あまりネガティブな感想は書かないようにしているんです。批判するのは簡単なので。見続けている以上その中に何か光るものを見つけ出したいと思っているんです。
でも「さらば半兵衛」はひどかった。あまりにもひどかった。
謀反を起こした荒木村重を説得するため単身有岡城に乗り込んだ黒田官兵衛(この時はまだ小寺官兵衛かな?)が村重に捕らえられてしまいます。そして「官兵衛は裏切って荒木側についた。」とうわさを流されます。信長はそれを聞いて、人質である官兵衛の息子、松寿丸を処断するように命じます。半兵衛は松寿丸を匿うと言いながらその実、羽柴家のために自分一人が責任を負うつもりで処断を実行すべく、長浜に向かう。という流れ。
羽柴家の存続のために、羽柴家を守るために松寿丸を処断しようとする半兵衛。
家族同然となっている松寿丸の命をを守ろうとするねね。
ドラマ的に素晴らしいシチュエーションです。
そこで、この脚本家がやったのは、家探しする半兵衛と、子供のいたずらか、中学生の文化祭のお化け屋敷レベルのちんけな仕掛けでごまかそうとするねねのドタバタコメディ………。
なんですかこれは。
あれじゃ、ねねは松寿丸を本気で守る気なんか、はなから無いとしか思えないです。遊んでるだけですから。ここで描くべきは絶対にドタバタコメディシーンではなかったはずです。
羽柴家を守るために、汚名を着ることを顧みず忠義を貫こうと決心した半兵衛と、「家族」を命を懸けて守ろうとするねねの真剣な対峙だったはずです。
どちらも正しい、どちらも譲れない、同じく羽柴家を思う二つの意見、心、覚悟がぶつかり合う見せ場。菅田将暉と浜辺美波の演技の見せどころでもあったはずなんです。
「家族や仲間だから起こるはずの深い対立や葛藤」が描かれず、仲良し描写とドタバタしかない、これは歴史ドラマとしてもホームドラマとしても致命的に浅いと言わざるを得ません。
深い対立や葛藤が描かれるからこそ、そこを乗り越えた先の相互理解に感動するんじゃないんでしょうか。
細かいことを言えば半兵衛が松寿丸処断をあきらめるきっかけもなんだかちぐはぐです。慶(ちか)の産んだ子供を抱きあげることで、命の大切さに気付く、みたいな演出でしたが、半兵衛に子供いますよ?竹中重門っていう、松寿丸より五歳下の子が。他人の子供抱っこして改心するなら、より近い年齢の自分の子供のことを先に思い出しませんか?それとも子なし設定なのかなぁ。
細かいついでにもう一つ言えば、半兵衛逝去のシーンです。
諸葛孔明のエピソード丸パクリだというのは置いておいて、あのシーン、秀吉、秀長、蜂須賀小六、前野長康、竹中半兵衛が集まってました。秀吉軍の幹部ほぼ全員です。それで桜散る中「おお押し返しておる!」とか見物してます。その押し返してる軍勢は誰が指揮してるんです?幹部ほぼ全員が物見遊山してるのに。あの場にいなかったのは宮部継潤ぐらいですよ。宮部が全軍の指揮権を預かって戦ってたんでしょうか。前回も書きましたけど、合戦の描写が無茶苦茶なんですよ。
で、次の回のタイトルが「軍師官兵衛」。
他の番組のタイトルを各話のタイトルにして悦に入るのは本当に程度が低い。強い繋がりがあるのならまだしも、官兵衛の話だから、以外の理由はなさそう。ならいっそ「黒牢城」とでもしたらよかったのに。いやよくないけど。