ろんりーさんだー☆ぷらす-クリスマスキャロル


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 先日、姪っ子に約束させられていたディケンズ原作、ロバート・ゼメキス監督の「Disney’sクリスマス・キャロル」を観に行ってまいりました

 この姪っ子、弱冠5歳にしてかなりの映画好き

 見に行った日は、「なくもんか」も鑑賞させられ、2本立て状態…

 流石に疲れました(^^;

 身内贔屓ではありますが、末恐ろしい子どもです


 タイトルにもあるように、この作品はクリスマスを描いた作品です

 主人公は、スクルージという金にがめつい強欲ジジイです

 彼はクリスマスという習慣が大嫌い

 人々は仕事を休むし、クリスマスのパーティやご馳走、プレゼントにお金を使い、浮かれ気分で大騒ぎするからです

 彼はそれを無駄なことだと考えています

 当然、慈善活動など以ての外

 冷血無慈悲の男です


 そんな彼の前に、クリスマスイブの夜、死んだ同僚の幽霊が現れます

 その同僚も、生前はスクルージと同じく鐘の亡者でした

 姿は無残にも変わり果て、重りのついた鎖で戒められています

 彼はスクルージに自分と同じ轍を踏ませないために、3人の精霊の訪問を段取ったと告げて姿を消します

 その言葉通り、次々に現れる精霊たちに、それぞれ、過去・現在・未来の自分の姿を見せられます

 自分がどう生きて、どう道を誤ったのか、その結果としての現在周囲から疎ましがられている自分の姿、このまま生きていけばどんな寂しい死が自分を待っているのか…

 客観的に自分を見つめることで、自分の行いを反省し、立ち直っていくというストーリーです


 この作品を見て思ったのは、今までの自分を反省し身を正すことで未来は変えられる、ということ

 なんとなく子供向けの作品かと思っていましたが、これは大人こそ見るべきかもしれません


 映像自体もデフォルメが強く、静止画で見れば子供向けのように見えますが、実際はかなりのど迫力で大人向け

 激しいカメラワークには、酩酊感を覚えます

 音声もメリハリが強く、驚かされることもしばしばでした

 ディズニーランドのホーンデッドマンションのような薄気味悪さや恐怖感もあり、姪っ子は時折私にしがみついていました(^^;

 そもそも教訓的なストーリーの作品ですが、この演出でそれが際立ったような気がします

 喩えて言うなら「なまはげ」的

 きっとこの作品を観た子どもは、人に冷たくしようとは思わないでしょう

 

