リトルカブ・進歩の手引き その2 ~ 地獄のシフトチェンジ | The Little Cub Scouts*

リトルカブ・進歩の手引き その2 ~ 地獄のシフトチェンジ


logo



*この「進歩の手引き」は、現在も超初心者リトルカブ・スカウトである私が、過去に「あれ?」となったり、「えーっ!」となったり、「ゲゲッ!」となったりしたカブ操縦に関するアレコレをあげつらいつつ、かろうじてつかんだコツのようなものを記録したものです。






minarai  これほど多くの「初心者向けの運転方法解説」がwebにアップされている原付バイクは、カブのほかにはないと思います。その最大の理由は、カブがシフトチェンジ機構を持っていること。ビギナーにとって、カブのシフトチェンジはそれほどやっかいなものであるということで、同時に、シフトチェンジペダルの操作こそがカブならではの「楽しさ」。慣れると(といっても、私もまだ完全に慣れきってはないんですけど)、スロットルとブレーキ操作だけのスクーターが退屈、かつ不安な乗りもの(パワーの増減が機械任せなので)に感じられると思います。


 取りあえずは、カブのギアチェンジの基本を見てみましょう。
shift















 このシーソーみたいな金属製ペダルがシフトチェンジペダル。
 シフトアップする場合は、ニュートラルの状態から……

・前部のペダルをつま先で1度踏むと→1速(発進時に使用)
・さらに踏むと→2速(加速時に使用)
・さらに踏むと→3速(安定走行時に使用)

 ちなみに、私のリトルカブは3速モデル。この段階でトップギアです。セル付き4速モデルの場合、さらにもう1段上の4速がトップになります。

 止まっている状態であれば、3速の状態からさらに前部ペダルを踏むとニュートラルに戻ります。さらに踏むと1速、2速、3速……と、N→1→2→3→Nという形で循環します。
 ただし、走っている状態で3速からさらに前部のペダルを踏み込んでも、ギアは変わりません。高速で走行中に3→N→1とギアが変わってしまうと、カブ特有の恐怖のエンジンブレーキがかかってしまい、バイクは前転、ライダーは宙に舞ってしまいます。こうした惨劇を防ぐための機構が備わっているわけです。

 また、シフトダウンする場合は、トップギア(3速)の状態から……

・後部のペダルをかかとで1度踏むと→2速
・さらに踏むと→1速
・さらに踏むと→ニュートラル

 ……という具合に変化していきます。


シフトアップ時の注意
 シフトアップについては、それほどやっかいな問題はありません。ペダルを踏み込むときに「必ずスロットルを戻す」ということさえ頭に入れておけば、誰もがスムーズなギアチェンジを行えると思います。
 本来、エンジンの回転数が適切であれば、スロットルを戻さなくてもスムーズにシフトアップできるんです。ある程度慣れてくると、エンジンの音や振動でなんとなく回転数が把握できるようになり、「あ、今だ!」という感じでいきなりペダルを踏み込んじゃうクセがついてきます(そんなの無理、と思っている人も、少なくとも数カ月後には自然にそうなっちゃうはずです)。
 ある程度正確に回転数を把握できているときには、これをやってもまったく問題ないのですが、ちょっと慌ててるときとか、周囲の騒音でエンジン音がちゃんと聞こえていないときに、このクセが一人歩きしちゃう場合ってのがあります。無意識にシフトアップしたとたん、ガキン!という金属音とともに車体が大揺れ……なんてことになってしまいます。エンジンが思った以上に高回転しているときに、いきなりギアを上げたために無理が生じるわけです。この種のミスは、私みたいに「ようやく慣れてきたかな」という見習いリトルカブ・スカウトに起こりがちです。


・シフトダウン時の注意
 これが問題です。私はリトルカブ購入直後、「もうシフトダウンは金輪際やめよう」と決意してしまうほど難しく感じました。
 やっかいなのはカブ特有の強烈なエンジンブレーキ(「恐怖のエンジンブレーキ 」を参照)です。3速から2速にダウンしたとたん、想像以上の強さでブレーキがかかります。2速から1速の場合など、ほとんど急ブレーキという感じで、車体の前に体ごと投げ出されそうになります。
 これを防ぐ方法は2つ。
 1つは、充分に(充分すぎるほど)速度を落としてからシフトダウンする。3から2へのシフトダウンは、本当にノロノロの徐行状態になってから行う。2から1は、もう「止まる寸前」という状態で行う。これで、あのイヤなガクン!から解放されます。
 とはいえ、さらなる加速のために、ある程度スピードにのった状態で3から2へのシフトダウンをしなきゃならないケースも出てきます(止まりかけたバスを追い抜くときとか)。こういう場合は、シフトチェンジする直前に、ほんの少しスロットルを回します。エンジンの回転数を上げるわけです。
 エンジンブレーキの強さは、エンジンの回転数が下がるとアップします。なので、作法通りにスロットルを戻してシフトダウンすると、強烈なブレーキがかかってしまいます。なので、シフトダウンする寸前、あえてエンジンをよく回しておくわけです。
 具体的には、3→2のシフトダウンなら、まずかかとでペダルをグッと踏み込む。この「踏んだまま」の状態では、ギアは噛み合っていません。つまりニュートラルです。この間にスロットルをほどよく回して(回し過ぎに注意)、エンジンの回転数を上げる。ほどよく上がったら、ペダルから足を離す。これでギアがつながり、めでたくシフトダウン完了です。エンジンの回転数が適切であれば、あのガクン!という揺れはまったくないはずです。
 回転数は体で把握するしかないわけで、これはもう感覚と経験の問題。私もいまだにときおりガクガクしてしまいますが、さすがに以前よりだいぶマシになりました。


・その他
 3速カブの場合、「今、ギアがどこに入っているか」は自分で覚えておくしかありません。ニュートラルに入っているときだけ「N」ランプがつきますが、「1」やら「2」やらのランプはないんです(4速リトルカブには4速を表示するランプがついています)。当初、これって不親切だなぁと思っていました。1速発進したつもりが3速で、いくらスロットルを回してもノロノロ。慌ててシフトダウンしてガクンッ! なんてことがよくありました。
 さらに危険なのは、信号待ちのときにニュートラルに入れておいたのを忘れ、信号が変わって颯爽と飛ばそうとしたら動かない。エンジンだけが唸ってる、みたいな状態。後ろの車にプップーなんてやられて、エンジンをふかしたまま慌てて1速に入れちゃうと……急発進どころか、ヘタをすると「リトルカブでウイリー、さらにバク転」をしでかしてしまいます。
 こうしたことを防ぐには、常にギアを数えておく、というクセをつけるしかありません。それをやっているうちに、意識しなくても自然にギアの状態を把握できるようになります(つっても、いまだに私はよく「あれ? 今どこだっけ?」の状態に陥ります)。


・備考
 これは「購入記」に書くべきことですが、私のホワイティ(白リトル)は3速モデルです。やはりカブは「3速セルなし」が基本だろう、などと通ぶって購入したのですが、個人的には「4速にしときゃあよかったなぁ」と思ってます。セルなし3速にはカブらしいシンプルな魅力がありますが、やはり、3速で走っているとき、「重いなぁ、うるさいなぁ、振動がすごいなぁ」という実感があります。もう1段上のギアがあれば、もっとスムーズなのにぃ、とどうしても思っちゃうんですね。ま、これは個人の感覚の問題で、4つもギアがあったらめんどくさい、という人もいるかと思いますが、これから購入するのであれば、ちょっと割高でも私は4速モデルをお薦めします。