クリストファー・プラマーが2月5日にアメリカ・コネチカット州の自宅で逝去しました。享年91。

 

90歳を超えても、尚元気で現役で活躍していましたが、2月に自宅で転倒し頭部を殴打して入院。そのまま帰らぬ人となってしまったそうです。もし、転倒さえしなかったら、彼はもっともっと長生きして現役で活躍してくれたのでしょうか。それを思うと、悔しくてたまりません。

 

1929年12月13日、カナダ、トロント生まれ。祖父は、元首相のアボット氏です。ブロードウェイでキャリアを積み、シェークスピア劇も数多くこなし、58年にシドニー・ルメットの『女優志願』で映画初出演を果たします。その後、『ローマ帝国の滅亡』を経て、65年の『サウンド・オブ・ミュージック』でゲオルグ・フォン・トラップ大佐を演じ、世界的に有名になりました。『サウンド・オブ・ミュージック』は、当時世界での興行収入ナンバーワンを誇っていた『風と共に去りぬ』の記録を遂に塗り替えた映画です。果たして、世界中でどれぐらいの騒ぎだったのか、想像するしか出来ません。それがために、どうしてもクリストファー・プラマー=トラップ大佐のイメージがこびりついてしまったのも事実で、私にも、彼は永遠のトラップ大佐です。でも、実は撮影当時はまだ36歳。退役の大佐という年でも、あんな大きな子達がいる年でもありませんでした。

 

 

 

その後の活躍には、目覚ましいものがあります。『空軍大戦略』『ワーテルロー』のような大作。『らせん階段』はリメイクですが、好きな映画です。そして、『王になろうとした男』では、キップリングを演じていますが、これも好きな映画です。

 

76年のミニシリーズ『マネーチェンジャーズ/銀行王国』で堂々とした演技を披露。エミー賞を受賞しています。70年代後半のクリストファー・プラマーは、優しい印象でした。『インターナショナル・ベルベット』でのテイタム・オニールの優しい伯父さん。『ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど』の愛妻家。そして、80年には、あの美しい『ある日どこかで』にも出演しています。

 

その後も本人は順調に活躍していますが、あまり見る機会はありませんでした。ところが、91年に劇場に『スター・トレックⅥ/未知の世界』を見に行ったらびっくり。クリストファー・プラマーが、クリンゴンのチャン将軍の役で出ているではないですか!どんな役でも出来るんだなあ、と感心しました。

 

その後は、怒濤の映画出演が続きます。『黙秘』『ビューティフル・マインド』『Dr.パルナサスの鏡』。2010年に文豪トルストイを演じた『終着駅 トルストイ最後の旅』で意外なことに、初のアカデミー賞ノミネート。2011年の『人生はビギナーズ』で息子にゲイだとカミングアウトする父親を演じて、アカデミー史上最高齢の演技賞(助演男優賞)を受賞しています。

 

 

 

 

 

 

 

ナチスの残党を探しに行く認知症の老人を演じた『手紙は憶えている』も良かったです。さらに2018年には『ゲティ家の身代金』でも同賞候補になりました。『ゲティ家の身代金』は、ケヴィン・スペイシー出演で映画撮影が終わっていたものの、スキャンダルで急遽撮り直しになり、高スピードで作った映画だそうです。そんな映画で、またまたアカデミー助演男優賞にノミネートされました。確かに、年齢的にも、この映画は、クリストファー・プラマーの方が良いと思いました。年齢だけでなくて、もう人格的に滅茶苦茶の頑固じいさんでした。遺作となったのは、『ナイブズ・アウト』です。

 

こうやって、見ていくと、若い時より、最近の方がいっぱい映画を見ているような気がします。

 

最後まで元気で、映画に出続けた人生。きっとお幸せだったことと思います。貴方以外のトラップ大佐は考えられないです。リメイクは絶対お断りです。しかし、転倒さえしなければ、とつくづく残念。

 

どうぞ、安らかにお休みください。

 

 

 

 

間違えて挿入してしまったんですが、取れないんです。