よくインプロは「お笑い」扱いされることが多い。

自分自身はちょっと、それは違うと思っている。

インプロは「お笑い」ではなく、「芝居」だと思っています。


では「芝居」と「お笑い」の違いとは何か?

端的に言えば、
「お客様の想像にゆだねるか、ゆだねないか」ということです。

例としてイッセー尾形さんの一人芝居をあげますと、
イッセーさんの作風は主に
日常の中のちょっと変わった人を描写するところにあります。
そのキャラクターや行動で笑わせただけならそれは「お笑い」ですが
それを観ているお客さんは徐々にそのキャラクターが
現実にそういう人がいるのではないかという感覚になってきます。
セリフや行動には出てこないけど、
そのキャラクターの日常の行動や、家族構成や、
そのシーンの前や後の展開を想像するようになります。
そうなれば立派な「芝居」です。

つまり
「お笑い」は情報をお客様に与えるだけで、その情報が面白いか否かですが
「お芝居」は情報をお客様に与えた事により、
お客様の中の詩情を励起させて、感動させることが面白いか否かとなる。

たとえストーリーが起承転結はっきりしているとか、
構成が巧妙であっても、
お客様の想像にゆだねていなければ、
単なる説明にしかすぎず、
笑ったところでその役目は終わり。
でも、お客様の想像にゆだねれば
ちょっとしたしぐさですらも
舞台の上のつかの間の世界がお客様に心地よくなり、笑いがこぼれる。

そんな風に私は考えます。

「刺激」と「感動」の違いにも近いですね。

ジェットコースターの恐怖は刺激ですが
ディズニーランドはその前後にちょっと演出を加えるだけなのに、
お客様の想像が心に作用する意味で感動です。

階段から落ちるだけのイベントは刺激ですが
ヤスが銀ちゃんのために落っこちるとなると
いろんなものが頭と心に駆け巡って、涙、涙の大感動です。

私がインプロで目指しているのも「刺激」ではなく「感動」の世界。

だから、「お笑い」ではなく、「お芝居」でありたいと思います。


昨日は名古屋のインプロカンパニー発表会に出演いたしました。

がおりんずインプロ発表会2010~いのち輝く瞬間(とき)~
2010年09/19(日) 名古屋 Theater MOON 14:00 Start
http://light-trap.blog.so-net.ne.jp/2010-09-19


名古屋のインプロカンパニー「がおりんず」の4回目の発表会。
インプロどころか舞台に立つのも初めてというプレイヤーもいる中、
終始暖かい雰囲気で9つのシーンが演じられました。


インプロヴァイザーの良さ・悪さは
別に経験の年数ではないことを再確認しました。

いや、むしろ経験を積むほど、
下手になっていく可能性は増えていきます。


たしかに経験を積むと、
瞬間瞬間で行動の選択肢は増えていきます。
過去の成功経験や失敗経験で、betterな選択肢も選べます。


しかし、インプロで大事なのは、その経験のストックではなく
「今、この瞬間に生きている」こと。


むしろその選択肢を考える時間や、選ぶ迷いが
かえってシーンのスピードやエネルギーを落としたり
他のプレイヤーの事を意識できなくなり易いです。


むしろ、愚直なまでに
目の前の事に対して選択肢を選ぶより、
素直に自分のできる事を丁寧に扱い、仲間に託す。

その方が、まさに
共演者を輝かせることができ、
その場、その瞬間をより多くの人と共有することができます。


人はもともと、インプロが上手です。
もともと、いいインプロも知っています。

でも、「いいインプロ」をしようと意識してしまうと、
途端に「いいインプロ」から遠ざかってしまう。

そういうものだと、改めて感じた発表会でした。


がおりんずBlog:
http://ameblo.jp/gaorins/


「のんべ」のインプロ魂!

「のんべ」のインプロ魂!

私は両親の実家はともに造り酒屋であり、
日本酒の酒造りの現場のそばで暮らしていました。


なので、いまだに酒造りの世界のことには興味を持っています。
さて、とある杜氏さんのインタビュー記事を読んだ時、
「酒造り」と「インプロ」の共通点をふとみつけました。


(杜氏さんのインタビュー記事抜粋)
酒は人間が「つくる」ものではなく、
自然の「恵み」であり「授かりもの」。
人間のできることは「酒が育つ手伝い」に過ぎない。
だから、造り手は謙虚であるべきだし、過干渉はいけない。
人間性を高め、分をわきまえ、無心にひたむきに酒造りに向かわなければ。


さて、このコメントの「酒」を
「インプロでつくるシーン」に言い換えてみると。。。


インプロでつくるシーンは人間が「つくる」ものではなく、
自然の「恵み」であり「授かりもの」。
人間のできることは「インプロでつくるシーンが育つ手伝い」に過ぎない。
だから、造り手は謙虚であるべきだし、過干渉はいけない。
人間性を高め、分をわきまえ、無心にひたむきに
インプロでつくるシーン造りに向かわなければ。


ね、まさにインプロの境地ですよね。

私が目指す『即興』 とも、共通点があります。


というわけで、日本酒を味わう時も
インプロのことを考えてしまう、このごろです。