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NHKから国民を守る党(質問主意書、などなど。。。)

『NHKから国民を守る党』の質問主意書を載せています。
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第213回国会(常会)質問主意書 質問第一六〇号
令和六年五月三十一日 齊藤 健一郎     参議院議長 尾辻 秀久 殿

千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式における政党代表者の指名献花に関する質問主意書

 令和六年五月二十七日(月)、千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式(以下「拝礼式」という。)において、政党の代表者が指名を受け献花を捧げた。

 以下質問する。

 NHKから国民を守る党(以下「NHK党」という。)は、国会議員二名が所属しているが、令和六年一月一日、政党交付金を受けるための政党助成法第五条第二項第三号に掲げる承諾書及び宣誓書を、自らの判断で申請せず、今年度の助成金の交付を受けていない。

 拝礼式を主催する厚生労働省は、政党交付金の交付を受ける政党に限り献花を指名している。令和六年五月二十七日(月)の式典において、今年は、NHK党がその要件を満たしていないとの理由で政党代表者の指名献花を見送った。

 五月二十八日、厚生労働省へ本件に対し説明を求めたところ、今後もこの方針に変わりないと示された。しかし、NHK党は政党交付金の交付の対象となる参議院議員通常選挙で得票率二%以上獲得し、国会議員二名が所属している政治団体であり、厚生労働省の説明に深い憂慮が残る。

 ついては、NHK党を、他の政党と同様に献花を指名すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
  右質問する。


 千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式(以下「拝礼式」という。)において厚生労働大臣から献花を依頼する御指摘の「政党の代表者」については、拝礼式の開催時間に制約がある中、「政党」の範囲を合理的かつ客観的に定める必要があるため、「千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式実施要領」(平成二十六年五月十六日厚生労働省社会・援護局策定)において「各政党代表(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第二項に規定する政党・・・の代表)」と定め、これに基づき対応することとしており、御指摘の「NHKから国民を守る党」の代表については、拝礼式の開催時点において当該政党代表ではなかったことから、献花の依頼対象とはしておらず、また、今後についても、同実施要領に基づき対応することとなる。

第213回国会(常会) 質問主意書 質問第一五九号
令和六年五月三十一日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

親権を巡って子供を一方的に連れ去る問題に弁護士が関与している可能性等に関する質問主意書

 従来の日本の親権制度は離婚後単独親権となることから、離婚後親権を得る目的で片親による子供の不当な連れ去り事案が多発し、社会問題化している(以下「連れ去り事案」という。)。その問題の一つとして、平成17/12/6の最高裁判例では、母の監護下にある二歳の子供を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされ、刑法第224条の未成年者略取罪が認められている(以下「平成17年最高裁判例」という。)が、当該事案の問題の背景には、離婚後親権が認められるための重要な判断材料の一つに、子供との同居期間が挙げられるためと考える。本来、家庭問題は、夫婦間、または家族間で円満に解決されることが最も望ましいが、連れ去り事案は夫婦高葛藤を引き起こし、家族間の問題をより深刻化させる極めて悪質な行為である。今国会において民法改正案が成立し、単独親権から共同親権へ移行すること、また、現状の単独親権下で起きている連れ去り事案等の問題がどう解消されるのかが注目されていることを踏まえて、以下質問する。

一)平成17年最高裁判例を踏まえると、夫婦が同居中であったとしても、有形力を用いて乳児又は幼児である自らの子供を片親の同意なく連れ去った略取行為について、監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず、行為態様が粗暴で強引なものである場合は刑法第224条の構成要件に該当し得るのではないか。一般論として、家族間で起きた未成年略取の適用と刑法第224条との関係について、政府では現在どう整理しているか示されたい。
一について)犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個々に判断されるべき事柄であるが、一般に、刑法(明治四十年法律第四十五号)第224条の「略取し、又は誘拐した」については、暴行若しくは脅迫又は欺罔(もう)若しくは誘惑を手段として、未成年者を保護されている状態から引き離して自己又は第三者の事実的支配の下に置くことをいうと解されており、また、最高裁判所の判例によれば、「被告人が親権者の一人であることは、その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情である」と解されている。

二)離婚後親権を獲得する目的で起きる連れ去り事案のような悪質な行為を勧める弁護士が存在するという意見がインターネット上で散見されるが、連れ去り事案を弁護士が勧める行為は、自らの弁護士報酬を高める目的で家庭問題を深刻化させていると言えるのではないか。一般論として、自らの利益を得しめる目的で、弁護士が相談事案の問題を深刻化させる行為は、日本弁護士連合会が定める弁護士職務基本規程第五条または第十四条に抵触し得るか、政府の見解を示されたい。
二について)「連れ去り事案を弁護士が勧める行為は、自らの弁護士報酬を高める目的で家庭問題を深刻化させていると言えるのではないか」とのお尋ねについては、御指摘の「連れ去り事案を弁護士が勧める行為」の具体的な内容が明らかではなく、また、お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

 「自らの利益を得しめる目的で、弁護士が相談事案の問題を深刻化させる行為は、日本弁護士連合会が定める弁護士職務基本規程第五条または第十四条に抵触し得るか」とのお尋ねについては、御指摘の「自らの利益を得しめる目的で、弁護士が相談事案の問題を深刻化させる行為」の具体的な内容が明らかではないが、いずれにせよ、政府としてお答えする立場にない。

第213回国会(常会) 質問主意書 質問第一五八号
令和六年五月三十一日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

国際結婚で日本人配偶者が子供を日本国内へ連れ去るという問題が民法改正で解消されるか否かに関する質問主意書

 従来の日本の親権制度は離婚後単独親権であることから、離婚した両親いずれにもDV等の問題が生じていないにもかかわらず、離婚後に親権を得る目的で片親による子供の不当な連れ去り事案が多発し、社会問題化している(以下「連れ去り事案」という。)。これら問題を受け、今国会において民法改正案が2024/5/17に成立し、原則共同親権へ移行することとなった(以下「民法改正」という。)。

