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REMEMBER

2015年カナダ・ドイツ映画  カラー 95分

監督 アトム・エゴヤン

出演 クリストファー・プラマー マーティン・ランドー ブルーノ・ガンツ ユルゲン・プルフノウ ハインツ・リーフェン ヘンリー・ツェーニー ディーン・ノリス



老人施設に入っているゼヴ・グットマン(クリストファー・プラマー)は90歳。愛妻ルースを亡くしたばかりだった。彼には認知症の症状が出ており、ルースを亡くしたことをしっかり理解していない。認知症で、記憶が消えたり、戻ったりする状態だった。ある日、同じ施設にいる友人のマックス(マーティン・ランドー)から手紙を渡される。そこには、目覚めるたびに記憶を失ってしまうゼヴのために、果たすべき事柄が詳細に綴られていた。ゼヴもマックスも、アウシュビッツの生き残りで、共にある看守に家族を殺されていた。その看守は、身分を偽り、のうのうと生き延びているという。看守の今の名前は、ルディ・コランダー。容疑者は4人。車椅子生活で身体の自由が利かないマックスの代わりに、ゼヴが復讐の旅に出る……。



戦争が終わって、70年以上経っても戦争への憎しみや悲しみは消えません。ゼヴの腕にも、マックスの腕にも、アウシュビッツで彫られた囚人番号がついています。アウシュビッツで看守に家族を殺され、アメリカに渡った、似たような境遇のふたり。マックスは、ずっとナチス犯罪者について調べてきましたが、家族を殺した看守が、アメリカで生き延びていることを知ります。過去を変えて、戦争犯罪者として裁かれることもなく生き延びてきた看守を、マックスは許せません。その真実を、ゼヴに伝えるのです。復讐したくても、車椅子生活で身体の利かないマックスには、長旅は無理。だから、ゼヴに全てを託すことにします。ターゲットは4人。その中の誰かが、家族を殺した看守なのです。



この時、クリストファー・プラマーは86歳。マーティン・ランドーは、84歳。マーティン・ランドーの遺作になりました。認知症を患うクリストファー・プラマーが、銃を買って、あちらこちらにルディ・コランダーを探しに行くのは、かなり危っかしい旅でもあります。マックスは、全てを調べ尽くしてあって、ホテルの予約まで取ってくれています。手紙に詳しい情報が書いてあるので、ただ交通機関を使って、その家を訪問するだけ。が、90歳の認知症の老人には、果てしなく長い旅路なのです。容疑者は、4人いるわけで、誰が本物なのかを見分けなければいけません。ゼヴは、弱った記憶を頼りに、過去の恨みを晴らすために、ヨタヨタと毎日旅に出るのです。


 

クリストファー・プラマーは、老いても尚元気。認知症の役を演じていて、足元も覚束ない感じをよく出しています。勿論、本人は今も矍鑠として映画に出演し続けています。トラップ大佐を彷彿とさせるような、若い時の写真も出てきて、感激。



マーティン・ランドーは、病人で車椅子生活の役です。しかし、気丈に家族を殺された恨みを晴らすまでは、と生きている感じです。詳しく調べ尽くされた手紙の内容は、彼の強い意志の表れ。見かけは老いても、『スパイ大作戦』のローラン・ハンドを演じていた時の、強い眼力は健在でした。



他にも、ブルーノ・ガンツ ユルゲン・プルフノウなどの名優が、演技合戦を披露します。マーティン・ランドーの遺作にふさわしい傑作です。



トレイラーです。