安めなウソ設定だらけ。

 

であるにもかかわらず、菅田将暉のとんでもない熱量の爆発的な演技。それをぶつけられ感化された生徒役の感情の発露を伴う演技。ただそれだけですべてを納得させる力技。それに乗って発信される、どうしても伝えたいメッセージ性。強烈な一点集中が奇跡的にとんでもない効果を生み出した素晴らしいドラマだと思います。

 

もちろん諸々のバランスは最悪で、このドラマ「のような」ドラマを作ったとてとんでもない駄作になるのがオチだと思います。

ありえないほどの剛腕で強引にすごいドラマを作り上げた演者、スタッフに脱帽します。

 

 

 

婚活の話だったとは!?

何の前情報も入れずに見たのですが、婚活を題材にして現代人の人間関係について踏み込んだ物語でした。

 

地位、年収、学歴、容姿、人当たりの良さ。そういった物差しでお互いを測り合い品定めし合う、そういう場で出会った二人がそういったレッテルや虚飾の向こう側にあるお互い自身を見つめることができるようになるまでのストーリー。

 

途中で出てくる女友達二人がとんでもなく不愉快でうっとおしい、と思ったのですが、彼女たちはこの物語を転回させる狂言回し的な舞台装置だったんだなあと後で気づきました。

リアルタイムで見ている時はシバきたくて仕方なかったですw

 

人の心の表層の向こう側にある生の自分をむき出しにさせる物語、という点では「六人の嘘つきな大学生」や「何者」の方が真に迫っていて切実です。純粋な闘争の場である「就活」と恋愛要素の絡む「婚活」の差なのかな?

 

ちらっと毒親的描写も出てきたりするので、原作はもっとじっくりいろんな要素を書き込んでいるんじゃないかと気になりました。元々「辻村深月」さんは好きな作家さんなので読んでみるかな?

 

近未来、重大犯罪の抑止と裁判の迅速化のため「裁判官」「検察官」そして「処刑人」を兼務するAIが導入されます。容疑者は裁判においてAI相手に90分の間に有罪率を一定程度下げることができなければ即、処刑されてしまいます。

ただし、AIはあらゆる証拠、監視カメラ映像、通信、通話、位置情報などオンラインで入手できるあらゆる情報を容疑者の求めに応じて提供します。

刑事である主人公はある日、身に覚えのない妻殺しの容疑で、いきなりこの裁判にかけられます。圧倒的に不利な状況の中、各種情報を駆使して90分以内に容疑を晴らすことができるのか!?

 

って、これは無理ゲーでしょう。弁護士どころか相談する相手もなしでこの状況に放り込まれたら、一般人はなすすべなく処刑されてしまう気がするんですが………。

この絶体絶命のピンチをどう切り抜けるのか。事件の真相は何なのか。冒頭からかなり引き込まれます。

 

映画のつくり的には「SEARCH」シリーズによく似ています(SEARCHの方は現代なのでより生々しいですが)。ほぼオンラインの情報を追うことで事件の真相を暴いていく手法は密室会話劇のようでありながら、外への広がりも同時に持つという、面白い状況を作り出していて興味深いです。

終盤アクション的な見せ場もちょこっと用意してたり、小さなどんでん返しがあったりとサービス精神旺盛で楽しめます。瞬時に情報にアクセスできるこのシチュエーションであれば無駄に捜査シーンに尺を割くことなく情報量を詰め込めるので、もっと壮大にどんでん返しを仕掛けることもできるかも知れません。

今後も同じようなテーマの作品が生まれる気がしますね。PC,スマホ、オンラインが日常になっている現代人にSERCHもこの作品もぶっ刺さると思います。