感想亭備忘録 -16ページ目

感想亭備忘録

ドラマ、映画、小説について感想、解説、批評など。
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菅田将暉はすごい・・・のか、三谷幸喜がすごいのか。

おそらく両方なんでしょう。

源義経という戦の天才のあり方にとんでもなく説得力があります。今までの義経の描かれ方は「一途で一生懸命に兄に尽くしたのに裏切られた悲劇の天才」というのが多かったと思います。もちろんそうだったのかもしれませんが、それよりも今回の「鎌倉殿・・・」で描かれる義経の方が人間的というかリアリティーを感じるというか。

 

天才。

戦の天才。

人の意表を突き裏をかき殺すことにかけて右に出るものはない異常な才能。その持ち主が素敵な好青年であるよりも、このドラマで描かれるように、自分の思い通りにならない事に我慢がならず、すぐ拗ねる上に他者の痛みには全く無頓着という歪さをもつ厄介な人物であるほうが納得できる気がします。無邪気で純真であることこそが義経の恐ろしさであるということ。ああいう人物の近くにいることの危険性。三谷幸喜の脚本が今後義経の運命をどのように描くのか、興味津々です。

 

他者と関わることが苦手な男性。彼はある事件で警察に追われ盲目の女性が一人住む家に逃げ込みます。

視力を失ったことで社会とのつながりを断ち切ってしまった女性は彼の存在に気づかないまま奇妙な同居生活が始まります。

 

表紙の雰囲気とサスペンス的シチュエーションで怖い物語に思われがちですが、人との関わりに背を向けた男女が出会うことでお互いに起こる変化を描いたお話し。気配を感じ合うという交流の仕方があまりにも繊細で印象的です。

 

人と関わることで生まれる苦しみが人を傷つけ、同時に人と関わることで癒やされることもある。諦観と孤独の中に沈み平穏を望むのか、傷つくことも受け入れて安らぎを求めるのか。色々考えさせられました。

とても素敵なお話しでした。

 

50代の男女が三十年ぶりにフェイスブックで再会しDMのやり取りをする、いわゆる往復書簡形式で進行する物語。サクサク読めます。

 

思い出話の裏側で何を隠そうとしているのか、何を暴こうとしているのか気になってページを繰る手が止まりません。

どんでん返しと言うには大味にすぎるという意見もあるようですが、個人的には十分楽しめました。焦点を当てる場所によって見え方が変わる「ルビンの壺」。周囲がそれを形造ったったのか、それの形が周囲を巻き込んだのか。さてどうなんでしょう。

 

読書慣れしてるひとなら90分もあれば読了できる小説です。ちょっとした空き時間に読んでみてはいかがでしょう。

 

いやぁ、いよいよ出てきましたねえ!

悲運の天才武将・源義経!

 

源平の物語では、「兄を慕い兄に尽くした天才であったが、些細な行き違いから疑われ切り捨てられ非業の死を遂げる青年武将」という描かれ方をしてきた義経。

菅田将暉という面白い俳優にどう演じさせるのか期待していました。

いやあ、期待以上でした!

気まぐれで明るく元気なサイコパス!

軍事の天才なのだからあれぐらいのいびつさがあってもおかしくはない、と納得させられました。

他者の気持ちを全く推し量ることができず、自分のやりたいこと、思いつき、おもしろそうなことに飛びついて、そのせいで誰かがひどい目にあおうが微塵も気にかけない。

いいですねえ。どう考えても頼朝と馬が合うとは思えません。平氏討滅戦において義経と組まされるのがあの陰気な梶原景時というのも面白い。この大河ドラマで描かれる義経の最期は、悲劇なのか当然の報いなのか。どんな風に描かれるのかとても楽しみです。

 

このドラマはドラマとして何を見せたいのだろう。

それが気になっていました。

原作を読んでいる人間にとってもストレスを感じることなく映し出されるストーリーはやはり衝撃的で、素晴らしい仕事をしていると思います。ただ、じゃあドラマとして何を見せようとして制作側が作っているのか。ただただ見事なまでの再現だけを目指したのか。もちろんそれはそれで価値あることなのですが何か他にもあるような気がして、考えてみました。

 

躍動感の塊と言っても過言ではない演技力の持ち主の菅田将暉さんを起用している以上、整をどう描こうとしているのかが見どころなんだろうか。

いや、菅田将暉というアクの強い俳優を使っている割にはニュートラルというか淡々とした演技で、ウケのお芝居が多いような。もちろん原作の整が巻き込まれ型というか巻き込まれたがり型な主人公ということもあるのですが、それにしても彼を起用したならもっとやりすぎたくなるのが人情なような…。

 

ってところで思いつきました。…遠藤憲一、柄本佑、小日向文世、岡山天音…嫌になるほどの演技巧者集めてますよね。今後締めで出てくるはずの永山瑛太さんはまだ置いておくとして、名前を上げた方々のド迫力の怪演の数々がこのドラマの特徴なんじゃないでしょうか。ある意味、菅田将暉さんとゲストの演技勝負とも言えると思います。ただ、菅田さんの側は徹底的に抑えた演技で相対する演技者から何かを引きずり出すことに専念しています。

 

整の寸鉄人を刺すというべき一言は極端に平静に呟くように放たれます。それが対峙するゲスト陣の演じる人物たちの激しい情動を際立たせているのです。そういう意味では原作よりもより犯人(秘密を抱える側)に焦点を合わせているようにも思えます。

 

結論として、「究極に情動のフラットな整」と「抑えきれない何かによって犯罪を犯すに至った犯人」という両極端な存在の対峙を、「菅田将暉」と「ゲスト俳優」の演技のぶつかり合いによって生み出される緊迫感の中で見せていくのがこのドラマの、原作にはないドラマとしての見どころなんだろうと思います。

 

次回は鈴木浩介・佐々木蔵之介・田口浩正・渋谷謙人とまたまた一癖も二癖も三癖もありそうな俳優さんたちが勢揃いですw期待しかありません!

 

あ、それと伊藤沙莉さん演じる風呂光の恋愛ドラマパートは、あれは何なのでしょうか。月9の業病なのでしょうかw

気になる異性と他の人との密会の目撃、すれ違う二人、渡せないプレゼント…月9で100億回ほどやった既視感のあるエピソードばっかりぶっこんできますね。真面目に恋愛を描くにしてはあまりにも質が低すぎるのでなにか仕掛けてるのかなあとも思ったりもします。さて真相はいかに。