よくインプロは「お笑い」扱いされることが多い。

自分自身はちょっと、それは違うと思っている。

インプロは「お笑い」ではなく、「芝居」だと思っています。


では「芝居」と「お笑い」の違いとは何か?

端的に言えば、
「お客様の想像にゆだねるか、ゆだねないか」ということです。

例としてイッセー尾形さんの一人芝居をあげますと、
イッセーさんの作風は主に
日常の中のちょっと変わった人を描写するところにあります。
そのキャラクターや行動で笑わせただけならそれは「お笑い」ですが
それを観ているお客さんは徐々にそのキャラクターが
現実にそういう人がいるのではないかという感覚になってきます。
セリフや行動には出てこないけど、
そのキャラクターの日常の行動や、家族構成や、
そのシーンの前や後の展開を想像するようになります。
そうなれば立派な「芝居」です。

つまり
「お笑い」は情報をお客様に与えるだけで、その情報が面白いか否かですが
「お芝居」は情報をお客様に与えた事により、
お客様の中の詩情を励起させて、感動させることが面白いか否かとなる。

たとえストーリーが起承転結はっきりしているとか、
構成が巧妙であっても、
お客様の想像にゆだねていなければ、
単なる説明にしかすぎず、
笑ったところでその役目は終わり。
でも、お客様の想像にゆだねれば
ちょっとしたしぐさですらも
舞台の上のつかの間の世界がお客様に心地よくなり、笑いがこぼれる。

そんな風に私は考えます。

「刺激」と「感動」の違いにも近いですね。

ジェットコースターの恐怖は刺激ですが
ディズニーランドはその前後にちょっと演出を加えるだけなのに、
お客様の想像が心に作用する意味で感動です。

階段から落ちるだけのイベントは刺激ですが
ヤスが銀ちゃんのために落っこちるとなると
いろんなものが頭と心に駆け巡って、涙、涙の大感動です。

私がインプロで目指しているのも「刺激」ではなく「感動」の世界。

だから、「お笑い」ではなく、「お芝居」でありたいと思います。