 日本の離婚後単独親権制度下で起きている連れ去り事案については、海外でも問題視されている。例えば、2019/2/1に開催された国連子どもの権利委員会で採択された第80会期総括所見で、「共同親権を認めるために、離婚後の親子関係に関する法律を改正する」こと等の勧告を日本政府に行っている。その他、米共和党のクリス・スミス連邦下院議員は、2018年の議会の証言において「1994年以降、国際結婚で生まれた三百から四百人の子供が米国から日本に連れ去られた。今なお日本にいる35人以上の子供が米国の親たちと再会できる日を今か今かと待っている」と訴えている。これらの問題の解決の一歩前進と言える民法改正案が成立したことは喜ばしい一方、問題視されている連れ去り事案の解消に向けた今後の動きは重要であると考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一)国際結婚した夫婦において、日本国籍の妻が外国籍の夫の同意なく子供を日本国内に連れ去る事案が発生しており、各国より当該事案について非難を受けていると承知している。連れ去り事案について諸外国では「abduction」すなわち「誘拐」や「拉致」という単語が用いられており、ドイツ、イタリアでは、日本人配偶者がいる場合、日本に家族旅行へいくと日本人配偶者により子供が誘拐される旨の渡航注意が政府から出されている。これらの事実は、諸外国が日本人配偶者による連れ去り事案を問題視していることの証左であり、此度の民法改正等の政府の動きにより日本人配偶者による連れ去り事案が解消されるかは各国において大いに注目されている可能性が高い。政府において、他国が日本人配偶者の連れ去りについて問題視している事は承知しているか。承知している場合、その内容を示されたい。
一について)お尋ねの「他国が日本人配偶者の連れ去りについて問題視している事」の意味するところが必ずしも明らかではないが、2020/7/8の日本における子の連れ去りに関する欧州議会決議において「EU市民の親と日本市民の親の場合の、片親による子の連れ去りの未解決案件数の多さを憂慮する」旨の言及があることは承知している。

二)前記一について、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」(以下「ハーグ条約国内実施法」という。) 第28条では、子供を連れ去った者が、連れ去られた者から、暴力などを受ける「おそれ」がある場合には子供を返さなくてもいいという返還拒否事由が存在することから、これらの解釈次第では適切に連れ去り事案が解消されるかが明らかでないとの指摘がある。此度の民法改正に伴い、ハーグ条約国内実施法の見直しを行う予定はあるか示されたい。

二について)お尋ねの「此度の民法改正に伴い」の意味するところが必ずしも明らかではないが、民法等の一部を改正する法律(令和六年法律第33号)においては、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成25年法律第48号)第28条の改正は行われておらず、現時点において検討する予定もない。

三)NNA ASIAの令和6/3/18の報道によると、「ハーグ条約下では、条約違反と認定されると連れ去られた子供は元の居住地に返還されなければならない。だが、日本国内では単独親権制度を背景に、警察は国際刑事警察機構(ICPO)による日本に連れ去られた子どもの追跡要請に応じず、裁判所はもう一方の親の子どもとの面会は家庭内の問題と捉えているため追跡が実質不可能で、国際的に問題となっている。」と報道されているが、これは事実か。事実であれば、国際的に問題になっている点について政府の把握している内容を示されたい。
四)前記三について、民法改正を受けて、これら問題となっている事実は解消されるか。政府の見解を示されたい。
三及び四について)個別の報道の内容に関するお尋ね及び個別の報道の内容を前提とするお尋ねであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

第213回国会(常会) 質問主意書 質問第一五七号
令和六年五月三十一日 浜田 聡      参議院議長 尾辻 秀久 殿

静岡県知事選の応援演説における上川外相の「うみの苦しみ」発言撤回による負の影響に関する質問主意書

 令和六年五月十八日、上川陽子外務大臣は、地元の静岡市で開かれた女性支持者らが出席する集会で、静岡県知事選挙の応援演説を行った。当該演説における「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」という旨の発言(以下「当該発言」という。)について、翌十九日に「私の昨日の発言は支援いただいている女性支援者が中心の演説会での発言で、2000年の激戦で初当選した、その際女性のパワーで私という衆院議員を誕生させていただいた。いま一度女性パワーを発揮して新たな知事を誕生させると言う意味で申し上げたが、女性パワーで未来を変えるという真意と違う形で受け止めをされる可能性がある発言だったという指摘を真摯に受け止め、発言を撤回をさせていただきます。24年間女性が新しい変化を生み出すパワーになることを実感している。その思いは全く変わっていません。」という旨のコメントをした。そもそも当該発言の全容を確認すれば、子どもを産んでいない人への配慮に欠けるなど不適切だとする批判は常識的に考えれば的外れであり、撤回する必要はない。そもそも、本来であれば政府の要人の発言や政府が発する情報に対する報道について、報道機関は多くの国民が誤解することのないよう正確な情報を報道する責務がある。しかし当該発言の報道内容は、発言の一部のみを報道した一部の報道機関により誤解を生じさせている。発言の一部のみを以て「新知事を誕生させる趣旨とみられるが、出産困難な人への配慮を欠くと指摘される可能性がある。」という報道をした共同通信社には相応の責任を取らせる必要があろう。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一)当該発言を撤回した理由を示されたい。また、撤回した理由を文書で公表すべきと考えるが見解を示されたい。
二)当該発言に対する批判を受けて、外務大臣という政府の要人が暗に発言を撤回することは、言論の自由に対する負の影響が大きいのではないか。当該発言の撤回により言論の自由に対する弊害または悪影響は考慮されたのか、されたのであれば、その詳細を示されたい。
一及び二について)お尋ねについては、政治家個人としての発言に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。

三)当該発言はその全容を聞けば批判を受けるような発言ではなく、一部の報道機関が当該発言の一部を報道したことで国民へ誤解を与えた可能性が極めて高く、これは当該発言そのものの問題ではなく報道の問題ではないか。しかしながら岸田総理は令和6/5/19のTBSの報道によると「誤解を招く表現は私も避けるべきであると思う」とコメントしたとされている。一般論として、政府要人の発言や政府から発する情報の一部を切り取り、多くの国民の誤解を生む報道に対する現政権の姿勢と今後の対応方針を示されたい。
三について)御指摘の「多くの国民の誤解を生む報道」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、報道機関が有する報道の自由は基本的人権の一つとして保障されるものであるところ、御指摘の「政府要人の発言や政府から発する情報」に関する個別の報道への対応については、その事実関係等を勘案して政府として適切に対処してきており、引き続き適切に対処していく考えである。

第213回国会(常会) 質問主意書 質問第一五三号
令和六年五月二十九日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

法令で国民に支払いが義務化されている拠出金や賦課金等の経済的影響に関する質問主意書

 第212回国会において私が提出した「法令で国民に支払いが義務化されている拠出金や賦課金等と税金との性格の違いに関する質問主意書」(第212回国会質問第73号)に対する答弁書(内閣参質212第73号)において、法令で国民に支払いが義務化されているもので「税」と付されていないもの(以下「拠出金等」という。)が七十ある事が明らかとなった。このうち、経済産業省が所管する再生可能エネルギー発電促進賦課金の令和六年度の賦課金単価は一キロワットアワー当たり3.49円と過去最高額となった。これ以外にも、拠出金等の中には、令和六年度から徴収が始まる廃炉拠出金や、徴収が始まったばかりのものもあり、特定の産業や事業者へ支払を義務化しているものが多いことから、支払対象者への影響が相当程度ある可能性も十分に考えられるものもある。社会保障負担とされている年金保険料、医療保険料、介護保険料、子ども子育て拠出金を含めると、租税以外で国民へ支払いを義務付けられたものは約75兆円にものぼる。これら拠出金等による経済的影響について、以下質問する。

