NHKから国民を守る党(質問主意書、などなど。。。)

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第213回国会(常会)質問主意書 質問第二〇六号
令和六年六月二十一日 浜田 聡      参議院議長 尾辻 秀久 殿

特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズと一般社団法人金沢レインボープライドの関係性と相互の事業に関する質問主意書

一】特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズは2010年にLGBTQの人たちを含む、誰もが、SOGIESC(性的指向・性自認・性表現・身体的性)に関わらず、自分らしく前向きに歳を重ねられるとともに、多様性に満ちた人たち同士が互いを尊重し、エールを送りあい、豊かな人生を過ごすことのできる社会の実現を目指す団体として設立された。シェアハウスやシェルター等を運営し、LGBTQに関する職場の取組に関するカンファレンスなどを行っている。その活動の多くは公金による補助制度や交付金制度を利用している。例えば、当該団体のフラッグシップ的な事業として東京都に設置された「プライドハウス東京」では全事業費の75.6%が民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律によって運用される休眠預金等の活用による助成金の交付によって賄われている。プライドハウス東京の事業完了報告によると、情報保障や周縁化されやすい層に配慮した居場所づくり、厚労省の自殺対策交付金による相談事業・全国連携など、着実に啓発・支援の拠点としての機能を実装しているとされる。以上を踏まえて政府の見解を問う。

1 厚生労働省は孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業にて事業者を募集し、事業を委託している。プライドハウス東京は施設の運用目的に沿って公金による補助制度を利用して多額の交付金が支給されている。同施設内において「厚労省の自殺対策交付金による相談事業・全国連携」を事業として報告しているが、同一施設内における同一事業に対して内閣府の認可を受けた休眠預金の活動団体からと厚生労働省の委託金と両方を受け取ることは正当であるか政府の見解を示されたい。
一の1について】御指摘の「内閣府の認可を受けた休眠預金の活動団体からと厚生労働省の委託金」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の特定非営利活動法人が御指摘の「施設」において実施した「孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業」(以下「自殺防止対策事業」という。)については、厚生労働省において同法人から提出された資料により、同法人は、民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(平成二十八年法律第百一号)第十九条第二項第三号ロに規定する資金分配団体からの同法第八条に規定する休眠預金等交付金に係る資金を原資とする助成は受けていないことを確認しており、同法人が御指摘のように「同一施設内における同一事業に対して」当該助成と自殺防止対策事業による助成と「両方を受け取」った事実はないと承知している。

2 厚生労働省は孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業は募集要件に自殺防止対策を行う民間団体であることとされているが、委託団体に選定された特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズがその要件を満たすとする根拠は如何なるものか示されたい。
一の2について】お尋ねについては、御指摘の特定非営利活動法人が厚生労働省に対して自殺防止対策事業の事業計画と併せて提出した「団体概要」の記載により、同法人は「LGBTQのユース、HIV陽性者、性被害サバイバー、生活困窮層など、LGBTQのなかでも特に自殺念慮・自殺企図のリスクの高い層への情報提供や相談支援などを実施している」ことを確認している。

3 厚生労働省は孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業は募集要件に複数の都道府県にまたがり活動を実施していること、又は複数の都道府県の住民を対象とした活動を実施していることとしているが、それには電話やインターネット等での対応や発信も複数の都道府県での活動とみなすのか示されたい。
一の3について】自殺防止対策事業の公募要綱(以下「公募要綱」という。)においては、御指摘のように「複数の都道府県にまたがり活動を実施していること、又は複数の都道府県の住民を対象とした活動を実施していること」を助成対象事業の要件としているところ、お尋ねの「電話やインターネット等での対応や発信」については、一の都道府県の住民のみを対象とするものでなければ、「複数の都道府県の住民を対象とした活動」に該当するものと判断している。

4 特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズには複数の都道府県に代表者が兼任するなどの関連する団体が存在するが、厚生労働省が孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業の募集要件とする「複数の都道府県にまたがり活動を実施していること」には関連する団体での活動も含まれるのか否か示されたい。
一の4について】御指摘の「代表者が兼任するなどの関連する団体」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、公募要綱においては、「複数の都道府県にまたがり活動を実施していること、又は複数の都道府県の住民を対象とした活動を実施していること」を助成対象事業の要件としているところ、例えば、助成対象事業の実施主体が他の法人等に事業の一部を委託して複数の都道府県で事業を実施する場合は、「複数の都道府県にまたがり活動を実施していること」に該当するものと判断している。

二】一般社団法人金沢レインボープライドはプライドハウス東京を運営する特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズの代表者である松中権氏が共同代表となっている。一般社団法人金沢レインボープライドは多様なマイノリティのためのコミュニティセンター「かなざわにじのま」を開設している。2024年3月に金沢レインボープライドの設立メンバーの一人だった元事務局長が、同団体が運営する交流拠点「かなざわにじのま」で覚醒剤を使用したとされ逮捕・起訴され有罪判決を受けている。共同代表である松中権氏は「イメージとして薬物使用のようなものが性的マイノリティのコミュニティと紐づけられることはあってはならない」とコメントしている。以上を踏まえて次の通り政府の見解を問う。

