読了。
9月にアーティゾン美術館「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」展を訪れた。
そして、10月に山口晃氏のエッセー漫画「すゞしろ日記 参」を読み、そういえば、山口氏の「第12回小林秀雄賞」受賞の「ヘンな日本美術史」を読んでいないのではないか…2012年11月に発行なので、もしかして読んでいるのではないか…とも思ったが、読書記録である本ブログを検索したところ、ヒットしなかったので、読んでみることにした。
ヘンな日本美術史 (著)山口晃
10月13日に東京国立博物館「やまと絵」展で「鳥獣戯画 甲巻」を鑑賞してきた。
「鳥獣戯画」は、甲、乙、丙、丁の4巻で構成されているが、作者も作成時代も各巻違うだろうとされている。
山口氏によると「描いた人が同じか違うかは、力を抜いて描く部分を比べると割と分かります。例えば耳。」(太字部分は本書からの引用)とのことで、猿の違いについて述べられている。
ほう…そんな見方が…。
2021年4月の「国宝 鳥獣戯画のすべて」展の図録があるので見比べたところ、甲巻の猿の耳は「3」のような形で、丙巻は「C」のような丸い形。ほう、違う!
来週、展示替えを狙って再び「やまと絵」展に行く予定である。
ちょうど「丙巻」の展示期間なので、猿の耳をしっかり鑑賞したいと思う。
紙本は黒が重要とのこと。絹本でも黒は大切だが最も重要なのは白だそう。
「白の使い方が絵の成否を握ると言っても過言ではありません」と山口氏は書いている。
「一遍聖絵(一遍上人絵伝)」清浄光寺(遊行寺)蔵 第三巻 第二段 念仏道場での勧進の場面」が掲載されており、大変納得した。
確かに白い色がアクセントになっており目立つ。
「試しに白を抜いて見てみると分かるのですが、画面が非常に沈み込んでしまって弱くなってしまいます。そのぼやけたものに、白が入る事によって、硬度や抵抗感が出て、岩の硬さとか霞の奥行きと云ったものを表現できるようになるのです」
例えば、屋敷を描く時に白壁の場所に胡紛を置くと、画面全体にめりはりがついてくるとのことだ。
「白を入れた瞬間に絵のレベルが変わるのです」
ほう…そこまで。
金箔の貼られた屏風の鑑賞方法についても書かれていた。
上からの照明だと背景が黒く沈むそうだ。
当時、屏風は基本的に、昼は窓、夜は燭台からの横からの光で鑑賞されていた。
山口氏によると「横から光を当ててみると、金箔と云うのは透けて見えるのです」。
ええっ。
これってどういうことだろう。金箔が透ける?
「これを美術館で体感するには、しゃがんで見るのが一番です。少し見上げるようにして見てみると、光の入射角が変わって、途端に金がふわっと明るくなります。奥行きが出て、一種のイリュージョンのように感じられるはずです」
うむ。これも実行するしかない。
「洛中洛外図屏風」は様々な時代、様々な作品があるが、「舟木本」(東京国立博物館)、「上杉本」(米沢市(上杉博物館)蔵)、「高津本」について書かれており、これも大変興味深かった。
狩野永徳の「上杉本」は、「人物の描線は恐らく永徳一人で描いたのではないかと考えています」。ええっ?工房で複数人数で書いているのではないのか?「鼻の形はどれも似ていて、あれは狩野派の鼻と云うよりも、永徳の鼻と言った方がしっくりきます」
こちらも鑑賞することがあれば、鼻の形に注意して見てみたい。
「高津本」は素人が書いたのでは?とのことだ。え。
確かにとてもインパクトがある。
「樹木に関しては、この作者は明らかに描き慣れており、松や竹、数種の広葉樹を無駄なく描き分ける「型」を持っています」
ほう。機会があれば、樹木に注目して鑑賞したい。
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10月にもらったお土産。
仙台からのお土産。
箱の中に箱が。
手が込んでいる。
生地がふわっとして、中のカスタードクリームも美味しかった。
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そして本日、新潟県新発田市の「翁もなか」。
外側の包装を開けると、こんな感じ。
じーっと見ると、ちょっと怖いかも。
中に餡と求肥が入っていて美味しいのである。
丸八製茶場の期間限定「焙茶noma」で。
とても甘い香りがして、秋になると飲みたくなる。
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本日、新宿御苑近くのギャラリー「小灯」に行ってきた。
9月にも「一器一仕の酒器袋」展で訪れている。
「水景 江波冨士子と由良園」展。
ガラス作家2人の共演。
昨日が初日だったのだが都合がつかず、2日目の本日に訪れた。
作品はかなり「お嫁に行ってしまった」そうだが、しっかり鑑賞。
会場には、由良園氏がいらして、ギャラリーの方とも一緒に9月の「一器一仕の酒器袋」展での仕覆の話で盛り上がった。
この後、新宿伊勢丹、新宿高島屋をうろうろ。