一)拠出金等のうち、費用便益分析を行ったものはあるか。行ったものについて、拠出金等ごとに分析結果を全て示されたい。
二)前記一について、費用便益分析を行ったもののうち、費用便益分析に経済統計が用いられたものはいくつあるか、省庁ごとに示されたい。
三)前記一について、費用便益分析を行っていないものはいくつあるか、省庁ごとに示されたい。また、費用便益分析を行っていないもののうち、当該拠出金等の支払を法令で義務化した事による経済的影響を把握しているか。把握状況を省庁ごと、かつ拠出金等ごとに示されたい。
四)前記三について、経済的影響を把握していない拠出金等があれば、把握する必要性について見解を示されたい。
一から四までについて)お尋ねについては、御指摘の「拠出金等」の「費用便益分析」及び「当該拠出金等の支払を法令で義務化した事による経済的影響」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

五)拠出金等の総額、及び、拠出金等のうち、財務省が公表している国民負担率の社会保障負担に入らない拠出金等の総額について、今後増額される方針か、減額される方針か、政府の見解を示されたい。
六)拠出金等の総額と租税負担総額との負担割合について、令和五年度の実績と令和六年度の推計を示されたい。また、拠出金等の総額と租税負担総額との割合はどうあるべきと考えるか、政府の見解を示されたい。
七)拠出金等のうち、社会保障負担とされていないものについては、財務省が公表する国民負担率の負担に入っていないと承知しているが、この事実はつまるところ、法令により国民が負担を課されているものの総額を政府が一元管理していないと言えるのではないか。拠出金等の総額を一元管理する必要性について、政府の見解を示されたい。また必要性が無いとの見解であればその理由を示されたい。
五から七までについて)御指摘の「拠出金等」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、先の質問主意書(令和五年十一月三十日提出質問第七三号)一で御指摘の「拠出金等」及び先の答弁書(令和五年十二月十二日内閣参質二一二第七三号)二についてで述べた「御指摘の「前記一で挙げた」「拠出金等」に類するもの」と解すれば、この中には、任意で拠出するもの等も含まれており、また、それぞれの事業の目的や内容等に鑑み徴収する額等を適切に定めるものであることから、御指摘の「拠出金等の総額」及び「社会保障負担に入らない拠出金等の総額」として増額又は減額する「方針」があるわけではなく、また、「拠出金等の総額と租税負担総額との負担割合」について算出することは適当ではないと考えているところ、お尋ねの「実績」及び「推計」を算出しておらず、算出する予定もない。また、御指摘の「一元管理」の意味するところ及び「この事実はつまるところ、法令により国民が負担を課されているものの総額を政府が一元管理していないと言える」の趣旨が明らかではないため、お尋ねの「拠出金等の総額を一元管理する必要性」についてお答えすることは困難である。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一五〇号
令和六年五月二十九日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

東日本大震災の発災翌日に菅直人総理が福島第一原発を視察した行為を後世の教訓とすることに関する質問主意書

 地震や台風、大雨などの災害があった際、被災してから72時間を経過すると生存率が大幅に低下する傾向があるとされている。その根拠として国土交通省近畿地方整備局の資料「阪神・淡路大震災の経験に学ぶ 震災時における社会基盤利用のあり方について」のデータでは震災発生後一日目の救出者に対する生存者の割合は74.9%、二日目は24.2%、三日目は15.1%、四日目になると5.4%、五日目には4.8%にまで低下しているということが明らかにされている。また、一般的に「人間が飲まず食わずで生き延びられる限界は72時間」とも言われている。大規模災害発生時においては国や自治体は偏に人命救助を優先する必要がある。とりわけ発災後の72時間はそのことが徹底されて当然である。

 平成23/3/11 14:46にマグニチュード9.0を記録する東北地方太平洋沖地震が発生した。この地震により、場所によっては波高10m以上、最大遡上高40.1mにも上る巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。警察庁によると令和五年二月末時点で死者は一万五千九百人、行方不明者は二千五百二十三人に上っている。岩手、宮城、福島の三県を中心に一都一道十県で死者、行方不明者が、一都一道十八県で負傷者が発生した。

 また、地震から約一時間後に遡上高14m以上の津波に襲われた東京電力福島第一原子力発電所は全交流電源を喪失した。

このため、ポンプを稼働できなくなり核燃料の冷却が不可能となった。
核燃料が自らの熱で溶け出すメルトダウンが起き、水素が大量発生し、原子炉建屋、タービン建屋各内部に水素ガスが充満した。
11日 23時頃から一号機原子炉内圧力の異常な上昇を検知し、
海江田万里経済産業大臣は3/12早朝、大量の放射性物質が大気中に放出される恐れを承知の上でベント実施を命令し、
菅直人内閣総理大臣も福島第一原発を訪れて、ベントを急ぐように指示した。
難航したベントは12日 14:30に漸く成功したが、結局一時間後の15:36に一号機の原子炉建屋は水素爆発を起こした。
三号機も3/14 11:01に水素爆発を起こすに至った。

 防衛省の資料によると発災当日である平成23/3/11には八千四百人の自衛隊員によって八千二百二人が救助されている。翌十二日には三万人の自衛隊員によって六千三百六十二人が救助、十三日には六万千人の自衛隊員によって
三千九百四十四人が救助、発災後七十二時間以上が経過した十四日には六万六千人の自衛隊員によって
四百六十五人が救助されている。このことからも如何に発災後七十二時間の対応や措置が重要であるかがわかる。

 菅直人総理は発災後に緊急災害対策本部を官邸内に設置した。併せて官邸内に原子力災害対策本部も設置している。
情報が官邸内に集約される状況を構築することで大局観から判断を下し迅速な指令を出せたはずである。
それにも関わらず発災後七十二時間が経過しない唯一無二の時間内に官邸を留守にし、
福島第一原発や東北沿岸部の視察に向かうことは取り返しのつかない誤断である。
官邸による避難想定の甘さが多くの震災関連死に繋がっているという指摘も多い。
菅直人総理は緊急対策本部の本部長を担っていたにもかかわらず官邸を離れて現地視察に赴いたことは
致命的な失敗であったと想察する。ましてや、福島第一原発視察時に冷静さを失い、
東京電力の現地職員に対して激しい言葉を投げかけたことは看過できない愚行であろう。
生死の岐路で苦しむ多くの国民が助けを求めている中、本部長である菅総理が冷静さを失い、
危機管理の要である官邸を長時間にわたり離れたことは次世代の者が危機時における冷静な判断の肝要さを学ぶ逸話として