1 薬物事件と性的マイノリティの理解の促進に係る活動を紐付けることに整合性はないと思料する。一方、代表者を一にする団体の運営施設内で起こされた犯罪であること、多くの補助金や委託金を受け取る団体の代表者が共同代表に就く団体で起きた犯罪であることから一定の責任は負うべきものと思議する。合理的な再発防止策が為されるまで、同代表者が過去の一定期間及び現在において運営に関わる事業への公的な補助金や公的な事業の委託や援助を停止するべきだと思料するが政府の見解を示されたい。
二の1について】お尋ねの「合理的な再発防止策が為されるまで、同代表者が過去の一定期間及び現在において運営に関わる事業への公的な補助金や公的な事業の委託や援助を停止する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、自殺防止対策事業については、公募要綱において、「本事業を実施した団体に対して事業の実施期間中又は事業完了後に必要に応じて事業の遂行状況等の調査を実施することがある」としているところ、これに基づき、自殺防止対策事業の実施主体が他の法人等にその一部を委託する場合の委託費も含め自殺防止対策事業に係る交付金がその実施のために適正に使用されることが担保されるよう、必要に応じて、厚生労働省において、自殺防止対策事業の実施主体に対し確認を行うこととしており、御指摘の特定非営利活動法人が御指摘の一般社団法人に自殺防止対策事業の一部を委託して実施した事業について、同省において、御指摘の特定非営利活動法人に対し確認を行ったところ、同法人からは、自殺防止対策事業に係る交付金のうち、当該委託により実施した事業に係る分を返還する旨の連絡を受けているところである。

2 特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズに支給された様々な公的な助成金や交付金や委託費、助成金を特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズがさらに別の団体に委託費として支払うことは正当であるか否か、政府の見解を示されたい。
3 前記2に関連して、再委託された先での委託費の使途の開示や報告などの必要はなくなるのか政府の見解を示されたい。
4 前記3に関連して、本来委託を受けた団体が受ける対象経費など委託費の使途の制限や規定は再委託された先には及ばないのかどうか政府の見解を示されたい。
二の2から4までについて】御指摘の「特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズに支給された様々な公的な助成金や交付金や委託費、助成金」、「再委託された先での委託費の使途の開示や報告などの必要はなくなるのか」及び「本来委託を受けた団体が受ける対象経費など委託費の使途の制限や規定は再委託された先には及ばないのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、自殺防止対策事業については、公募要綱において、その実施主体が他の法人等に当該事業の一部を委託する場合、その委託費も助成対象経費とすることを認めた上で、二の1についてで述べたとおり、必要に応じて、厚生労働省において、自殺防止対策事業の実施主体に対し確認を行うこととしており、御指摘の特定非営利活動法人が実施した自殺防止対策事業における委託費については、引き続き、同法人からの事業実績報告書等により確認を行った上で、適切に対応することとしている。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一九五号
令和六年六月十九日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

特定非営利活動法人フローレンスをはじめとする派遣型看護サービスを提供する事業者の訪問先での費用請求において、二重請求を防止する措置が講じられているか否か等に関する質問主意書

 特定非営利活動法人フローレンス(以下「フローレンス」という。)は派遣型病児保育を柱に急速に業績を伸ばしてきた特定NPO法人である。当該事業者であるフローレンスは自主事業収益が全体の三十%、補助金事業収益が四十二%、寄付金収益が十八%、その他が十%であり、民間事業収入を公的事業収入が上回る公共性の高い事業者である。令和四年度において補助金収入は十七億円を超えるに至っている。直近五年間の業績推移はコロナ禍の影響をもろともせず営業収益は約十六%の増加、営業外収益はなんと約五倍に膨れ上がるという実績を誇っている。営業外収益とはいわゆる寄付のことである。営業外収益はフローレンスの収益全体の二十八%を占めるまでに大きくなっている。ようするにフローレンスの収益全体の約七十%が補助金と寄付である。インターネットで検索するとページの最上位から下部に至るまでスポンサーサイトとしてフローレンスの広告が表示され、懸命の企業努力が行われていることが窺われる。フローレンスのサイト内にも「NPOは寄付者や会員に利益を分配することを禁止されていますが、利益を上げることが禁止されているわけではありません。」と表示されている。

 このようにフローレンスは数多ある特定非営利活動法人の中でもトップランナーの一社であると言っても過言ではないと思われる。それらを踏まえて以下の通り政府の見解を問う。

一 】国や自治体が事業者に交付する助成金と、自治体が同一事業者の利用者に利用料を助成する場合は、事業者はひとつの役務で二重の収益を得ることになり、役務の対価として相応以上となり、望ましくないのではないかと思料するが政府の見解を示されたい。
一について】御指摘の「事業者はひとつの役務で二重の収益を得ること」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

二】フローレンスでは心の不調がある母に伴走する訪問看護師を募集して、精神疾患を持つ母親とその子供への支援として精神科訪問看護事業を行っている。例えば、医療事務資格者ではなく訪問した看護師が訪問先で訪問看護費用の請求業務を行うことで請求に誤りが発生したり、利用料の負担が免除される利用者に誤って請求するミスが発生することが起きる可能性があり、これは二重請求に該当しうる。そのようなケースに備えて政府は事前に対策を盛り込んだガイドラインを作成するべきだと思料するが見解を示されたい。
三】派遣型を主とする公益なサービスを提供するフローレンスの補助金交付対象となっている事業に関して、その事業実態について確認作業は実施されているのか否か、あるいはフローレンスからの報告内容に関して、実態と差異がないか確認作業は実施されているのかどうか示されたい。派遣型看護サービスなどの現場での費用請求に関する包括的な規定やガイドラインを定めないと規模の大きな事業者ほど間違いが発生する可能性が高くなる。政府の今後の指針等があれば示されたい。


二及び三の後段について】御指摘の「派遣型看護サービス」及び「包括的な規定」並びにお尋ねの「政府の今後の指針等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、御指摘の「精神科訪問看護事業」を含む健康保険法(大正十一年法律第七十号)第八十八条第一項に規定する指定訪問看護については、「医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について」(令和六年三月五日付け保発〇三〇五第一一号厚生労働省保険局長通知)において、「健康保険法・・・第八十八条第九項及び健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第七十二条の規定により、患者から指定訪問看護に要した費用の支払を受ける際、個別の費用ごとに区分して記載した領収証を交付しなければならないこと」や「交付が義務付けられている領収証は、指定訪問看護の費用額算定表における訪問看護基本療養費、訪問看護管理療養費、訪問看護情報提供療養費、訪問看護ターミナルケア療養費及び訪問看護ベースアップ評価料の別に金額の内訳の分かるもの」とすることのほか、標準となる様式を示すことにより、御指摘の「費用請求」の誤りの防止を図っているところであり、御指摘のような「ガイドライン」の作成が必要とは考えておらず、また、今後もこのような取組を通じて適切に対応してまいりたいと考えている。

