うそうそ/畠中 恵
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うそうそ (新潮文庫 は 37-5) (新潮文庫)/畠中 恵
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 もう先月になりますが、ドラマスペシャルとして放送された「うそうそ」の原作です

 ドラマではディティールを大幅に変更していましたね

 一太郎の箱根湯治へはあんなに大勢の妖はついて行かなかったし(しかも、同行した意味はあまりなかったですね…)、一太郎のお父さんも鈴彦姫も旅立たなかったし、朝顔探しのお侍さんの設定もだいぶ違ったし…

 ストーリーも、親子の和解に主題が置かれていたようです

 原作とは違っていたけれど、それなりにまとまっていて、原作とは別作品として楽しむことができました


 原作のほうはというと、物語の発端は一太郎の箱根旅行

 そのことで、箱根の姫神が臍を曲げてしまいます

 どうして姫神が臍を曲げるかというと、それは嫉妬

 体が弱くて、非力な一太郎が、どうして皆に可愛がられるのか、と引きこもりがちな姫神が妬んでしまうのです

 シリーズを通して一太郎の人となりを知っている我々は、一太郎の優しくて温和な性格と人徳が周囲を惹きつけることを承知していますが、一太郎と話をしたことのない姫神にはそれがわからないのです

 またそれが当人同士の問題で終結するならともかく、お互いのお守り役のほうがエキサイトしていまうので、話はどんどん大きくなります

 仁吉・佐助のコンビ VS 箱根の天狗

 両者が実力行使に出るので被害もどんどん大きくなります

 それに、某小藩の進退問題も絡まっていきます

 さてさて、一太郎はこれらにどう決着をつけるのでしょう?


 ドラマを観て面白いなぁ、と思った方、原作も違った味わいがあります

 文章も読みやすくて、ふんわりとした優しい文体です

 是非ご一読を!