学校教科書等に掲載するべき事例であると思料する。歴史、社会科、政治経済の教科書内での記述は、
福島第一原発事故によって放射能が拡散され、多数の近隣住民が長期間にわたり非難を余儀なくされたことや
エネルギー確保の方法論が活発となったことなどが主に記載されているに留まる。
事故対応に関する教訓を掲載することは他に勝るとも劣らぬ重要事項であり、
当時の総理かつ対策本部の本部長であった菅直人氏の対応について記載することは必要不可欠であり、
後世を担う国民が戒めとして学ぶことは意義深いことであると考えるが政府の見解を示されたい。

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、小学校、中学校、高等学校等における教科用図書については、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第三十四条等の規定により、文部科学大臣の検定を経た教科用図書等を使用することとされているところ、我が国の教科用図書検定制度は、民間の申請図書の発行者等が著作編集した申請図書の具体的な記述について、教科用図書検定基準等に従い、教科用図書検定調査審議会が専門的・学術的な調査審議を行い、検定の時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして記述の欠陥を指摘することを基本として実施しているものであり、学習指導要領を踏まえどのように記述するかについては、このような欠陥のない限りにおいて申請図書の発行者等の判断に委ねられている。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一四三号
令和六年五月二十二日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

太陽光発電所を二施設保有する発電事業者が国の再生エネルギーに関する議論や提言に関わることの適正性に関する質問主意書

 政府は2050年カーボンニュートラルに向けて2030年までに日本の電源構成のうち、再エネ比率を現状の約20%から36―38%に上げる目標を掲げており、今後も再エネを増やしていく方針を示している。しかしながら、再エネの導入に進むにつれて需要が低い時期には発電量過多になり始めた。供給余剰を回避できない状況が生じる場合、広域機関により、下げ代不足融通指示が行われ、余剰電力を他エリアに供給することを想定していたが、域外隣接エリアにおいても家庭用太陽光発電等が順調に増加し、域外送電量は減少しており、全国的に出力制御が行われるようになっている。


令和六年度の再エネ出力制御見通しは、


北海道電力は0.2%、 東北電力は2.5%、 中部電力は0.6%、 北陸電力は1.1%、 関西電力は0.7%、
中国電力は5.8%、 四国電力は4.5%、 九州電力は6.1%、 沖縄電力は0.2%


を予定している。今後も再エネ導入量は増加していく見通しであるため出力制御量の増加は避けられないと考えられる。出力制御の要請に従うことは再エネ特措法で定められており従わなくてはならない。出力制御による損失の補償は電力会社ごとに違う。
例えば、北海道電力と九州電力は2015/1/25までの電力会社との契約であれば出力制御された日数が年間30日を超えると売電収入が補償されるが、2015/1/26以降の契約では無補償となっている。

 出力制御を減らすため、深夜電力を利用した電気温水器などの需要を昼間にシフトするように政府の審議会等で特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所の代表であり元自然エネルギー財団業務執行理事である飯田哲也氏が提言している。飯田哲也氏は中央環境審議会、総合資源エネルギー調査会、内閣官房原子力事故再発防止顧問会議委員などを歴任し、2022年にも参議院資源エネルギーに関する調査会に参考人として招かれて発言している。

 そうした状況下、九州電力は電気温水器やヒートポンプ式給湯器 「エコキュート」、電気自動車などの利用者を対象に昼間の料金を割安とする 「おひさま昼トクプラン」を2024年4月1日に開始した。九州電力は 「昼間の需要創出を促進し、再エネ有効活用に資する料金プランを創設した」としている。東京電力もエコキュートの利用時間を昼間に変更した場合にポイントを付与する 「エコキュート昼シフトチャレンジ」を実施している。

 これらを踏まえて、以下質問する。

一) 再生エネルギー電気をFIT制度によって政府が定めた一定の価格で一定の期間にわたって買い取ることを保証しているが、一方で電力各社が供給余剰を回避できない状況が生じた場合に行われている出力制御に係る発電事業者への補償は電力会社ごとに違っており一定ではない。出力制御に係る発電事業者への補償に関しても一定の制度を設けては如何か。政府の見解を示されたい。
一について)御指摘の「一定の制度」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、御指摘の「出力制御に係る発電事業者への補償」については、例えば、令和六年四月二日の参議院経済産業委員会において、齋藤経済産業大臣が「工夫してもなおエリア全体で電気の余剰が発生している場合、追加的に電力を供給することができなくなるわけでありますので、電力市場においてその追加的な電力の供給には経済的価値が付かない状況になります。これを国民負担により補償するということになると、私はそれは妥当ではないと考えています。また、発電事業者と一般送配電事業者の系統接続時の契約に基づきまして、出力の制御により生じた損害は補償しないということになっています。」と答弁しているとおりである。

二) 深夜電力の需要の一部を昼間へ移行することは出力制御が予想される状況を鑑みて合理的であると思料するが、これらの試みは政府の政策や方針が反映されているか、もしくは合致しているかを示されたい。
二について)御指摘の「これらの試み」及び「反映されているか、もしくは合致しているか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「九州電力」及び「東京電力」による取組については、それぞれの判断により実施されているものであるところ、政府として、再生可能エネルギーの最大限の活用に向けて、蓄電池の導入支援等の予算措置等を通じて促進をしている電気の需要の最適化の考え方と整合的な取組であるものと認識している。

三)飯田哲也氏は政府の諮問会議の委員や国会の参考人を務める等、公の機会で提言や情報提供を行うなどしてきたためにエネルギー業界においては強い影響力を持っているものと察する。一方、飯田哲也氏は九州電力管轄内で太陽光発電所を二施設保有する発電事業者でもある。収益事業を司る以上は利益の最大化を志向するのは当然である。よって、発電事業者である飯田哲也氏が国の再生エネルギーに関する議論や提言に関わることは適当ではないのではないかと案ずるが、政府の見解を示されたい。
三について)再生可能エネルギーに関するものを含め、エネルギー政策については、政府として、審議会等の場において様々な立場の者から意見を聴取して、議論を行った上で、パブリックコメント等の手続を経て、決定しているものであるため、エネルギー事業に携わる者から意見聴取を行うことをもって当該決定に問題が生じるものであるとは考えておらず、「適当ではない」との御指摘は当たらないものと考えている。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一四一号
令和六年五月二十一日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