三の前段について】御指摘の「派遣型を主とする公益なサービスを提供するフローレンスの補助金交付対象となっている事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「確認作業」の前提となると考えられる非施設型(訪問型)の病児保育事業(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の三第十三項に規定する病児保育事業をいう。)に係る子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第六十八条第三項の規定に基づく交付金について、平成三十年度から令和四年度までの過去五年間の交付実績において、御指摘の特定非営利活動法人に対して委託等を行った市町村(特別区を含む。)はない。

第213回国会(常会) 質問主意書 質問第一八五号
令和六年六月十八日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

ヤフーニュースやLINEニュースなどニュースポータルサイトによるニュースの寡占化に関する質問主意書

 令和三年二月に公正取引委員会は「デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書」を公表し、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツ利用の許諾料や検索サイトにおける表示順位に関しニュースメディア事業者から指摘のあった課題について取引条件の明確化や当事者間での適切な交渉の実施等が競争政策上望ましい旨を明示した。しかしながら、改善が進まないことからより実効性がある提言を行うために再び実態調査を行い、令和五年九月に報告書を公表した。公正取引委員会は同報告書において、ヤフーは取引先であるニュースメディア事業者との関係で優越的地位にある可能性があること、ニュースメディアサイトに一定の送客を行うインターネット検索を運営するインターネット検索事業者はニュースメディア事業者に対して優越的地位にある可能性があること、グーグル及びヤフーはニュースコンテンツを探す際に利用するサービスの市場において有力な事業者に該当する可能性があるということを指摘している。併せて、公正取引委員会は独占禁止法との関わりについて、一方的に著しく低い許諾料を設定し、又は、無償で取引することにより不利益を与える場合は独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となること、有力なインターネット検索事業者が自社のニュースコンテンツの表示を優先し他社のコンテンツの閲覧が不利となる配置を意図的に行った場合は独占禁止法上問題(競争者に対する取引妨害等)となるという見解を示した。以上を踏まえて次の通り政府の見解を問う。

一】民主主義の健全な発展を期すには取引等の公正性、透明性を高め、公正な競争環境の確保を図る必要がある。正当な競争施策上、LINEヤフーやGoogleが状況の改善を進めない場合は罰則の強化を含む独禁法の改正と適用を急ぐ必要あると思料するが政府の見解を示されたい。
二】ヤフーニュースやLINEニュースなどのニュースポータルサイトによってニュースの配信の寡占化が進む中、弱い立場に置かれがちなニュース提供者であるメディア各社を保護しつつ健全な民主主義の発展を維持するためにも早期に需給双方のネゴシエーションを整理しルール作りに取り掛かるべきであると思料するが政府の見解を示されたい。
一及び二について】お尋ねについては、「罰則の強化を含む独禁法の改正と適用」及び「需給双方のネゴシエーションを整理しルール作りに取り掛かる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「ニュースコンテンツ」の利用については、「ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書」(令和五年九月公正取引委員会公表)を踏まえ、まずは、現行の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)の下で、当事者である御指摘の「ニュースポータルサイト」を運営する事業者や御指摘の「インターネット検索事業者」と御指摘の「ニュースメディア事業者」との間の交渉を通じて、当該報告書で示された課題の解消に向けた自主的な取組が進められることが期待される。
 なお、公正取引委員会としては、独占禁止法に違反する事案が認められた場合には、独占禁止法に基づき厳正に対処することとしており、このことは、お尋ねの「ニュースコンテンツ」の配信の分野においても同様である。


三】スペインやオーストラリア、カナダなどではグーグルなどニュースポータルサイトの運営者に対してニュース提供メディアに対するニュース使用料支払いを義務付ける法整備を進め、ニュースポータルサイトの運営者は「誠実な交渉」「報酬額評価の透明性に必要な情報の通知」などの改善措置をまとめている。ドイツではドイツ特許商標庁から集中管理団体としての許可を受けた団体が報道関連の映像及び出版を対象に複製権、公衆送信権、プレス隣接権の集中管理を行っており、デジタルプラットフォームとの交渉、仲裁申立て等を行っている。日本においても同様の記事版ジャスラックのような公共性、公益性のある団体がニュース記事の著作権を集中管理できる仕組みを導入すべきだと思料するが政府の見解を示されたい。
三について】御指摘の「記事版ジャスラックのような公共性、公益性のある団体」の意味するところが必ずしも明らかではないが、著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)において、著作権者等が、同法第二条第三項に規定する著作権等管理事業者との同条第一項に規定する管理委託契約により、お尋ねの「ニュース記事の著作権」を含め、著作権等の管理を当該著作権等管理事業者に委託することができる制度が設けられており、例えば、複数の御指摘の「ニュースメディア事業者」の委託を受けた著作権等管理事業者が、当該「ニュースメディア事業者」の利益のために、必要に応じ、御指摘の「ニュースポータルサイト」を運営する事業者や御指摘の「インターネット検索事業者」との間の交渉を行うことは可能であり、また、独占禁止法上問題ないと考えている。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一六八号
令和六年六月十日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

