『2年生存率0%を生き抜いて』

 

28歳で腎臓の希少がんに罹患。

22年前の発病当時、

一番の希望は生の体験談でしたキラキラ

 

発病からの生還記録を綴っています。

少しでも生きる力となりますように。

今回は28歳の血気盛んな若者の物語として

寛大な心でお読みいただければ幸いですニコニコ

 

こちらは現在の写真

 

前回はこちら

 

 

 

 

 

 

【抗がん剤治療中に歓楽街?】

 

  

 

 

抗がん剤治療をチャレンジと捉え、

自分自身の中で、
「絶対に吐かない!」
「脱毛しない!」

と決意したものの、

あっけなく吐き、毛もほとんど
抜けてしまいました・・・。


次のチャレンジの機会はすぐにやってきました。



抗がん剤の副作用も落ち着き、
外泊許可が出て、
一時的に家に帰ることが許されました。



高校の同級生たちが、
数人で見舞いに来てくれたのです。


目のやり場に困らないように、
一応帽子だけはかぶっておくことにしました。



彼らは家に上がってきたものの、
あきらかにその様子はいつもと違っていました。



どんな言葉を掛けていいのか、
とても困っている様子。



わかるよ、わかる。
「がんばれ」とも言えないし。
オレも逆の立場だったら、何も言えないもの・・・。



この心配というか、
同情の眼差しに押しつぶされそうでした。

まるで、

豪雪地帯の家の屋根に降り積もる雪のよう。


「大丈夫?」


と心配そうな声を掛けられたり、
憐みの感情が表情に映るたび、
自分が同情される存在だという現実を
重く受け止め、

自分だけ別世界に来てしまったような
孤独感を味わっていました。

 



この日は何とか、
降り積もった“心配”“同情”という雪をはねのけたかった・・・。



「いくぞっ!」



意を決して言いました。


皆、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしています。

 



「本当に大丈夫か~? 退院してからでもよくない?」


「いや、今しかないでしょ! 行こう!」




毛という毛はほとんど抜けていたため、
母親に眉墨を借りて眉毛とびんを描き、
帽子を目深にかぶり、
ぼくはあっけにとられる友人たちを引き連れて外に出ました。




白血球の安定していない、
この時期に外出するなど、
本当はもってのほかでした。
良い子はマネしないように。

 



向かった先は歓楽街・・・。
どんな分野のお店だったかは想像に任せます。

 




家族には
「ちょっとドライブに連れていってもらってくる」
と伝え、

 

家を出ると、
ますます心配そうな顔をする友人たち。



きらびやかなネオンひしめく街を、
がん患者のぼくが先頭を切って歩いていきます。




さあ、どこに入ろうか・・・。


こういうときは“呼ばれている感覚”に神経を研ぎ澄まします。


本屋で、本を選ばなくても、
“本に呼ばれて”手に入れた

という経験が誰にもあるはず。


意識は自分の感覚を逃さないように、
夜の静寂に入り込みます。




ここしかないだろう!



周りに比べ、
一際輝きを放っているお店が目に飛び込んできましたキラキラ

(お母さん、ごめんなさい。借りた眉墨はここに来るために使いました)



店員さんが部屋を案内してくれると、
5つくらい年上の女性が待っていてくれました。




さて、


帽子はどうしようか・・・。


この頭を見せて、
がん患者であることを同情されるのも嫌だし・・・



やっぱり、
帽子だけはつけていました。




「ちょっと頭をケガしちゃって」




女性は笑いながら言いました。

 

 


「そこのツクシン坊や! 帽子も取りなさい。私ね、あなたを見たときからすべてわかってたのよ。実はね、私は元ナースなの。だからあなたの姿見たらすぐがん患者だってわかった。抗がん剤、本当につらかったでしょ? よくがんばったね」



彼女の優しい言葉に、
ツクシン坊やの目から

涙がポタポタとあふれましたぐすん 

 

 


そして、彼女の次の言葉に

涙腺は決壊しました笑い泣き



「それとね。私も昔、がんだったのよ。でもね、もう7年経って、この通り、すごく元気だよ。だからね、あなたも絶対に元気になれる。大丈夫だよ。絶対に大丈夫だからね」



同情されるどころか、
思い切り励まされてしまいました。




病院ではがんを治した人の体験本を
ベッドの脇に高く積み上げ、
片っぱしから読みまくっていました。

 

 

 

しかし今度は、


がんを克服した人が、
リアルに今、目の前にいる!



 
本の中だけじゃなくて、
本当に、現実にそんな人がいるんだ! 



ぼくも同じ人間。
可能性はゼロじゃないはずだ! 
希望の炎がメラメラと勢いを増した瞬間でした。



あり得ないことが起きます。



神様はいる! 
こんな出会い方ってある?


ぼくは何度も心の中で叫びました。


「自分は大丈夫だぁ!」



抗がん剤治療中に歓楽街なんて、
白血球の安定しない中、
常識的には絶対にNGです。


でも、心の指針に従い、
ワクワクドキドキに
素直に反応して行動したとき、

こんなに奇跡的な出会いが待っていて、
身も心も元気になりました汗うさぎ



自分は「持ってる! 」と思いました。

そう思い込みました。


これから
どんな素敵な人生ストーリーが
どんな素敵な出会いが
待っているのでしょうか。


辛くて、苦しくて、
今の自分が信じられなくなっても、
これから続く人生を信じてあげよう。


自分の中にあふれる生命力を再確認し、
生きる勇気を深めた夜になったのでした。

 

抗がん剤治療の副作用で髪が抜け落ち、

まだ生えてきていないとき。

 

当時、写真を撮る心の余裕もなく、
退院後、友人の結婚式でのこの写真が
治療時に一番近いです。

 

 

 

つづく

 

続きはこちら

 

 

 

 

Re・rise Newsというサイトで夢を語りました。

 

 

 

生還記録・最初はこちら

 


 

 

やしの木杉浦貴之・4/28は大阪で2本立てやしの木

 

会場&ZOOM配信&録画視聴です!

 

 

やしの木杉浦貴之・現在の活動やしの木

 
 

 

 

 

やしの木杉浦貴之創刊『Messenger』やしの木

 

 

 

ぜひポチっとよろしくお願いします。

 

にほんブログ村 病気ブログ 腎臓がんへ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 病気ブログ がん 闘病記(完治)へ
にほんブログ村

 


がん・腫瘍ランキング