家庭連合信者への拉致監禁事件に関与している左翼過激派系弁護士集団「全国弁連」が、政府による家庭連合への解散命令請求の決定に関与している可能性に関する質問主意書

 旧統一教会(家庭連合)信者が拉致監禁され強制的に棄教を迫られる事件については、すでに自民党衆議院議員であった桧田仁氏が国会において質問している(二〇〇〇年四月二十日、決算行政監視委員会)。

 すなわち、米国務省が問題視する統一教会信者への拉致監禁問題について日本の警察が取り締まらないことで「国際社会からも信用を失墜しかねない、極めて重大な事態になっている」旨追及したところ、当時の田中節夫警察庁長官は「米国務省の報告は知っている」、「警察としては、いかなる事案でも、刑罰法令に触れる行為があれば、法と証拠に照らし厳正に対処」する旨答弁している。

 しかしながら、拉致監禁事件はその後も継続して多発した。すなわち「脱会屋」と称される宮村峻氏やキリスト教牧師らが旧統一教会信者の親を説得して数百万円の代金で信者を暴力的に拉致監禁し、強制的に棄教させた元信者に対して全国弁連の弁護士が家庭連合を提訴させて儲けるという、いわゆる「脱会ビジネス」が拉致監禁役(宮村氏等)、棄教説得役(牧師)、提訴役(弁護士)とシステム化していたため、裁判件数がどんどん増えていったのである。

 その結果、拉致監禁の件数は四千三百件以上に増え続け、中には一人で数百名の信者を拉致監禁してきたことを認めた高澤守牧師(刑事告訴後自殺)や、牧師自身の教会施設を監禁部屋にしていた森山諭牧師等の事例もある。

 拉致監禁事件で裁判になった場合、加害者側に全国弁連の弁護士がつき、時には数百名にも及ぶ弁護団を結成するなどして対抗してくるケースもある。

 ここで拉致監禁事件の具体的事例を三例ほど示し、その暴力性・悪質性を確認したい。

 第一に、統一教会の女性信者(京都女子大卒、中学高校教員免許取得、当時二十六歳)を拉致監禁して精神病院に強制入院させて拘束し、本人が嫌がる注射等を強要して統一教会からの棄教を迫った事件(一九八〇年四月二十六日、高松高裁人身保護請求事件)において、高村正彦弁護士(のちの法務大臣、外務大臣)らによる訴えで、被害者は無事に解放された。

 高村弁護士らは準備書面において、「非拘束者は信仰の故に迫害されている」、「宗教裁判は許されない」等と主張し、信教の自由を著しく侵害する行為として非難した。

 第二に、統一教会の信者であった京都大学卒の男性を鉄格子の部屋に拉致監禁して強制的に棄教を迫った事件(一九八七年札幌地裁、人身保護請求)において、全国弁連の郷路征記弁護士が加害者側の弁護を担当した。

 この拉致監禁行為について、約十年間にわたって内閣法制局長官(鳩山・石橋・岸・池田の四内閣)を務めたことで著名な林修三弁護士は「違憲行為であることは間違いない」と述べ、更に加害者側に左翼弁護士が二百名もの大弁護団を結成したことも「異常なことだ」と非難した。

 郷路征記弁護士は安倍晋三元首相の国葬について、外国特派員協会の会見に出席して反対表明をした左翼活動家として知られる(二〇二二年九月十五日「しんぶん赤旗電子版」)。

 第三に、後藤徹氏(全国拉致監禁・強制改宗被害者の会代表)は一九九五年から二〇〇八年までの約十二年五カ月間にわたって宮村峻氏等により拉致監禁され、キリスト教の牧師らから棄教を迫られた。その間、宮村氏から罵詈雑言を浴びせられながら、インフルエンザで四十度の高熱が出ても病院に行くことも許されず食事も制限される等、壮絶な葛藤の日々を送った。その手記は、「月刊正論」(二〇二三年十二月号「私は十二年五カ月拉致監禁されていた!」)に掲載されている。

 後藤氏は監禁から解放後に民事訴訟を提起し、二〇一五年に最高裁が宮村峻氏らの拉致監禁が不法行為に当たることを認めた結果、後藤氏の勝訴が確定した。これ以降、「脱会ビジネス」による全国弁連の訴訟活動がやりにくくなったため家庭連合に対する民事裁判の件数は激減し、やがてゼロになったのである。

 宮村峻氏については、立憲民主党が同氏を二〇二二年八月十八日の「党旧統一教会被害対策本部会合」(本部長:西村智奈美衆院議員、特別参与:有田芳生氏)に「脱会支援者」として招き、元立憲民主党参議院議員の有田芳生氏同席のもとでヒアリングを行なった(立憲民主党ニュース、二〇二二年八月十八日)。

 ここで、全国弁連所属の弁護士が左翼活動家を中心とするグループである事実を示す。

 公安関係者らの参考資料とされる「左翼便覧─研究・調査・対策の手引─」(日本政治経済研究所、一九九六年四月発行)の「左翼過激派系弁護士名簿」(六百九十七─六百九十八頁)の中で、確認しうるだけで九名の全国弁連所属弁護士が確認される。

 上記「左翼便覧」に記載された全国弁連の弁護士のうち、山口広弁護士は全国弁連の実質上の創設者であり、東大全共闘で活動した極左過激派弁護士として知られる。海渡雄一弁護士はスパイ防止法制定を進める旧統一教会・国際勝共連合や安倍政権に徹底して反対してきた人物であり、その主張は著書(「秘密法で戦争準備・原発推進」創史社二〇一三年発行)でまとめられている。海渡氏はテロ組織・オウム真理教を破防法適用から守り、同団体を存続させることに尽力した。

 全国弁連所属の紀藤正樹弁護士はオウム真理教に対する破防法適用のみならず、解散命令についても反対していたという(「月刊Hanada」二〇二三年一月号、福田ますみ「統一教会問題の黒幕」/「週刊現代」一九九五年七月一日号/中山達樹「拝啓岸田文雄首相・家庭連合に、解散請求の要件なし」)。

 飯田正剛弁護士は全国弁連で中心的に活動する人物であるが、国税当局から「三千万円所得隠し」の認定を受け、別居中の妻子から変態的な不倫メールを暴露されるなど、そもそも弁護士としての品性が疑われる面がある(「週刊現代」二〇一〇年二月十三日号「スクープ・家族が訴える有名人権派弁護士の家庭内人権問題」)。