非営利性が要件であるはずの認定NPO法人フローレンスにおいて年額二千万円を超える給与をもらっている職員が存在すること等に関する質問主意書

 特定非営利活動促進法(以下「NPO法」という。)では、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、平成十年十二月に施行された。NPO法により法人格を取得した法人(以下「NPO法人」という。)の要件は、NPO法第二条第二項第一号柱書において「営利を目的としないものであること」と定められている。非営利性が要件であるはずの認定NPO法人フローレンス(以下「フローレンス」という。)の会長職を名乗る駒崎弘樹氏の報酬が高すぎるという批判が散見される。批判内容の一つには、フローレンスの役員名簿に駒崎弘樹氏の記載はないが、役員とはされていない「会長職」を名乗り役員と同程度の報酬をもらっているとの内容である。また、東京都生活文化スポーツ局で公表されているフローレンスの令和三年度役員報酬規程等二十二頁には、「役員等に対する報酬又は給与の支給の状況」として、給与支給額が二千四十万百七十四円にのぼる者が存在することが示されており、フローレンスの非営利性に対し疑問視する声がある。

 他方、経済企画庁国民生活局余暇・市民活動室が編集し、株式会社ぎょうせいが発行している「Q&Aここが知りたいNPO法―法人格取得マニュアル―」には、「役員の報酬の額については、特段の制限は置かれていませんが、その額があまりに多額な場合は、その報酬が法人の利益の分配に当たると考えられ、非営利性(法第二条第二項第一号)の要件に反することもあると考えられます。」との記載がある(以下「書籍の解説内容」という。)。これらを踏まえて、以下質問する。

一】書籍の解説内容について、政府も同様の見解か。異なる場合は異なる点を具体的に示されたい。
一について】御指摘の「書籍の解説内容」は、特定非営利活動法人の役員報酬に関する一般的な解説として、平成十一年に当時の経済企画庁国民生活局が編集した書籍に記載されたものであり、現時点における政府としての認識も、これと同様である。

二】前記一について、書籍の解説内容にある「その額があまりに多額な場合」について、国民に分かりやすく例示されたい。
三】前記二について、NPO法人の職員の給与額が年額二千万円を超えることは「その額があまりに多額な場合」に該当するか、理由と併せて見解を示されたい。またNPO法人の役員報酬が年額二千万円を超えることについても同様に見解を示されたい。
二及び三について】お尋ねについては、個別具体的な事実関係に即して特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第九条に定める所轄庁において判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一六七号
令和六年六月十日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

「名目GDPが1%上がったときに税収が何%増えるか」という数値である税収弾性値を従来の1.1➡2.74へと見直すこと等に関する質問主意書

 第百八十九回国会において、中西健治議員により「税収弾性値に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第六号)が提出された(以下「当該主意書」という。)。当該主意書の政府答弁(内閣参質一八九第六号)において、税収弾性値とは、税収の伸び率を名目経済成長率で除したものとされ、経済成長に応じて税収がどの程度増加するかを表す数値であるとされている。また、当該主意書でも示されている通り、平成二十六年一月に財務省が公表した「平成二十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」において、税収弾性値は一・一が用いられている。他方、財務省が公表した令和五年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算で用いられている税収弾性値においても、平成二十六年度と同様の値である一・一を採用し税収を推計している。

 これら税収弾性値について、以下質問する。

一】当該主意書の政府答弁には税収弾性値一・一の根拠として、比較的安定的な経済成長を実現していたバブル期以前の平均的な税収弾性値であると示されているが、この「バブル期以前の平均的な税収弾性値」について、何年度から何年度の税収弾性値を示すのか。また、税収弾性値一・一の採用を開始した年度及び採用決定機関を示されたい。
一について】御指摘の「政府答弁(内閣参質一八九第六号)」で述べた「平成二十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」における税収の推計に当たって用いた「バブル期以前の平均的な税収弾性値」は、昭和五十一年度から昭和六十年度までの十年間の平均的な税収弾性値(税収の伸び率を名目経済成長率で除した数値をいう。以下同じ。)である。

 また、御指摘の「採用を開始した年度及び採用決定機関」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、現在把握している限りにおいては、昭和五十八年一月に大蔵省(当時)が公表した「財政の中期試算(昭和五十七年度~昭和六十一年度)」において、税収の推計に当たって税収弾性値一・一を用いている。


二】前記一について、令和五年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算で用いられている税収弾性値一・一においても算出根拠は同様か。異なる場合は当該根拠を示されたい。
二について】令和五年一月に財務省が公表した「令和五年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」においては、税収の推計に当たって、過去の平均的な税収弾性値として、昭和五十一年度から令和二年度までの期間の平均的な税収弾性値である一・一を用いている。

三】平成二十五年度から令和四年度までにおける税収弾性値(年度ごとの税収の伸び率と名目掲示成長率で除した数値)を示されたい。
三について】お尋ねの「税収弾性値(年度ごとの税収の伸び率と名目掲示成長率で除した数値)」を年度ごとの税収の伸び率を当該年度の名目経済成長率で機械的に除した数値と解すれば、平成二十五年度から令和四年度までの各年度の決算における一般会計税収の対前年度伸び率を当該年度に係る国民経済計算の年次推計における名目GDPの対前年度伸び率で除した値は、それぞれ、平成二十五年度は二・六、平成二十六年度は七・一、平成二十七年度は一・三、平成二十八年度はマイナス一・九、平成二十九年度は三・〇、平成三十年度は十七・三、令和元年度はマイナス六十四・二、令和二年度はマイナス一・三、令和三年度は三・八、令和四年度は二・六である。

四】当該主意書提出から今日に至るまで、税収弾性値を見直す議論は政府においてなされたか。なされた場合はその詳細を示されたい。
四について】お尋ねの「税収弾性値を見直す議論」の意味するところが必ずしも明らかではないが、財務省において毎年公表している「後年度歳出・歳入への影響試算」については、税収について、税収弾性値に係る推計方法も含め、毎年検討を行った上で試算を行っている。