ちんぷんかん (新潮文庫)/畠中 恵
¥540
Amazon.co.jp


 本日ご紹介するのは、畠中恵さん作『ちんぷんかん』です

 昨日、待望の文庫が発売しました

 この作品は、NEWSの手越祐也さん主演でテレビドラマ化した「しゃばけ」「うそうそ」 でお馴染みの「しゃばけ」シリーズの第6作です

 私はこのシリーズだけは待ちきれずに単行本で買ってしまうので、既に読了しております

 いつもは収納場所や価格のことを考えて文庫落ちまで待つことにしているのですが、「しゃばけ」シリーズは早く続編を読みたいという欲求が勝ってしまうほど面白いのです


 『ちんぷんかん』は5編の短編を収録しています

 その中から表題作の「ちんぷんかん」について書いていきます


 「しゃばけ」シリーズの主人公は、江戸日本橋の大店、長崎屋の跡取り息子・一太郎です

 一太郎は生まれつき病弱で、今までも何度も死に掛かっています

 ですから、両親や奉公人たちに過保護なほどに大切にされています

 両親の親バカっぷりもさることながら、兄やである仁吉と佐助の溺愛っぷりもすさまじいものがあります

 そんなふうに育てられたら、我儘一杯の子どもになってしまいそうですが、一太郎には無縁です

 おっとりとしていて、心優しく、思慮深い少年なのです

 そして彼には普通の人とは異なる能力があります

 人には見えない妖怪の姿が見えるのです

 それもそのはず

 彼は人間と妖怪のクォーターなのです

 実は、兄やである仁吉と佐助は力の強い大妖怪

 他にも長崎屋には一太郎を慕うたくさんの妖怪が巣食っています

 病弱で行動範囲の限られる一太郎は、妖怪たちに協力してもらって、安楽椅子探偵よろしく様々な難題を解決するトラブルシューターでもあります


 主役は一太郎ですが、「ちんぷんかん」でのメインは上野広徳寺の高僧・寛朝の唯一の弟子である秋英です

 秋英は武家の三男に生まれ、幼いときに広徳寺に修行に出された身の上

 入門してすぐに寛朝の弟子に迎えられましたが、その抜擢に周囲は冷ややかです

 なぜなら、寛朝は妖怪封じを得意とする高僧

 その弟子というからには、妖怪封じの術を継承することを求められるのです

 しかし、秋英にはその才能がないと評価されているのです

 そんな折、秋英は一太郎からの訪問を受けていた寛朝から、寛朝を訪ねてきた他の相談客の接待を命じられます

 その客は六右衛門と名乗り、娘が和算の教科書の挿絵の男に懸想して困っていると打ち明けます

 そしてその男の絵が本の中で動くというのです

 六右衛門にその本を見せられ、覗き込んだ秋英は、なんと本の世界に吸い込まれ、本の中に閉じ込められてしまいます

 六右衛門は実は人間に化けた妖怪だったのです

 六右衛門は本から出す条件として、長崎屋一太郎の異母兄・松之助との縁談を取り持つか、和算の問題で勝負しろと迫ります

 縁談の仲人を拒否した秋英は六右衛門と勝負することになります

 さてさて、秋英は無事に本の中から抜け出すことが出来るのでしょうか


 実は秋英、妖怪を見る力を持っています

 しかし、自分ではそのことに気づいていません

 そのため周囲からの評価を真に受けて、自分を役立たずだと思い込んでいます

 今回の寛朝の命は、そんな自己評価の低い秋英に対する荒療治です

 物語の終盤、寛朝は秋英に言います

 「…人であるからには、己を信じねばやっていけぬよ。もっと己を頼みにすることを覚え、自信を持たなければな」

 もっと早くこの言葉を掛けてもらえていたら、秋英ももっと気楽に生きてこれたと思いますが、何の壁にもぶつからないでいることは真の成長に繋がらなかったかもしれません

 困難を排したあとに与えられた師匠からの言葉には重みがあったと思います

 私もどちらかというと自分に自信がないので、この言葉はとても胸に沁みました


 この作品に興味を持った方に他にもおススメしたい作品があります

 香月日輪さん作「妖怪アパートの幽雅な日常」シリーズです

 現在、『妖怪アパートの幽雅な日常①』『妖怪アパートの幽雅な日常②』 が講談社文庫で文庫化されています

 12月には第3作目が発売予定です

 「しゃばけ」シリーズ同様、気のいい妖怪たちがわんさか登場します

 ひょんなことから妖怪アパートの住人となった稲葉少年が、アパートの住人や住妖怪に見守られ助けられながら成長していく物語です

 本選びの参考にしていただけたら幸いです

ろんりーさんだー☆ぷらす-笑う警官バナー


 昨日は、地元映画館のサービスデーを利用して、佐々木譲さん原作、角川春樹さん製作・脚本・監督の『笑う警官』を鑑賞してきました

 物語は、北海道警の裏金疑惑に関する調査のため「百条委員会」が開かれることになったことに端を発します

 「百条委員会」開廷前日(正確には前々日の夜)、北海道警本部の女性警官が殺害される事件が起こります

 事件発覚の僅か2時間後、女性警官の元恋人で北海道警の警官である津久井が指名手配されます

 現場に覚醒剤と銃弾が残されていたことから、本部は津久井が拳銃を所持していると見て、抵抗した場合は発砲やむなし、つまり事実上の射殺命令が下されるのです

 あまりにも早い被疑者特定と、異例の射殺命令に、疑念を抱く所轄の刑事たち

 彼らはその夜、すすきのにある「Black Bird」という店に集まります

 そこには、指名手配されているはずの津久井の姿が…

 犯行を否認する津久井

 そして彼は、自分が「百条委員会」から出頭命令を受けたことを語ります

 「百条委員会」で津久井に証言されたら困る人間が、津久井を罠に陥れたのだと考えた佐伯以下の刑事たちは、翌日行われる「百条委員会」開廷まで津久井を守り、真犯人を突き止めるべく行動を開始します


 同じ所轄、同じ捜査一課のメンバーたちですが、個人個人の行動が不審に思えてくるような演出が施されています

 何かを隠しているふうだったり

 騙しているふうだったり

 内通しているふうだったり

 誰が傀儡師で、誰が傀儡なのか

 どのキャラを信じていいか分からなくなるようなめくるめく疑心暗鬼に囚われます

 『笑う警官』という題名は、最後に誰が笑うのか、という意味なのかなーと思いました


 映画の雰囲気ですが、BGMはジャズ

 所轄の捜査陣はジャズバンドのメンバーという設定になっていたみたいです

 だから、主人公・佐伯警部補役の大森南朋さんの素敵なサックス演奏シーンが見れました

 超素敵♪ 超セクシー♪

 こういう渋くてカッコいい演出はきっと監督さんの趣味全開なんでしょうねぇ

 思わせぶりな、裏にもう一枚意味を含ませたような台詞回しも、ちょっと昔風だけど返って新鮮な気がしました

 


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