 以上のように、全国弁連の弁護士は拉致監禁の不法行為を繰り返してきた宮村峻氏らと会合を持つなどして連繋し、拉致監禁事件の裁判では加害者側を弁護してきた左翼過激派系弁護士集団であることがわかる。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一)二〇〇〇年四月二十日の決算行政監視委員会において、統一教会信者に対する拉致監禁事件について田中節夫警察庁長官が、「警察としては、いかなる事案でも、刑罰法令に触れる行為があれば、法と証拠に照らし厳正に対処」すると答弁しているが、この方針は現在も継続されているか示されたい。
一について) 平成十二年四月二十日の衆議院決算行政監視委員会第三分科会における田中節夫警察庁長官(当時)の「警察といたしましては、いかなる事案であろうとも、刑罰法令に触れる行為があれば、法と証拠に照らし厳正に対処しておりますし、今後とも同様の考え方で対処する所存でございます。」との答弁において示された考え方に変更はない。

二)家庭連合信者を拉致監禁する事件に深く関与してきた全国弁連は、当然ながら家庭連合と裁判等で真っ向から激しく対立する団体であり、長年にわたって旧統一教会の解散を強く主張してきた。

 したがって、家庭連合の問題について公平公正な立場で政府が検討する場合、その検討対象である家庭連合に強く対立する立場にある全国弁連の意見を政府自身が取り入れることは、始めから家庭連合を解散させるという「結論ありき」の方策であると言わざるを得ず、明らかに不公平であり、著しく正義に反するのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
二について) お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、宗教法人世界平和統一家庭連合に対する解散命令の請求については、所轄庁である文部科学大臣において、宗教法人審議会への諮問を経て行った七回にわたる同法人に対する報告徴収及び関係者からの聴取により得た情報等に基づいて適正に行ったものである。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一三九号
令和六年五月十七日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

岸田総理の「断絶宣言」を端緒とする地方自治体における家庭連合信者の公的施設の利用を禁じる等の決議が検討されていることに関する質問主意書

 安倍元首相の暗殺事件後、岸田文雄総理は旧統一教会(宗教法人世界平和統一家庭連合(以下「家庭連合」という。))及び関連団体との一切の関係を断つという、いわゆる「断絶宣言」を公表し、自民党議員にそれを徹底するよう指示を出したことは周知の事実である。

 すなわち、2022/8に岸田総理が断絶宣言を発表し、その後茂木敏充幹事長(当時)が関係断絶の党方針を「守れない議員がいた場合には、同じ党では活動できないと考えている」旨の見解を示し、家庭連合及び関連団体との関係を持った者は自民党を除名すると解しうる趣旨を述べた。

 しかしながら、自民党は国民の税金を原資とする政党交付金の交付対象政党であるから、かかる公党が特定宗教団体及び関連団体との一切の関係を断つことは、納税者を宗教あるいは思想信条によって差別的に排除し、政治への参加権をも侵害する憲法違反であることは明白であると考えられる。

 行政府の長たる総理大臣が「断絶宣言」を発したことにより、地方自治体においてもそれを一種の「お墨付き」として家庭連合信者には公的施設の利用を禁じる等の決議が検討されるなど明らかな憲法違反の差別行為が助長される動きが見られ、もはや国家をあげての宗教弾圧の様相を呈している。

 これについて、一般に広く知られる有識者や弁護士等の国民から発せられた意見を提示する。

 以下順次、門田隆将氏、北村晴男弁護士、高井康行弁護士等の見解から引用しつつ記述する。

 門田隆将氏は日本の作家でジャーナリストであるが、同氏は「月刊Hanada」(2022/11号、「「魔女狩り」政党、自民党」)の中で次のように述べている。

 「自民党の茂木敏充幹事長が九月八日に発表した旧統一教会関連調査ほど呆れたものはない。(中略)「今後は(旧統一教会と)一切関係を持たない。党方針に従えない議員はいないと確信しているが、いた場合は同じ党では行動できない」そう言ってのけたのである。はぁ?この宣言に驚愕の声を上げない自民党議員は、さっさとバッジを外して永田町から去ったほうがいい。なぜなら、これは長い伝統を誇る自由民主党が憲法違反の「魔女狩り政党」へと堕ちた瞬間だったからだ。」と述べ、断絶宣言が憲法違反であると断じている。

 北村晴男弁護士は本年四月三日の衆議院法務委員会で「共同親権」に関する参考人として意見陳述したことでも知られる見識の高い弁護士である。北村弁護士は安倍晋三元首相が暗殺された後に岸田首相が家庭連合及び関連団体と一切の関係を断絶する旨の宣言をした時、「宗教団体に顔を出したからけしからんって、とんでもない話だと。」と述べ、岸田総理の断絶宣言が法律的に「とんでもない話」であると強烈に非難している(弁護士北村晴男ちゃんねる/「デイリースポーツ」2023/12/19)。

 元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士は、岸田総理の断絶宣言について「旧統一教会は宗教法人格を認められた合法的な組織である。そしてその信徒にも政治に参加する権利は保障されているのであるから、その信徒とわずかでも接点を持つことは社会的に許容されないとするのは、旧統一教会やその信徒に対する差別で、彼らの政治に参加する権利を侵害するといわれてもやむを得ない」と述べ、断絶宣言が権利侵害に当たると指摘している(「月刊正論」2023/1号)。

 家庭連合及び関連団体に対して特殊な憎悪感情を持つ全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士でない限り、高い専門的見識のある弁護士や法律的判断力のある有識者等においては、概ね岸田総理の断絶宣言が明らかな憲法違反であり、人権侵害にあたると考えていることがわかる。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一)政府が公認した宗教法人家庭連合及び関連団体に対して、国民の税金を原資とする政党交付金が交付され、かつ政権政党である自民党がその一切の関係を断つという岸田総理の断絶宣言は、納税者を宗教によって差別的に排除するものであり、憲法が保障する思想信条・信教の自由に違反するとともに信者の参政権を侵害するものと考えられるが、政府の見解を示されたい。
二)岸田総理の断絶宣言は、家庭連合及び関連団体との関係において、自民党関係者らの行動等を規制する性質があるが、その規制が及ぶ範囲は国会議員にとどまるのか、それとも地方議員、党員にまで及ぶのか、政府の見解を示されたい。
三)岸田総理の断絶宣言において家庭連合及び関連団体との一切の関係を断つというが、その内容は関連団体からの陳情、意見聴取、関連団体への投稿や意見発信、新聞社等からのインタビュー、関連大会・集会への参加、名刺交換、電話、メール、会食、路上での立ち話等、一切の関係を禁止するものか。その具体的な規制内容を示されたい。
四)岸田総理の断絶宣言が及ぶ自民党議員又は党員が家庭連合に入会し、あるいは既に信者であることを告白、家庭連合における信教の自由の行使(礼拝参加、集会参加、教会の儀式等の参加、布教活動等)を行なった場合、その者は断絶宣言に基づいて除名あるいは何らかの処分の対象となるか、政府の見解を示されたい。
一から四までについて)お尋ねは、特定の政党の活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
 