五】当該主意書でも指摘しているとおり、税収弾性値は一・一よりも高いのではないかとの指摘が現在においてもインターネット上等で散見される。例えば、株式会社第一生命経済研究所のウェブサイトにおいて令和五年七月二十四日に公表された永濱利廣氏の記事「今年度も上振れが予想される税収~市場予想通りの名目GDP成長率達成で七十兆円台後半の可能性~」(以下「当該記事」という。)では、「デフレに突入して欠損法人割合の水準が高まった(一九)九七年度以降の平均的な税収弾性値を計算してみた。すると、過去の関係に基づけば、(一九)九七~二〇二一年度の平均的な税収弾性値は約二・七四となる。」との記載がある。また事実として当該記事が指摘する通り令和四年度では名目GDP成長率が当初予算時点での見通しから実績が下方修正されたにもかかわらず税収は当初予算時点である六十五・二兆円から補正後予算においては六十八・三兆円に上振れしており、これら事実は税収弾性値が一・一よりも高い事を示していると言える。これらを踏まえると税収弾性値を例えば約二・七四へと見直すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
五について】御指摘の「当該記事」における税収弾性値に関する分析については、令和六年三月二十二日の参議院財政金融委員会において、青木財務省主税局長が「例えば、今御指摘をいただきました分析結果につきましては、私ども完全にちゃんと見られているかどうかというのは自信がないところもあるんですが、ざっと見たところ、まず税収弾性値は分母と分子があって、分母は名目成長率でございますが、名目成長率が非常に低い、もう例えば零パーセント成長に近いような、そういう期間に焦点を当てて試算を行っているんじゃないか、つまり分母がすごく小さいと少しの税収の動きで税収弾性値がすごく大きく出る可能性があるということです。それから、分子になる税収には恐らく税制改正の影響が考慮されていない、つまり、例えば御指摘のあったような消費税の税率の引上げによる増収分というのも込みで、・・・税収弾性値が出されている可能性があるんじゃないかというところを考えておりまして、そういった点は少し留意が必要なのではないかなというふうに考えております。」と答弁しているところである。

 また、「事実として当該記事が指摘する通り令和四年度では名目GDP成長率が当初予算時点での見通しから実績が下方修正されたにもかかわらず税収は当初予算時点である六十五・二兆円から補正後予算においては六十八・三兆円に上振れしており、これら事実は税収弾性値が一・一よりも高い事を示していると言える」との御指摘については、税収弾性値の試算に当たっては、名目GDPにおける見通しと実績との比較や、一般会計税収における当初予算と補正後予算との比較は行っておらず、また、同日の同委員会において、同局長が「税収全体としての税収弾性値は、おっしゃるように単年度では非常に経済情勢に応じて大きく振れる場合があるものの、中長期的には一に近い数字が妥当だというふうに私どもとしては考えておるところでございます。」と答弁しているとおり、単年度における税収弾性値は、経済情勢等により大きな振れを示すことがある点に留意する必要があると考えている。

 これらのことから、現時点で御指摘のような見直しを行うことは考えていない。


六】元内閣府政策参与の大守隆氏や内閣府政策統括官の林伴子氏等が団体役員として名を連ねる景気循環学会では、税収弾性値予測コンテストを毎年開催しており、例年夏ごろに審査後の発表があるとされている。政府において税収弾性値の見直しの際に、税収弾性値予測コンテストの結果発表の内容を参考にしてはどうかと考えるが、政府の見解を示されたい。
六について】御指摘の「税収弾性値予測コンテスト」の詳細について承知していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一六五号
令和六年六月六日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

特定非営利活動法人フローレンスによる養子縁組のあっせんに係る手数料と営利に関する再質問主意書

 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律第九条には「民間あっせん機関は、内閣府令で定める種類の手数料を徴収する場合を除き、養子縁組のあっせんに関し、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない。」と規定されている。また、法第七条の許可の基準について「営利を目的として養子縁組あっせん事業を行おうとするものでないこと。」と規定されている。「特定非営利活動法人フローレンスによる養子縁組のあっせんに係る手数料と営利に関する質問主意書」(第213回国会質問第132号。以下「質問主意書」という。)及び内閣参質213第132号と上記条文を踏まえて以下再質問する。

一】法第九条の規定があるにも関わらず特定非営利活動法人フローレンスが行う特別養子あっせん事業に関して、利用者から徴収する手数料として「待機登録費」を徴収していることについて、先の質問主意書に対する答弁において「手数料の…「名目」のみをもって判断されるものではない」と回答されている。「待機登録費」という名目に含まれる費用は、待機費用と登録費用の他にどのような費用が想定されるのか政府の見解を示されたい。併せて、答弁するにあたり「待機登録費」に含まれる内容を特定非営利活動法人フローレンスに確認したのかを示されたい。
一について】お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の特定非営利活動法人が徴収する御指摘の「待機登録費」も含め、民間あっせん機関(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成28年法律第110号。以下「法」という。)第二条第五号に規定する民間あっせん機関をいう。以下同じ。)が徴収する手数料が、法第九条の規定に違反するか否か等については、先の答弁書(令和六年五月二十四日内閣参質213第132号。以下「前回答弁書」という。)一及び二についてでお答えしたとおり、法に基づく権限を有する都道府県知事(指定都市又は児童相談所設置市においては、指定都市又は児童相談所設置市の長。以下同じ。)において、同条、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律施行規則(平成29年厚生労働省令第125号。以下「規則」という。)第三条及び民間あっせん機関が適切に養子縁組のあっせんに係る業務を行うための指針(平成29年厚生労働省告示第341号。以下「指針」という。)に基づき徴収することができることとされている手数料に適合するか等を確認した上で、適切に判断されるべきものであると考えているところ、政府としてお尋ねの「想定」をしておらず、「想定」をする予定もなく、また、お尋ねの「確認」は行っていない。

