こんにちは、リブラです。今回からモーリーン・マードック著「ヒロインの旅」について解説していきたいと思います。

 

ジョーゼフ・キャンベル著「千の顔をもつ英雄」で提唱されている「ヒーローズジャーニー(英雄の旅)」という言葉は、有名なのでどこかで耳にしたことがあるかと思います。

 

少年が平凡な日常生活から旅立ち、突然「冒険への誘い」を受け、それに怖れを感じて「冒険の拒絶」をするも超自然的な力を備えた「賢者と出会い」、最初の境界の越境をして「試練の道」に挑みます。

 

その「通過儀礼」の果てに「女神との遭遇」があり、立派な「ヒーロー(英雄)」になって故郷に「帰還」します。

 

このストーリー展開が多くの神話でくり返し登場することに着目したキャンベルは、少年が社会に認められる大人になるためのマインドセットとして心に刻み潜在意識の力を引き出す神話の可能性を表したのです。

 

未体験の世界の冒険に出るとき、わたしたちの潜在意識の副人格たちは意識に刷り込まれたストーリーの登場人物のイメージを手がかりに、自身の冒険の主人公としてセルフイメージを構築し、そのイメージに合った思考や選択や行動を思い描くのです。

 

わたしたちが未知の冒険に出るとき、「なんだか知らないけど、やれるような気がする!」ときもあれば、「万全の準備を整えたのにも関わらずチャレンジが怖くてたまらない」ときもあるのは、潜在意識の副人格たちが「ヒーローズジャーニー」を思い描きヒーローのセルフイメージを構築できるかどうかの違いなのです。

 

現代では、男性も女性も社会を舞台に活躍する時代ですから、誰しも社会に出るときは「ヒーローズジャーニー」を無意識に経験しています。だからこそ、「ヒーローズジャーニー」が組込まれたストーリーは映画やドラマや漫画で多くの人々の共感を呼ぶのでしょう。

 

しかし、わたしたちの人生は社会の表舞台だけではありません。その活躍を終えて帰って行く裏舞台もなければ生きていけません。喜びを感じ幸せを受けとるのは、主に裏舞台の方なのです。

 

社会の表舞台は男性性の力(与える力)を要求される戦いの場であって、女性性の力(受けとり慈しみ育む力)が評価されることはほとんどありません。魔法のような女性性の力を引き出すチャンスは、なかなか巡ってきません。

 

わたしたちは必然的に、男性性の力(与える力)が優位な自分に価値を置き、女性性の力(受けとり慈しみ育む力)が優位な自分に何の価値も見出さない状況―男性性の力(与える力)と女性性の力(受けとり慈しみ育む力)のアンバランスをつくり出してしまうのです。

 

その結果、外の世界では人間社会の一員としての自分を自覚できていても、内なる世界では自身の存在の儚さに怯えるギャップが生じます。

 

恐怖と闘って男性性を強化するストーリーだけでは超えられない問題を、わたしたちの誰もが感じていると思います。

とくに、女性は持って生まれた女性性の否定を男性性の強い社会から要求され、それが女性的な本来の性質を傷つけることもあります。

 

そんな現代社会だからこそ、女性性の力を蘇らせるストーリーが必要なんだとわたしは感じます。

「ヒーローズジャーニー」では、「女神」は「英雄」の訪れを待っていればよいのですが、「女神」の自覚を失い、「女神」役よりも「英雄」役に魅力を感じるようになってしまった現代の女性は、自身の女性性の否定をやめ、「女神」の資質に目覚めていくことが必要です。

 

「ヒロインの旅」の著者モーリーン・マードックもその必要性を感じたひとりです。

マードックは家族療法のカウンセラーで、「ヒーローズジャーニー」は成功しても「何のために生きているのか?」わからなくて途方に暮れた女性たちの悩みを聞いてきた人です。

 

彼女は「ヒーローズジャーニー」にヒントを得ながら、自身の経験も盛り込み「ヒロインの旅」のプロセスを描きました。

 

①「女性性からの分離」→②「男性性との自己同一視と仲間集め」→③「試練の道;怪物やドラゴンとの遭遇」→④「成功の幻想」→⑤「精神の渇きを知る」→⑥「通過儀礼と女神への降下」→⑦「女性性を見直す」→⑧「母/娘の分離の修復」→⑨「傷ついた男性性の修復」→⑩「男性性と女性性の統合」

 

①~③までのプロセスは「ヒーローズジャーニー」と似ていますが、「ヒロインズジャーニー」は「成功の幻想」を体験し「精神の渇きを知る」のです。社会的な成功を手に入れても幸せになれないと悟り、そこから「「ヒロインズジャーニー」独特の旅がさらに続きます。

 

女性の通過儀礼はこの「ヒロインズジャーニー」では「冥界下り」「魂の闇夜」「闇の女神との出会い」と呼ばれ、心の深層で迷い・悲しみ・孤独・幻滅・怒り・絶望などのネガティビティと向き合うことを課されます。

 

こうしたネガティブな感情を避けずに向き合い、闇を受容するとその闇の中で変容が起きて、女神としての神性(本来の女性性)が蘇るのです。

 

神性が目覚めるからこそ「許し」ができるので「母/娘の分離の修復」が可能となります。

その後に「傷ついた男性性の修復」となるので、自身の心の闇と向き合う通過儀礼を超えたら、まず、母/娘関係や女性の人間関係が癒され、次に男性的な社会構造との摩擦や男性との人間関係が改善されるでしょう。

 

ここまで来てやっと「男性性と女性性の統合」に至ります。

「ヒロインズジャーニー」は、ひたすら「心の傷」と向き合い、癒して関係を修復する旅です。

 

表向きには何が起きているのかは、誰もわからないでしょう。

でも、人間の女性から女神としての神性(本来の女性性)を蘇らせる旅なので、青虫から蝶に生まれ変わるような変容が起きるのです。

 

「ヒロインズジャーニー」の最終プロセスに至る頃には、旅の始まりと全く違う幸せを享受する人生を歩んでいることでしょう。

それでは、この次から各プロセスの詳細を解説していこうと思います。

 

次回は「フレディ・マーキュリーのホロスコープリーディング」、次々回は「自分を愛せなくなった人々へ」、その後「ヒロインの旅」に続きます。

 

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