五)岸田総理が断絶宣言をした後、家庭連合においては信者たちが職場や学校、社会生活等において種々の差別的扱いを受け、実質的な物心両面の損害が発生している。テレビを見た翌日、自殺をした若い信者もいると聞く。信者も国民であるが、国民が甚大な損害を受けている事態について、憲法違反と言うべき断絶宣言をした総理大臣の責任はきわめて重大である。
 岸田総理は教団に対して損害実態の聞き取り調査や、損害に対して政府として何らかの対応をする意思はあるのか、責任を認めた場合、どのように責任を取るのか示されたい。
五について)お尋ねは、特定の政党の活動に関するものであるが、いずれにせよ、御指摘の「種々の差別的扱い」及び「実質的な物心両面の損害」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

第213回国会(常会)質問主意書 質問第一三八号
令和六年五月十七日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

家庭連合への解散命令請求手続きに関して数多くの有識者が問題視していることに関する質問主意書

 政府は宗教法人世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求を東京地裁に申し立てたが、内容が重大であるにもかかわらず、旧統一教会及び信者らを激しく攻撃してきた全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下「全国弁連」という。)の意見ばかりが重視され、広く様々な角度からの見解を検討する機会もなく極めて拙速に進められた印象が強い。

 宗教法人への解散命令については、宗教法人法第八十一条第一項第一号において「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」と、非常に限定的に規定されており、実際に解散命令が適用されたのはオウム真理教(29人殺害、教祖ら13名死刑)と明覚寺(教祖が懲役六年実刑)の二件のみである。

 全国弁連の紀藤正樹弁護士等は、オウム真理教に対する解散命令にすら反対していたのである。

 刑事事件を起こした宗教法人として神慈秀明会は暴行で七名の死亡事件を起こしている。紀元会は、多数の信者が共謀して集団で暴行・死亡事件を起こした。空海密教大金龍院は、集団で信者に暴行を加え死亡させた。顕正会は、少なくとも12件の刑事事件を起こし、2003年に教団の地区部長が殺人罪で懲役15年の有罪判決を受けた。法の華三法行は、教祖福永法源氏を含む13名が詐欺容疑で有罪判決を受けた。

 ところが、これらの刑事事件を起こした宗教法人に対して、解散命令請求はおろか質問権すら行使されていないのである。

 旧統一教会において「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」が確認しうる状況ならば、安倍元首相暗殺事件が起きる前から社会問題として騒がれていたであろうし、誰よりも旧統一教会問題を熱心に追及してきた有田芳生氏が参議院議員であった期間(2010~2022年)に当然ながら国会で重大問題として徹底的に追及していたはずであろう。そのような事件は起きていないのである。

 そこで、家庭連合への解散を長年強く主張してきた全国弁連に所属せず、高度な専門的業務を行なう弁護士や有識者らが解散命令請求について主張している見解を示すことで、真に検討されるべき法的問題点を明らかにしたい。

 以下順次、若狭勝弁護士、郷原信郎弁護士、高井康行弁護士、塚田成四郎弁護士、中山達樹弁護士の見解、さらに「月刊Hanada」、「月刊正論」、「中央公論」、「東洋経済オンライン」等から引用しつつ記述する。

 元衆議院議員・元東京地検特捜部副部長である若狭勝弁護士は、「解散命令申し立てに至るまでの手続が適正であるとは言えない」と述べ、検察官を除外して申し立てた点に「非常に疑問がある」と指摘する。

 また直前になされた宗教審議会において、誰一人反対せず「全会一致で賛同された」という点について、民主主義の多数決制度のもとでは「全員一致の決議は無効である」という標語があることに言及し、拙速な決議への違和感を示した(弁護士若狭勝のニュース塾「異議あり!旧統一教会への解散命令請求」)。

 更に、若狭弁護士は、旧統一教会には刑事罰が存在しないため解散命令請求はできないという閣議決定が存在したにもかかわらず、岸田総理が請求要件に民法上の不法行為も含まれると法解釈を一日で変更する答弁をした件について、答弁の前に立憲民主党の小西洋之参議院議員が岸田総理に、「内閣法制局も法務省も呼んでみんなで議論した」、「政府全体で議論した」という嘘をつけばいい等とアドバイスし、岸田総理がその小西議員のアドバイスに従って「改めて関係省庁で集まり議論した」と虚偽答弁をしたことを問題視した。

 若狭弁護士は、もしも小西議員のアドバイスに従って岸田総理が閣議決定の内容を無視して国会で嘘をついたことが事実であれば、「検討プロセスの適正性についてはかなりの疑義が生じる」と指摘した(弁護士若狭勝のニュース塾「旧統一教会問題 答弁で岸田首相が嘘発言?」)。

 郷原信郎弁護士は統一教会に反対してきた弁護士としても知られるが、岸田首相が解散命令請求を出すことを検討していた時、宗教法人法第八十一条第一項第一号による旧統一教会への解散命令請求は「法的要件としては極めて厳しい」との見解を述べ、これを政治判断で請求するようなことは「絶対やめてほしい」、「政治的な意図で利用するのはとんでもない話だ」と憤り、岸田首相について「法的な素養を微塵も感じられない」と厳しく非難した(郷原信郎の「日本の権力を斬る!第276回」、鈴木哲夫氏との対談)。

 元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士は、民事裁判で旧統一教会が負うべき被害総額が22件 合計約十四億円も存在することを根拠にして解散命令請求をすることが可能だとの見方に対し、「旧統一教会はそれらの民事判決を受けてその約十四億円を支払っているのであるから、むしろ、民法の規定に従っているといえる」と述べ、旧統一教会は民法上の不法行為責任をすでに果たし終えているとの見解を示した(「月刊正論」2023/1号)。

 元日弁連常務理事・元第一東京弁護士会副会長の塚田成四郎弁護士は、第一東京弁護士会の会報(2024/2号)の巻頭言「宗教法人の解散命令について」において、「民法上の不法行為はいくら多数存在しても反社会性を帯びることはないと考える」「不法行為がいくら多数あっても、解散命令の根拠になりえないと考える」と明言している。