二】法第二十一条第一項の規定による評価機関によって養子縁組あっせん事業の質の評価において「金額の根拠や使途が不明な費用を実費として徴収していない」ことから「待機登録費」に関しても適切に実施されているという答弁をされたと承知している。回答の根拠としている養子縁組あっせん事業の質の評価は利用者へのわずか十三件のアンケートに基づいており、尚且つ、政府の答弁に引用しているアンケートは法第九条を踏まえたうえでの「待機登録費」に関しての設問でもなければ「営利もしくは非営利」に関しての設問でもない。政府が当該評価機関によるアンケートから「適切に実施されている」と評価するに至った経緯及び根拠を示されたい。
二について】手数料の徴収に関し御指摘の「適切に実施されている」との評価については、前回答弁書一及び二についてでお答えしたとおり、法第二十一条第一項に規定する評価機関(以下「評価機関」という。)により行われたものであるところ、御指摘のように「政府が当該評価機関によるアンケートから「適切に実施されている」と評価」したものではなく、このことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。いずれにせよ、民間あっせん機関が徴収する手数料が、法第九条の規定に違反するか否か等については、一についてでお答えしたとおり、法に基づく権限を有する都道府県知事において、同条、規則第三条及び指針に基づき徴収することができることとされている手数料に適合するか等を確認した上で、適切に判断されるべきものであると考えている。

三】先に提出し答弁を得た質問主意書は特定非営利活動法人フローレンスの行う特別養子あっせん事業に関して人身売買を疑う質問ではない。同事業に取り組む登録事業者は二十二社あるなかで、当該NPO法人のみが積極的な宣伝広告を行っている事実、積極的な広告戦略の結果として養親希望者数が令和三年度の資料によると登録業者の中で二位と上位であること、その上で「待機登録費」という名目で費用を徴収していることから営利であろうと判断するのが妥当なのではないかということを政府に問うた質問であった。政府はその答弁において「「積極的な宣伝広告」や手数料の額の多寡のみをもって判断されるものではない」と回答し、評価機関の評価によって「非営利性が疑われるような運営を行っていない」という評価をもって適切に実施していると回答した。しかし、評価機関の評価理由は判を押したように「評価項目の事項が適切に実施されていることが訪問調査での職員に対するヒアリング及び記録等の閲覧により確認できた。」という定型文が記されている。評価機関の評価の根拠は根拠として到底成立しておらず、それに紐づく政府の回答も同じく正当性がないものと察するが政府の見解を示されたい。
三について】お尋ねの趣旨が明らかではないが、いずれにせよ、事業の営利性に関し御指摘の「適切に実施している」との評価については、前回答弁書四についてでお答えしたとおり、評価機関により行われたものであるところ、政府が御指摘のように「評価機関の・・・評価をもって適切に実施していると回答した」ものではなく、このことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。なお、評価機関の法第二十一条第一項の規定による業務の質の評価については、「民間あっせん機関の第三者評価基準」(令和元年十一月二十日付け子発一一二〇第一号厚生労働省子ども家庭局長通知別紙)等に基づき行われているものと承知している。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一六四号
令和六年六月六日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

政治資金監査対象を拡大し政治資金規正法の実効性を高めることに関する質問主意書

 国会議員関係政治団体は政治資金規正法第十九条の十三に定める登録政治資金監査人による政治資金監査の対象となっている。国会議員関係政治団体の収入が政党交付金に限定されている場合は政党助成法第十九条第二項により公認会計士又は監査法人による監査を受けることとなる。国会議員関係政治団体の収入に個人や法人からの寄付や政治資金パーティーでの収入が含まれている場合は政治資金監査の対象とはならない。

 昨今、政治家の政策グループ等による政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に過少記載したり、不記載としてきたことや、パーティー収入の一部を当該パーティー主催者が政治家もしくは政治家の関わる団体に割り戻しをする運用が行われていたこと等が発覚したことにより国民の政治不信を招いている。

 政治への不信を払拭するために政治資金の透明性を図り厳格な責任体制を構築することが求められている。以上を踏まえて政府に質問する。

一】個人や法人からの寄付や政治資金パーティーでの収入がある国会議員関係政治団体の政治資金収支報告書に関しても登録政治資金監査人による政治資金監査の対象とするべきだと思料するが政府の見解を示されたい。
一について】お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「個人や法人からの寄付や政治資金パーティーでの収入」の有無にかかわらず、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号。以下「法」という。)第十九条の十三第一項の規定により、国会議員関係政治団体の会計責任者は、政治団体の会計責任者として政治資金収支報告書を提出するときは、あらかじめ、当該報告書等について、登録政治資金監査人の政治資金監査を受けなければならないものとされている。

二】政党に関係する政策集団の支部と思しき都道府県連合会などいわゆる政党支部についても登録政治資金監査人による政治資金監査の対象とするべきだと思料するが政府の見解を示されたい。
三】国会議員関係政治団体とする定義を政治上の主義を掲げる政党、政治資金団体、国会議員が参画する政策研究団体にまで拡大し、登録政治資金監査人による政治資金監査の対象とすることによって政治資金規正法の実効性を高めるべきだと思料するが政府の見解を示されたい。
四】現行の政治資金規正法における登録政治資金監査人による政治資金監査は支出に係る監査のみとなっているが、収入に関しても支出と同様に政治資金監査の対象とするべきだと思料するが政府の見解を示されたい。
二から四までについて】法第十九条の十三第一項に規定する登録政治資金監査人の政治資金監査の対象となる政治団体の範囲及び当該監査の対象となる事項については、政党その他の政治団体の政治活動の自由と密接に関連する事柄であり、各党各会派において御議論いただくべき問題と考えている。

五】政治資金収支報告書への不実記載、不記載などの違反が認められた場合においてその罰則規定を会計責任者のみならず政治家本人にも拡大し、責任の所在を明確にすることが不可欠だと思料するが政府の見解を示されたい。
五について】政治資金収支報告書への記載に係る罰則の在り方については、政党その他の政治団体の政治活動の自由と密接に関連する事柄であり、各党各会派において御議論いただくべき問題と考えている。

第213回国会(常会) 質問主意書 質問第一六三号
令和六年五月三十一日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

離婚などの家事事件での弁護士の成功報酬は公序良俗に反するという理由で制限または禁止している国がある一方、日本ではその制限がないことに関する質問主意書

 弁護士の成功報酬制度について、アメリカでは法律家職務模範規則(Model Rules of Professional Conduct Rule)において、家事事件の報酬で、その支払又は額が、離婚の成立又は別居手当若しくは扶養料の額若しくはそれらに代わる財産的解決にかからしめられるものは、弁護士の報酬が離婚を助長したり事件当事者間の調整を妨げたりすることが公序良俗に反するとして制限されている。同様に、イギリスでは家事事件手続及び刑事事件手続において、カナダではカナダ刑法に基づく手続その他の刑事手続及び準刑事手続並びに家族法に係る事項について、ドイツとフランスでは完全成功報酬そのものが原則として禁止されている。他方、日本においては弁護士の完全成功報酬も許容され、何ら制限がない。これらを踏まえて、以下質問する。

一)弁護士の成果報酬制度の規制(制限)について、政府が把握しているG7各国における規制の概要とその制限に係る立法趣旨を示されたい。
二)前記一について、G7各国における弁護士の成果報酬制度の立法趣旨は、弁護士の成果報酬制度に何ら制限をかけていない日本においては、現行法上の懸念点ではないか。政府の見解を示されたい。
一及び二について)御指摘の「弁護士の成果報酬制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、弁護士の報酬については、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)上特段の規制はなく、必要な事項は、日本弁護士連合会の会則等(以下「会則等」という。)で定められるべきものと考えていることから、御指摘の「G7各国における規制の概要とその制限に係る立法趣旨」について政府として把握しておらず、これを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。

三)弁護士の成果報酬制度について、特に離婚時における養育費に対する成果報酬への批判が多いと承知している。主な批判の一つに、養育費算定において弁護士報酬が支払われる事は当然想定されておらず、子供の養育に充てるべき資金を弁護士報酬とするのは如何なものかという指摘がある。家事事件における弁護士の成果報酬制度の実態や問題点の把握及び制度の見直しに向けて、政府においても調査研究すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
四)G7各国の制度を参考に、日本においても弁護士の成果報酬制度の制限を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
三及び四について)御指摘の「弁護士の成果報酬制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一及び二についてで述べたとおり、弁護士の報酬については、弁護士法上特段の規制はなく、必要な事項は、会則等で定められるべきものと考えていることから、お尋ねのように「政府においても調査研究すべき」とは考えておらず、「日本においても弁護士の成果報酬制度の制限を検討すべき」とのお尋ねについては、政府としてお答えする立場にない。

第213回国会(常会) 質問主意書 質問第一六二号
令和六年五月三十一日 浜田 聡      参議院議長 尾辻 秀久 殿

森林環境税等の国税が上乗せされている個人住民税均等割の税率を標準税率よりも下げて減税することが可能であるか否かに関する質問主意書

 森林環境税とは、「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」を根拠法とし、令和六年度から国内に住所のある個人に対して課税される国税であり、市町村において、個人住民税均等割と併せて一人年額千円が徴収される。その税収の全額が、国によって森林環境譲与税として都道府県・市町村へ譲与されることとなっている。この森林環境税について、以下質問する。

一)地方税法において個人住民税の均等割の標準税率が規定されているが、標準税率については、地方税法上「地方団体が課税する場合に通常よるべき税率でその財政上その他の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率」と規定されている。この定めにより、地方公共団体の判断において当該地方公共団体の個人住民税均等割の税率を規定された標準税率より下げ、減税を行うことは可能か。
二)前記一について、都道府県が県民税として森林環境税を個人住民税均等割と併せて徴収する条例を制定している場合において、当該都道府県が個人県民税均等割の税率を別途当該都道府県の条例において下げ、減税を行うことは現行法令上可能であるか。
一及び二について)御指摘の「この定めにより、地方公共団体の判断において」、「都道府県が県民税として森林環境税を個人住民税均等割と併せて徴収する条例を制定している場合」及び「別途当該都道府県の条例において下げ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三十八条及び第三百十条において個人住民税均等割の標準税率が定められており、同法第一条第一項第五号において標準税率については「通常よるべき税率でその財政上その他の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率」と規定されており、地方団体は当該地方団体の条例により税率を定めることとなる。なお、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の四第四項において「普通税(地方消費税、道府県たばこ税、市町村たばこ税、鉱区税、特別土地保有税及び法定外普通税を除く。)の税率のいずれかが標準税率未満である地方公共団体(第一項各号に掲げるものを除く。)は、第五条第五号に規定する経費の財源とする地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、政令で定めるところにより、総務大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない」とされている。

三)前記一について、国税である森林環境税や復興特別所得税においても当該国税に関する関係法令の改正によって、個人住民税均等割の税率を下げ、減税を行うことは可能であるか。
三について)お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

第213回国会(常会) 質問主意書 質問第一六一号
令和六年五月三十一日 浜田 聡      参議院議長 尾辻 秀久 殿

令和六年六月から行われる定額減税の効果検証に関する質問主意書

 令和五年の経済財政政策として、新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置に基づき、所得水準や世帯構成等に応じた各種給付金及び定額減税が政府において実施される(以下「令和五年経済財政政策」という。)。内閣府特命担当大臣名で公表された令和五年経済財政政策の説明資料には、「「簡素(わかりやすく事務負担が少ない)」「迅速(特に低所得の方々)」「適切(できるだけ公平に)」のバランス」との記載がある。他方、この定額減税を行うための事務コストが増大し、定額減税ではなく給付金にすべきだったとの意見も見られる。令和五年経済財政政策として令和六年六月より行われる定額減税(以下「定額減税」という。)について、以下質問する。