 中山達樹弁護士によると、家庭連合の献金をめぐる民事裁判が多数存在するといっても「裁判全体で約半分の48%は勝訴」しており「半分の献金については、裁判所は家庭連合の不法行為責任(使用者責任)を認めなかった」のであるから、「負けた部分のみを取り上げて悪質性を認定するのは、公平性に欠けます」と述べている。

 また、霊感商法の被害件数が多いとも言われるが「消費者庁データによれば、霊感商法の2021年の被害相談のうち、家庭連合に関するものはわずか1.9%でした。残りの98.1%は他の団体に関する霊感商法です。しかし、全国弁連は、他の98%の団体には目もくれず、ホームページでは家庭連合のことばかりを攻撃しています。」と述べ、全国弁連の不当性を指摘している(中山達樹著「拝啓岸田文雄首相 家庭連合に解散請求の要件なし」光言社2023年発行)。

 「月刊Hanada」では福田ますみ氏や杉原誠四郎氏による論説で拉致監禁問題や全国弁連の左翼的な正体、解散命令請求の不当性等について複数回にわたって掲載し、政府決定を批判している。

 「月刊正論」(2023/12号)では「解散命令請求への疑義」という特集を組み、政府決定の違法性を指摘すると同時に、家庭連合信者・後藤徹氏に対する拉致監禁事件の壮絶な記録を掲載している。特に北朝鮮の拉致問題で著名な西岡力教授は、解散命令請求に至る過程において「「何が起きたから解散となったのか」がさっぱり分からない。これでは「人民裁判」です」と述べ、「私は恐怖すら覚えました」と述べている。

 「中央公論」(2024/4号)では世界・正論・中央公論という三誌の編集長による鼎談記事で、「月刊正論」編集長の田北真樹子氏が政府決定について「憲法違反の恐れがある」、「安倍元総理の暗殺で政権が見解を一日で変え、旧統一教会を解散命令請求の対象にするのはありえないでしょう」と述べている。

 では、そもそも旧統一教会の解散を強く主張してきた全国弁連が、何ゆえに政府の意思決定に強い影響を与えるようになったのか。

 元日本テレビ政治部次長の政治ジャーナリスト・青山和弘氏によると、河野太郎衆議院議員が消費者担当大臣に就任した二日後に突然、「岸田首相からの指示もないままの電光石火の動き」で検討会(霊感商法等の悪質商法への対策検討会)を立ち上げ、そこに全国弁連の紀藤正樹弁護士を河野氏の独断で引き入れたのだという。

 そのような河野氏の独断専行の行動に対し、岸田首相は「大丈夫か」と周辺に漏らし、消費者庁内にも「紀藤氏は消費者庁を訴えている原告団の顧問弁護士だ。検討会に入れるのはどうか」との反対意見があった(「東洋経済オンライン」2022/10/17、青山和弘「旧統一教会に質問権行使で「河野氏」存在感増す訳」)。

 全国弁連の紀藤正樹弁護士の引き入れは、その是非を議論することもなく岸田総理や消費者庁関係者ですら不安を抱えたまま唐突になされたものであり、これによって始めから旧統一教会を解散させる「結論ありき」の政府見解が確立していったといえる。

 以上、解散命令請求は全国弁連という左翼過激派思想に偏った弁護士グループが政府の意思決定に強い影響を与える状況下で決定されたものであり、他方、全国弁連とは関係なく高度な専門的業務をこなす弁護士や一般の有識者においては、家庭連合に対する政府の解散命令請求に対して明確に反対意見を表明しているばかりか、政府の法律的な不見識を厳しく非難する状況が見受けられる。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一)若狭勝弁護士の指摘にもあるが、解散命令請求の要件について、刑事罰の存在にとどまらず民法上の不法行為も含まれるという解釈変更がなされた過程において、岸田首相が閣議決定を無視して虚偽答弁をしたとすれば、その決定プロセスには重大な手続上の瑕疵が明らかに認められると言わねばならない。

 したがって、国会で虚偽答弁をして国民に嘘をつくとともに、厳密な審理がなされるべき裁判所をも欺いて申し立てられた解散命令請求は、その申し立て自体が無効であると言わざるを得ないが、政府の見解を示されたい。
一について)御指摘の「解釈変更」及び「虚偽答弁」が行われた事実はなく、「厳密な審理がなされるべき裁判所をも欺いて申し立てられた解散命令請求は、その申し立て自体が無効である」との御指摘は当たらない。

二)本来、宗教法人への解散命令請求の要件として、刑事罰が存在する等の強い「悪質性」が認められる必要があるが、旧統一教会においては宗教法人に対する刑事罰は存在しない。
 他方、刑事事件を起こした宗教法人(神慈秀明会、紀元会、空海密教大金龍院、顕正会、法の華三法行等)には解散命令請求はおろか質問権すら行使されていないにもかかわらず、旧統一教会に対しては民法上の不法行為を理由に解散命令請求が申し立てられた。
 これは、宗教法人を公平公正な立場で管轄すべき文部科学省において、法の下の平等に著しく反すると思われるが、政府の見解を示されたい。
三)西岡力教授が、「何が起きたから解散となったのか」がさっぱり分からないと述べている通り、家庭連合には刑事罰がなく、献金等の民事裁判件数も最近数年はゼロであり、しかも民事裁判の約半分は家庭連合が勝訴している。霊感商法の被害相談も全体の約二%程度にすぎず、信者による壺等の販売も三十年以上前からなされていない。
 それでは政府決定における解散命令請求の要件、すなわち宗教法人法第八十一条第一項第一号の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」とは何なのか、具体的に示されたい。
二及び三について)お尋ねは、現在、裁判所に係属中の事件に関わる事柄であり、お尋ねにお答えすることは、今後の審理及び裁判に影響を及ぼすおそれがあることから、差し控えたい。

四)塚田成四郎弁護士が所属弁護士会の会報で「民法上の不法行為はいくら多数存在しても反社会性を帯びることはない」と述べているが、旧統一教会が反社会的な団体かどうかについては1994年に村山富市内閣総理大臣が「特定の宗教団体が反社会的な団体であるかどうかについて判断する立場にない」と答弁した(平成6/7/12、内閣参質一二九第九号)。この政府の見解は現在も継承しているか、政府の見解を示されたい。
四について)お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、参議院議員北村哲男君提出世界基督教統一神霊協会に関する質問に対する答弁書(平成6/7/12内閣参質一二九第九号)一についてにおいては、同議員の御質問に対し、一般論として、当時の考え方を答弁したものである。

五)最高裁(2004/10、梶谷玄裁判長)は、統一教会の献金について合法であると認めた高裁判決を支持し、上告を棄却しているが、政府は本件を承知しているか示されたい。
五について)お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは差し控えたい。