一)いわゆるバブル経済の終焉後となる平成二年以降、過去に政府が景気対策として実施した減税施策は様々あるものと承知しているが、過去に景気対策として実施した減税施策は効果検証されているか。されていればその検証結果を示されたい。
一について)お尋ねの「景気対策として実施した減税施策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、経済動向は様々な要因が複合的に作用して変動することから、御指摘の「減税施策」による効果のみを取り出して、御指摘の「効果検証」を行うことは困難であると考えているため、これまで御指摘の「効果検証」を行ったことはない。なお、経済動向を総合的に分析した結果の一部として、特定の税制改正による影響等について言及する場合はあり、例えば、平成十年分の所得税及び平成十年度分の個人住民税に係る特別減税については、経済企画庁(当時)が平成十一年七月十六日の閣議に配布した「平成十一年度年次経済報告」において言及がある。

二)前記一のうち、令和五年経済財政政策を検討する段階で参考にした施策または効果検証はあるか。あればその詳細を示されたい。
二について)今般の定額減税の立案に当たって参考にした施策としては、例えば、平成十年分の所得税及び平成十年度分の個人住民税に係る特別減税がある。この特別減税の詳細については、例えば、減税額は、所得税については、本人について三万八千円及び控除対象配偶者又は扶養親族一人について一万九千円の合計額であり、個人住民税については、本人について一万七千円及び控除対象配偶者又は扶養親族一人について八千五百円の合計額であった。

三)令和五年経済財政政策では所得水準や世帯構成等に応じた各種給付金も予定されているが、これら給付金と同じように定額減税ではなく給付金として行う事は政策の検討段階において検討されたか。されたのであればその検討内容を示されたい。
三について)お尋ねの「これら給付金と同じように定額減税ではなく給付金として行う事」の意味するところが必ずしも明らかではないが、定額減税ではなく一律の給付金に係る事業を実施することについては、令和五年十二月十一日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「一律の給付金は、新型コロナのような国難というべき事態には必要ですが、そうでない状況のときにはお困りの方に限定して行うべきものであり、現在は新型コロナのときとは状況が異なると認識をしております。」と答弁しているとおりであり、それ以上の具体的な検討は行っていない。

四)定額減税実施において想定される費用便益分析は行われたか。行われたのであればその詳細を示されたい。
四について)お尋ねの「定額減税実施において想定される費用便益分析」の意味するところが必ずしも明らかではないが、今般の定額減税による減収見込額は約三・三兆円であり、今般の定額減税に伴う事務負担については、令和六年二月二十八日の衆議院財務金融委員会において、青木財務省主税局長が「定額減税の対応につきましては、・・・事務コストの試算は行っておりませんが、今般の定額減税及び給付金の実施に当たっては、企業や自治体を始めとする皆様方に一定の事務負担をお願いすることは事実でございます。」と答弁しているとおりである。また、今般の定額減税の効果については、同月二十日の同委員会において、鈴木財務大臣が「定額減税でありますが、これを実施することによりまして、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくっていきたい、そのように考えておりますけれども、この点、政府経済見通しや民間エコノミストの見込みでは、令和六年度の賃金上昇率は物価上昇率にほぼ追いつく姿が描かれておりまして、さらに、これに定額減税等が加われば、今年、所得の増加が物価上昇を上回る状況をつくるという、政府が期待をしている効果を発現できるのではないかと考えているところであります。」と答弁しているとおりである。

五)定額減税実施における事務作業負担増加によって生じ得る経済的な悪影響や懸念については試算、想定または検討されたか。されたのであればその詳細を示されたい。また、令和五年経済財政政策の説明資料にある「簡素」とは、定額減税においてどのように配慮されたのか示されたい。
五について)前段のお尋ねについては、「定額減税実施における事務作業負担増加によって生じ得る経済的な悪影響や懸念については試算、想定または検討」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年三月二十一日の参議院財政金融委員会において、青木財務省主税局長が「今般の定額減税・・・の実施に当たりましては、企業や自治体を始めとする皆様に一定の事務負担をお願いするということは事実でございます。このため、企業や自治体の事務の実態や実施上の課題などをできるだけ把握しながら、企業や自治体が早期に準備に着手できるように、パンフレット、それからQアンドAなどを迅速に策定、公表するとともに、例えば、新規雇用者について前職、前の職での減税適用の有無の確認を不要とするなど、事務負担に配慮した制度設計を行っているところでございます。」と答弁しているとおりである。
 後段のお尋ねについては、「令和五年経済財政政策の説明資料にある「簡素」」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、令和五年十一月二日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」で示したとおり、定額減税の対象となる「納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき、令和六年分の所得税三万円、令和六年度分の個人住民税一万円」という定額の減税を行うこととした。

六)一般論として減税は可処分所得を増加させ、消費を刺激するとされている。この消費刺激効果の大きさや実施により波及する経済的効果について、令和五年経済財政政策及び定額減税による効果検証を実施する予定はあるか。あるのであれば予定されている時期及びその具体的な方法を示されたい。  右質問する。
六について)お尋ねの「この消費刺激効果の大きさや実施により波及する経済的効果」及び「令和五年経済財政政策及び定額減税による効果検証」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」が「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の一連の施策の一つであり、当該措置の効果のみを抽出することは技術的な困難を伴うと考えられることから、必要な分析等については、各種の統計データの蓄積を待った上で、検討する必要があると考えている。